ネットワーク

LAG(リンクアグリゲーション)とは?仕組み・メリット・注意点まで徹底解説

LAG(リンクアグリゲーション)を導入したのに「思ったほど速くならない」「設定が合っているのか不安」「片方のリンクが切れたらどうなるの?」と悩んでいませんか。

LAGは高速化と冗長化を同時に実現できる一方、LACPやVLAN、STPとの整合を外すと安定しません。

本記事では、LAGの仕組みから設定手順、よくある落とし穴と切り分けまで、実務目線でわかりやすく解説します。

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • LAG(リンクアグリゲーション)とは何か仕組みが知りたい
  • 冗長化するための技術を探している
  • LAG(リンクアグリゲーション)を設定した際にトラブルに直面している

リンクアグリゲーション(LAG)とは何か

ネットワーク環境の安定性やスピードに対する要求は年々高まっています。

その中で注目されている技術の一つが「リンクアグリゲーション(LAG)」です。

LAGは、企業ネットワークやデータセンターでの通信の安定性向上や速度改善に大きく貢献する技術です。

では、LAGとは一体どのようなものなのでしょうか。

以下で詳しく解説します。

1-1. LAG(リンクアグリゲーション)の基本定義

LAG(Link Aggregation)は、複数の物理的なネットワーク回線(ポート)を1本の論理的な通信路としてまとめる技術です。
この仕組みにより、個々の回線の通信速度を合算し、より高速かつ安定した通信を実現できます。

1-1-1. LAGの仕組みを簡単に言うと…

  • 複数のLANケーブル(物理ポート)を束ねて、ひとつの仮想ポートとして扱う
  • トラフィックを複数回線に分散することで、通信の渋滞を防ぐ
  • 回線のどれか1本が切れても、他の回線で通信を継続できる(冗長性)

1-1-2. LAGの定義ポイントまとめ:

項目内容
略称・名称LAG(Link Aggregation)
主な目的帯域幅の拡張、通信の冗長性、負荷分散
利用される場面サーバとスイッチ間、スイッチ間の接続など
規格IEEE 802.3ad(LACP)

つまり、LAGとは「複数の通信経路をまとめて、より強く・速く・安全なネットワークをつくる技術」なのです。


1-2. LAGがネットワークで使われる理由

では、なぜLAGが多くのネットワーク環境で導入されているのでしょうか?主な理由は以下の3つです。

1-2-1. 通信速度の向上

複数の物理回線をまとめることで、合計帯域幅を増やすことができるため、大量のデータを高速に処理できます。
例えば、1Gbpsのポートを2本まとめると、理論上は2Gbpsの通信が可能になります。

1-2-2. 通信の冗長性確保

1本の回線に障害が発生しても、他の回線が代わりに通信を担うため、通信断を防ぐことができます。
特に企業ネットワークやサーバー環境において、安定性は最重要項目です。

1-2-3. 負荷分散による効率化

LAGでは、複数の回線にデータを分散して送るロードバランシングが可能です。
これにより、1本の回線に負荷が集中することを防ぎ、全体の効率が高まります。


1-3. LAGと他のネットワーク技術(NICチーミング/ポートチャネル)の違い

リンクアグリゲーション(LAG)と似たような概念として、「NICチーミング」や「ポートチャネル」といった言葉があります。

これらは混同されやすいですが、微妙な違いがあります。

技術名称概要主な使用機器
LAGIEEE準拠のリンク結合技術(LACP対応)スイッチ・サーバー
NICチーミングOSレベルで複数NICをまとめる機能Windows/Linuxなど
ポートチャネルCisco製品でのLAGの呼び方(機能は同じ)Ciscoスイッチ

1-3-1. 違いのポイント:

  • LAG:IEEE標準に準拠し、マルチベンダー環境でも使用可能
  • NICチーミング:サーバー側のOSレベルで構成され、スイッチ側の対応は不要な場合もある
  • ポートチャネル:Cisco製品における呼び名で、設定方法や名称が異なるだけで、実質的にはLAGと同じ動作をする

つまり、どれも「複数回線を1つにまとめる」ことを目的とした技術ですが、対象機器や構成レベルが異なるという点が重要です。

LAGが実現する仕組みと基本動作

LAG(リンクアグリゲーション)は、複数のネットワークポートを1つの論理リンクとして統合する技術です。

しかし、単に「束ねる」だけではなく、通信の安定性や冗長性、効率的な運用を実現するために、緻密な仕組みと動作ルールが備わっています

ここでは、LAGがどのような仕組みで動作し、どのように構成されるのかを順を追って解説していきます。


2-1. 複数ポートの束ね方と論理リンク化

LAGの基本的な構造は、複数の物理ポートを1つの論理リンクにまとめることです。

この処理によって、回線の帯域幅を増やしつつ、障害時にも通信が途絶えない仕組みを作り出します。

2-1-1. 物理ポートを束ねて論理リンク化する仕組み

複数のネットワークケーブル(物理リンク)を束ねて、スイッチやルーターなどの機器に1つの論理的なポートとして認識させます。

物理ポート数合計帯域(理論値)利用例
2本(1Gbps×2)2Gbpsサーバーとスイッチ間など
4本(10Gbps×4)40Gbpsデータセンターのコア部分
8本(25Gbps×8)200Gbps大規模バックボーン回線

このように、単一のケーブルでは対応できない高速通信を実現できるのがLAGの大きな利点です。

2-1-2. なぜ「論理リンク化」が重要なのか

  • 管理が一元化される(ポート単位でなくグループ単位での設定が可能)
  • トラフィックを自動分散できる
  • 柔軟なネットワーク設計が可能になる

つまり、LAGはネットワークの拡張性と管理性を同時に高める中核的な技術なのです。


2-2. IEEE規格(LACP)とその役割

LAGを安全かつ効果的に運用するために、多くの環境で利用されているのがLACP(Link Aggregation Control Protocol)です。
これは、IEEE 802.3adという国際規格に準拠したプロトコルで、LAG構成の自動化と安定化を支援します。

2-2-1. LACPとは何か?

LACPは、両端の機器(例:スイッチとサーバ)間でリンク状態を監視・制御しながらLAGを構成するためのプロトコルです。

主な役割:
  • 使用可能なリンクを自動で判別
  • 誤ったリンク構成を未然に防止
  • リンク障害時に自動で再構成を実行

2-2-2. LACPのメリット

  • 自動構成により設定ミスを回避
  • リンク障害時の即時対応が可能
  • 拡張性が高い(ポート追加・削除が柔軟)

したがって、LAGを安定的かつ安全に運用するには、LACP対応機器を使用することが推奨されます。


2-3. 静的LAG vs 動的LAG

LAGの構成方法には、大きく分けて**静的(Static)動的(Dynamic:LACP利用)**の2種類があります。
どちらを選ぶかは、使用環境・機器の対応状況・管理体制によって異なります。

2-3-1. 静的LAGの特徴

  • 両端の機器で手動設定が必要
  • LACPは使用しない
  • 構成がシンプルだが、設定ミスが発生しやすい
メリット:
  • 古い機器でも利用可能
  • 少数ポート構成では簡単に導入できる
デメリット:
  • 柔軟性・自動化に欠ける
  • 障害時の自動復旧ができない

2-3-2. 動的LAG(LACP)の特徴

  • 自動でリンクを判別・構成
  • LACP対応機器が必要
メリット:
  • 柔軟な拡張が可能
  • 自動再構成による高い安定性
  • 冗長化対応もスムーズ
デメリット:
  • 一部古い機器では非対応
比較項目静的LAG動的LAG(LACP)
構成方法手動自動(プロトコル使用)
冗長性対応人手が必要自動で再構成
構成ミスのリスク高い低い
対応機器広範(古い機器含む)LACP対応が必要

このように、LAGの仕組みは非常に柔軟でありながら、正しい構成方法を選ぶことが重要です。

LAGのメリット(高速化・冗長性・安定性)

LAG(リンクアグリゲーション)は、企業ネットワークやデータセンターにおける通信の質を大きく向上させる技術です。

単に回線を束ねるだけでなく、高速化・冗長性・安定性といった複数のメリットをもたらし、ネットワークの信頼性と運用効率を高めます。

ここでは、LAGが実現する3つの主要なメリットについて、順を追って解説します。


3-1. 増加する帯域幅とトラフィックの効率化

まず、LAGの大きな魅力の一つがネットワーク帯域幅の拡張です。
複数の物理ポートを一つの論理リンクとして統合することで、通信容量を合算し、より多くのデータを高速に送受信できるようになります。

3-1-1. 合計帯域でスループットが大幅に向上

例えば、以下のような構成を考えてみましょう。

構成使用ポート数理論帯域幅
通常1ポート(1Gbps)1Gbps
LAG構成2ポート(1Gbps×2)2Gbps
LAG構成4ポート(10Gbps×4)40Gbps

このように、LAGを使うことでネットワークのボトルネックを回避し、大容量のデータ転送もスムーズに行えます。

3-1-2. トラフィックを分散して通信を効率化

さらにLAGには、複数のリンク間でトラフィックを分散させるロードバランシング機能があります。

その結果、

  • 特定の回線に負荷が集中しにくい
  • 通信速度のばらつきが抑えられる
  • 安定した通信環境が保てる

という効果が得られ、全体としての通信効率が格段に向上します。


3-2. 接続の冗長化と耐障害性の向上

次に、LAGが持つもう一つの大きな利点が接続の冗長化です。
冗長化とは、万が一の障害に備えて複数の通信経路を用意し、片方に問題が起きても通信を維持する仕組みです。

3-2-1. 一部のポートが故障しても通信は継続

LAGでは、複数のポートを束ねているため、一部のポートに障害が発生しても、残りのポートで通信を継続可能です。

例えば:

  • 4本のうち1本が故障しても、残り3本で動作継続
  • 通信断にならないため、ユーザー影響を最小限に抑えられる

このように、ネットワークの可用性が大幅に向上します。

3-2-2. LACPによる自動切替でリスクを最小化

さらにLAGにLACP(Link Aggregation Control Protocol)を組み合わせることで、障害発生時に自動で故障ポートを切り離し、正常なリンクのみで構成を維持することが可能です。

この機能により、

  • 手動対応の必要なし
  • 障害時の対応時間を大幅に短縮
  • 信頼性の高いネットワーク運用が可能

となり、システム停止のリスクを極限まで抑えることができます。


3-3. ネットワーク管理の簡素化

最後に、LAGの導入はネットワーク運用・管理の効率化にも直結します。

3-3-1. 論理ポートによる設定の統一

LAGでは、複数の物理ポートを1つの論理ポートとして管理できるため、設定や監視が簡素化されます。

つまり、

  • VLAN設定やアクセス制御などを1回で済ませられる
  • ネットワーク図や設計書もシンプルに保てる

といったメリットがあります。

3-3-2. 柔軟な拡張とメンテナンスが可能に

さらに、LACPを利用した動的LAGを活用すれば、

  • ポートの追加・削除が動的に可能
  • リンク構成の変更も再起動不要で反映可能

そのため、将来的な拡張や構成変更が容易になり、柔軟でスケーラブルなネットワーク構成を維持できます。

LAGの設定と導入(実践ガイド)

LAG(リンクアグリゲーション)は、導入すると高速化・冗長化に効きますが、設定手順を誤ると「リンクが上がらない」「片方向通信になる」「速度が思ったほど出ない」といったトラブルにつながります。

そこでこの章では、スイッチとサーバ間でLAGを構成する基本手順、LACPを使った動的LAGの考え方、そして対応機器を選ぶ際の注意点を、実務で困りにくい形に整理します。


4-1. スイッチとサーバ間のLAG接続手順

LAGの導入は、いきなり設定画面を触るのではなく、事前の条件整理が重要です。なぜなら、LAGは「両端の機器が同じ前提で動く」ことが大前提だからです。

4-1-1. 事前に揃えるべき条件チェック

まずは、LAGを組むポート同士で次の条件を揃えます。

  • 速度(例:1G同士、10G同士)
  • Duplex(全二重など)
  • VLAN設定(Access/Trunk、許可VLAN、ネイティブVLAN)
  • MTU(ジャンボフレームを使うなら両端一致)
  • STPやループ防止機能の扱い(機器側設計に合わせる)
  • ケーブル品質・モジュール種別(光/銅、SFP等)
チェック項目ずれていると起こりやすいこと
速度・Duplexリンク不安定、エラー増加
VLAN/Trunk設定通らないVLANが出る、疎通不可
MTU大きいパケットだけ落ちる、性能低下
物理配線片系だけリンクダウン、誤配線でループ

つまり、LAGは「束ねる前に、各リンクの前提を揃える」ことが成功の近道です。

4-1-2. スイッチ側での基本手順(考え方)

スイッチ側は、ざっくり次の順で進めると安全です。

  1. LAGに参加させる物理ポートを決める
  2. それらを1つの論理インターフェース(LAG/Port-Channel)として作成する
  3. VLANやMTUなどの設定を、物理ポートではなく「論理側」に集約する
  4. 物理ポートはLAG参加に必要な最小設定に留める

なぜなら、設定を論理側に集約すると、運用中にポートを追加・交換しても設計が崩れにくいからです。

4-1-3. サーバ側での基本手順(考え方)

サーバ側はOSやNICドライバの方式により呼び方が変わりますが、やることは共通です。

  • 対象NICを選ぶ(同一速度・同一用途が望ましい)
  • チーミング/ボンディングでLAG用の論理IFを作る
  • IPアドレスは物理NICではなく論理IFに設定する
  • ハッシュ方式(どの単位で分散するか)を設計に合わせる

したがって、サーバ側は「物理NICを束ね、論理IFに集約して使う」という理解ができれば迷いにくくなります。


4-2. LACPを使った動的リンクアグリゲーションの設定

LAGには静的と動的がありますが、実務ではLACPを使う動的LAGが選ばれやすいです。

なぜなら、リンクの状態監視や不整合検知に強く、障害時も自動で切り替わるためです。

4-2-1. LACPの基本動作を押さえる

LACPは、両端で制御パケットをやり取りし、次を行います。

  • 「このポートはLAG参加OKか」を合意する
  • 参加リンクを自動的に有効化する
  • 障害リンクを自動的に切り離す
  • 追加リンクが入ったら自動で取り込む(設計次第)

つまり、LACPはLAGを“安全に自動運転”するための仕組みです。

4-2-2. よく使うLACP設定の要点(失敗しやすい所)

LACP導入でつまずきやすいポイントを先に潰しておくと、作業が安定します。

  • モードの整合
    • 片側だけLACP無効だと、そもそも束ねられないことがあります。
  • VLAN/Trunkの整合
    • 片側がTrunk、片側がAccessのようなズレは典型的な事故です。
  • ハッシュ方式(分散ロジック)の理解
    • LAGは「1通信が複数リンクにバラけて単純に倍速」になるとは限りません。

4-2-3. “速度が倍にならない”を避けるための考え方

LAGは多くの場合、フレームの順序を保つために、フロー単位でリンクを選びます。

だから、1つの大きな通信(1セッション)だけだと、特定の1本に寄りやすいことがあります。

状況LAGの体感
同時に多数の通信が流れる(複数端末・複数セッション)分散しやすく効果が出やすい
1本の大容量転送だけ(単一セッション)1リンクに寄り、倍速に見えにくい

その結果、「LAGを組んだのに速くない」と感じたら、測定方法(同時接続数)やハッシュ設計を見直すのが定石です。


4-3. 対応機器の選び方と注意点

LAGは、機器選定で8割が決まります。

なぜなら、スイッチ側・サーバ側の対応範囲が合わないと、設定で頑張っても安定しないからです。

4-3-1. LAG対応機器を選ぶチェックリスト

  • LACP(IEEE準拠)対応か
  • 最大何ポートまで束ねられるか(2本/4本/8本…)
  • VLAN/TrunkとLAGを同時に問題なく扱えるか
  • MTUやQoS設定を論理IFに適用できるか
  • 管理画面でLAGの状態が分かりやすいか(障害調査のしやすさ)
  • サーバNIC/ドライバ側のチーミング・ボンディング方式が安定しているか

4-3-2. 導入時にありがちな注意点

  • 異なる速度のポートは基本的に混ぜない
    混在はトラブルの温床になりやすいです。
  • スイッチの別筐体をまたいでLAGを組む場合は設計が別物
    いわゆるマルチシャーシ系は仕組みが増えるため、対応可否を要確認です。
  • STP設計と矛盾させない
    LAG自体はループを作りにくくしますが、周辺設計が雑だと別経路でループが起きます。

4-3-3. 迷ったときの“現場で強い”選び方

  • 小〜中規模で安定重視なら LACP対応の動的LAG を前提に選ぶ
  • 将来の増速が見えているなら、今の要件より 1段上の帯域(例:10G→25G) を視野に入れる
  • 運用メンバーが少ないなら、状態確認が簡単でログが追いやすい機器を優先する

だからこそ、LAGは「スペック」だけでなく、「運用で困らないか」を含めて選ぶのがプロの判断です。

よくある疑問とトラブルシューティング

LAG(リンクアグリゲーション)は、帯域拡張や冗長化に強い一方で、「思ったほど速度が出ない」「片系が落ちたらどうなるの?」「なぜか束ねられない」といった疑問が出やすい技術でもあります。

そこでこの章では、LAGで特に多い質問を取り上げ、原因と対策をセットでわかりやすく整理します。


5-1. LAGは本当に帯域を均等に使えるの?

結論から言うと、LAGは「常に均等に使える」とは限りません。

なぜなら、多くのLAG実装ではフレームの順序を崩さないために、通信(フロー)単位で送信リンクを固定するからです。

つまり、1つの通信が複数リンクに細かく分割されるとは限らないのです。

5-1-1. 「1本の大容量転送」だと倍速に見えにくい理由

例えば、1Gbps×2本でLAGを構成しても、単一の大きなファイル転送(単一セッション)が1本側に割り当たれば、体感は1Gbpsのままになることがあります。

したがって、「LAG=必ず2倍速」とは言い切れません。

5-1-2. 効果が出やすいパターン

逆に、次のように同時に多数の通信が流れる環境では、複数リンクに分散されやすく、LAGのメリットが出やすいです。

  • 多数の端末が同時アクセスする社内ネットワーク
  • 仮想化基盤で多数のVMが通信する環境
  • 複数アプリが並行で通信するサーバ
典型的な状況LAGの見え方
単一セッションの大容量転送1本に寄りやすく、倍速に見えにくい
複数セッション・多数端末の同時通信分散しやすく、合計帯域が効きやすい

5-1-3. 「均等にしたい」ときに見るべきポイント

だから、帯域が偏っているように見えたら、次の観点で確認します。

  • ハッシュ方式(分散ロジック)が何を基準にしているか
    例:MAC、IP、TCP/UDPポートなど
  • 測定方法が単一セッションになっていないか
  • 特定の通信先(同一IP/同一ポート)に偏っていないか

つまり、LAGの評価は「測り方」で印象が大きく変わります。


5-2. 片方のリンクが切れたときの動作は?

LAGの強みの一つが冗長性です。片方のリンクが切れても、残りのリンクで通信を継続できます。

ただし、動作は「静的LAG」か「LACPを使う動的LAG」かで変わります。

5-2-1. 動的LAG(LACP)なら自動で切り離して継続しやすい

LACPを使っている場合、リンク障害が起きると、両端が状態を検知して障害リンクをLAGグループから除外します。
その結果、残りのリンクだけで通信が続き、業務影響を最小化しやすくなります。

5-2-2. 静的LAGだと「切れたのに気づきにくい」ケースがある

静的LAGでは、機器や設定によっては障害検知と切替が直感的に働かないことがあります。

つまり、片系が物理的に落ちても、論理的には不整合が残り、通信が不安定になるケースが出ます。

5-2-3. 障害時に起きやすい“症状”の例

  • 一部アプリだけ遅い、または切れる
  • 疎通が断続的になる
  • 片方向だけ通信できない

このような症状が出たら、「リンクは残っているのに通信が不安定」という状態を疑い、LACPの有無や両端の状態を確認するのが近道です。


5-3. LAGがうまく機能しないときのチェックポイント

LAGが上がらない、速度が出ない、疎通が不安定といったトラブルは、原因がある程度パターン化しています。

したがって、チェックリスト形式で潰していくのが最も効率的です。

5-3-1. まず確認すべき「両端一致」項目

LAGは両端で整合が取れていないと成立しません。まずはここから確認します。

  • LAGメンバーのポート数が一致しているか
  • 速度・Duplexが一致しているか
  • VLAN(Access/Trunk、許可VLAN、ネイティブVLAN)が一致しているか
  • MTUが一致しているか
  • LACPを使うなら、両端でLACPが有効か
不具合ありがちな原因
LAGが成立しない片側だけLACP、メンバーポート不一致
疎通しないVLAN/Trunk設定の不一致
大きい通信だけ失敗MTU不一致
速度が出ない単一セッション測定、ハッシュ偏り

5-3-2. 次に見るべき「物理層」と「エラー」

論理設定が正しくても、物理的な品質が悪いとLAGは不安定になります。だから次を見ます。

  • ケーブル/光モジュールの規格・品質
  • ポートのエラーカウンタ(CRC、ドロップなど)
  • 片系だけリンクアップしていない、または不安定

5-3-3. 「速度が出ない」場合の切り分けのコツ

速度問題は、LAGの誤解が原因になりやすいです。次の順で切り分けると納得感が出ます。

  1. 単一セッションか複数セッションか(測定条件の確認)
  2. 分散基準(ハッシュ方式)が何か(どの情報で振り分けるか)
  3. トラフィックが特定の宛先やポートに偏っていないか
  4. 片系にエラーが出ていないか(品質劣化で実効が落ちる)

つまり、「LAGが悪い」のではなく、「分散の前提」と「測定・設計」が合っていないだけ、というケースが非常に多いです。

LAG導入時に知っておくべき注意点

LAG(リンクアグリゲーション)は、高速化と冗長化を同時に実現できる便利な技術です。とはいえ、導入前の前提確認や周辺設定を軽視すると、「束ねたのに不安定」「VLANが通らない」「ループ検知で遮断された」といったトラブルにつながります。
そこでこの章では、LAGを安全に運用するために押さえるべき注意点を、仕様・VLAN/STP・マルチスイッチ構成の3視点で整理します。


6-1. 対応デバイスの仕様と制約

LAGは“両端で成立する技術”です。つまり、スイッチだけ対応していても、サーバ側NICやOS、対向機器の制約で期待通りに動かないことがあります。したがって、導入前に仕様を確認するのが最重要です。

6-1-1. まず確認したい対応項目

次の項目は、LAG導入の成否に直結します。

  • LACP(動的LAG)対応の有無
  • 1つのLAGに束ねられる最大ポート数
  • 同一速度・同一メディアの制約(1Gと10Gを混在できるか等)
  • 論理インターフェースに適用できる機能
    • VLAN、QoS、ACL、ミラーリングなど
  • MTU上限(ジャンボフレームの上限値)
確認項目影響ありがちなトラブル
LACP対応安定運用・自動復旧片側だけLACPで不成立
最大ポート数将来拡張増速したいのに束ねられない
速度/媒体混在可否物理設計混在で不安定・リンク落ち
論理IFへの機能適用運用性VLAN/QoSが片側だけ効く
MTU上限大容量通信大きいパケットだけ落ちる

つまり、LAGは「設定」より先に「仕様確認」が勝負です。

6-1-2. ベンダー差・OS差で起きやすいギャップ

機器やOSによって、LAGの呼び方や実装が異なります(例:ポートチャネル、ボンディング、チーミング)。
その結果、次のようなギャップが起こりがちです。

  • サーバ側は作れたが、スイッチ側の想定と分散方式が合わない
  • 監視の見え方(リンクダウン検知、エラーカウンタ)が異なる
  • 省電力機能やドライバ機能がリンク安定性に影響する

だからこそ、導入前に「組み合わせ実績がある構成」を選ぶと失敗率が下がります。


6-2. VLAN・STPとの関係と設定の調整

LAGは周辺設定とセットで考えないと安定しません。特にVLANとSTP(スパニングツリープロトコル)は、ネットワークの基本動作に関わるため、LAGとの整合が重要です。

6-2-1. VLANは“論理ポートに集約”が基本

LAGでは、複数ポートを1つの論理ポートとして扱います。したがってVLAN設定は、原則として次の方針が安全です。

  • VLAN(Access/Trunk、許可VLAN、ネイティブVLAN)は論理ポート側に設定
  • 物理ポート側はLAG参加に必要な最小設定にする

この方針にすると、ポート交換や追加時に設定漏れが起きにくくなります。

6-2-2. STPとの関係で意識すべきこと

STPはループを防ぐ仕組みですが、LAGは複数リンクを“1本”として扱うため、STPの視点でも1リンクとして見えるのが理想です。
そのため、次の点を意識します。

  • LAGを構成するメンバーポートは同一のSTP属性で統一される必要がある
  • LAGをまたいで別経路があると、STPがブロックするリンクが変わり、期待した冗長経路にならないことがある
観点目的注意点
VLAN整合疎通確保許可VLAN不一致で通信不可
STP整合ループ防止想定外のブロックが発生
設定の置き場所運用ミス防止物理/論理で二重設定しない

つまり、LAGを安定させるには「VLANとSTPがLAGを1本として扱える」状態を作ることが重要です。


6-3. マルチスイッチ環境でのLAG構成とベストプラクティス

LAGで特に難易度が上がるのが、スイッチが2台以上関わる“マルチスイッチ環境”です。なぜなら、通常のLAGは「同一機器内で束ねる」前提が多く、別筐体をまたぐと制御の仕組みが追加で必要になるからです。

6-3-1. まず押さえるべき前提:別筐体をまたぐLAGは“通常のLAG”ではない

2台のスイッチにまたがってサーバをデュアル接続したい場合、単純に「ポートを束ねる」だけでは成立しません。
そのため、各ベンダーが提供する“マルチシャーシ系の仕組み”が必要になります。

  • 2台のスイッチが論理的に1台のように振る舞う機能
  • 片側障害時でもLAGを維持するための同期・制御

つまり、マルチスイッチ構成では「LAG+スイッチ間の協調機能」がセットになります。

6-3-2. マルチスイッチLAGでよくある落とし穴

  • 片側だけに設定が残って不整合が起きる
  • STPのブロックとLAGの冗長経路が競合する
  • スイッチ間リンク(バックプレーン相当)が細く、結局そこがボトルネックになる
  • 障害時の収束(切替)に時間がかかり、瞬断が目立つ

したがって、設計時に「どこがボトルネックになり得るか」と「障害時に何が起きるか」を先に言語化するのが重要です。

6-3-3. ベストプラクティス(設計の指針)

マルチスイッチ環境でLAGを安定させるための現実的な指針をまとめます。

  • できる限り 同一速度・同一種類のリンク で統一する
  • LACP(動的LAG)を基本とし、状態監視と自動復旧を活用する
  • VLANとSTPは「論理リンク前提」で設計し、設定の置き場所を統一する
  • スイッチ間の内部リンクは十分な帯域を確保し、冗長化も検討する
  • 障害試験(片系断、スイッチ再起動、リンク抜線)を事前に実施し、挙動を確認する

最後に、運用面の観点では次の一文が非常に効きます。
つまり、LAGは「組んで終わり」ではなく、「障害時の挙動まで確認して初めて完成」だということです。

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