「パスワードを覚えるのが面倒」「フィッシング詐欺が不安」——そんな悩みを解決するのがWebAuthn(ウェブオースン)です。
WebAuthnとは、パスワードを使わずに、安全かつ簡単にログインできる最新の認証技術。
指紋認証や顔認証、セキュリティキーを活用することで、パスワード漏えいのリスクを大幅に減らせます。
本記事では、WebAuthnの仕組みやメリット・デメリット、導入方法をわかりやすく解説。
導入を検討している方や、より安全なログイン方法を探している方に役立つ情報をお届けします。
WebAuthnの未来とともに、あなたの認証方法も進化させませんか?
この記事は以下のような人におすすめ!
- WebAuthnとは何か知りたい人
- パスワードレス認証の仕組みがわからない
- FIDO2やパスキーとの違いがわからない
WebAuthnの基礎知識
WebAuthn(ウェブオースン)は、パスワードを不要にする次世代の認証技術として注目されています。
従来のパスワード認証は、安全性の面で多くの課題がありました。
例えば、パスワードの漏えいや使い回しのリスクが挙げられます。
WebAuthnを活用することで、より安全かつ利便性の高い認証が可能になります。
本章では、WebAuthnの基本的な概念や背景について詳しく解説します。
1-1. WebAuthnとは何か
1-1-1. WebAuthnの概要
WebAuthn(Web Authenticationの略)は、FIDO(Fast Identity Online)アライアンスとW3C(World Wide Web Consortium)が共同で策定した認証技術の標準仕様です。
従来のパスワードに依存しない「パスワードレス認証」を実現するために開発されました。
WebAuthnを利用すると、ユーザーは次のような方法で認証を行います。
- 生体認証(指紋認証、顔認証など)
- セキュリティキー(物理的なUSBキーなど)
- デバイス固有のPINコード
これにより、フィッシング攻撃やパスワード漏えいのリスクを大幅に軽減することができます。
1-1-2.なぜWebAuthnが必要なのか?
近年、パスワードを狙った攻撃が増加しています。
特に以下のような問題が深刻化しています。
- パスワードの漏えい:データ漏えい事件により、何百万ものパスワードが流出
- パスワードの使い回し:1つのサービスでパスワードが流出すると、他のサービスにも影響
- フィッシング詐欺:ユーザーを偽サイトに誘導し、パスワードを盗む手口
WebAuthnを導入することで、これらのリスクを回避し、より安全な認証環境を構築することができます。
1-2. WebAuthnの背景と歴史
1-2-1. WebAuthn誕生の背景
WebAuthnが開発された背景には、インターネットにおける認証の問題が深く関係しています。
これまでの認証技術の変遷を振り返ると、次のような流れがあります。
時期 | 認証技術の主流 | 主な問題点 |
---|---|---|
1990年代 | パスワード認証 | パスワードの管理が煩雑、漏えいリスク |
2000年代 | 二要素認証(2FA) | 利便性の低下、フィッシング攻撃の増加 |
2010年代 | 生体認証の導入 | デバイス依存の課題、互換性の問題 |
2018年 | WebAuthnが標準化 | パスワードレス認証が本格化 |
従来のパスワード認証には多くの課題がありましたが、WebAuthnはそれを解決するために登場しました。
1-2-2. WebAuthnの標準化と普及
WebAuthnは、2018年にW3Cによって正式に勧告され、FIDOアライアンスのFIDO2フレームワークの一部として広まりました。
現在では、Google Chrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Apple Safariなどの主要ブラウザがWebAuthnに対応しており、さまざまなWebサービスで利用できるようになっています。
今後、より多くの企業やサービスがWebAuthnを採用することで、パスワードレス認証が標準になる可能性があります。
WebAuthnの仕組み
WebAuthn(Web Authentication)は、従来のパスワード認証とは異なり、公開鍵暗号方式を利用して安全にユーザー認証を行います。
この仕組みによって、ユーザーの認証情報がサーバーに保存されず、情報漏えいのリスクを大幅に軽減できます。
本章では、WebAuthnの中心となる「公開鍵暗号方式」と、認証を支える「オーセンティケータの役割」について詳しく解説します。
2-1. 公開鍵暗号方式とWebAuthn
2-1-1. 公開鍵暗号方式とは
WebAuthnとは、公開鍵暗号方式を活用した認証技術です。
公開鍵暗号方式とは、暗号化と復号に異なる鍵を使用する暗号技術のことを指します。
具体的には、次の2つの鍵を利用します。
- 公開鍵(Public Key):誰でも知ることができる鍵
- 秘密鍵(Private Key):本人のみが持つ秘密の鍵
この方式では、公開鍵で暗号化したデータは秘密鍵でしか復号できず、逆に秘密鍵で署名したデータは公開鍵で検証できます。
WebAuthnではこの仕組みを使い、安全なユーザー認証を実現しています。
2-1-2. WebAuthnにおける公開鍵暗号方式の仕組み
WebAuthnの認証プロセスは、次のようなステップで進行します。
- 登録(初回認証)
- ユーザーがWebAuthn対応のサービス(例:Webサイト)にログインすると、デバイス上で公開鍵と秘密鍵のペアが作成される。
- 公開鍵はWebサービスのサーバーに登録されるが、秘密鍵はデバイス内に安全に保存される。
- 認証(ログイン時)
- ユーザーが再度ログインしようとすると、サーバーがランダムなデータ(チャレンジ)を送信する。
- ユーザーのデバイスは秘密鍵を使ってチャレンジに署名し、その署名をサーバーに送信する。
- サーバーは、登録済みの公開鍵を使って署名を検証し、一致すれば認証が成功する。
2-1-3. 公開鍵暗号方式を利用するメリット
WebAuthnとは、公開鍵暗号方式を活用した強固なセキュリティ機構を提供する技術です。
この仕組みには、以下のようなメリットがあります。
メリット | 説明 |
---|---|
パスワード不要 | パスワードを使わずに認証が可能で、漏えいや使い回しのリスクがない。 |
フィッシング耐性 | 秘密鍵はデバイスから外部に送信されないため、偽サイトに騙されるリスクが低い。 |
盗難・紛失対策 | 生体認証やPINコードと組み合わせることで、デバイスが盗まれても不正アクセスを防げる。 |
このように、WebAuthnの認証方式は従来のパスワード認証に比べて安全性が高く、ユーザーの負担を軽減する仕組みとなっています。
2-2. オーセンティケータの役割
2-2-1. オーセンティケータとは
WebAuthnの認証を支える重要な要素の一つが「オーセンティケータ」です。オーセンティケータとは、ユーザーの秘密鍵を安全に管理し、認証プロセスを実行するデバイスやソフトウェアのことを指します。
オーセンティケータには、大きく分けて以下の2種類があります。
- プラットフォームオーセンティケータ(内蔵型)
- スマートフォンやPCに内蔵されている認証機能(例:Windows Hello、Touch ID、Face ID)
- ローミングオーセンティケータ(外部デバイス型)
- USBセキュリティキーやNFC対応のスマートカードなど
2-2-2. オーセンティケータの役割と認証プロセス
オーセンティケータの主な役割は、以下の3つです。
- 鍵の生成と管理
- WebAuthnを利用する際に、公開鍵と秘密鍵のペアを生成する。
- 秘密鍵を安全な領域(Secure EnclaveやTPM)に保存し、外部に漏れないように管理する。
- ユーザー認証
- ユーザーが認証を行う際に、PINコード、生体認証(指紋・顔認証)などで本人確認を行う。
- 本人確認が成功すると、秘密鍵を使って署名し、サーバーに送信する。
- 署名の実行
- サーバーが送信したチャレンジに対して、秘密鍵を用いて署名を行う。
- 署名データをサーバーに送信し、公開鍵での検証が成功すれば認証完了となる。
2-2-3. オーセンティケータの選択基準
WebAuthnを導入する際、適切なオーセンティケータを選ぶことが重要です。以下のポイントを考慮して選択しましょう。
選択基準 | 説明 |
---|---|
対応デバイス | PC、スマートフォン、タブレットなど、自分の利用環境に適したオーセンティケータを選ぶ。 |
セキュリティレベル | ハードウェアベースのセキュリティを求めるなら、USBセキュリティキーが適切。 |
利便性 | 生体認証やPINコードが使えるオーセンティケータの方が使いやすい。 |
このように、オーセンティケータはWebAuthnの中核となる要素であり、安全かつスムーズな認証を実現する重要な役割を担っています。
2-3. まとめ
WebAuthnとは、公開鍵暗号方式を用いた次世代の認証技術であり、パスワードに依存しない安全なログインを可能にします。
その中心には、公開鍵暗号方式とオーセンティケータという2つの重要な要素が存在します。
- 公開鍵暗号方式は、安全な認証を実現するための基盤技術であり、秘密鍵をデバイス内に保持することでフィッシング耐性を高めます。
- オーセンティケータは、秘密鍵を安全に管理し、ユーザー認証のプロセスを実行する役割を果たします。
WebAuthnのメリットとデメリット
WebAuthnとは、パスワードレス認証を実現するための最新の技術です。
この技術を導入することで、セキュリティを強化しつつ、ユーザーの利便性を向上させることが可能です。
しかし、すべての技術にメリットとデメリットがあるように、WebAuthnにもいくつかの課題があります。
本章では、WebAuthnのセキュリティ強化のポイントとユーザビリティへの影響について詳しく解説します。
3-1. セキュリティ強化のポイント
WebAuthnを導入する最大のメリットは、パスワードに依存しない安全な認証が可能になることです。
従来のパスワード認証と比較し、WebAuthnはどのようなセキュリティ強化のポイントを持つのでしょうか?
3-1-1. フィッシング攻撃への耐性
WebAuthnとは、公開鍵暗号方式を用いた認証技術です。
従来のパスワード認証では、ユーザーがフィッシングサイトにパスワードを入力してしまうリスクがありました。
しかし、WebAuthnでは秘密鍵がデバイス内部に保存され、外部に漏れることがないため、攻撃者が認証情報を盗み取ることはほぼ不可能です。
ポイント:
- フィッシング詐欺の標的になりにくい
- 認証情報が外部に送信されないため、攻撃者に悪用されにくい
3-1-2. パスワード漏えいリスクの削減
パスワード認証では、サーバーにユーザーのパスワードが保存されます。
しかし、データ漏えいが発生した場合、大量のパスワードが流出する危険があります。
WebAuthnでは、サーバー側に保存されるのは公開鍵のみであり、秘密鍵はユーザーのデバイス内にあるため、仮にサーバーがハッキングされても、認証情報が漏えいするリスクを大幅に低減できます。
ポイント:
- パスワードの流出リスクを回避
- サーバーへの攻撃による被害を最小限に抑えられる
3-1-3. 盗難・紛失への対策
WebAuthnでは、生体認証(指紋・顔認証)やPINコードを利用するため、万が一デバイスが盗まれても第三者が不正にアクセスすることは困難です。
また、多くのWebAuthn対応デバイスはTPM(Trusted Platform Module)やSecure Enclaveなどのセキュアチップを利用しており、秘密鍵の保護が強化されています。
ポイント:
- デバイスの紛失・盗難時でも不正アクセスを防げる
- 生体認証やPINコードの組み合わせでセキュリティ強化
WebAuthnのセキュリティ強化ポイントまとめ
セキュリティ強化ポイント | 詳細 |
---|---|
フィッシング耐性 | 秘密鍵が外部に漏れないため、攻撃を受けにくい |
パスワード漏えい防止 | サーバーに秘密情報を保存しないため、漏えいリスクが低い |
盗難・紛失対策 | 生体認証やPINコードで第三者の不正利用を防ぐ |
3-2. ユーザビリティへの影響
WebAuthnを導入することで、セキュリティが向上する一方で、ユーザビリティ(使いやすさ)にも影響を与えます。
WebAuthnの導入によって、具体的にどのような利便性の向上や課題が生じるのかを見ていきましょう。
3-2-1. ログインの簡略化
従来のパスワード認証では、ユーザーが毎回パスワードを入力する必要があり、忘れたり入力ミスをしたりするリスクがありました。
しかし、WebAuthnを使えば、指紋認証や顔認証で簡単にログインできるため、ユーザーの負担を軽減できます。
ポイント:
- パスワードを覚える必要がない
- 指紋や顔認証で即時ログインが可能
3-2-2. デバイス依存の問題
WebAuthnは、秘密鍵が特定のデバイスに保存されるため、別のデバイスでは認証できない場合があります。
例えば、パソコンで登録したWebAuthnの鍵は、スマートフォンからは使用できないことがあります。
解決策:
- クラウド同期型の認証(例:パスキー)を活用する
- 複数のデバイスでWebAuthnを登録しておく
3-2-3. 互換性の課題
WebAuthnは新しい技術のため、すべてのサービスやデバイスで対応しているわけではありません。
一部の古いWebサイトやブラウザではWebAuthnをサポートしていない可能性があります。
ポイント:
- WebAuthn対応のブラウザ・サービスを確認する必要がある
- 互換性のない環境では別の認証手段(パスワード+2FAなど)を併用
WebAuthnのユーザビリティへの影響まとめ
ユーザビリティの影響 | メリット | 課題 |
---|---|---|
ログインの簡略化 | 指紋認証・顔認証で簡単にログイン可能 | – |
デバイス依存 | 物理的なセキュリティが向上 | 別のデバイスで認証しづらい場合がある |
互換性の問題 | 最新のサービスでは高い利便性 | すべてのWebサイトで使えるわけではない |
3-3. まとめ
WebAuthnとは、パスワードに依存しない安全な認証を提供する技術であり、多くのセキュリティ強化ポイントがあります。
メリット(セキュリティ強化):
- フィッシング耐性があり、攻撃を受けにくい
- パスワード漏えいリスクが低減できる
- 生体認証やPINコードで安全にログイン可能
デメリット(ユーザビリティへの影響):
- デバイス依存のため、複数のデバイスでの利用が難しい場合がある
- 互換性の問題があり、一部のサービスでは未対応
WebAuthnの導入方法
WebAuthnとは、パスワードに依存しない安全な認証技術であり、近年多くのWebサービスで導入が進んでいます。
しかし、WebAuthnを実装するには、技術的な理解が必要であり、適切な手順を踏まなければなりません。
本章では、WebAuthnの実装手順と、導入時に押さえておくべき注意点やベストプラクティスについて詳しく解説します。
4-1. WebAuthnの実装手順
WebAuthnを導入するには、サーバー側とクライアント側での適切な実装が必要です。基本的な流れは以下の通りです。
4-1-1. WebAuthnの導入に必要な環境
WebAuthnを実装するためには、以下の環境が必要になります。
必要な要素 | 説明 |
---|---|
対応ブラウザ | WebAuthnをサポートするブラウザ(Chrome, Edge, Firefox, Safariなど) |
HTTPS環境 | WebAuthnはセキュリティ上、HTTPS環境でのみ動作 |
WebAuthn API | JavaScriptで利用できるWeb Authentication API |
FIDO2対応の認証デバイス | 指紋認証、顔認証、セキュリティキーなど |
4-1-2. WebAuthnの基本的な実装フロー
WebAuthnの実装は、大きく登録(Registration)と認証(Authentication)の2つのステップに分かれます。
- ユーザー登録(Registration)
① クライアント(ブラウザ)がサーバーにユーザー登録のリクエストを送る
② サーバーが「チャレンジ」(ランダムなデータ)を生成し、クライアントへ送信
③ クライアントがFIDO2対応デバイスを使用して、秘密鍵・公開鍵のペアを生成
④ 公開鍵をサーバーに送信し、サーバーに保存 - ユーザー認証(Authentication)
① ユーザーがログインを試みると、サーバーがチャレンジをクライアントに送信
② クライアントは秘密鍵を使用してチャレンジに署名し、署名データをサーバーへ送信
③ サーバーは、登録済みの公開鍵を用いて署名を検証し、本人認証を行う
以下に、WebAuthnの基本的な実装例(JavaScript)を示します。
// WebAuthn APIを使用してユーザーの登録情報を作成
navigator.credentials.create({
publicKey: {
challenge: new Uint8Array(32), // サーバーから受け取るチャレンジ
rp: { name: "example.com" }, // サービス名
user: {
id: new Uint8Array(16), // ユーザーのID
name: "user@example.com",
displayName: "User Name"
},
pubKeyCredParams: [{ type: "public-key", alg: -7 }]
}
}).then(credential => {
console.log("登録成功", credential);
}).catch(error => {
console.error("登録失敗", error);
});
このように、WebAuthnではブラウザ上のAPIを利用して、公開鍵・秘密鍵を生成し、認証を行います。
4-2. 実装時の注意点とベストプラクティス
WebAuthnを実装する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
特に、セキュリティ対策やユーザー体験の向上を考慮することが重要です。
4-2-1. セキュリティの考慮事項
WebAuthnを安全に運用するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
HTTPS環境での運用
WebAuthnはセキュリティ上、HTTPS環境でのみ動作します。
HTTP環境ではAPIが利用できないため、事前にSSL/TLSを設定しておく必要があります。
サーバー側での適切な公開鍵管理
WebAuthnでは、サーバーに保存されるのは公開鍵のみですが、不適切な実装によりセキュリティリスクが生じる可能性があります。
例えば、登録済みの公開鍵を適切に検証しないと、偽の公開鍵を登録されるリスクがあるため、厳格なバリデーションを行うことが重要です。
リカバリー手段の確保
WebAuthnはデバイスに秘密鍵を保存するため、デバイスを紛失すると認証ができなくなる可能性があります。
そのため、複数の認証手段(パスキー、セキュリティキー、バックアップコードなど)を用意することが推奨されます。
4-2-2. ユーザビリティを向上させるための工夫
WebAuthnを導入する際、ユーザーにとって使いやすい設計を心がけることも重要です。
パスキー(Passkeys)を活用する
AppleやGoogleは、WebAuthnの認証情報をクラウドに同期できるパスキーを推奨しています。パスキーを導入することで、ユーザーは複数のデバイスで同じ認証情報を使えるようになり、利便性が向上します。
複数の認証オプションを提供する
すべてのユーザーがFIDO2対応デバイスを持っているとは限らないため、生体認証・PINコード・セキュリティキーなど、複数の選択肢を提供すると良いでしょう。
導入ガイドを用意する
WebAuthnの仕組みは一般的なユーザーには馴染みがないため、わかりやすいチュートリアルやFAQを用意し、ユーザーがスムーズに設定できるようにすることも重要です。
4-2-3. 実装時の注意点とベストプラクティスまとめ
ポイント | 詳細 |
---|---|
HTTPS環境の確保 | WebAuthnはHTTPSでのみ動作 |
公開鍵の適切な管理 | サーバー側で不正な公開鍵登録を防ぐ |
リカバリー手段の提供 | バックアップ認証手段を用意する |
パスキーの活用 | クラウド同期で利便性を向上 |
認証オプションの選択肢 | 複数の認証方法を提供 |
ユーザーガイドの作成 | わかりやすい説明で利用ハードルを下げる |
4-3. まとめ
WebAuthnとは、安全で便利なパスワードレス認証を実現する技術ですが、実装には適切な手順と注意点を理解する必要があります。
実装の流れ:
- ユーザー登録(公開鍵・秘密鍵の生成)
- ユーザー認証(秘密鍵を用いた署名と検証)
導入時のポイント:
- HTTPS環境の確保
- 公開鍵の適切な管理
- バックアップ手段の提供
- パスキーの活用でユーザー体験向上
WebAuthnの最新動向
WebAuthnとは、パスワードに依存しない安全なユーザー認証を実現するためのWeb標準であり、近年、その普及が加速しています。
本章では、WebAuthnの普及状況と今後の展望について詳しく解説します。
5-1. WebAuthnの普及状況と今後の展望
5-1-1. WebAuthnの普及状況
WebAuthnは、その高いセキュリティとユーザビリティから、多くの企業やサービスで採用されています。
例えば、Google、Facebook、Microsoftなどの大手IT企業は既にWebAuthnを導入しており、ユーザーはパスワードレスでの安全な認証を利用できるようになっています。
さらに、主要なブラウザ(Chrome、Firefox、Safariなど)やOS(Windows、macOS、Android、iOS)もWebAuthnに対応しており、ユーザーは多様なデバイスでこの技術を活用できます。
普及状況のポイント:
- 主要サービスでの導入:Google、Facebook、MicrosoftなどがWebAuthnを採用
- 主要ブラウザ・OSの対応:Chrome、Firefox、Safari、Windows、macOS、Android、iOSなどがWebAuthnをサポート
5-1-2. WebAuthnの今後の展望
WebAuthnの普及は今後も拡大すると予想されています。
特に、パスワードレス認証の需要が高まる中、WebAuthnはその中心的な役割を果たすと考えられます。
また、WebAuthnを活用した「パスキー(Passkeys)」の導入が進むことで、ユーザーは複数のデバイス間でシームレスな認証体験を享受できるようになります。
さらに、WebAuthnの標準化と技術的な改善が進むことで、より多くのサービスやデバイスでの対応が期待されます。
今後の展望のポイント:
- パスワードレス認証の需要増加:セキュリティ強化とユーザビリティ向上のため
- パスキーの普及:複数デバイス間でのシームレスな認証を実現
- 標準化と技術改善:より多くのサービスやデバイスでの対応が期待
WebAuthnに関するFAQ
WebAuthnとは、パスワードに依存しない新しい認証技術ですが、まだ普及の途中であり、多くのユーザーが疑問を抱いています。
ここでは、WebAuthnに関するよくある質問とその回答をまとめました。
6-1. よくある質問とその回答
6-1-1. WebAuthnとは何ですか?
Q: WebAuthnとは何ですか?どのような仕組みで動作するのですか?
A: WebAuthn(Web Authentication)は、FIDOアライアンスとW3Cが策定した認証技術の標準仕様です。
パスワードを使わずに、公開鍵暗号方式を利用して安全な認証を実現します。
ユーザーは、指紋認証・顔認証・セキュリティキーを用いることで、フィッシング耐性の高い認証を行えます。
6-1-2. WebAuthnはどのデバイスやブラウザで利用できますか?
Q: WebAuthnはどのデバイスやブラウザで利用できますか?
A: WebAuthnは、主要なデバイスやブラウザで広く対応しています。以下は対応状況の一覧です。
デバイス/OS | 対応状況 |
---|---|
Windows(Windows Hello) | 対応 |
macOS(Touch ID, Face ID) | 対応 |
iOS(iPhone, iPad) | 対応 |
Android(生体認証, PINコード) | 対応 |
Google Chrome | 対応 |
Mozilla Firefox | 対応 |
Microsoft Edge | 対応 |
Apple Safari | 対応 |
したがって、ほとんどの最新デバイスやブラウザでWebAuthnを利用できます。
6-1-3. WebAuthnはパスワードよりも安全ですか?
Q: WebAuthnはパスワード認証よりも安全ですか?
A: はい、WebAuthnは従来のパスワード認証よりも安全です。その理由は以下の通りです。
- フィッシング攻撃に強い:秘密鍵はデバイス内に保管され、外部に送信されないため、攻撃者が盗み取ることができません。
- パスワード漏えいのリスクなし:従来のパスワードはサーバーに保存されるため、データ漏えいのリスクがありますが、WebAuthnではサーバーに公開鍵のみを保存するため、安全性が向上します。
- デバイス依存型の認証:PINコードや生体認証を組み合わせることで、盗難・紛失対策も強化されています。
このように、WebAuthnはセキュリティを大幅に向上させる技術です。
6-1-4. WebAuthnの認証情報を別のデバイスで使用できますか?
Q: WebAuthnの認証情報を新しいデバイスに移行できますか?
A: 基本的に、WebAuthnの認証情報(秘密鍵)は登録したデバイスに保存されるため、他のデバイスに自動で引き継ぐことはできません。
しかし、最近では「パスキー(Passkeys)」を活用することで、異なるデバイス間でシームレスに認証情報を同期することが可能になっています。
例えば、AppleのiCloud KeychainやGoogleのパスキー管理を利用すれば、複数のデバイス間でWebAuthnの認証情報を共有することができます。
6-1-5. WebAuthnを導入するには何が必要ですか?
Q: 自社のWebサービスにWebAuthnを導入するにはどうすればよいですか?
A: WebAuthnを導入するには、以下のステップを実行します。
- HTTPS環境を整える(WebAuthnはセキュリティのためHTTPSが必須)
- WebAuthn APIを実装(JavaScriptを利用)
- サーバーで公開鍵を管理する(適切なバリデーションを実施)
- ユーザー向けの認証デバイスを準備(生体認証やセキュリティキー)
以下の簡単なコードでWebAuthnの登録を実装できます。
navigator.credentials.create({
publicKey: {
challenge: new Uint8Array(32),
rp: { name: "example.com" },
user: { id: new Uint8Array(16), name: "user@example.com", displayName: "User" },
pubKeyCredParams: [{ type: "public-key", alg: -7 }]
}
}).then(credential => {
console.log("登録成功", credential);
}).catch(error => {
console.error("登録失敗", error);
});
WebAuthnの導入はセキュリティ強化とユーザビリティ向上につながるため、積極的に検討する価値があります。
6-2. まとめ
WebAuthnとは、パスワードレス認証を可能にする技術であり、セキュリティの向上と利便性の向上の両方を実現できます。
よくある質問まとめ
質問 | 回答 |
---|---|
WebAuthnとは? | パスワード不要の認証技術(公開鍵暗号方式を使用) |
どのデバイス・ブラウザで利用可能? | Windows, macOS, iOS, Android, Chrome, Firefox, Safari, Edgeなど |
パスワードよりも安全? | フィッシング耐性があり、パスワード漏えいのリスクなし |
認証情報は別のデバイスで使える? | パスキーを利用すれば可能 |
WebAuthnを導入するには? | HTTPS環境でWebAuthn APIを実装し、公開鍵をサーバー管理 |
今後、WebAuthnの普及が進むことで、より多くのWebサービスでこの技術が活用されることが期待されます。
これからWebAuthnを利用・導入しようと考えている方は、ぜひこのFAQを参考にしてみてください。