システム

データセンターとは?仕組み・種類・選び方完全ガイド!

「データセンターってよく聞くけど、クラウドと何が違うの?」「どのサービス形態を選べばいいの?」そんな疑問を抱えていませんか?

本記事では、データセンターの基礎から種類、設備、選定ポイント、最新トレンドまでをわかりやすく解説します。

迷いや不安をスッキリ解消しましょう。

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • データセンターとは何か知りたい人
  • クラウドとデータセンターの何が違うのかわからない人
  • 自社にとって最適なデータセンターの種類や契約形態が知りたい人

データセンターとは何か

1-1. 定義・基本概要

1-1-1. データセンターの定義とは?

データセンターとは、企業や団体が保有する膨大な情報(データ)を安全に保管・管理・処理するための専用施設のことです。

これには、Webサイトのサーバー、顧客情報、業務アプリケーション、動画や画像など、あらゆるデジタル情報の中枢を担う重要な場所が含まれます。

データセンターは、単に「大きな建物」ではありません。以下のような高度な設備と運用が求められます。

主な要素説明
電力インフラ停電でも稼働できるように、無停電電源装置(UPS)や自家発電装置を完備
冷却システム高温になるサーバーを冷却するための空調・空気循環システム
ネットワーク環境高速かつ冗長なインターネット回線と、安定した接続環境
セキュリティ生体認証、監視カメラ、入退室管理などによる物理的・システム的な保護

つまり、データセンターは、企業の情報資産を「安全に、確実に、いつでも使える状態」に保つことが使命です。

1-1-2. データセンターの役割と重要性

現代社会では、クラウドサービス、オンラインショッピング、SNS、動画配信など、あらゆるサービスがデータセンターの上に成り立っています。

したがって、データセンターは「インターネットの裏側を支える縁の下の力持ち」といえます。特に、以下のような分野でその重要性が年々高まっています。

  • 金融業界:取引データのリアルタイム処理
  • 医療業界:患者情報のセキュアな保存と共有
  • 教育分野:オンライン授業やLMSの安定運用
  • エンタメ産業:動画配信やゲームサービスの高速化

これらの例からもわかる通り、データセンターは現代のインフラそのものとなっており、企業活動や生活に欠かせない存在です。


1-2. データセンターとクラウドの違い

データセンターとクラウドは混同されがちですが、実は目的や運用形態が大きく異なります。以下で違いを明確にしておきましょう。

1-2-1. クラウドはデータセンターの「使い方」の一種

クラウドとは、インターネットを通じて提供されるITリソース(サーバー・ストレージ・アプリなど)のサービス形態を指します。
このクラウドサービスの「中身」が、実はデータセンターにあるのです。

つまり、クラウドはデータセンターの中で運用されているサービスといえます。

比較項目データセンタークラウド
実体物理的な施設やサーバールームサービスとしての仮想サーバーやソフトウェア
利用者の管理範囲ハードウェアやOSなど、全体を管理必要な機能だけを使い、運用はクラウド事業者任せ
初期投資高額(自社構築や専用ラック契約が必要)低コストで始められる(月額課金制が主流)
拡張性・柔軟性拡張には時間とコストがかかる数クリックでリソース追加・削減が可能
利用例金融・政府機関・大規模企業などのミッションクリティカル業務中小企業、スタートアップ、ウェブサービス運営など

このように、**クラウドは「サービス」、データセンターは「インフラ」**と捉えると違いが理解しやすくなります。

1-2-2. なぜこの違いが重要なのか?

企業にとって、クラウドとデータセンターの選択はIT戦略を左右する重要な判断です。

  • セキュリティ重視 → 自社運用型データセンター(オンプレミス)が有利
  • 柔軟性・スピード重視 → クラウドが優位

だからこそ、どちらが「優れている」という話ではなく、「目的に応じてどちらを使うべきか」が重要な視点になります。

データセンターの種類・形態

データセンターにはさまざまな種類があり、用途や管理体制によって分類されます。

その違いを理解することで、自社のニーズに最適なデータセンター選びがしやすくなります。

2‑1. ハウジング/コロケーション

2-1-1. ハウジング(ハウジングサービス)とは?

ハウジングとは、自社で保有するサーバー機器を、外部のデータセンター施設に設置して運用するサービスです。
電源・空調・セキュリティなどが整った環境に、自社の機器だけを持ち込んで利用するイメージです。

主な特徴:

  • 設備投資は自社で行う(サーバー本体などは持ち込み)
  • 高い自由度がある(OSやソフトウェア構成も自社で決定)
  • 物理的な保守・管理が必要

つまり、インフラ部分だけを外部に委託する方式で、「セキュリティ重視」「柔軟な構成をしたい」企業に向いています。

2-1-2. コロケーションとは?

コロケーションは、ハウジングとほぼ同義で使われることが多い用語ですが、特に複数企業が同じ施設内でラック単位のスペースを共有する形態を指すことがあります。

以下のような違いがあります。

項目ハウジングコロケーション
概要自社サーバーを外部施設で運用複数企業でスペースを共有
主な利用者中~大規模企業中小企業や複数拠点展開企業
管理負担高い(自社で対応)比較的軽め(共同管理も可能)

どちらも「データセンターを借りて、自社機器を運用する」という点で共通しています。


2‑2. ホスティング/マネージドサービス

2-2-1. ホスティングサービスとは?

ホスティングとは、データセンターが保有するサーバーやストレージを、顧客がレンタルして使うサービスです。
ユーザーは機器を購入・設置する必要がなく、すぐに使い始めることができます。

特徴:

  • 初期費用が抑えられる
  • 導入が早い(即日利用も可能)
  • 運用はユーザー側が行う(OSやソフトの更新など)

つまり、「自社でサーバー機器を持たないが、一定の管理は自分たちでしたい」という層に向いています。

2-2-2. マネージドサービスとは?

マネージドサービスは、ホスティングに加えて、運用・監視・障害対応なども含めてデータセンター側が提供するサービスです。

主なメリット:

  • システム運用の専門知識が不要
  • 24時間365日の監視体制
  • 障害時の対応が迅速

したがって、「IT部門のリソースが限られている」「トラブル対応まで任せたい」企業に適しています。

比較項目ホスティングマネージドサービス
サーバー提供データセンター側データセンター側
運用・監視利用者が対応データセンターが対応
コスト感比較的安価やや高額(サービス内容による)

このように、どこまで外部に任せるかによって、選ぶべきサービスが異なります。


2‑3. エンタープライズ DC/ハイパースケール/エッジ DC

2-3-1. エンタープライズデータセンターとは?

エンタープライズDCは、企業が自社専用に構築・保有するデータセンターです。オンプレミス型とも呼ばれます。

特長:

  • 完全な自社運用
  • カスタマイズ性が非常に高い
  • 建設・運用コストが非常に高額

大企業や金融機関など、厳格なセキュリティ基準や独自システム要件がある場合に採用されます。

2-3-2. ハイパースケールデータセンターとは?

ハイパースケールDCは、Google、Amazon、Microsoftなどが運用する超大規模なデータセンターです。

特徴:

  • 数十万台規模のサーバーを収容
  • 大量のトラフィックを処理可能
  • 高効率化(電力・冷却)と自動化技術を採用

つまり、クラウドサービスの基盤として世界中のユーザーを支える巨大な施設です。

2-3-3. エッジデータセンターとは?

エッジDCは、ユーザーの近くに配置された小規模なデータセンターです。
IoTや5Gの普及により、リアルタイム処理や低遅延通信が求められる場面で活躍しています。

主な用途:

  • 自動運転
  • スマートシティ
  • 医療や製造現場でのリアルタイムデータ処理

つまり、中央の巨大なDCだけでなく、「必要な場所に分散するデータセンター」という新たな流れを象徴しています。

データセンターを支える主な設備と構成要素

データセンターは、ただの「サーバーを置く場所」ではありません。

高い可用性と安全性を確保するためには、複数の重要な設備と構成要素が密接に連携しています。

ここでは、データセンターの信頼性を支える4つの柱について詳しく解説します。


3‑1. 電力・電源系統・バックアップ(UPS・発電機)

3-1-1. 電源はデータセンターの命綱

データセンターにおいて、安定した電力供給は最も重要な要素のひとつです。
サーバーやネットワーク機器は常に稼働しているため、一瞬の停電でも大きな影響を及ぼす可能性があります。

したがって、データセンターでは以下のような電源設備が備えられています。

  • 商用電源(電力会社からの供給)
  • 無停電電源装置(UPS)
  • 非常用発電機(ディーゼルやガスタービン式)
  • 配電ルートの冗長化(二重化・多重化)

これにより、**どの電源が停止しても継続稼働できる体制(N+1構成など)**が構築されます。

3-1-2. UPSと発電機の違いと役割

設備名主な役割稼働時間
UPS停電発生時に瞬時に電力を供給(バッテリー式)数分~数十分
発電機UPSでつないでいる間に始動し、長時間の電力を供給数時間~数日以上

つまり、UPSは「つなぎ」役、発電機は「持続」役として、電力の信頼性を高めています。


3‑2. 冷却・空調設備と熱管理

3-2-1. なぜ冷却が重要なのか?

サーバーやネットワーク機器は、稼働中に大量の熱を発生させます。
この熱を効率よく排出できなければ、機器の故障やパフォーマンス低下につながります。

そのため、データセンターでは高度な冷却・空調設備が不可欠です。

3-2-2. 主な冷却システムの種類

  • 空冷式(CRAC:Computer Room Air Conditioner)
     冷風を循環させてラックを冷却
  • 液冷式(直接冷却・ラック内冷却)
     液体を使ってサーバー内部や基板を冷却(高密度環境に対応)
  • フロア構成の工夫(ホット/コールドアイル方式)
     冷気と排熱の通路を分けて効率的な空気流を確保

このように、物理構造と設備の両面から熱管理が行われているのが、データセンターの大きな特徴です。


3‑3. 建築構造・耐震・防火・免震設計

3-3-1. 建物そのものがセキュリティの一部

データセンターは、外部からの自然災害にも備える必要があります。
特に日本のような地震大国では、建物自体の耐震性や免震構造が極めて重要です。

主な対策:

  • 免震構造:建物と地盤の間に「免震装置」を設けて揺れを吸収
  • 耐火性能:火災に強い建材や自動消火システムを導入
  • 浸水対策:施設の高層化、排水ポンプの設置、止水板の導入

つまり、ハードウェアだけでなく建物そのものが堅牢であることが、データセンターの信頼性を支える土台です。


3‑4. ネットワーク接続性・冗長回線

3-4-1. 高速かつ安定した通信が不可欠

データセンターが外部とつながるには、高速で信頼性の高いネットワーク回線が必要です。
遅延や切断が発生すれば、ユーザーに直接影響が及びます。

主なポイント:

  • 複数キャリアとの接続:1社の障害でも切り替え可能
  • バックボーン直結:高速大容量の回線に直接接続
  • ルーター・スイッチの冗長化:通信機器が故障しても即時切り替え

さらに、重要な施設では「BGP(動的ルーティング)による経路制御」が行われており、最適な経路で通信が可能です。

3-4-2. 接続性の良いデータセンターの選び方

以下のような観点でネットワーク品質を確認することが重要です。

  • 主要ISPとのピアリング状況
  • 回線帯域の拡張性
  • SLA(通信品質保証)の有無

その結果として、ビジネスの安定運用やユーザー満足度の向上につながるのです。

データセンターのメリットと課題

データセンターは、現代のビジネスや社会インフラを支える要となる存在です。

しかし、すべてが完璧というわけではなく、利点と同時に課題やリスクも存在します。

ここでは、データセンターの主なメリット・デメリット、そして最新の課題についてわかりやすく解説します。


4‑1. 利用メリット(可用性・安全性・拡張性など)

4-1-1. 高可用性(24時間365日稼働を実現)

データセンターは、停電や自然災害、ネットワーク障害などあらゆるトラブルに備えて設計されています。
その結果として、**サービスが常に利用可能(高可用性)**な状態を実現しています。

例:

  • 電源の冗長構成(UPS・発電機など)
  • ネットワークの二重化
  • 建物の耐震・防火構造

このような対策により、ダウンタイムのリスクを最小限に抑えることが可能です。

4-1-2. セキュリティの強化

データセンターは、物理セキュリティとシステムセキュリティの両面から厳重に守られています。

主な対策例:

  • 生体認証や監視カメラによる入退室管理
  • ファイアウォールやIDS/IPSによるネットワーク防御
  • 定期的なセキュリティ監査

つまり、社内でサーバーを管理するよりも遥かに安全性が高いというのが大きな利点です。

4-1-3. 拡張性と柔軟性

ビジネスの成長に合わせて、必要なリソース(サーバー・ストレージなど)を迅速に追加できる柔軟性もデータセンターの魅力です。

たとえば:

  • ラック単位の追加
  • クラウド連携によるハイブリッド運用
  • 急なアクセス増加にも対応可能なスケーラビリティ

その結果として、ITインフラの将来設計がしやすくなるメリットがあります。


4‑2. デメリット・運用コスト・リスク

4-2-1. 導入・運用コストがかかる

データセンターを利用するには、契約費用や機器導入コスト、運用費が必要になります。

代表的なコスト項目:

  • ラック使用料(スペース代)
  • 電力使用料
  • ネットワーク帯域の料金
  • 運用保守サービスの費用

中小企業にとっては、クラウドサービスよりもコストが高く感じられる場合もあるため、費用対効果の見極めが重要です。

4-2-2. 移動や変更がしづらい

一度データセンターに構築したシステムは、移転や構成変更に手間と時間がかかるという点も課題です。

たとえば:

  • サーバーの物理移動には専門業者の手配が必要
  • 構成変更時にはダウンタイムが発生する可能性
  • 契約期間や条件によって柔軟な変更が制限される場合も

つまり、初期設計段階で将来の拡張性も考慮した構成が求められるのです。

4-2-3. 地理的・災害リスク

日本のような災害が多い地域では、立地によるリスクも無視できません。

  • 地震・津波の影響
  • 停電リスクの高い地域
  • 回線の物理断絶(土砂崩れなど)

このため、**バックアップ拠点や遠隔地との冗長構成(DR対策)**が推奨されます。


4‑3. 最新の課題:電力・冷却・環境負荷

4-3-1. 急増する電力消費とその影響

近年、AI・ビッグデータ・動画配信などの需要拡大により、データセンターの電力消費が急増しています。

その結果:

  • 電力会社との契約調整が必要になる
  • 地域全体の電力逼迫につながるケースも
  • CO2排出量の増加による環境負荷の懸念

つまり、電力問題は単なるコストの問題ではなく、社会的責任の問題にもなりつつあります。

4-3-2. 冷却の限界と環境への影響

高密度化が進む中で、従来の冷却設備だけでは熱処理が追いつかないケースも増えています。

対応策として:

  • 液冷方式の導入
  • AIによる熱管理の最適化
  • 自然冷却(外気利用)や再生可能エネルギーの活用

これにより、効率的な冷却と環境負荷の低減の両立が模索されています。

4-3-3. サステナビリティ対応の加速

今後、企業がデータセンターを選ぶ際には、**環境への配慮(カーボンニュートラルなど)**が重要な判断材料になります。

  • グリーン電力を利用しているか?
  • 環境認証(ISO14001など)を取得しているか?
  • 使用エネルギー効率(PUE値)はどれくらいか?

その結果、「環境にやさしいデータセンター」を選ぶ企業が増加傾向にあります。

データセンターの選定ポイントと比較基準

データセンターを選ぶ際は、「なんとなく価格で選ぶ」「有名企業だから安心」という理由だけでは不十分です。

ビジネスの信頼性や将来性に直結するため、複数の比較軸を用いた慎重な選定が必要です。
ここでは、データセンター選定で失敗しないための重要なポイントを解説します。


5‑1. 立地・アクセス性・電力供給環境

5-1-1. 地理的リスクと立地の重要性

データセンターの立地は、災害リスクや業務継続性に大きな影響を与えます。
特に日本では、地震・洪水・津波などの自然災害への備えが不可欠です。

立地選定のチェックポイント:

  • 活断層からの距離
  • 海抜の高さ(津波リスク)
  • 地盤の安定性

したがって、BCP(事業継続計画)を意識した拠点選びが重要になります。

5-1-2. アクセス性と周辺インフラ

運用面では、データセンターへのアクセスのしやすさも大切です。

  • 最寄駅や高速道路からの距離
  • 緊急時の移動手段(公共交通・車)
  • 通信・電力など周辺インフラの整備状況

また、近年では再生可能エネルギーが安定供給されているエリアも注目されています。


5‑2. 冗長性・可用性レベル・SLA

5-2-1. 冗長構成のレベルを確認

データセンターでは、どこか1箇所が故障しても稼働し続けられるような構成(冗長性)が求められます。

主な冗長要素:

  • 電源(二重化・UPS・発電機)
  • 空調設備(予備機あり)
  • ネットワーク回線(複数キャリア接続)

このような構成があることで、障害発生時の影響を最小限に抑えることができます。

5-2-2. SLA(サービスレベルアグリーメント)の内容

SLAとは、サービスの品質や稼働率を保証する契約内容のことです。
データセンター選定時には、必ず確認しておくべきポイントです。

確認項目:

  • 年間稼働率(例:99.999%など)
  • 障害発生時の対応時間と補償内容
  • 保守・監視の対応体制(24時間対応か)

つまり、可用性の数値だけでなく、具体的な対応内容まで確認することが大切です。


5‑3. 接続性・回線品質・キャリア接続性

5-3-1. 通信インフラの品質はパフォーマンスを左右する

データセンターの通信品質は、ビジネスのレスポンスや信頼性に直結します。
とくにWebサービスやECサイトを運営する企業にとっては極めて重要です。

確認ポイント:

  • 回線速度・帯域の拡張性
  • 通信遅延(レイテンシ)の低さ
  • パケットロスの有無

5-3-2. マルチキャリア対応の有無

キャリア(通信事業者)が複数利用できるかどうかも大きな選定基準です。
なぜなら、単一キャリアに依存することで障害リスクが高まるからです。

理想的な構成:

  • 複数キャリアと直結(マルチホーム)
  • IX(インターネットエクスチェンジ)への近接性
  • BGP対応による経路冗長性

つまり、「どこにつながっているか」ではなく「いくつに接続できるか」が重要です。


5‑4. セキュリティ・運用体制・監視制度

5-4-1. 物理・論理の二重セキュリティ

データセンターのセキュリティは、物理的な安全と、システム的な防御の両方が求められます。

物理セキュリティ:

  • IDカードや顔認証による入退室管理
  • 監視カメラによる記録とリアルタイム監視
  • セキュリティスタッフの常駐

論理セキュリティ:

  • ファイアウォール・IDS/IPSの設置
  • 不正アクセスの監視・ログ分析
  • データ暗号化とアクセス権管理

5-4-2. 運用体制と障害対応力

いざという時に頼れるかどうかは、日々の運用体制と障害対応力にかかっています。

評価ポイント:

  • 24時間365日の有人監視体制
  • 障害対応のSLA(対応時間や報告体制)
  • 運用担当者のスキル・対応履歴の公開

したがって、実績や外部認証(ISO27001など)を参考に評価することも重要です。


5‑5. コスト・スケール性・将来拡張性

5-5-1. コストは「安さ」だけでなく「内容」で判断

価格だけで選んでしまうと、必要なサービスが含まれておらず結果的に高くつくこともあります。

比較すべき項目:

  • 初期費用(契約金、設定費)
  • 月額料金(ラック、電力、ネットワーク)
  • オプションサービスの有無(監視、保守など)

つまり、コストとサービスのバランスを重視すべきです。

5-5-2. 将来の拡張性を考慮した選定を

ビジネスの成長に伴い、リソースの拡張が必要になる可能性は高いです。
そのため、以下の点も確認しておきましょう。

  • 隣接ラックの確保が可能か
  • 他拠点との連携(マルチサイト構成)が取れるか
  • ハイブリッドクラウドやマネージドサービスとの親和性

その結果、「今の最適」だけでなく「将来も続けて使える」データセンターかどうかが選定の鍵になります。

最新トレンド・将来展望

テクノロジーの進化により、データセンターは単なる「情報の保管庫」から、「社会インフラの中核」へと進化しています。

とくにAI、再生可能エネルギー、そしてエッジコンピューティングといった潮流が、データセンターのあり方を大きく変えようとしています。

ここでは、今後注目すべき3つのトレンドについて解説します。


6‑1. AI時代におけるデータセンターの変化

6-1-1. AIがもたらす負荷と必要性の変化

ChatGPTをはじめとする生成AIや、機械学習、大規模言語モデルの利用拡大により、AI専用の高性能なデータセンターが急速に求められるようになっています。

AI処理には、以下のような特性があります:

  • 膨大な演算処理:GPUやTPUなど高性能チップの大量導入が必要
  • 高密度な電力消費:従来のデータセンターよりも電力需要が高い
  • リアルタイム処理能力:遅延の少ない環境が求められる

そのため、AI時代のデータセンターでは、従来の設計では対応しきれない課題が顕在化しています。

6-1-2. AIインフラ対応の新たな潮流

AI向けデータセンターの進化ポイント:

  • 高性能GPUに特化した「AIデータセンター」の登場
  • 冷却効率を高める液冷技術の導入
  • AIによるデータセンター運用最適化(省エネ・障害予測)

つまり、AIがAIを支える時代が到来しているのです。


6‑2. 再生可能エネルギー・カーボンニュートラル化

6-2-1. なぜ環境対応が急務なのか?

データセンターは今や、電力消費が非常に大きい産業の一つです。
世界中で気候変動対策が進む中、企業は脱炭素への対応が経営課題の一つとなっています。

たとえば:

  • データセンター単体で、数千〜数万世帯分の電力を消費
  • サーバーや冷却設備の稼働によるCO₂排出が問題視
  • 環境認証(LEED、ISO14001など)の取得が社会的要請に

このような背景から、「環境に配慮したデータセンターか?」が企業選定の基準になりつつあります。

6-2-2. カーボンニュートラル化に向けた取り組み

再生可能エネルギーを活用したデータセンターの事例も増加しています。

主な取り組み例:

  • 太陽光・風力・地熱発電との連携
  • AIを使った消費電力の最適化
  • 自然冷却技術(外気冷却)による空調負荷の低減
  • PUE(Power Usage Effectiveness)の改善

このように、持続可能なITインフラとしてのデータセンター設計が急速に進んでいます。


6‑3. エッジコンピューティング・分散型 DC の拡張

6-3-1. エッジコンピューティングとは?

エッジコンピューティングとは、データ処理をユーザーや機器の近くで行う分散型のコンピューティングモデルです。
これにより、リアルタイム性の向上やネットワーク負荷の軽減が可能になります。

活用が進む分野:

  • 自動運転
  • スマートファクトリー(製造現場)
  • IoTセンサー管理(農業、物流)
  • 医療現場での診断支援

つまり、クラウド中心の集中型から、「必要な場所で必要な処理をする」時代へと移行しているのです。

6-3-2. 分散型データセンターの台頭

この流れを受けて、小規模・低遅延のエッジデータセンターが急速に拡大しています。

特徴:

  • 地方都市や郊外にも設置可能
  • 少人数で運用できるコンパクトな設計
  • クラウドと連携する「ハイブリッドDC」としての役割も

結果として、今後は「中央の大型DC」+「地方のエッジDC」というハイブリッド構成が主流になる可能性が高まっています。

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