情報セキュリティ

テール ゲー ティングとは?手口・物理と技術の防止策を徹底解説します!

朝の混雑、善意でドアを押さえた一瞬が、重大インシデントの始まりかもしれません。

テール ゲー ティングは、物理の隙からサイバー被害へ連鎖する“見えにくい脅威”。

本記事は、意味と手口、物理ゲート・センサー・映像AI、受付SOPや断りスクリプトまで、現場で止める実践策をやさしく解説します。

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • テール ゲー ティングとは何か知りたい人
  • 「テール ゲー ティング」「共連れ」「ピギーバッキング」の違いがよくわからない人
  • 具体的にどのような対策を取ればいいのか知りたい人

テールゲーティングとは何か?

「テールゲーティング(英:tailgating)」は、アクセス権のない人物が、権限を持つ人のすぐ後ろにぴったり付いて入退室ゲートやドアを通過し、オフィスやデータセンターなどの制限区域に不正侵入する行為を指します。

本記事では検索キーワードを意識し、必要に応じて「テール ゲー ティング」という表記も用います。

つまり、テールゲーティングは物理的なソーシャルエンジニアリングの一種です。

人の善意や油断(ドアを押さえてあげる、混雑時に続けて通す等)を突くため、IT対策だけでは防ぎきれません。

したがって、読者が今すぐできる運用面の工夫や、物理・技術の両輪で考えることが重要になります。

よくあるシーンの例

  • 朝のラッシュ時、社員Aの後ろに見知らぬ人物が続いてICカード認証なしでゲートを通過する
  • 配達員を装った人物が「両手がふさがっている」と言い、善意につけ込んでドアを開けてもらう
  • 来訪者バッジを見せかけだけで付け、混雑に紛れて入館する

上記の通り、表面上は「自然な行動」に見えるため、気づきにくいのが特徴です。その結果、盗難、内部ネットワークへの接続、資料の撮影など、重大なインシデントに発展します。


1-1. テールゲーティングの意味と背景

まず定義を押さえましょう。テールゲーティング(テール ゲー ティング)は「権限のない人が、権限を持つ人の直後にくっついて入る」ことです。

ここで重要なのは、電子認証(ICカード、生体認証)を“スキップ”してしまう点にあります。

背景には次の要因があります。

  • 人の心理:思いやりや遠慮が働き、「閉めづらい」「断りにくい」
  • 環境要因:共連れを検知しづらいゲート、混雑するエントランス、無人受付
  • 働き方の変化:外部委託や来訪者の増加で、不特定の人の出入りが日常化
  • 物理対策のばらつき:扉はオートロックでも、尾行検知(人数カウント、センサー、インターロック)が未整備

なぜなら、こうした要因が重なると「一人につき一認証」という大原則が形骸化し、攻撃者に“隙”を与えるからです。

したがって、テールゲーティング対策は人・ルール・設備**をセットで設計する必要があります。

読者のための要点まとめ

  • テールゲーティングは物理空間の不正アクセス
  • 認証の抜け道として最も起こりやすいソーシャルエンジニアリング
  • 背景は心理・環境・運用の複合要因。だからこそ多層防御が必須

1-2. 「尾行」「ピギーバック」との違い・用語整理

用語が混在しやすいので、ここでクリアに整理します。

SEO的にも「テール ゲー ティング」と関連語の関係性を明示しておくと検索意図に合致しやすく、読者満足度が上がります。

用語意味(要約)権限者の認知典型例ポイント
テールゲーティング(テール ゲー ティング)権限のない人物が、権限者の直後に続いて物理ゲートを通過する行為有無どちらもあり得る(気づかれないことが多い)混雑時にノーバッジでゲートを通過物理的ソーシャルエンジニアリングの総称として広く使われる
共連れ(日本語の一般表現)認証者と一緒に入ってしまう状態の総称多くは無自覚ドアを持ってもらって一緒に入る日本語記事や規程での定訳に近い
ピギーバッキング(piggybacking)権限者が意図的に入れてしまうケースを指す用法が一般的あり(意図している)社員が知人を善意で通すテールゲーティングと区別する文脈が多い

補足しておくと、海外文献ではテールゲーティングとピギーバッキングを同義として扱う場合もあります。

だからこそ、社内規程や教育資料では自組織の定義を明文化しておくことが重要です。たとえば次のようにルール化します。

  • 定義の例
    • テールゲーティング:認証していない人物が、認証者の後ろについて入室する行為(意図の有無を問わない)」
    • ピギーバッキング:認証者が意図的に認証していない人物を入室させる行為」
  • 教育メッセージの例
    • 入退室は一人ずつ、必ず自分の認証
    • 後ろに人が続く場合は扉が完全に閉まるのを確認
    • 困っている人がいても、受付・守衛を案内(個人判断で通さない)

なぜテールゲーティングが問題になるのか?

テール ゲー ティングは、単なる“マナー違反”ではありません。つまり、一度の共連れが重大インシデントの出発点になるからです。

権限のない人物が物理的に社内へ入り込めば、データ盗難・設備破壊・マルウェア設置など、サイバー攻撃と物理攻撃の両面で被害が広がります。

したがって、テール ゲー ティングは情報システム部門だけでなく、総務・人事・警備を含む全社課題として捉える必要があります。


2-1. 物理的侵入がもたらすセキュリティリスク

テール ゲー ティングの第一の問題は、物理的境界が破られることです。

なぜなら、オフィスやデータセンターに入れてしまえば、攻撃者は「手で触れる」範囲にある資産へ直接アクセスできるからです。

従って、デジタル対策が堅牢でも、入口での共連れ一つで崩れてしまいます。

2-1-1. 情報資産・設備への直接被害(目に見える損失)

  • 機密書類の持ち出しや撮影
  • ノートPC・USB・バックアップ媒体の盗難
  • 会議室のホワイトボード情報の撮影
  • サーバールームやIDF/MDFに侵入して装置の電源操作

その結果、情報漏えいだけでなく、業務停止や復旧コストの増大につながります。つまり、「入られたら終わり」になりやすいのが物理侵入の怖さです。

2-1-2. 内部ネットワークへの“物理的”踏み台化(目に見えにくい損失)

  • 無人デスクの有線ポートに不正端末を接続
  • 空いているUSBポートに悪性デバイスを挿入
  • 会議室端末に不審なアダプタ(Rogue AP・攻撃用スティック)を設置

このように、入口の一瞬の油断が持続的な潜伏を許します。

したがって、入館管理とあわせてネットワークのゼロトラスト化(802.1X、NAC、ポートセキュリティ、未認証端末隔離)が必須です。

2-1-3. 人的安全・法的リスク(企業レピュテーションの毀損)

  • 不審者によるハラスメントや盗撮
  • 工場・研究所での事故誘発
  • 監督官庁・取引先からの指導や違約金

つまり、テール ゲー ティングは情報保護だけの話ではないという点を押さえましょう。

物理侵入リスクの早見表

リスクカテゴリ起きること具体例初動の考え方
情報資産の喪失機密資料・端末の持ち出し机上資料の撮影、PC盗難机上施錠・クリーンデスク・資産台帳
ネットワーク侵害不正端末の接続空ポートに小型デバイス802.1X/NAC、ポート閉塞、検知アラート
継続的潜伏機器の設置・隠匿ルータ型デバイスを天井裏に定期スイープ、RF/有線スキャン
人的安全従業員・来訪者の危険不審者の徘徊来訪者常時エスコート、警備即応
法令・契約罰則・信用失墜情報漏えい報告義務入退室記録、証跡管理、通報フロー

2-2. 他の攻撃(フィッシング・マルウェアなど)との連鎖リスク

テール ゲー ティングが厄介なのは、単発で終わらない点です。つまり、物理侵入はサイバー攻撃を“加速”させます。

なぜなら、社内で得た情報や立場の偽装が、フィッシングやマルウェア拡散の成功率を一気に高めるからです。

2-2-1. 物理侵入 → 情報収集 → 高精度フィッシング(スピア型)

  • 社内の掲示物・内線表・会議予定から本物そっくりの餌を作る
  • 名刺や来訪者バッジの写真から送信者なりすましを強化
  • 社内用語やプロジェクト名を織り込み、騙しの解像度を上げる

したがって、「社内だから安心」は禁物です。社内で目に入る情報ほど、外部の攻撃者にとって価値が高いことを意識しましょう。

2-2-2. 物理侵入 → 端末触察 → マルウェア感染・認証情報窃取

  • ログイン中の端末に短時間で実行できるスクリプトを投入
  • キーロガーやBadUSBでID/パスワード・トークンを奪取
  • 会議室PCにマルウェアを設置し、社内横展開の起点に

その結果、EDRやメールゲートウェイをすり抜け、**“内側からの攻撃”**として検知が遅れがちになります。

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2-2-3. 連鎖モデルで見る「被害拡大の流れ」

  1. テール ゲー ティングで入館
  2. 社内の人・組織・案件情報を採取
  3. 端末で認証情報を取得
  4. 外部から正規アカウントでログイン
  5. 取引先へ高精度フィッシングや請求書詐欺を展開
  6. サプライチェーン全体へ二次被害が波及

このように、テール ゲー ティングを許すと**技術境界の外側から作られた“正規性”**が武器化されます。

従って、入り口で止めることが最も効果的で、かつコスト対効果も高い対策です。

テールゲーティングの代表的な手口

テール ゲー ティングは、技術の穴よりも人の心理と現場の運用の隙を突きます。

つまり、見た目や状況を巧みに演出して、「一人一認証」の原則をすり抜けるのが特徴です。

以下では、現場で頻発する代表的な手口と、すぐに使える見抜き方・対策を整理します。


3-1. 制服やバッジの模倣手法

攻撃者は「それっぽさ」をつくるのが上手です。

したがって、制服・装備・社員証の再現度着用の仕方に注目すると、テール ゲー ティングの兆候を早期に掴めます。

3-1-1. バッジ偽造の基本パターン

  • 画像の粗いロゴや色味の差異
  • 光沢・厚み・角の加工が不自然
  • ICチップやアンテナの物理構造が見えない(透かすと分かる場合あり)
  • ネックストラップだけ本物で、カード自体が汎用品

3-1-2. 制服・備品の“雰囲気づくり”

  • ハイビズベスト、工具ベルト、クリップボードで工事業者らしさを演出
  • 宅配・清掃・設備管理など社内で見慣れた職種を模倣
  • 社名入りウェアは中古市場でも入手可能。ロゴ=正規と早合点しない

3-1-3. バッジの“見せ方”で通そうとする

  • 少し離れて一瞬だけバッジを見せる
  • ジャケットの内ポケットから半分だけ見せる
  • スマホ画面の画像やPDFを社員証代わりに提示する

3-1-4. 見抜き方と現場対策

  • 必ず近距離で写真・氏名・部署・有効期限を確認
  • バッジは胸上部の表面向きで常時掲示、裏返しは戻してもらう
  • 来訪者は日付入りビジターバッジエスコート必須を徹底
  • スマホ画像やコピーは本人確認の根拠にならない旨を教育

制服・バッジ模倣の兆候と確認ポイント

兆候よくある振る舞い確認すること初動対応
ロゴの違和感距離を取って一瞬見せる近距離で券面を確認その場で受付に誘導
ネックストラップだけ本物目線をそらすIC有無・有効期限一緒に受付へ移動
工事業者の体裁工期や依頼者を曖昧に説明作業票・担当部署名依頼元に内線確認

3-2. 配達員・来客を装った侵入

現場が忙しい時間帯ほど、配達・面談・来客は断りづらいものです。

だからこそ、テール ゲー ティングではこの“断りづらさ”が狙われます。

3-2-1. 配達・業者の名目

  • 大きな荷物や台車でゲート通過を手伝わせる
  • 「時間指定で急いでいる」「再配達は不可」と焦りを強調
  • 受付を経ずに社員名だけを口にする(「田中さん宛です」など)

3-2-2. 面接・来客の名目

  • 「さきほど電話でアポイント済み」と一般名詞だけで押し通す
  • 招待メールの画面を遠目に見せて信憑性を装う
  • すでに社内にいる別の来客に紛れる

3-2-3. 脇口・休憩スペースからの侵入

  • 喫煙所や搬入口など人の目が薄い動線を選ぶ
  • 通用口のオートロック遅延を悪用して滑り込む

3-2-4. 対策チェックリスト(現場で使える運用)

  • 荷物が大きくても、受付経由以外は通さない運用を明文化
  • 受付はアポイントの招待メールの差出人ドメイン内線確認をセットで実施
  • 面接・来客はビジターバッジ+常時エスコート
  • 通用口の閉扉時間(ラッチ時間)を短縮し、監視カメラの死角を点検
  • 台車・搬入は専用導線で、業者教育も合わせて実施

3-3. ID紛失・両手ふさがりなど、心理をついた手口

テール ゲー ティングの核心は心理操作です。

したがって、「助けてあげたい」「逆らいにくい」という人の自然な感情を使い、判断を鈍らせます。

3-3-1. 緊急アピール(希少性・焦り)

  • 「締切が迫っている」「障害対応で今すぐ」など緊急性を強調
  • 大勢の前でプレッシャーをかけ、個別確認を省かせる

3-3-2. 返報性・社会的証明(周りがやっている)

  • 先にドアを押さえて恩を作る
  • 直前の社員が通した様子を見せて**“みんなやっている”**と錯覚させる

3-3-3. 権威・威圧(肩書・口調)

  • 「取引先の役員」「本社監査部」など肩書を装う
  • 早口・高圧的な口調で質問を封じる

3-3-4. その場で使える“断りスクリプト”

迷いを減らすには、言い回しの定型化が有効です。以下をそのまま使えるように教育資料に載せておきましょう。

  • 「お手伝いしたいのですが、入館ルールで一人一認証が必要です。受付で手続きしますのでご一緒にどうぞ。」
  • 「アポイントの確認だけさせてください。受付経由が必須になっています。」
  • 「社内ルールですので、私個人の判断では通せません。こちらから担当に内線します。」

心理術への対抗策(要点)

  • ルール違反を個人のやさしさに委ねない(受付・守衛へ確実にバトン渡し)
  • 「断りの文言」を全社員に配布し、定期的にロールプレイ
  • 混雑時間帯は有人立哨ゲート通過の間隔を確保
  • 監視カメラのモニタリングを人混みの波に合わせて増員

物理的・技術的な防止策

テール ゲー ティングは、人の心理と運用の隙を突く行為です。

したがって、入口設計(物理)+検知(技術)+運用(監視・警備)を重ねる多層防御が効果的です。

ここでは、現場で実装しやすい順に、導入の勘どころを整理します。


4-1. ターンスタイル・インターロックなどの物理ゲート

物理ゲートは、テール ゲー ティング対策の“土台”です。つまり、「一人一認証」をハードウェアで担保する仕組みを先に整えると、後段のセンサーや監視の効果が最大化します。

4-1-1. ゲート方式別の比較表

方式概要テール ゲー ティング抑止力通行速度主なメリット留意点
腰高ターンスタイル腰高さの回転バー導入が容易、コスト比較的低跨ぎ超えリスク、監視補完が必要
フルハイト・ターンスタイル天井近くまでの回転柵すり抜け困難、屋外にも強い大型荷物と相性悪い、設置スペース
スピードゲート(翼扉)開閉式のガラス翼中〜高見栄え・通過効率が良いセンサー調整と定期保守が鍵
インターロック(マン・トラップ)前室に2扉、片側ずつ開閉非常に高い一人ずつ確実に認証、機器設置も可能導入コスト、通行量・避難設計
セキュリティ回転ドア回転ドアに人検知を搭載デザインと抑止力の両立車椅子・台車の別導線が要る

ポイントは、通行量・スペース・アクセシビリティのバランスです。従って、ピーク時のスループットを計測し、必要台数を逆算しましょう。

4-1-2. 設計・導線のコツ

  • 入口の“狭さ”を設計:ゲート幅は「一人通過」を意識し、脇抜けを防ぐ
  • 待機スペースの確保:混雑で扉が開きっぱなしになる事態を回避
  • 退場側も同レベル:入場だけ堅牢にしても、出口からの逆侵入を許す
  • 避難・バリアフリー:非常時は自動解放、車椅子・台車の別導線+有人対応を明示

4-1-3. 来訪者・配送の扱い

  • ビジターバッジ+常時エスコートを標準に
  • 荷物・台車は専用ゲートを用意(ゲート開放時間を最短に)
  • 受付前室を設け、認証前に社内動線へ入れない

4-2. センサーや赤外線で侵入を検知する仕組み

物理ゲートを通しても、テール ゲー ティングはゼロになりません。だからこそ、人の数・動きを“見張る”センサーを重ね、共連れを検知→アラート→対応へとつなげます。

4-2-1. センサーの種類と特徴

センサー仕組み強み課題・誤検知要因使いどころ
赤外線ビーム(光電)ビーム遮断で人数をカウント応答が速い、コスト控えめ台車・長物で複数人と誤判定スピードゲートの補助
マルチラインIR/TOF複数ラインで体積・方向を推定共連れ検知精度が高い設置高さ・角度調整が必要エントランスの主検知
ステレオカメラ/3Dセンサー立体認識で人数・姿勢推定混雑時の識別に強い光環境やメンテが重要大規模オフィス、駅型導線
床圧センサー/マット重量変化で通過人数を推定光環境の影響を受けない荷物重量で誤差、耐久性インターロック内の補助
LIDAR面スキャンで移動体を検知死角が少ないコスト・設置要件広いロビーや多方向出入口

4-2-2. 誤検知を減らすチューニング

  • 開放時間・通過速度のしきい値を調整(ピーク時データで再学習)
  • 台車・長尺物は別レーンへ誘導し、学習データから除外
  • センサーは二重化(IR+3Dなど)し、一致時のみアラートでノイズ低減
  • 季節要因(厚手コート・日射)を考慮し、半期ごとに再調整

4-2-3. アクセス制御との連携

  • 共連れアラート→サイネージ/音声案内でその場抑止
  • ドア解放延長の自動解除再認証要求を実装
  • アラートをVMS/チケットへ自動送出し、対応・証跡を残す
  • アンチパスバック(入退の整合)やNACと連携し、未認証端末を隔離

4-3. ビデオ監視と警備連携によるモニタリング強化

最後に、人が判断する仕組みです。テール ゲー ティングは状況依存のため、映像の文脈と現場裁量が欠かせません。従って、AI映像解析+警備オペレーションの両輪で“見逃さない”体制を築きます。

4-3-1. カメラ配置の基本

  • 顔と全身が入る高さ・角度(顔認識頼みにはしない)
  • 出入口の内外を対で撮る(入る瞬間と直後の滞留を可視化)
  • 逆光対策としてWDR対応機を採用
  • 死角ゼロを目標に、鏡・補助カメラで内角を詰める

4-3-2. AI映像解析の活用

  • 人数カウント+方向識別で共連れを自動検知
  • ドア開放時間超過の検出とサイレン連動
  • ヒートマップで混雑時間帯を可視化し、人員配置を最適化
  • 誤検知を抑えるため、閾値・無視ゾーンを定期見直し

4-3-3. 警備・総務との運用フロー

  1. アラート発報(センサー/映像)
  2. 一次確認(VMS上でクリップを即時再生)
  3. 声がけテンプレで現場介入
    • 例:「入館は一人一認証となります。受付で手続きいたします。」
  4. 事後処理(来訪記録・チケット化・再発防止点検)
  5. 月次レビュー(アラート件数、真陽性率、改善施策)

組織としての対策:教育と運用ルール

テール ゲー ティングは、設備だけでは止まりません。つまり、人の行動・判断・声がけが最終防波堤です。

したがって、全社員を巻き込みつつ、受付・総務・警備まで一貫した運用ルールと教育を設計しましょう。

ここでは、すぐに導入できる実践ポイントを「教育」と「運用体制」に分けて解説します。


5-1. 従業員教育で意識を高めるためのポイント

テール ゲー ティングは“知っているつもり”では防げません。だからこそ、短時間で反復・体験・評価を組み合わせ、現場で使える行動に落とし込みます。

5-1-1. 3分で伝える「核」だけの基礎講義

  • テール ゲー ティングの定義(共連れの包含)となぜ危険か
  • 入口ルールの大原則「一人一認証」「バッジ常時掲示
  • よくある手口(配達・制服・両手ふさがり・緊急アピール)
  • 社内の連絡先とエスカレーション手順
    短いからこそ記憶に残ります。したがって、朝会やチーム定例に毎月3分で差し込む運用が効果的です。

5-1-2. ロールプレイと“断りスクリプト”の標準化

  • 想定シナリオをロールプレイ(混雑時、台車、威圧的来客など)
  • その場で使える定型句を配布
    • 「入館は一人一認証が必要です。受付で手続きしますのでご一緒にどうぞ。」
    • 「私個人の判断では通せません。内線で担当に確認します。」
  • つまり、迷いを言語化しておけば、緊張時でも口が動きます。

5-1-3. 混雑時間帯の“人の配置”を決める

  • 始業・昼休み・終業などピーク時に立哨当番を配置
  • 入口付近の案内係を明示し、声がけを“役割”にする
  • その結果、善意を個人任せにせず、組織の行動に変えられます。

5-1-4. 定着を測るKPIと仕組み

  • ミニテスト(年2回、10問)
  • 抜き打ち演習(月1回、共連れシミュレーション)
  • 立哨ログ(声がけ件数・改善メモ)
  • 掲示・動画の視聴率
指標目安集計方法改善アクション
共連れ演習の阻止率90%以上月次レポート低スコア部署へ追加ロールプレイ
バッジ掲示率98%以上ゲート前観察未掲示者へその場指導
断りスクリプト使用率80%以上立哨メモ成功フレーズを全社共有
教材受講率100%LMS未受講者へ自動督促

KPI

5-2. 訪問者認証・IDチェックの運用体制整備

テール ゲー ティングを根本から減らすには、受付とバッジ運用を標準化することが近道です。

従って、事前登録から退館までのSOP(標準手順)を用意し、誰が見ても同じ対応になるよう整えます。

5-2-1. 受付SOP:事前・当日・退館を分けて設計

  • 事前:来訪者は事前登録。日時・担当者・訪問目的・入退館場所を記録
  • 当日
    • 政府発行IDなど本人確認
    • 日付入りビジターバッジを発行(色で区別、ゲスト情報を券面・電子台帳に)
    • エスコート必須を明示し、担当者が受付まで迎えに来る
  • 退館:バッジ回収と退館チェック、備品の持ち出し記録
    つまり、前室から先はバッジなしで通さないことをルール化します。

5-2-2. バッジ設計:見た目で分かる・不正しづらい

  • 色・形・文字の大きさで区分(社員、ビジター、業者、日雇いなど)
  • 日付・有効時間帯を大きく表示(終日/午前/午後)
  • 偽造対策にホログラム、微細パターン、シリアルを採用
  • 裏返し防止の縦型ケース、常時掲示位置は胸上部に統一
種別例示カラーエリア権限エスコート有効期限
社員業務範囲不要在籍中
ビジター受付階+会議区画必須当日限り
業者(工事)指定ルートのみ必須日次/工期
配送搬入導線のみ必須当日限り

5-2-3. エスコート責任と違反対応を明文化

  • 誰が責任者かを明確化(主催部署の上長まで)
  • テール ゲー ティングを誘発した場合の再教育・報告を標準化
  • 悪質な違反には入館停止契約先への通知まで含める
  • だからこそ、現場は遠慮なく受付・警備へエスカレーションできます。

5-2-4. 監査と継続改善のサイクル

  1. 月次レビュー:アラート件数、演習結果、未掲示率を確認
  2. 現地点検:ゲート開放時間、死角、立哨動線を再設計
  3. 是正計画:ルール・掲示・教育資料を更新
  4. 経営報告:重大事案・KPI推移を経営会議で共有
    この循環により、テール ゲー ティング対策は一過性で終わらず成熟していきます。

技術ソリューションと今後の展望

テール ゲー ティング対策は、「入れない(Prevent)」「検知する(Detect)」「抑止する(Deter)」の三層で設計すると効果が高まります。

具体的には、マン・トラップや高セキュリティ回転ドアで物理的に二重扉を作り、3Dセンサーや赤外線マトリクスで共連れを高精度に検知し、映像解析+運用SOPで現場対応へ確実につなぐ、という流れです。

たとえば、Boon Edamの高セキュリティポータル(Circlelock/Tourlock)は構造的にテールゲーティングやピギーバッキングを排除する設計で、データセンターなど高セキュリティ環境で採用が進んでいます。

一方で、ToF(Time of Flight)方式の3Dセンサーを用いる専用検知機器は、既存ドアやゲートに“仮想マン・トラップ”を作り、共連れ・共歩行を自動検知してアラート連携できます。IEEのTDflexは代表例です。


6-1. テールゲーティング検知システムの導入事例

以下では、テール ゲー ティング対策として実際に導入されている代表的ソリューションとユースケースを、業種別にわかりやすく整理します。

6-1-1. データセンター:マン・トラップ+ステレオビジョン検知(T‑DAR)

  • 概要:Newton SecurityのT‑DARは、ステレオビジョンで**同時通過(共連れ・共歩行)**を検知し、マン・トラップ内の扉制御と連動します。Savvis(現Lumenのデータセンター)で、無許可の同時入室を防ぐ“ノーテールゲーティング”対策として採用された事例が公開されています。
  • ポイント:映像の立体認識で人数を見極め、一人一認証を強制。既存の前室や小部屋を活かしやすく、局所的に“最終関門”を作れるのが利点です。
  • 適合環境:サーバールーム、研究区画、役員フロアなど「高セキュリティかつ通行量が限定的」な場所。

6-1-2. 大規模IX/データセンター:高セキュリティポータル(Circlelock/Tourlock)

  • 概要:円筒形の高セキュリティポータルは二重扉+内蔵センサーで、利用者が単独であることを確認してから通過させます。フランクフルトの主要データセンター(世界最大級のIXノード拠点)でもCirclelockが採用され、段階的に増設されています。
  • ポイント構造的にテールゲーティングを不可能化。加えて、生体認証を内部に組み込むことで「資格+本人性」の二段認証も実現しやすい設計です。
  • 適合環境:クリティカル設備、SOC/NOC、金融・医療の中枢区画など。

6-1-3. オフィス/研究施設:ドア用テールゲート検知(Door Detective)

  • 概要:Smarter Security(Fastlane系)のDoor Detectiveは、通路の両側に設置した赤外線マトリクスで共連れ・逆行・すり抜けを検知する“ドア専用”ソリューション。R&Dラボ、寮、カジノ、空港、オフィスなど幅広い施設で使われています。
  • ポイント:既存の電気錠+カードリーダー環境に後付けしやすく、アラーム時はカメラ連動・扉制御・リモート通知など多様な動作が可能。アンチパスバック運用の実効性も高められます。
  • 適合環境:執務フロアや会議区画など、通行量が多く導線が広い場所で“検知と是正”を即時に回す用途。

6-1-4/. 導入タイプ別の比較早見表

目的層代表方式テール ゲー ティング対策の要点長所留意点
Prevent(入れない)高セキュリティポータル/マン・トラップ二重扉+単独在室判定で構造的に排除抑止力が高く誤通過が極小コスト・設置スペース、ピーク時スループット
Detect(検知する)3D ToF/ステレオ、IRマトリクス同時通過・逆行・滞留の自動検知既存ドアに後付けしやすい誤検知チューニングと導線分離が必要
Deter(抑止する)スピードゲート、掲示・放送物理的通路制限+目に見える抑止通過効率が良い混雑時は検知の補完が要る