セキュリティ

CASBとは?をわかりやすく解説!AIや機械学習技術を活用した最新セキュリティ対策に迫る

「クラウド」の利用が広まり、多くの企業がデータやシステムをオンライン上に保管するようになってきました。

しかし、その一方でセキュリティのリスクも増加しており、データ漏洩やサイバー攻撃による被害も少なくありません。

そこで、「Cloud Access Security Broker」(CASB)の導入が注目されています。CASBは、クラウドサービスに接続されたすべてのデバイスやユーザーに対して、統一的なセキュリティポリシーを適用し、リスクの監視や管理を行うことができます。

本記事では、CASBの導入手順や運用方法、実際の導入事例、そして今後の展望について解説していきます。CASBの導入は、企業におけるクラウドセキュリティの強化に大きく貢献します。

ぜひ、本記事を読んでCASBについて理解を深め、セキュリティのリスクを軽減しましょう。

CASBについての概要

1-1. CASBとは何か

CASB(Cloud Access Security Broker)は、企業がクラウドサービスを利用する際に、セキュリティ上のリスクを抑えるためのソリューションです。CASBは、クラウドサービスにアクセスする際に通過するトラフィックを監視し、不正アクセスやデータ漏えい、マルウェアの侵入などを検知・防止する機能を持っています。

1-2. CASBが必要な理由

企業がクラウドサービスを利用する際には、セキュリティ上のリスクが増大します。例えば、社員が自分のアカウントを使ってクラウドサービスにアクセスすることで、企業データが漏えいする可能性があります。また、クラウドサービス提供事業者が保有するデータについても、セキュリティ上の問題が懸念されます。CASBは、企業がクラウドサービスを利用する際に生じるこれらのセキュリティ上のリスクを抑えることができます。

1-3. CASBの主な機能

CASBの主な機能は以下のとおりです。

データ保護:データ漏えいを防止するために、クラウドサービスでのデータの利用を監視し、不正なアクセスを検知する機能があります。

アクセス制御:企業のポリシーに基づいて、クラウドサービスにアクセスする権限を制御する機能があります。

マルウェア検知:マルウェアの侵入を検知し、防止する機能があります。

コンプライアンスの確認:企業が守るべき法律や規制に準拠しているかを確認する機能があります。

クラウドサービスの可視化:企業が利用しているクラウドサービスを可視化し、管理する機能があります。

CASBの種類

2-1. プロキシモデル

CASBの一つの種類であるプロキシモデルは、企業のネットワーク内に設置されたプロキシサーバーを介して、クラウドサービスにアクセスする際にトラフィックを監視・制御する仕組みです。プロキシサーバーは、クラウドサービスにアクセスする前に、ユーザーのアクセスを認証・認可し、セキュリティ上のリスクがある場合にはアクセスを拒否することができます。

2-2. APIモデル

APIモデルは、CASBがクラウドサービスに直接接続して、APIを利用してクラウドサービスを監視する仕組みです。APIモデルは、プロキシモデルよりも柔軟性が高く、クラウドサービス提供事業者が提供するAPIを利用して、クラウドサービスの利用状況やセキュリティ上のリスクを監視することができます。

2-3. ゲートウェイモデル

ゲートウェイモデルは、企業のネットワークとクラウドサービスをつなぐゲートウェイを利用して、クラウドサービスのトラフィックを監視する仕組みです。ゲートウェイは、クラウドサービスにアクセスする前にトラフィックを監視し、不正アクセスやデータ漏えい、マルウェアの侵入などを検知・防止することができます。ゲートウェイモデルは、企業のネットワークに直接接続しているため、クラウドサービスにアクセスするユーザーが企業のネットワーク内にいる場合に有効です。

CASBの選び方

3-1. 業務の特性に合わせた機能の選定

CASBを選ぶ際には、企業の業務特性に合わせた機能の選定が重要です。例えば、社員がBYOD(Bring Your Own Device)を利用してクラウドサービスにアクセスする場合には、モバイルデバイスへの制御機能が必要です。また、データの暗号化やDLP(Data Loss Prevention)機能など、企業のセキュリティポリシーに合わせた機能が必要です。

3-2. クラウドサービスの種類と相性の確認

CASBは、対象となるクラウドサービスと相性が重要です。企業が利用するクラウドサービスによっては、CASBの機能が活用できない場合があります。例えば、SaaS型のクラウドサービスに対しては、アプリケーションレベルでの制御が必要ですが、IaaS型のクラウドサービスに対しては、ネットワークレベルでの制御が必要です。

3-3. 導入コストと運用コストの評価

CASBを導入する場合には、導入コストと運用コストも重要なポイントです。導入コストには、ライセンス費用やシステム構築費用が含まれます。また、運用コストには、システムの運用・保守費用やセキュリティポリシーの運用費用が含まれます。CASBを導入する際には、企業の予算とニーズに合わせて、コストの評価を行いましょう。

CASBの導入手順

4-1. セキュリティポリシーの策定

CASBの導入にあたり、まずは自社のセキュリティポリシーを策定することが必要です。セキュリティポリシーには、どのようなクラウドサービスを利用するか、どのような情報をクラウドに保存するかなどが含まれます。また、ポリシーには、アクセス許可制御、データ保護、マルウェア対策、ログ管理などの詳細な指針が含まれることがあります。

4-2. クラウドサービスの監視対象の選定

次に、CASBを導入するクラウドサービスを選定します。一般的には、ユーザーからのアクセスが多く、重要なデータが保管されているクラウドサービスを選択します。選択したクラウドサービスは「Cloud Access Security Broker」によって監視対象となり、アクセスログやイベントログなどの情報が収集されます。

4-3. CASBのインストールと設定

最後に、CASBを導入するために、ベンダーから提供されるソリューションをインストールし、設定します。設定の際には、セキュリティポリシーに沿って、アクセス制御や検知ルールの設定、ログの収集先の指定などを行います。また、クラウドサービスとの連携設定も必要です。全ての設定が完了したら、CASBが正しく動作しているか確認するために、テストを実施することが望ましいです。

CASBの運用・管理方法

5-1. ログの収集と分析

CASBの運用においては、ログの収集と分析が非常に重要です。ログは、セキュリティインシデントの発生時に原因や経緯を追究するための証拠となります。そのため、ログの収集と保存を適切に行い、必要に応じてログの分析を行うことが重要です。また、ログの収集にあたっては、どのような情報をどのような頻度で収集するかを明確に定義する必要があります。

5-2. インシデント対応と改善策の実施

CASBを運用する上で、セキュリティインシデントの発生に備えて、インシデント対応計画の策定が必要です。また、インシデントが発生した場合には、早急に対応することが求められます。そのためには、適切な人員やツールを配置して、セキュリティインシデントに迅速かつ的確に対応することが必要です。さらに、インシデントの発生原因を分析し、同様のインシデントが再発しないように改善策を実施することも重要です。

5-3. バージョンアップとアップグレードの実施

CASBを運用する上で、定期的なバージョンアップやアップグレードの実施が必要です。バージョンアップやアップグレードにより、新しい機能やセキュリティアップデートが適用されるため、セキュリティの強化や運用の効率化が期待できます。また、バージョンアップやアップグレードを実施する際には、事前に十分なテストを行い、運用に支障が生じないように注意することが必要です。

CASBの導入事例と成功事例

6-1. 企業Aの事例

企業Aは、社内で利用するクラウドサービスの増加に伴い、情報漏えいやセキュリティリスクに対する懸念が高まっていました。そこで、CASBを導入することにより、社員のクラウドサービスの利用を監視し、セキュリティポリシーに違反するアクセスをブロックすることができるようになりました。また、CASBによるクラウドサービスの利用状況の可視化により、社内のセキュリティ教育や改善施策の立案にも役立っています。

6-2. 企業Bの事例

企業Bは、外部からのサイバー攻撃や情報漏えいのリスクを軽減するため、CASBを導入しました。特に、社員のスマートフォンやタブレット端末からのクラウドサービスの利用に対するリスクを低減することが目的でした。導入後は、モバイルデバイスからのクラウドサービスのアクセス制御や暗号化などの機能が利用できるようになり、セキュリティリスクを軽減することに成功しました。

6-3. 成功事例とその理由

ある企業がCASBを導入して成功した理由の1つは、クラウドサービスの利用状況をリアルタイムに監視・可視化できるようになったことです。これにより、社員が利用するクラウドサービスの種類や利用頻度を把握することができ、必要に応じてセキュリティポリシーの改善やセキュリティ教育の強化など、適切な対策を講じることができるようになりました。

また、ある企業では、クラウドサービスを利用する社員が増加したことに伴い、社内の情報セキュリティマネジメント体制が追いつかなくなっていました。しかし、CASBを導入することで、クラウドサービスの利用に関するリスクの把握や対策の実施を自動化できるようになり、運用・管理の負荷を大幅に軽減することができました。

CASBの今後の展望

7-1. クラウドサービスの利用増加に伴う需要の増加

近年、クラウドサービスの利用が急速に拡大しています。このため、企業がクラウドサービスを導入する際にセキュリティリスクが生じる可能性が高くなっています。そのため、クラウドサービスを安全に利用するためには、セキュリティ対策が欠かせません。このような状況から、クラウドサービスの利用増加に伴い、CASBに対する需要が高まっています。

7-2. AIや機械学習技術の導入によるセキュリティ対策の強化

近年、AIや機械学習技術の導入によるセキュリティ対策が注目されています。例えば、CASBにおいても、AIや機械学習技術を活用することで、より精度の高いセキュリティ対策が可能となります。たとえば、不審なアクセスを検知した場合、AIが自動的にそのアクセスをブロックすることができます。今後もAIや機械学習技術の進化が進むことで、より高度なセキュリティ対策が可能になっていくことが期待されています。

7-3. 「CASBの進化と新しい機能の登場

CASBも、クラウドサービスの利用に合わせて進化し続けています。例えば、クラウドサービスとの連携を強化したり、新しい機能を追加することで、より高度なセキュリティ対策が可能になっています。また、今後はIoTや5Gなどの新しい技術が普及することで、これらの技術に対応したCASBが登場することも期待されています。今後もCASBは、新しい技術に対応し、より高度なセキュリティ対策が可能になることが期待されています。

まとめ

CASBは、クラウドサービスにアクセスする際に発生するセキュリティリスクを低減するための技術であり、企業のクラウドセキュリティを強化するための重要なツールです。

まず、CASBが必要な理由について説明しました。クラウドサービスの利用が急増している現代において、セキュリティリスクを軽減するためにCASBが必要となってきています。次に、その中でも代表的な3つのモデルについて説明しました。

次に、CASBの選び方について説明しました。業務の特性に合わせた機能の選定、クラウドサービスの種類と相性の確認、導入コストと運用コストの評価が重要なポイントです。

そして、CASBの導入手順について説明しました。セキュリティポリシーの策定、クラウドサービスの監視対象の選定、そしてCASBのインストールと設定が必要です。

また、CASBの運用・管理方法についても説明しました。ログの収集と分析、インシデント対応と改善策の実施、そしてバージョンアップとアップグレードの実施が必要です。

最後に、CASBの今後の展望についても説明しました。クラウドサービスの利用増加に伴い需要が増加すること、AIや機械学習技術の導入によるセキュリティ対策の強化が進むこと、そしてCASBの進化と新しい機能の登場が期待されることが挙げられます。

CASBは、企業のクラウドセキュリティを強化するための必要なツールであることがわかりました。適切に選定・導入し、運用・管理することで、クラウドサービスを安全に利用できるようになります。今後も技術の進化とともにCASBが進化していくことに期待しましょう。

CASBについてのよくある質問と回答

CASBの主な役割は何ですか?

A: CASBの主な役割は、クラウド環境におけるセキュリティリスクを軽減することです。具体的には、クラウド環境へのアクセス制御、データの暗号化、マルウェア対策、脆弱性スキャンなどが挙げられます。

CASBの選定にあたって注意すべき点は何ですか?

A: CASBを選定する際には、業務の特性に合わせた機能の選定、クラウドサービスの種類と相性の確認、導入コストと運用コストの評価などが重要です。

CASBの今後の展望はどのようなものですか?

A: CASBの今後の展望としては、クラウドサービスの利用増加に伴う需要の増加、AIや機械学習技術の導入によるセキュリティ対策の強化、そして「CASBの進化と新しい機能の登場などが考えられます。