「Wi-Fiの電波が届かない…設定画面で見かけた“APモード”って何?」
家やオフィスのWi-Fi環境を改善しようとしたとき、「APモードとは?」と疑問に思ったことはありませんか?
APモードを正しく使えば、Wi-Fiの範囲を広げたり、通信を安定させたりできますが、設定を間違えると「速度が遅い」「接続が不安定」などのトラブルが発生することも…。
本記事では、APモードの仕組みや設定方法、ルーターモードや中継機との違い、安定したWi-Fi環境を作るコツをわかりやすく解説!
この記事は以下のような人におすすめ!
- APモードとは何か知りたい人
- Wi-Fiが不安定・遅いのはなぜか知りたい人
- APモードでWi-Fiを使う場合のセキュリティ設定は何をすればいいのか知りたい人
目次
APモード(アクセスポイントモード)とは
Wi-Fiルーターには、通常の「ルーターモード」とは別に、「APモード(アクセスポイントモード)」と呼ばれる動作モードがあります。
APモードを利用することで、Wi-Fi環境を拡張したり、ネットワークを最適化したりすることができます。
本記事では、APモードの基本的な概念や、ルーターモード・ブリッジモードとの違いについて詳しく解説します。
1-1. APモードの基本概念
1-1-1. APモードとは?
APモード(アクセスポイントモード)とは、Wi-Fiルーターを「インターネットへの中継役」として機能させるモードのことです。
通常、Wi-Fiルーターは、外部のインターネット回線と接続し、ネットワークの管理を行う役割を持っています。
しかし、APモードでは、ルーター機能を無効化し、有線LAN(イーサネット)から受信した信号をWi-Fiに変換して無線通信を可能にします。
1-1-2. APモードの役割
APモードの主な役割は、以下のような場面で活躍します:
- Wi-Fiエリアの拡張:既存のWi-Fiネットワークの電波範囲を広げるために使用。
- 有線ネットワークをWi-Fi化:LANケーブルしかない環境で、無線通信を可能にする。
- ネットワークの管理をシンプル化:既存のルーターに接続するだけで利用可能。
このように、APモードを利用することで、ネットワーク環境をより柔軟に構築することができます。
1-2. APモードとルーターモードの違い
1-2-1. ルーターモードとは?
ルーターモードは、Wi-Fiルーターが「ネットワークの管理者」として動作するモードです。
インターネット接続のためのIPアドレスの割り当て(DHCP機能)、ファイアウォール設定、NAT(ネットワークアドレス変換)などを行い、各デバイスがインターネットへスムーズに接続できるように管理します。
1-2-2. APモードとの違い
APモードとルーターモードの主な違いは、以下の通りです:
項目 | ルーターモード | APモード |
---|---|---|
IPアドレス管理 | ルーター自身が管理(DHCP機能あり) | 既存のルーターが管理 |
ネットワーク管理 | ルーターがNAT変換やファイアウォールを設定 | ルーター機能は無効化 |
用途 | インターネット接続を管理 | Wi-Fiのアクセスポイントとして動作 |
接続方法 | インターネット回線と直接接続 | 既存のルーターと有線接続 |
1-2-3. どちらを選べばいい?
- インターネット回線を直接管理するなら「ルーターモード」
- 既存のネットワークをWi-Fi化したいなら「APモード」
自宅やオフィスのネットワーク環境に応じて、適切なモードを選びましょう。
1-3. APモードとブリッジモードの関係
1-3-1. ブリッジモードとは?
ブリッジモードは、Wi-FiルーターがNAT(ネットワークアドレス変換)機能やDHCP機能を無効にし、既存のネットワークに接続して「ブリッジ(橋渡し)」の役割を果たすモードです。
APモードと同じように、ネットワークの管理は既存のルーターが行います。
1-3-2. APモードとの違い
APモードとブリッジモードは非常に似ていますが、主な違いは以下の点です:
項目 | APモード | ブリッジモード |
---|---|---|
Wi-Fi機能 | Wi-Fiのアクセスポイントとして動作 | Wi-Fiのオン/オフが選べる |
ネットワークの管理 | 既存のルーターが管理 | 既存のルーターが管理 |
接続方法 | 有線LAN接続 | 有線LAN接続(Wi-Fiオフの場合あり) |
1-3-3. どちらを使うべきか?
- Wi-Fiを拡張したい場合は「APモード」
- 既存のルーターの設定をそのまま使いたい場合は「ブリッジモード」
例えば、「Wi-Fiルーターを中継機として使いたい」場合は、APモードを選択するのが適しています。
一方で、「Wi-Fi機能を無効化し、有線の橋渡しだけ行いたい」場合には、ブリッジモードが便利です。
APモードを使用するメリットとデメリット
Wi-Fi環境を改善したいと考えている方にとって、「APモードとは」何かを正しく理解することは非常に重要です。
APモード(アクセスポイントモード)には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。
本記事では、APモードを使用する利点と欠点、そしてどのような環境に適しているのかを詳しく解説します。
2-1. APモードのメリット
APモードを活用することで、ネットワーク環境をより快適にすることができます。
ここでは、APモードの主なメリットを紹介します。
2-1-1. Wi-Fiの電波範囲を拡張できる
APモードは、既存のWi-Fiネットワークの電波を広げるのに最適な方法のひとつです。
例えば、一戸建てやオフィスでWi-Fiの電波が届きにくい場所がある場合、APモードにしたWi-Fiルーターを設置することで、Wi-Fiの範囲を簡単に拡張できます。
2-1-2. ネットワークの管理がシンプル
APモードでは、IPアドレスの管理やルーティングなどの複雑な設定を既存のルーターに任せるため、ネットワーク管理が簡単になります。
特に、ネットワーク機器に詳しくない方でも、APモードを利用すれば、余計な設定をせずにWi-Fi環境を整えることが可能です。
2-1-3. 既存のネットワークと干渉しにくい
APモードを利用すると、既存のルーターと競合することなく、安定したWi-Fi環境を構築できます。
通常のルーターモードを使用すると、二重ルーターの状態になり、通信が不安定になることがありますが、APモードを使うことでこの問題を回避できます。
2-1-4. 低コストでWi-Fi環境を改善できる
APモードは、新しくWi-Fi中継機を購入するよりも、既存のWi-Fiルーターを活用できるため、コストを抑えながらWi-Fi環境を改善できます。
余っているルーターを再利用することで、手軽にWi-Fiのカバー範囲を広げることができます。
2-2. APモードのデメリット
便利なAPモードですが、いくつかのデメリットも存在します。導入前に、注意すべきポイントを把握しておきましょう。
2-2-1. ルーター機能が使えなくなる
APモードでは、ルーター機能(DHCP、NAT、ファイアウォールなど)が無効になります。
そのため、インターネット接続の管理やセキュリティ設定を別のルーターで行う必要があります。
ネットワーク構成をしっかり考えないと、意図しない通信トラブルが発生する可能性があります。
2-2-2. 接続台数が既存ルーターに依存
APモードを使用すると、接続するデバイスの管理を既存のルーターが行います。
そのため、既存のルーターの性能によって、同時に接続できるデバイス数が制限されることがあります。
特に、接続する端末が多い場合は、ルーターの性能を確認することが重要です。
2-2-3. 設置場所によっては効果が限定的
APモードを利用しても、Wi-Fiの電波が届きにくい場所に設置すると、十分な効果を得られません。
特に、厚い壁や金属製の家具が多い環境では、Wi-Fiの電波が遮られてしまい、通信速度が低下する可能性があります。
2-2-4. 設定に手間がかかる場合がある
メーカーによっては、APモードへの切り替え方法が異なり、設定が分かりにくいことがあります。
また、IPアドレスの競合を避けるために、APモードのルーターのIPアドレスを手動で設定しなければならない場合もあります。
初心者にとっては、設定の難易度が少し高く感じることがあるかもしれません。
2-3. APモードが適している環境
APモードは、特定の環境で特に効果を発揮します。以下のようなケースでは、APモードの活用を検討すると良いでしょう。
2-3-1. 大きな家やオフィス
広い家やオフィスでは、Wi-Fiの電波が一部の部屋まで届かないことがあります。
このような場合、APモードを活用することで、Wi-Fiのカバー範囲を拡張し、家全体やオフィス内で快適なインターネット環境を提供できます。
2-3-2. 既存のルーターを使い続けたい場合
すでに高性能なルーターを使用している場合、新しいルーターを購入せずにWi-Fi環境を改善したいと考えることもあるでしょう。
APモードを利用すれば、現在のルーターの機能をそのまま活かしつつ、Wi-Fiのエリアを拡張できます。
2-3-3. 企業や学校などの大規模ネットワーク
企業や学校など、多数のデバイスが同時に接続する環境では、ネットワークの管理が重要になります。
APモードを利用することで、複数のアクセスポイントを設置し、効率的なWi-Fi環境を構築できます。
2-3-4. 二重ルーターを避けたい環境
すでにルーター機能を持つモデムがある場合、新たにルーターを追加すると「二重ルーター」の問題が発生し、通信が不安定になることがあります。
APモードを使用すれば、二重ルーターを回避し、安定したインターネット接続を維持できます。
APモードの設定方法
「APモードとは」、Wi-Fiルーターをアクセスポイントとして利用するためのモードで、既存のネットワークにWi-Fi機能を追加・拡張できる便利な設定です。
しかし、APモードを正しく設定しないと、ネットワークが正常に動作しなかったり、通信トラブルが発生したりすることもあります。
本記事では、APモードの設定方法について詳しく解説します。
3-1. APモードへの切り替え手順
Wi-FiルーターをAPモードにするためには、適切な手順で設定を行う必要があります。以下の手順に従って、スムーズに切り替えましょう。
3-1-1. ルーターの管理画面にアクセス
APモードの設定を変更するには、まずルーターの管理画面にアクセスする必要があります。通常、以下の手順でアクセスできます。
- パソコンまたはスマートフォンをWi-Fiルーターに接続
- Webブラウザを開き、ルーターの管理画面のアドレス(例:
192.168.1.1
)を入力 - ユーザー名とパスワードを入力し、ログイン
※ルーターによって管理画面のURLが異なるため、取扱説明書を確認しましょう。
3-1-2. APモードに切り替え
管理画面にログインしたら、次の手順でAPモードへ切り替えます。
- 設定メニューから「動作モード」または「ネットワークモード」を選択
- 「APモード(アクセスポイントモード)」を選択
- 設定を保存し、ルーターを再起動
これで、ルーターがAPモードとして動作するようになります。
3-1-3. ルーターと既存ネットワークを接続
APモードに切り替えたルーターを、既存のルーターやスイッチにLANケーブルで接続します。接続する際のポイントは以下の通りです。
- LANポートに接続する(WANポートではなく、LANポートに接続)
- 適切なLANケーブル(Cat5e以上)を使用する
- 既存ルーターのDHCP機能が有効になっていることを確認する
以上の設定が完了すれば、APモードが正しく動作し、Wi-Fiのアクセスポイントとして機能するようになります。
3-2. 設定時の注意点
APモードを設定する際に、トラブルを防ぐために気をつけるべきポイントがあります。
設定ミスを防ぐために、以下の注意点を押さえておきましょう。
3-2-1. 二重ルーターの回避
APモードを設定する際に、既存のルーターと新しく追加するルーターの両方がルーターモードになっていると、「二重ルーター」状態になり、通信が不安定になることがあります。
必ずAPモードを有効にし、ルーター機能をオフにしておきましょう。
3-2-2. IPアドレスの設定
APモードにしたルーターは、既存のルーターからIPアドレスを取得するため、自動設定(DHCP)にしておくのが一般的です。
しかし、特定の環境では、手動でIPアドレスを設定しなければならない場合があります。
IPアドレスを手動設定する場合
- 既存ルーターのIPアドレス範囲を確認(例:
192.168.1.1
~192.168.1.254
) - その範囲内で、既存ルーターが使用していないIPアドレスをAPモードのルーターに設定(例:
192.168.1.100
) - 設定後、ルーターを再起動
3-2-3. Wi-Fiチャンネルの調整
APモードにしたルーターと既存のルーターが同じWi-Fiチャンネルを使用していると、電波干渉が発生する可能性があります。
管理画面から、以下の設定を調整すると通信が安定します。
- 2.4GHz帯:1、6、11のいずれかを設定
- 5GHz帯:DFS(動的周波数選択)に対応したチャンネルを選択
3-2-4. ファームウェアの更新
古いルーターをAPモードとして使用する場合、ファームウェアが最新でないと、動作が不安定になることがあります。
設定前にルーターのファームウェアを最新のものにアップデートしておきましょう。
3-3. 主要メーカー別の設定ガイド
メーカーごとにAPモードの設定方法が異なる場合があります。ここでは、主要なルーターメーカー別のAPモード設定方法を簡単にまとめます。
3-3-1. バッファロー(Buffalo)
- ルーターの管理画面にアクセス(
192.168.11.1
) - 「動作モード」メニューを開く
- 「APモード」に切り替え、設定を保存
- ルーターを再起動し、LANポートに接続
3-3-2. NEC(Atermシリーズ)
- ルーターの管理画面にアクセス(
http://aterm.me
) - 「基本設定」→「動作モード設定」を開く
- 「ブリッジ(AP)モード」を選択し、適用
- 再起動後、LANポートに接続
3-3-3. TP-Link
- ルーターの管理画面にアクセス(
http://tplinkwifi.net
) - 「動作モード」→「アクセスポイントモード」を選択
- 設定を保存し、ルーターを再起動
- LANポートに接続して利用開始
3-3-4. ASUS
- ルーターの管理画面にアクセス(
http://router.asus.com
) - 「ワイヤレス設定」→「動作モード」を開く
- 「アクセスポイントモード(AP)」を選択
- 設定を適用し、LANポートに接続
APモードの活用事例
「APモードとは」、Wi-Fiルーターをアクセスポイントとして動作させることで、既存のネットワークを拡張し、安定した通信環境を提供するための設定モードです。
特に、広い家やオフィス、商業施設などでは、Wi-Fiの電波が届かない場所が発生することがあります。
そこで、APモードを活用することで、スムーズなインターネット接続を実現できます。
本記事では、APモードの活用事例について詳しく解説します。
4-1. 既存ネットワークへのWi-Fi拡張
Wi-Fiの通信範囲を広げるために、APモードは非常に有効な手段です。
以下のような環境では、APモードを活用することで、通信の快適さが大きく向上します。
4-1-1. 広い家やマンションでの利用
広い家やマンションでは、Wi-Fiの電波が一部の部屋まで届かないことがあります。
特に、鉄筋コンクリートの壁や家具の配置によって電波が遮られ、Wi-Fiの速度が遅くなることもあります。
解決策
- ルーターモードで動作する既存のルーターに加えて、APモードに設定したルーターを設置
- 有線LANで接続し、Wi-Fiの電波を家全体に広げる
- 同じSSIDを設定すれば、家中どこでもシームレスなWi-Fi接続が可能
4-1-2. オフィスでのネットワーク強化
企業のオフィスでは、多くのデバイスがWi-Fiに接続するため、一台のルーターでは十分なカバーができないことがあります。
また、オープンスペースや会議室での接続品質が低下することもあります。
解決策
- 複数のWi-FiルーターをAPモードにして設置
- 各APを有線LANで接続し、オフィス全体をWi-Fiでカバー
- VLAN設定を活用して、社員用・ゲスト用Wi-Fiを分離
このように、APモードを活用することで、安定した通信環境を確保できます。
4-2. 大規模施設でのAPモード活用
APモードは、オフィスや商業施設だけでなく、学校やホテル、イベント会場などの大規模施設でも活躍します。
多数の利用者がいる環境では、APモードによるWi-Fi拡張が必要不可欠です。
4-2-1. 学校・大学でのWi-Fi環境整備
近年では、授業やオンライン学習のためにWi-Fi環境が求められることが増えています。
しかし、学校や大学のキャンパスは広く、一台のルーターではWi-Fiが十分に行き渡らないことが問題になります。
解決策
- 教室ごとにAPモードのアクセスポイントを設置
- メインルーターとAPを有線LANで接続し、学内Wi-Fiを最適化
- 各APに適切なSSIDとセキュリティ設定を適用
これにより、学生や教員が快適にWi-Fiを利用できる環境が整います。
4-2-2. ホテルや商業施設でのWi-Fi提供
ホテルや商業施設では、多数の利用者がWi-Fiに接続するため、通常のルーターモードではカバーしきれません。
また、部屋ごとに安定したWi-Fi接続が必要になります。
解決策
- 各フロアや客室ごとにAPモードのWi-Fiルーターを配置
- VLAN設定を活用し、ゲスト用と管理用のWi-Fiを分離
- ローミング機能を活用し、移動中も途切れにくいWi-Fi環境を実現
これにより、宿泊客や訪問者が快適にインターネットを利用できる環境を提供できます。
4-3. 家庭内でのAPモード利用シナリオ
APモードは、家庭でも活用できる便利な機能です。
特に、Wi-Fi環境に問題がある場合は、APモードを利用することで、スムーズな通信を確保できます。
4-3-1. ルーターを買い替えずにWi-Fiを強化
Wi-Fiの調子が悪いからといって、新しいルーターを購入するのはコストがかかります。
しかし、APモードを活用すれば、古いルーターを再利用しながらWi-Fi環境を改善できます。
解決策
- 余っているルーターをAPモードに設定し、既存のルーターと有線接続
- メッシュWi-Fiのように家全体のWi-Fi環境を強化
- 低コストで通信品質を改善
4-3-2. ゲームや動画視聴のための安定したWi-Fi
オンラインゲームや動画視聴を楽しむ際に、Wi-Fiが遅くなるとストレスがたまります。特に、家族が同時にインターネットを利用すると、通信速度が低下することがあります。
解決策
- ゲーム部屋やリビングにAPモードのルーターを設置
- 優先的に帯域を確保する設定(QoS)を適用
- 遅延を減らし、快適なゲーム・動画視聴を実現
4-3-3. 在宅勤務のためのWi-Fi最適化
在宅勤務が増えたことで、自宅のWi-Fi環境を強化したいと考える人も多いでしょう。
特に、オンライン会議中にWi-Fiが途切れると、仕事に支障をきたすことになります。
解決策
- 作業部屋にAPモードのWi-Fiルーターを設置
- 干渉しないWi-Fiチャンネルを選択
- 安定した通信で在宅ワークを快適に
APモード利用時のトラブルシューティング
「APモードとは」、Wi-Fiルーターをアクセスポイントとして動作させることで、ネットワークのカバー範囲を広げたり、安定した通信環境を構築したりするための設定モードです。
しかし、APモードを利用していると、接続が不安定になったり、速度が低下したりすることがあります。
本記事では、APモード利用時に発生しがちなトラブルとその解決策について解説します。
5-1. 接続が不安定な場合の対処法
APモードを使用しているのにWi-Fi接続が頻繁に切れる場合や、不安定になる場合の主な原因と対策を紹介します。
5-1-1. APモードのWi-Fiチャンネルを変更する
Wi-Fiの電波は周囲の環境に影響を受けやすく、近隣のWi-Fiルーターと干渉すると接続が不安定になります。特に、2.4GHz帯は利用者が多いため、電波が混雑しやすいです。
対策
- 管理画面にアクセスし、Wi-Fiチャンネルを変更する
- 2.4GHz帯の場合:1、6、11のいずれかを選択
- 5GHz帯の場合:DFS(動的周波数選択)対応のチャンネルを利用
5-1-2. APモードのルーターの設置場所を変更する
Wi-Fiの電波は、障害物や壁によって遮られやすいため、APモードのルーターを適切な位置に配置することが重要です。
改善策
- ルーターを床に置かず、できるだけ高い位置に設置
- 電子レンジやBluetooth機器など、電波干渉の原因となるものから離す
- 壁や家具の少ない開けた場所に設置する
5-1-3. ルーターのファームウェアを更新する
古いファームウェアを使用していると、接続が不安定になることがあります。特に、APモードに対応していない古いルーターでは、バグや不具合が発生しやすいです。
解決策
- メーカーの公式サイトから最新のファームウェアをダウンロード
- ルーターの管理画面からアップデートを実行
5-2. 速度低下の原因と改善策
APモードを利用しているのにインターネットの速度が遅い場合、いくつかの原因が考えられます。
ここでは、速度低下の主な原因とその解決策を紹介します。
5-2-1. 有線LANの接続方式を確認する
APモードのルーターと既存のルーターを接続する際に、LANポートではなくWANポートに接続してしまうと、通信速度が低下することがあります。
解決策
- APモードのルーターは、必ずLANポートに接続する
- LANケーブルは「CAT5e」以上の規格を使用する
- 100Mbpsの古いルーターを使っている場合は、ギガビット対応(1Gbps)のルーターに交換する
5-2-2. 同時接続台数を制限する
APモードを利用していても、接続するデバイスが多すぎると、通信が混雑して速度が遅くなることがあります。
対策
- 不要なデバイスのWi-Fi接続を解除する
- QoS(Quality of Service)機能を利用して、優先度の高い通信を確保
- 2.4GHzと5GHzの帯域を適切に振り分ける(5GHzを動画視聴やゲームに優先的に使用)
5-2-3. ルーターの再起動を定期的に行う
ルーターは長時間稼働すると、メモリが不足して処理が遅くなることがあります。
特に、古いルーターではこの問題が顕著になります。
改善策
- 定期的にルーターを再起動(週1回程度推奨)
- 管理画面で自動再起動の設定ができる場合は有効にする
5-3. 他の機器との干渉を避ける方法
APモードを利用していると、Wi-Fiが遅くなったり接続が切れたりすることがあります。その原因のひとつが、他の機器との電波干渉です。
ここでは、干渉を避ける方法を解説します。
5-3-1. 近隣のWi-Fiとの干渉を回避
マンションやアパートなど、多くの人がWi-Fiを利用している環境では、他のWi-Fiルーターと電波が干渉することがあります。
解決策
- Wi-Fiアナライザーアプリを使用し、混雑していないチャンネルを選択
- 2.4GHzではなく、5GHzのWi-Fiを優先的に使用
- APモードのルーターの出力を適切に調整し、必要以上に広範囲に電波を出さない
5-3-2. Bluetooth機器や電子レンジとの干渉を避ける
Bluetooth機器や電子レンジは、2.4GHz帯と同じ周波数を使用しているため、Wi-Fiと干渉することがあります。
対策
- Wi-Fi接続を5GHz帯に切り替える
- Bluetooth機器の利用を最小限にする
- 電子レンジやコードレス電話の近くにルーターを置かない
5-3-3. 中継機や別のルーターとの干渉
APモードのルーターと、別の中継機やルーターが近くにあると、電波が競合して通信が不安定になることがあります。
改善策
- SSIDを統一し、メッシュWi-Fiのように動作させる
- 不要なWi-Fiアクセスポイントを減らし、干渉を最小限に抑える
- APモードのルーターの送信出力を調整し、必要以上に強い電波を出さない
APモードに関するよくある質問
「APモードとは」、Wi-Fiルーターをアクセスポイントとして動作させ、既存のネットワークにWi-Fi機能を追加するための設定モードです。
しかし、APモードに関しては「中継機モードとの違いは?」「設定時にIPアドレスはどうなるのか?」「セキュリティの設定はどうするのか?」など、多くの疑問が寄せられます。
本記事では、APモードに関するよくある質問に詳しく回答します。
6-1. APモードと中継機モードの違いは?
Wi-Fi環境を改善する際に、「APモード」と「中継機モード」のどちらを使うべきか迷うことがあります。
この2つのモードは似ていますが、仕組みが大きく異なります。
6-1-1. APモードとは?
APモードでは、ルーターのルーティング機能を無効にし、既存のルーターから有線LANで接続してWi-Fiを提供します。
IPアドレスの管理は既存のルーターが行い、安定したWi-Fi接続を実現できます。
特徴
- 有線LAN接続が必須
- IPアドレスの管理は既存のルーター
- Wi-Fiのカバー範囲を広げるのに最適
- 通信速度が安定しやすい
6-1-2. 中継機モードとは?
中継機モードは、既存のWi-Fiルーターの電波を受信し、それを再送信することでWi-Fiのカバー範囲を広げます。
有線LANの接続は不要ですが、親機からの通信を中継するため、速度が低下することがあります。
特徴
- 有線LAN不要(Wi-Fiで接続)
- Wi-Fiの電波を中継し、カバー範囲を広げる
- 通信速度が低下する可能性がある
- Wi-Fiの接続先が切り替わる場合がある
6-1-3. どちらを選ぶべき?
項目 | APモード | 中継機モード |
---|---|---|
接続方法 | 有線LAN | 無線(Wi-Fi) |
速度の安定性 | 高い | 低下する可能性あり |
導入の手軽さ | 配線が必要 | 設置が簡単 |
おすすめの環境 | オフィスや広い家 | LANケーブルを使えない場所 |
結論
- 有線接続が可能なら「APモード」がおすすめ
- LANケーブルを引けない場合は「中継機モード」
6-2. APモード設定時にIPアドレスはどうなる?
APモードを利用する際、「IPアドレスの管理はどうなるのか?」という疑問を持つ方も多いです。
APモードでは、ルーター機能が無効化されるため、IPアドレスの管理は既存のルーターが行います。
6-2-1. IPアドレスは既存ルーターが管理
APモードのルーター自身がDHCP機能(IPアドレスの自動割り当て)を持たないため、接続されたデバイスは既存のルーターからIPアドレスを取得します。
具体的な動作
- 既存ルーターのDHCP機能が有効であることを確認
- APモードのルーターには、固定IPアドレスを手動設定するのが推奨
- 通常は
192.168.1.xxx
の範囲内で設定
6-2-2. IPアドレスの手動設定方法
APモードのルーターの管理画面から、IPアドレスを手動で設定できます。
設定手順
- 既存のルーターのIPアドレス範囲を確認(例:
192.168.1.1
~192.168.1.254
) - 既存のルーターと重複しないIPアドレスをAPモードのルーターに設定(例:
192.168.1.100
) - DHCP機能をオフにする
6-2-3. IPアドレスが競合する場合の対策
- APモードのルーターのIPアドレスを既存ルーターと同じ範囲に設定
- DHCPの設定を見直し、APモードのルーターには手動で固定IPを設定
- IPアドレスの競合を防ぐため、使用していないアドレスを割り当てる
6-3. APモードでのセキュリティ設定のポイント
APモードを利用する場合、セキュリティ設定を適切に行わないと、第三者に不正アクセスされるリスクがあります。
以下のポイントを押さえて、安全に利用しましょう。
6-3-1. WPA3またはWPA2を使用する
Wi-Fiの暗号化方式には、以下のような種類があります。
暗号化方式 | セキュリティ強度 | 推奨度 |
---|---|---|
WPA3 | 非常に強い | ◎ |
WPA2 | 強い | ○ |
WEP | 弱い(非推奨) | ✕ |
対策
- 可能であれば「WPA3」を選択
- WPA3に対応していない機器がある場合は「WPA2」に設定
- WEPは絶対に使用しない
6-3-2. MACアドレスフィルタリングを設定
APモードで接続できるデバイスを制限するために、MACアドレスフィルタリングを有効にすると、セキュリティが向上します。
設定手順
- 管理画面にアクセス
- 「MACアドレスフィルタリング」を有効にする
- 許可するデバイスのMACアドレスを登録
6-3-3. SSIDの隠蔽(ステルスモード)
Wi-FiのSSID(ネットワーク名)を非表示にすることで、第三者が接続を試みるリスクを減らせます。
設定方法
- SSIDの「ステルスモード」を有効にする
- 手動でSSIDを入力しないと接続できないようにする
6-3-4. APモードの管理画面のパスワードを強化
ルーターの管理画面のパスワードを初期設定のままにしておくと、第三者に不正アクセスされるリスクがあります。
対策
- 管理画面のパスワードを強力なものに変更
- 推測されにくい英数字と記号を含むパスワードを設定
- 定期的にパスワードを変更する