メールを送信しようとしたのに「SMTP認証エラー」が発生して送れない、設定方法がわからない、送信したメールが迷惑メール扱いされてしまう——そんなトラブルに悩んでいませんか?
SMTP認証は、安全にメールを送信するための重要な仕組みですが、設定ミスや認証エラーが発生するとメールが送れなくなることがあります。
本記事では、SMTP認証の基本から設定方法、エラー解決策、さらにメールの信頼性を高める方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
「メールが届かない」「エラーが出る」そんな悩みを解決し、安心してメールを送れる環境を整えましょう!
この記事は以下のような人におすすめ!
- SMTP認証とは何か知りたい人
- メールソフト(Outlook・Thunderbird)でSMTP認証を設定しようとしたが、正しく設定できない
- プリンターや複合機からスキャンデータをメール送信したいが、SMTP認証の設定方法がわからない
SMTP認証とは
メールを送信する際に、なりすましや不正利用を防ぐための仕組みの一つに「SMTP認証(SMTP Authentication)」があります。
この認証は、メール送信時にユーザー名とパスワードを使用して送信者の正当性を確認し、悪意のある第三者が無断でメールを送信するのを防ぐ役割を果たします。
SMTP認証が適切に設定されていないと、スパムメールの送信に悪用されたり、メールが送信できなくなったりする可能性があります。
そのため、SMTP認証の基本を理解し、適切に設定することが重要です。
ここでは、SMTP認証の概要とその仕組みについて詳しく解説していきます。
1-1. SMTP認証の概要
1-1-1. SMTP認証(SMTP-AUTH)の基本的な説明
SMTP認証(SMTP-AUTH)とは、メールを送信する際に送信者の本人確認を行うための認証方式です。
通常、SMTPサーバーを利用してメールを送信する際、サーバーは誰でもメールを送れるようにするとセキュリティ上の問題が発生します。
SMTP認証を導入することで、メールの送信者が事前に登録された正当なユーザーであることを確認し、不正なメール送信を防ぐことができます。
これにより、企業や個人のメールアカウントがスパムメールの踏み台として利用されるリスクが軽減されます。
SMTP認証の基本的な仕組みは、以下のようになります。
- メールクライアント(例:Outlook、Thunderbird)がSMTPサーバーに接続
- SMTPサーバーがユーザー認証を要求
- メールクライアントがユーザー名とパスワードを送信
- SMTPサーバーが認証情報を確認
- 認証が成功した場合のみメールを送信可能にする
このように、SMTP認証はメール送信時に正しい認証情報が必要となる仕組みであり、スパムメール対策やセキュリティ向上に貢献します。
1-1-2. SMTP認証が必要とされる背景
SMTP認証が広く普及するようになった背景には、スパムメールやフィッシング詐欺の増加が大きく関係しています。
以前は、SMTPサーバーは「オープンリレー(誰でも自由にメールを送信できる)」という設定が一般的でした。
しかし、この仕組みでは第三者が勝手にメールを送信することが可能であり、スパムメールの温床となってしまいました。
そこで、送信者の本人確認を行うSMTP認証が導入され、メールサーバーが認証済みのユーザーにのみメール送信を許可するようになりました。
SMTP認証が必要とされる主な理由は以下の通りです。
理由 | 詳細 |
---|---|
スパムメール対策 | SMTP認証を行うことで、不正なメール送信を防ぎ、スパムメールの踏み台にされるのを防ぐ。 |
メールの送信制限回避 | ISP(インターネットサービスプロバイダ)が施行する「OP25B」により、SMTP認証なしではメール送信が制限されることがある。 |
企業のセキュリティ向上 | 業務メールのなりすましを防ぎ、情報漏洩リスクを低減する。 |
このように、SMTP認証は現在のメール環境において不可欠なセキュリティ対策の一つとなっています。
1-2. SMTP認証の仕組み
1-2-1. ユーザー名とパスワードによる認証プロセス
SMTP認証は、メールを送信する際に「ユーザー名」と「パスワード」を用いて本人確認を行う方式です。
これは、Webサイトへのログインと同様の仕組みで、正しい認証情報を入力しない限り、SMTPサーバーを経由してメールを送信することができません。
SMTP認証のプロセスは以下のように進行します。
- メールクライアント(Outlook、Thunderbirdなど)がSMTPサーバーに接続する。
- サーバーが認証を要求する。
- クライアントが設定されたユーザー名とパスワードを送信する。
- サーバーが認証情報を確認し、正しければメールの送信を許可する。
この認証プロセスにより、正規のユーザーのみがSMTPサーバーを利用できるようになり、第三者による不正なメール送信を防ぐことができます。
1-2-2. 認証方式の種類(例:LOGIN、PLAIN、CRAM-MD5)
SMTP認証には、いくつかの異なる認証方式が存在します。
主な方式として、以下の3つがよく使用されます。
認証方式 | 説明 |
---|---|
LOGIN | ユーザー名とパスワードをBase64エンコードして送信するシンプルな方式。 |
PLAIN | 平文(プレーンテキスト)でユーザー名とパスワードを送信する方式。暗号化されていない通信では安全性に欠ける。 |
CRAM-MD5 | ハッシュ関数を使用してパスワードを暗号化し、安全性を向上させた方式。 |
一般的には、より安全な認証方式を選択することが推奨されます。
特に、「PLAIN」や「LOGIN」は暗号化されていない通信(SSL/TLS未使用)では安全性が低いため、TLSを有効にしたうえで使用することが重要です。
SMTP認証の必要性
SMTP認証は、メールの送信時に送信者の正当性を確認するための仕組みです。
この認証を行うことで、不正なメール送信を防ぎ、メールのセキュリティを強化できます。SMTP認証の必要性は、大きく分けて以下の2つの理由があります。
- セキュリティ向上(スパムメールや不正利用の防止、メール送信の安全性確保)
- メール送信制限の回避(OP25Bの影響を受けずにメールを送信するため)
ここでは、SMTP認証がなぜ重要なのかを詳しく解説していきます。
2-1. セキュリティ向上
SMTP認証は、メールのセキュリティを確保する上で不可欠な要素です。
特に、スパムメールの防止や、送信メールの信頼性向上に大きく貢献します。
2-1-1. スパムメールや不正利用の防止
インターネット上では、スパムメールやフィッシング詐欺が急増しています。
SMTP認証を導入することで、以下のようなセキュリティリスクを回避できます。
SMTP認証の導入によるメリット | 詳細 |
---|---|
スパムメールの送信を防ぐ | SMTP認証がないと、第三者がSMTPサーバーを悪用してスパムメールを送信できてしまう。 |
アカウントの不正利用を防止 | ユーザー名とパスワードによる認証を行うため、不正なメール送信を防げる。 |
メールのなりすましを防ぐ | 認証された送信者のみがSMTPサーバーを利用できるため、信頼性のあるメールを送信可能。 |
SMTP認証が適切に設定されていないと、スパム業者がSMTPサーバーを悪用し、大量の迷惑メールを送信する可能性があります。
その結果、正規のユーザーのメールまでブロックされるリスクが高まるため、SMTP認証は必須のセキュリティ対策といえます。
2-1-2. メール送信の安全性確保
SMTP認証を使用することで、メール送信時の安全性が確保されます。
特に、以下のようなセキュリティ強化が可能になります。
- 暗号化(TLS/SSL)との併用による通信の保護
SMTP認証とTLS/SSL(セキュアな通信プロトコル)を組み合わせることで、認証情報の盗聴を防ぐことができます。特に、公共のWi-Fiなどを利用してメールを送信する場合、暗号化なしでは認証情報が盗まれる危険性が高まります。 - 送信メールの正当性を保証
SMTP認証がないと、第三者が他人のメールアドレスを偽装してメールを送信することが可能になります。SMTP認証を導入すれば、正規のユーザーのみがメールを送信できるため、なりすましメールのリスクを軽減できます。
以上のように、SMTP認証はメールのセキュリティを強化し、安全なメール送信を実現するために欠かせない仕組みです。
2-2. メール送信制限の回避
SMTP認証が必要なもう一つの理由は、「メール送信制限の回避」です。
特に、ISP(インターネットサービスプロバイダ)が施行する「OP25B(Outbound Port 25 Blocking)」による影響を受けずにメールを送信するために、SMTP認証が推奨されています。
2-2-1. OP25B(Outbound Port 25 Blocking)とは
「OP25B」とは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)が施行する「25番ポートの送信制限」のことです。
以前は、SMTPサーバーへの接続には25番ポートが一般的に使用されていました。
しかし、25番ポートは認証なしでもメールを送信できるため、スパムメールの温床となるケースが増えました。
そこで、多くのISPがこの25番ポートをブロックすることで、不正なメール送信を防ぐ対策をとるようになりました。
つまり、SMTP認証なしでメールを送信しようとすると、ISPによって通信が遮断され、メールが送れなくなる可能性があるのです。
2-2-2. 代替ポート(587番ポート)の利用とSMTP認証
OP25Bの影響を受けずにメールを送信するためには、SMTP認証を利用し、25番ポートではなく「587番ポート」を使用するのが一般的です。
ポート番号 | 用途 | SMTP認証の有無 |
---|---|---|
25番ポート | 旧来のSMTP送信用ポート | 認証なし(ISPによりブロックされることが多い) |
587番ポート | メール送信専用ポート | SMTP認証必須 |
465番ポート | SSL/TLSを使用した暗号化SMTP | SMTP認証必須 |
587番ポートを使用し、SMTP認証を適切に設定すれば、OP25Bの影響を受けることなく安全にメールを送信できます。
特に、企業メールや独自ドメインのメールを運用する場合、SMTP認証と587番ポートの組み合わせは標準的な設定となっています。
SMTP認証の設定方法
SMTP認証を適切に設定することで、安全かつ確実にメールを送信できるようになります。
特に、メールクライアント(OutlookやThunderbirdなど)や複合機・プリンターからのメール送信時には、SMTP認証が正しく設定されていないとメールが送信できないことがあります。
ここでは、主要なメールクライアントや複合機でのSMTP認証の設定方法について詳しく解説します。
3-1. メールクライアントでの設定
SMTP認証は、OutlookやThunderbirdなどのメールクライアントで適切に設定する必要があります。
メールクライアントによって設定手順が異なりますが、基本的な流れはほぼ共通しています。
ここでは、一般的なメールクライアントにおけるSMTP認証の設定手順を紹介します。
3-1-1. OutlookでのSMTP認証設定
Microsoft Outlookを使用している場合、SMTP認証を設定することでメールの送信が可能になります。以下の手順で設定を行います。
- Outlookを開く
- 「ファイル」メニューをクリックし、「アカウント設定」を開く
- 該当するメールアカウントを選択し、「変更」をクリック
- 「詳細設定」ボタンをクリックし、「送信サーバー」タブを開く
- 「送信サーバー(SMTP)は認証が必要」にチェックを入れる
- 「受信メールサーバーと同じ設定を使用する」を選択
- 「詳細設定」タブで、SMTPポートを587に設定
- 暗号化の種類を「TLS」に設定
- 「OK」をクリックし、設定を保存
- 「次へ」をクリックして、設定をテスト
この設定により、SMTP認証を利用したメール送信が可能になります。
3-1-2. ThunderbirdでのSMTP認証設定
Mozilla Thunderbirdを使用している場合のSMTP認証の設定方法は以下の通りです。
- Thunderbirdを開く
- 「メニュー」から「アカウント設定」を開く
- 「送信(SMTP)サーバー」を選択
- 使用するSMTPサーバーを選択し、「編集」ボタンをクリック
- 「認証方式」を「通常のパスワード認証」に設定
- 「ユーザー名」にメールアドレスを入力
- ポート番号を587に設定し、暗号化方式を「STARTTLS」に変更
- 設定を保存し、メール送信テストを実行
Thunderbirdでは、SMTP認証が適切に設定されていないとメールが送信できません。
特に、ポート番号や暗号化方式の設定を誤るとエラーが発生するため、注意が必要です。
3-2. 複合機やプリンターでの設定
企業やオフィスでは、複合機やプリンターを利用してスキャンした文書をメールで送信するケースがあります。
このような場合にも、SMTP認証の設定が必要になります。
3-2-1. 複合機からのメール送信時のSMTP認証設定例
複合機やプリンターでSMTP認証を設定する際の一般的な手順は以下の通りです。
- 複合機の管理画面(Webブラウザ経由)にログイン
- 「ネットワーク設定」または「メール送信設定」メニューを開く
- SMTPサーバーのアドレスを入力(例:smtp.example.com)
- ポート番号を587に設定
- 「SMTP認証を有効にする」にチェックを入れる
- 「ユーザー名」と「パスワード」を入力
- 暗号化方式を「TLS」または「SSL」に設定
- 設定を保存し、テストメールを送信
機種によって設定画面の名称や項目が異なることがありますが、基本的な設定内容は共通しています。
特に、SMTP認証を正しく設定しないとメール送信が失敗するため、ポート番号や暗号化方式の設定ミスに注意しましょう。
3-3. まとめ
SMTP認証の設定は、メールクライアントや複合機・プリンターでのメール送信において重要な役割を果たします。
特に、適切に設定しないとメールが送信できない場合があるため、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- SMTP認証を有効にする
- ポート番号は587(TLS)または465(SSL)を使用
- 正しいユーザー名とパスワードを設定
- 暗号化方式を適切に設定(TLSまたはSSL)
これらのポイントを意識しながらSMTP認証を設定することで、安全かつ確実にメールを送信できる環境を整えることができます。
SMTP認証に関するトラブルシューティング
SMTP認証を利用していると、設定ミスやサーバーの問題などでメール送信がうまくいかないことがあります。
特に、「550 User Unknown」や「554 Relay access denied」などのエラーメッセージが表示される場合は、SMTP認証の設定を見直す必要があります。
本章では、SMTP認証に関するよくあるエラーとその対処法、さらに認証情報の確認方法について詳しく解説します。
4-1. よくあるエラーと対処法
SMTP認証の設定ミスやサーバーの問題により、メール送信時にエラーが発生することがあります。
ここでは、特によく見られるエラーメッセージの原因とその解決策を紹介します。
4-1-1. 「550 User Unknown」エラーの原因と解決策
「550 User Unknown」というエラーは、メールの宛先(受信者)が存在しない場合に発生します。
このエラーが発生する主な原因と解決策を以下の表にまとめました。
原因 | 解決策 |
---|---|
受信者のメールアドレスが間違っている | 入力ミスがないか再確認し、正しいアドレスを入力する |
受信者のメールアカウントが削除されている | 別の有効なメールアドレスを使用する |
受信者のメールサーバーが問題を抱えている | しばらく時間をおいて再送信するか、別の手段で連絡を取る |
特に、メールアドレスの入力ミスが原因であるケースが多いため、エラーが出た場合はまず宛先を確認しましょう。
4-1-2. 「554 Relay access denied」エラーの原因と解決策
「554 Relay access denied」というエラーは、SMTPサーバーがメールの中継(リレー)を拒否している場合に発生します。
このエラーの主な原因と解決策は以下の通りです。
原因 | 解決策 |
---|---|
SMTP認証が無効になっている | メールクライアントの設定でSMTP認証を有効にする |
ユーザー名またはパスワードが間違っている | 認証情報を確認し、正しいものを入力する |
使用しているSMTPサーバーが送信を許可していない | プロバイダ提供のSMTPサーバーを利用しているか確認する |
特に、SMTP認証が無効になっている場合にこのエラーが発生しやすいため、設定を見直すことが重要です。
4-2. 認証情報の確認方法
SMTP認証のエラーが発生した際に、まず確認すべきなのが「ユーザー名」や「パスワード」が正しく設定されているかどうかです。
ここでは、認証情報の確認方法について詳しく解説します。
4-2-1. ユーザー名の確認方法
SMTP認証の「ユーザー名」は、多くの場合、以下のいずれかが設定されています。
- メールアドレス(例:example@example.com)
- メールアカウントのユーザーID(例:example)
一般的に、メールアドレスを「ユーザー名」として設定するケースが多いですが、メールサービスによって異なるため、メールプロバイダのマニュアルを確認するのが確実です。
ユーザー名を確認する方法:
- メールクライアントの設定画面を開く
- 「送信サーバー(SMTP)」の設定を表示
- 「ユーザー名」欄を確認する
- メールプロバイダの提供する情報と照らし合わせる
4-2-2. パスワードの確認方法
SMTP認証のパスワードは、メールアカウントのログインパスワードと同じである場合がほとんどですが、一部のメールプロバイダでは「アプリパスワード」と呼ばれる専用のパスワードを使用する必要があります。
パスワードの確認手順:
- メールクライアントの設定画面を開く
- 「送信サーバー(SMTP)」の設定を表示
- 「パスワード」欄を確認する(※通常は伏せ字表示)
- 正しいパスワードを入力しているか確認
- パスワードが不明な場合は、メールプロバイダのパスワードリセット機能を利用する
特に、GmailやYahoo!メールなどのサービスでは、セキュリティ強化のために「アプリパスワード」が必要になることがあるため、利用しているメールサービスのサポート情報を確認しましょう。
4-3. まとめ
SMTP認証に関するエラーが発生した場合、まずはエラーメッセージを確認し、適切な対処を行うことが重要です。
特に、次のポイントをチェックすることで、多くのエラーを解決できます。
- SMTP認証が有効になっているか確認
- ユーザー名とパスワードが正しく設定されているかチェック
- エラーメッセージを確認し、原因に応じた対策を講じる
- メールプロバイダのサポート情報を参照する
SMTP認証の設定を正しく行うことで、安全かつスムーズにメールを送信できる環境を整えましょう。
SMTP認証と関連する技術
SMTP認証は、メールの安全な送信を実現するための重要な仕組みですが、それだけでは完全なセキュリティ対策とは言えません。
大量のメールを送信する際には「SMTPリレーサービス」を活用することで、メール配信の効率と信頼性を向上させることができます。
また、SMTP認証と組み合わせて利用することで、なりすましメールやフィッシング詐欺を防ぐ「SPF」「DKIM」「DMARC」といったセキュリティプロトコルの設定も重要です。
ここでは、SMTPリレーサービスの活用方法と、SMTP認証と他のセキュリティプロトコルの連携について詳しく解説します。
5-1. SMTPリレーサービス
SMTPリレーサービスとは、企業やサービスプロバイダが提供する「外部のSMTPサーバーを利用して大量のメールを送信するためのサービス」のことです。
通常、個人のSMTPサーバーには送信数の制限があるため、大量のメールを一度に送信する際にはSMTPリレーサービスを利用するのが一般的です。
5-1-1. 大量メール送信時のSMTPリレーサービスの活用
大量のメールを送信する際、通常のSMTPサーバーでは次のような問題が発生することがあります。
問題点 | SMTPリレーサービスの利点 |
---|---|
送信制限に引っかかる | 送信数無制限または大量送信が可能 |
サーバー負荷が高まる | 外部のSMTPサーバーを使用するため負荷分散が可能 |
ブラックリスト登録のリスク | 信頼性の高いSMTPリレーサーバーを利用することで、迷惑メール判定を回避しやすい |
例えば、企業がニュースレターやマーケティングメールを一度に数千件送信する場合、通常のSMTPサーバーでは送信制限に引っかかり、メールがブロックされることがあります。
このような場合、SMTPリレーサービスを利用することで、スムーズにメールを配信できます。
主なSMTPリレーサービスには以下のようなものがあります。
- SendGrid(高い配信成功率とAPI連携)
- Amazon SES(低コストで大量送信が可能)
- Postmark(トランザクションメール向け)
このように、SMTPリレーサービスを活用することで、大量のメールを確実に届けることができるため、メールマーケティングや通知メールを多く送る企業には特におすすめです。
5-2. 他のセキュリティプロトコルとの連携
SMTP認証を設定していても、送信したメールが「なりすまし」と判定され、迷惑メールフォルダに入ってしまうことがあります。
これを防ぐために、SMTP認証と合わせて「SPF」「DKIM」「DMARC」などのセキュリティプロトコルを設定することが重要です。
5-2-1. SPF、DKIM、DMARCとは?
セキュリティ技術 | 概要 |
---|---|
SPF(Sender Policy Framework) | 送信元IPアドレスの正当性を確認し、不正な送信を防ぐ |
DKIM(DomainKeys Identified Mail) | 送信メールに電子署名を追加し、改ざんされていないことを証明する |
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance) | SPFとDKIMを組み合わせ、メールが正規のドメインから送信されたかどうかを検証する |
これらの技術を設定することで、メールの信頼性が向上し、なりすましメールのリスクを軽減できます。
5-2-2. SMTP認証とSPF、DKIM、DMARCの組み合わせによるセキュリティ強化
SMTP認証を設定しているだけでは、受信側のメールサーバーは「送信者が正規のユーザーであるかどうか」を判断できません。
そこで、SPF、DKIM、DMARCを組み合わせることで、なりすましメールのリスクを最小限に抑えることができます。
例えば、以下のような設定を行うことで、より安全なメール送信が可能になります。
- SPFを設定(DNSレコードに送信を許可するSMTPサーバーを登録)
- 例:
v=spf1 include:_spf.example.com ~all
- 例:
- DKIMを設定(電子署名を付与し、改ざんを防止)
- 送信時にメールヘッダーへDKIM署名を追加
- DMARCを設定(SPFとDKIMの両方を満たしているか検証し、ポリシーを適用)
- 例:
v=DMARC1; p=quarantine; rua=mailto:dmarc-reports@example.com;
- 例:
このように、SMTP認証に加えてSPF、DKIM、DMARCを適切に設定することで、メールの信頼性を向上させ、スパムやなりすましのリスクを減らすことができます。
5-3. まとめ
SMTP認証だけでは、すべてのメール送信の問題を解決することはできません。
大量メール送信を行う場合は「SMTPリレーサービス」を利用し、なりすましメール対策として「SPF」「DKIM」「DMARC」といった技術と組み合わせることが重要です。
適切な設定を行うことで、SMTP認証の効果を最大限に活用し、安全で信頼性の高いメール送信環境を構築することができます。
まとめ
SMTP認証は、安全なメール送信を実現するために不可欠な技術です。
特に、スパムメールの増加やフィッシング詐欺の巧妙化により、SMTP認証の重要性はますます高まっています。
本記事では、SMTP認証の基本から設定方法、トラブルシューティング、関連技術との連携まで詳しく解説しました。
最後に、SMTP認証の重要性を再確認するとともに、今後の展望について考えていきます。
6-1. SMTP認証の重要性と今後の展望
SMTP認証は、単にメールを送信するための仕組みではなく、サイバー攻撃から企業や個人を守る重要なセキュリティ対策の一つです。
近年のメールセキュリティの動向を踏まえると、今後もSMTP認証の役割は拡大し続けると考えられます。
6-1-1. SMTP認証の重要性
SMTP認証が重要視される理由には、以下のようなポイントがあります。
ポイント | 詳細 |
---|---|
スパムメール対策 | SMTP認証を導入することで、不正なメール送信を防止できる |
なりすましメールの防止 | 認証を強化することで、フィッシング詐欺などのリスクを軽減できる |
企業の信頼性向上 | 送信メールの正当性を保証し、受信者からの信頼を獲得できる |
特に、企業ではメールのやり取りがビジネスの根幹を支えるため、SMTP認証の適切な運用が不可欠です。
6-1-2. メールセキュリティの最新動向とSMTP認証の役割
現在、メールセキュリティを強化するために、多くの企業がSMTP認証と併せて次のような技術を導入しています。
- SPF(Sender Policy Framework)
送信元IPアドレスの正当性を確認することで、なりすましメールを防ぐ。 - DKIM(DomainKeys Identified Mail)
送信メールに電子署名を付与し、改ざんや不正な送信を防ぐ。 - DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)
SPFとDKIMを組み合わせ、ドメイン単位での認証ポリシーを適用する。
これらの技術とSMTP認証を組み合わせることで、メールの信頼性が向上し、受信者に正しく届く確率も高まります。
今後は、AIを活用したメールフィルタリング技術や、ゼロトラストセキュリティモデルとの統合が進むことで、さらに高度なメールセキュリティ対策が求められるでしょう。
6-2. 今後の対策
SMTP認証は、メール送信時の基本的なセキュリティ対策ですが、それだけでは不十分な場合もあります。
今後の対策として、以下の点を意識すると、より安全なメール環境を構築できます。
- SMTP認証を必ず有効にする(特に企業のメールサーバーでの設定を徹底)
- SPF、DKIM、DMARCの導入を検討する(なりすましや迷惑メール対策を強化)
- SMTPリレーサービスの活用(大量メール送信時の信頼性向上)
- 最新のセキュリティ動向をチェックし、適切な対策を講じる
今後もサイバー攻撃の手口は進化し続けるため、SMTP認証を適切に運用しつつ、他のセキュリティ技術と組み合わせて総合的な対策を行うことが重要です。
SMTP認証を正しく設定し、安全なメール環境を維持することが、ビジネスの信頼性向上にもつながるでしょう。