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RSUとは?株式報酬の仕組み・ストックオプションとの違いを徹底解説!

「RSUとは何?ストックオプションとはどう違うの?」「受け取ったときの税金や売却のタイミングが分からない…」そんな疑問を持っていませんか?

RSU(譲渡制限付株式ユニット)は、企業が従業員に提供する株式報酬の一種で、給与とは異なる魅力的な報酬制度です。

しかし、仕組みや税金の扱い、最適な活用方法を知らないと、思わぬ損をする可能性もあります。

この記事では、RSUの基本からメリット・デメリット、税金対策、売却のポイント、企業の導入事例まで徹底解説。

RSUを最大限に活用するための知識を、初心者にも分かりやすくお伝えします。

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この記事は以下のような人におすすめ!

  • RSU(Restricted Stock Units、譲渡制限付株式ユニット)とは何か知りたい人
  • トックオプションとRSUは何が違うのか知りたい
  • SOとRSUは、どちらが得なのか知りたい

RSU(譲渡制限付株式ユニット)とは

RSU(Restricted Stock Units、譲渡制限付株式ユニット)とは、企業が従業員に対して付与する株式報酬の一種です。

特定の条件(勤続期間の達成や業績目標の達成など)を満たすことで、従業員が株式を受け取ることができます。

特に、外資系企業やスタートアップ企業で広く採用されており、従業員のインセンティブとして活用されています。

従業員にとっては、長期的な報酬の確保や会社の成長に直接関与できるメリットがあり、企業にとっては優秀な人材の確保やモチベーション向上につながる制度です。

以下では、RSUの基本概念や仕組み、ストックオプションとの違いについて詳しく解説します。


1-1. RSUの基本概念と仕組み

RSU(譲渡制限付株式ユニット)は、企業が従業員に付与する株式報酬の一つですが、すぐに自由に売却できるわけではありません。

一定の条件を満たした後に正式に株式を受け取ることができるため、企業と従業員の双方にとってメリットがあります。

1-1-1. RSUの基本的な仕組み

RSUの仕組みを簡単に説明すると、以下のような流れになります。

  1. RSUの付与(Grant)
    • 企業が従業員に対して「○○株のRSUを付与する」と通知します。
    • ただし、すぐに受け取れるわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。
  2. 権利確定(Vesting)
    • RSUは、多くの場合「一定期間の勤続」や「業績目標の達成」などの条件を満たした後に正式に確定します。
    • 例えば、「3年間勤務を続けた場合に、付与されたRSUの100%を取得できる」といった形です。
  3. 株式の受け取り(Settlement)
    • 権利確定後、従業員は実際の株式を受け取ります。
    • 株式が発行された時点で課税対象となる場合が多いため、税務上の取り扱いも重要です。

1-1-2. RSUの活用が進む理由

なぜ企業はRSUを採用するのでしょうか? その理由として、以下の点が挙げられます。

  • 従業員のモチベーション向上:企業の成長と報酬が連動するため、業績向上への意識が高まる
  • 優秀な人材の確保と維持:長期インセンティブとなるため、従業員の離職防止につながる
  • 企業のキャッシュフロー維持:ストックオプションと異なり、株式の発行を後にできるため、現金の支出を抑えられる

1-2. RSUとストックオプションの違い

RSUとストックオプション(Stock Option)はどちらも企業が従業員に提供する株式報酬ですが、仕組みや税務上の扱いに大きな違いがあります。

1-2-1. RSUとストックオプションの主な違い

項目RSU(譲渡制限付株式ユニット)ストックオプション
付与時点での価値企業が決めた株数を確定的に付与従業員は権利を行使して購入
権利確定(Vesting)勤務年数や業績条件を満たすと自動で受け取る権利確定後、自ら行使しなければならない
課税タイミング権利確定時に課税権利行使時および売却時に課税
メリット価値が保証されており、無償で受け取れる将来的に株価が上がれば大きな利益を得られる
デメリット株価が下がると受け取る価値も下がる行使価格より株価が低いとメリットがない

1-2-2. どちらを選ぶべきか?

従業員にとって、RSUとストックオプションのどちらが有利かは、以下の要因によります。

  • リスクを抑えたい場合 → RSUが適している(確定した株式報酬として受け取れるため)
  • 将来的な株価上昇を期待する場合 → ストックオプションが適している(低価格で株を購入し、高く売却できる可能性があるため)

企業側の視点では、

  • 安定的な報酬を提供したいならRSU
  • 従業員のリスクテイクを促したいならストックオプション
    といった使い分けがされています。

RSUのメリットとデメリット

RSU(譲渡制限付株式ユニット)は、企業が従業員に対して付与する株式報酬制度の一つです。

長期的なインセンティブとして、多くの企業が採用していますが、メリットとデメリットが存在します。

RSUとは何かを理解した上で、その利点とリスクを知ることは、企業側・従業員側の双方にとって重要です。

ここでは、RSUのメリットとデメリットについて詳しく解説します。


2-1. RSUのメリット

RSUを導入することには、従業員と企業の双方にさまざまなメリットがあります。ここでは、主な利点を詳しく見ていきましょう。

2-1-1. 従業員にとってのメリット

RSUを受け取る従業員には、以下のようなメリットがあります。

  1. 確実に株式を受け取れる
    • ストックオプションとは異なり、権利確定(Vesting)後に自動的に株式が付与されるため、確実に資産を得ることができます。
    • そのため、株価が大幅に変動しても権利を失うリスクが少ないです。
  2. 株価が上昇すれば大きなリターンが得られる
    • RSUは企業の株式として付与されるため、権利確定後に株価が上昇すれば、その分利益が増えます。
    • 例えば、付与時に1株1000円だったRSUが、権利確定時に2000円に上昇していた場合、資産価値が倍になる可能性があります。
  3. 初期コストが不要
    • ストックオプションでは、権利行使時に一定の購入費用(行使価格)が必要ですが、RSUは無償で受け取ることができます。
    • そのため、従業員の金銭的負担が少なく、リスクを抑えながら資産形成が可能です。
  4. 退職後も株式を保持できる可能性がある
    • 企業によっては、RSUの権利が確定した後であれば、退職後もその株式を保持できる場合があります。
    • 長期的な資産形成に活用できる点も魅力です。

2-1-2. 企業にとってのメリット

RSUを導入することで、企業側にも以下のようなメリットがあります。

  1. 優秀な人材の確保と定着
    • RSUは、一定期間の勤務が必要なため、従業員の離職を抑制する効果があります。
    • 長期的に会社に貢献するインセンティブとなり、特にスタートアップや成長企業での導入が進んでいます。
  2. 企業のキャッシュフローに影響を与えにくい
    • RSUは株式を活用するため、現金の支出を抑えながら従業員に報酬を提供できます。
    • これにより、企業の資金繰りを維持しながら、優秀な人材に報いることが可能です。
  3. 従業員のモチベーション向上
    • RSUを通じて企業の成長が従業員の資産に直結するため、業績向上への意欲が高まります。
    • 企業の業績が上がれば、従業員の報酬も増えるという好循環が生まれます。

2-2. RSUのデメリット

RSUには多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットやリスクもあります。

ここでは、RSUの注意点を詳しく解説します。

2-2-1. 従業員にとってのデメリット

  1. 税金の負担が発生する
    • RSUは、権利確定(Vesting)した時点で課税対象となるため、株を売却しなくても所得税が発生します。
    • 特に、高額のRSUを受け取る場合、予想以上の税負担が生じる可能性があるため、事前の計画が重要です。
  2. 株価の下落リスクがある
    • RSUは企業の株価に連動するため、権利確定後に株価が下落すると、受け取る価値が大幅に減少する可能性があります。
    • 例えば、権利確定時に1株2000円だった株が、売却時に1000円まで下がっていた場合、資産価値は半減します。
  3. 現金化のタイミングが制約される
    • RSUの権利確定後も、すぐに売却できるとは限りません。企業によっては、一定期間の保有を義務付けるケースもあります。
    • そのため、急に資金が必要になった場合でも、すぐに現金化できないリスクがあります。

2-2-2. 企業にとってのデメリット

  1. 株式の希薄化が起こる
    • RSUを発行すると、新たな株式が市場に供給されるため、既存の株主の持ち分が希薄化するリスクがあります。
    • 特に、大量のRSUを発行すると、1株あたりの価値が下がる可能性があるため、慎重な計画が必要です。
  2. 従業員の税負担による不満の可能性
    • 権利確定時に課税されることを知らない従業員が多く、突然の税負担に対して不満を抱くケースがあります。
    • そのため、RSUの導入時には、事前に税務上のリスクを十分に説明する必要があります。
  3. 短期的な株価変動の影響を受けやすい
    • RSUを導入すると、従業員の報酬が株価に大きく左右されるため、市場の変動に敏感になりすぎる可能性があります。
    • 特に株価が下落すると、従業員のモチベーション低下につながる恐れがあります。

RSUの税務処理と会計処理

RSU(譲渡制限付株式ユニット)は、企業が従業員に付与する株式報酬の一つですが、税務や会計処理に関するルールを理解しておくことが重要です。

従業員(受領者側)にとっては、RSUを受け取ることで課税対象となるため、適切な税金対策が求められます。一方、企業側も、RSUの付与に伴う会計処理を適切に行う必要があります。

本記事では、RSUの税務処理と会計処理について、従業員側・企業側の視点から詳しく解説します。


3-1. 受領者側の税務処理

RSUを受け取る従業員にとって、税金の負担を正しく理解することは非常に重要です。

RSUの税務処理は、以下のタイミングで課税が発生します。

3-1-1. RSUの課税タイミング

RSUの税金は、以下の2つのタイミングで発生します。

  1. 権利確定時(Vesting)
    • RSUの権利が確定した時点で、その株式の時価相当額が「給与所得」として課税されます。
    • これは、企業から「現金の代わりに株式を受け取った」とみなされるためです。
    • 例えば、100株のRSUが権利確定し、1株の時価が5000円の場合、「5000円 × 100株 = 50万円」が課税対象となります。
  2. 売却時
    • 権利確定後、実際に株式を売却すると、売却時の株価と権利確定時の株価との差額が「譲渡所得」として課税されます。
    • 例えば、権利確定時に5000円だった株を、後に7000円で売却した場合、差額の「2000円 × 100株 = 20万円」が課税対象となります。

3-1-2. RSUの税率と計算方法

RSUの税金は、給与所得として課税される部分と、譲渡所得として課税される部分で異なります。

課税タイミング課税所得の種類税率の目安
権利確定時給与所得所得税+住民税(最大55%)
売却時譲渡所得約20%(所得税15%+住民税5%)

したがって、税負担を軽減するためには、権利確定時の税金を考慮しつつ、売却のタイミングを慎重に判断することが重要です。

3-1-3. 税金対策のポイント

RSUの税金負担を軽減するために、以下のような対策が考えられます。

  • 売却タイミングの調整
    • 株価が上昇したタイミングで売却すると、譲渡所得が増えるため、税負担が高くなります。
    • 一方で、株価が下落すると損失が発生し、税負担が軽減される可能性もあるため、売却時期を慎重に選びましょう。
  • 確定申告で控除を活用
    • 譲渡所得には「損益通算」や「繰越控除」といった制度があり、過去の損失を利用して税金を抑えることが可能です。
  • 税理士に相談する
    • 高額のRSUを受け取る場合、専門家に相談することで最適な税務戦略を立てることができます。

3-2. 企業側の会計処理

企業がRSUを導入する場合、会計処理を適切に行うことが求められます。

RSUは従業員に対する報酬として扱われるため、会計上の処理も重要です。

3-2-1. RSUの費用計上方法

RSUは「株式報酬」として会計処理され、付与時点ではなく、権利確定までの期間にわたって費用として計上されます。

具体的には、以下のような会計処理が必要です。

  1. RSUの公正価値を算定
    • RSUの費用計上額は、付与時点の株価(公正価値)を基準に算定されます。
    • 例えば、1000株のRSUを1株5000円で付与した場合、「5000円 × 1000株 = 500万円」が費用計上の対象となります。
  2. 権利確定までの期間で費用を按分
    • RSUの権利確定が3年間にわたる場合、500万円の費用を3年間で分割して計上します。
    • つまり、「500万円 ÷ 3年 = 166.6万円」が毎年の費用として計上されます。
  3. 権利確定時の株式発行
    • 権利確定後、従業員に実際に株式が発行されるため、株式資本として計上します。

3-2-2. 企業にとっての会計上の影響

企業にとって、RSUの会計処理は以下のような影響を及ぼします。

  • 純利益の減少
    • RSUの費用計上により、短期的には純利益が減少します。
    • そのため、投資家への説明責任を果たすためにも、適切な財務戦略が必要です。
  • 株式の希薄化
    • RSUの発行により、新たな株式が市場に供給されるため、1株あたりの価値が希薄化する可能性があります。
    • これを防ぐために、企業は株式の買戻しを行うこともあります。
  • 税制優遇措置の活用
    • 企業によっては、RSUの導入により税制優遇措置を受けることができる場合があります。
    • 例えば、特定の条件を満たすと法人税の控除対象となることもあります。

RSUの導入事例

RSU(譲渡制限付株式ユニット)は、企業が従業員に対して付与する株式報酬の一種であり、近年、多くの企業が導入を進めています。

以下では、国内企業と外資系企業の導入事例を紹介し、それぞれの背景や目的を解説します。


4-1. 国内企業の導入事例

日本企業においても、RSUの導入が進んでいます。

ここでは、具体的な事例を挙げて、その背景や目的を探ります。

4-1-1. メルカリのRSU導入

株式会社メルカリは、2018年12月にインセンティブ制度を刷新し、RSUの導入を発表しました。 ​

同社は上場後すぐに、海外拠点を含む大半の社員にRSUを付与することを決定しました。​社員はRSUによる報酬の内、50%を株式、残りの50%を現金で受け取る設計になっています。 ​

この導入の背景には、「会社の成長(企業価値の向上)と結果に社員全員でコミットしたい」という経営陣の想いがあります。​

RSUによって社員に「当事者意識」を芽生えさせ、自覚や責任を持たせることが期待されています。 ​

また、RSUの導入により、優秀な人材の確保と定着を図る狙いもありました。​

4-1-2. ソニーグループのRSU導入

ソニーグループは、2022年に新たな株式報酬制度としてRSUを導入しました。 ​この導入は、グローバルな人材競争力を高めるための戦略の一環として行われました。​RSUの導入により、従業員のモチベーション向上や企業価値の共有を促進し、長期的な成長を目指しています。​


4-2. 外資系企業の導入事例

外資系企業では、RSUの導入が一般的であり、多くの企業が従業員へのインセンティブとして活用しています。

4-2-1. 外資系企業におけるRSUの一般的な導入

多くの外資系企業では、RSUが長期的なインセンティブプランとして導入されています。

​従業員は、入社時に数百万円分のRSUを付与され、1年ごとに4分の1ずつ権利が確定していくケースが一般的です。 

このような制度により、従業員の長期的なコミットメントを促し、企業の成長と個人の利益を連動させることが可能となっています。​

4-2-2. 外資系企業におけるRSUの活用と課題

外資系企業では、RSUが報酬制度の一環として広く採用されていますが、退職時の取り扱いや税務上の処理が課題となることがあります。 ​

従業員が退職する際、未確定のRSUの取り扱いや、確定済みのRSUに対する税務処理など、適切な対応が求められます。

​これらの課題に対応するため、専門家の助言を受けることが重要とされています。​

RSU導入時の注意点

RSU(譲渡制限付株式ユニット)は、企業が従業員に対して提供する株式報酬の一つであり、優秀な人材の確保やモチベーション向上の手段として活用されています。

しかし、RSUを導入する際には、企業側・受領者側の双方にとって注意すべき点があります。

ここでは、RSU導入時の重要なポイントを解説します。


5-1. 企業側の注意点

企業がRSUを導入する際には、株式報酬制度としてのメリットを最大限に活かしつつ、リスクを最小限に抑えることが重要です。

以下に、企業側が考慮すべきポイントを詳しく解説します。

5-1-1. RSUの付与条件の設定

RSUを導入する際、「どのような条件で付与するのか」 を明確に定めることが必要です。

適切な付与条件を設定しなければ、期待する効果が得られない可能性があります。

具体的には、以下のような点を考慮する必要があります。

  • 権利確定(Vesting)条件
    • 勤続年数ベース:一定期間勤務すれば確定する(例:3年間で100%確定)
    • 業績ベース:会社の業績目標を達成した場合に確定する
  • 付与対象の範囲
    • 経営層のみか、それとも全社員に適用するのか
    • フルタイム社員だけでなく、パートタイムや契約社員も対象にするのか
  • 付与頻度
    • 1回限りなのか、毎年継続的に付与するのか

5-1-2. 会計処理と税務処理の整備

RSUを導入する際、企業の財務にどのような影響を与えるかを事前に把握しておくことが重要です。

  • 費用計上の影響
    • RSUの費用は、権利確定までの期間に分割して計上されます。
    • そのため、短期的には純利益が減少する可能性があります。
  • 税務上の考慮点
    • 企業側では、RSUの付与によって法人税の控除が可能な場合があります。
    • しかし、RSUの付与額が大きくなると、課税負担が増すため、税務戦略の検討が必要です。

5-1-3. 株式の希薄化リスク

RSUを発行すると、新たな株式が市場に供給されるため、既存の株主の持ち分が希薄化する可能性があります。

希薄化を防ぐための対策として、以下のような方法が考えられます。

  • 自己株式の活用:新株発行ではなく、自己株式を用いることで希薄化を抑える
  • 段階的な付与:一度に大量のRSUを発行するのではなく、段階的に付与することで影響を緩和

5-2. 受領者側の注意点

RSUを受け取る従業員にとっても、メリットだけでなくリスクが存在します。

適切な知識を持ち、賢く活用することが重要です。

5-2-1. 税金の負担に注意

RSUの最大の注意点の一つが、税金の負担 です。

RSUは 権利確定時(Vesting) に給与所得として課税され、さらに 売却時 に譲渡所得として税金が発生します。

課税タイミング課税対象税率
権利確定時給与所得所得税+住民税(最大55%)
売却時譲渡所得約20%(所得税15%+住民税5%)

例えば、以下のケースを考えてみましょう。

  • 100株のRSUが権利確定し、1株5000円の価値がある場合 → 50万円が給与所得として課税
  • その後、1株7000円で売却した場合 → 20万円(7000円 – 5000円 × 100株)が譲渡所得として課税

税金対策としては、以下のような方法が考えられます。

  • 権利確定後すぐに売却しない → 株価が低い時に売却すれば、譲渡所得税を抑えられる
  • 確定申告で損益通算を活用 → 他の株式投資の損失と相殺することで税負担を軽減

5-2-2. 株価の変動リスク

RSUは株式報酬のため、企業の株価が下がると、受け取る価値も減少 します。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 権利確定時に 1株5000円 → 100株で 50万円の価値
  • しかし、市場変動により1株 3000円 まで下落 → 100株で 30万円の価値 に減少

これを防ぐための対策として、以下のようなポイントを考慮すると良いでしょう。

  • 分散投資を行う → RSU以外の資産を持ち、リスクを分散する
  • 売却タイミングを分ける → 一度に全て売却せず、数回に分けて売却する

5-2-3. 退職時の取り扱い

RSUの契約内容によっては、退職時に未確定のRSUが無効になる場合があります。

企業によって異なりますが、一般的なルールは以下の通りです。

  • 退職後も確定済みのRSUは保持可能
  • 未確定のRSUは消滅するケースが多い

そのため、転職を考えている場合は、RSUの権利確定スケジュールを確認し、適切なタイミングで判断することが重要です。

RSUに関するよくある質問

RSU(譲渡制限付株式ユニット)は、企業が従業員に提供する株式報酬の一つですが、他の株式報酬制度とどのように違うのでしょうか?

株式報酬制度には、RSUのほかにストックオプション(SO)譲渡制限付株式(RSA)などがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。

自分にとって最適な制度を理解するために、ここではRSUと他の株式報酬制度の比較を詳しく解説します。


6-1. RSUと他の株式報酬制度との比較

RSUとは、企業が従業員に一定の条件付きで株式を付与する制度ですが、同じ株式報酬制度の中にはストックオプションやRSAといった類似の仕組みも存在します。

ここでは、それぞれの制度の違いを比較し、メリット・デメリットを解説します。


6-1-1. RSUとストックオプション(SO)の違い

RSUとストックオプション(Stock Option, SO)はどちらも株式報酬の一種ですが、決定的な違いがあります。

項目RSU(譲渡制限付株式ユニット)ストックオプション(SO)
付与の仕組み企業が無償で株式を付与従業員が設定された価格で株を購入する権利を得る
権利確定(Vesting)一定期間の勤務後、自動的に株を受け取る権利確定後、従業員がオプションを行使しないと株を得られない
リスク受け取る時点で株価が下がっている可能性がある株価が行使価格を下回ると価値がゼロになる
税金権利確定時に給与所得として課税行使時と売却時に課税
適している人リスクを抑えつつ株を取得したい人将来的な株価上昇を期待する人

RSUが向いている人:リスクを抑えながら、確実に株式報酬を得たい従業員
ストックオプションが向いている人:リスクを取ってでも、大きなリターンを狙いたい従業員

したがって、安定した報酬を求めるならRSU、ハイリスク・ハイリターンを狙うならストックオプションが適しています。


6-1-2. RSUと譲渡制限付株式(RSA)の違い

RSUと似た制度として、譲渡制限付株式(Restricted Stock Award, RSA) があります。

項目RSU(譲渡制限付株式ユニット)RSA(譲渡制限付株式)
付与の仕組み権利確定まで実際の株式は発行されない付与時にすぐに株式が発行される
税金の発生時期権利確定時に給与所得として課税付与時に給与所得として課税(但し選択肢あり)
リスク株価が下落すると受け取る価値が減る付与後すぐに株価変動の影響を受ける
適している人税金の発生を遅らせたい人すぐに株式を持ちたい人

RSUが向いている人:権利確定まで税金を支払いたくない人
RSAが向いている人:すぐに株主としての権利を得たい人

RSAは、付与時にすぐに株式が発行されるため、株主権利(配当や議決権)を早期に得られるメリットがあります。

ただし、すぐに税金が発生するため、税務計画が重要になります。


6-1-3. RSUと他の株式報酬制度のまとめ

以下の表に、RSU、ストックオプション(SO)、譲渡制限付株式(RSA)を比較してまとめました。

項目RSUストックオプション(SO)RSA
株の受け取り方法権利確定後、自動で受け取る権利確定後、行使価格を支払って取得付与時にすぐに取得
権利確定までのリスクなし(ただし株価変動の影響あり)株価が行使価格を下回ると価値なし株価変動リスクがすぐに発生
税金の発生タイミング権利確定時行使時と売却時付与時(ただし税制選択肢あり)
適している人リスクを抑えて確実に株を得たい人将来の株価上昇を狙いたい人すぐに株主権利を得たい人