攻撃手法

「Trigonaランサムウェア」の脅威とは?感染経路・攻撃手法・防御策を完全解説!

Trigonaランサムウェアに感染したらどうなるのか?」
突然ファイルが開けなくなり、「身代金を支払わなければデータを公開する」という脅迫が届く――そんな恐ろしい事態が、企業や個人を問わず現実に起こっています。

本記事では、Trigonaランサムウェアの感染経路・攻撃手法・被害事例を詳しく解説し、予防策や感染時の対応方法、最新の脅威情報をわかりやすく紹介します。

「自分や会社は大丈夫か?」と不安を感じた方は、ぜひ最後までお読みください。適切な対策を知ることで、ランサムウェアの脅威から大切なデータを守ることができます。

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • Trigonaランサムウェアとは何か知りたい人
  • Trigonaランサムウェアの感染経路や攻撃手法が知りたい
  • 被害事例や影響を知りたい

Trigonaランサムウェアとは何か

Trigonaランサムウェアは、近年急速に拡大している新たなランサムウェアの一種です。

企業や組織のネットワークに侵入し、重要なデータを暗号化して身代金を要求する手法を採用しています。

特に、標的型攻撃を用いた高度な戦略を取るため、企業にとって深刻な脅威となっています。

本記事では、Trigonaランサムウェアの概要や特徴、他のランサムウェアとの違いについて詳しく解説します。


1-1. 概要と特徴​

1-1-1. Trigonaランサムウェアの概要

Trigonaランサムウェアは、2022年頃から報告されているランサムウェアの一種で、特に企業や組織をターゲットにした攻撃が増加しています。

その特徴は以下の通りです。

特徴的な攻撃手法

  • 標的型攻撃: 一般的なマルウェアとは異なり、無差別な攻撃ではなく、特定の企業や業界を狙うことが多い。
  • 複数の感染経路: フィッシングメール、リモートデスクトップ(RDP)の脆弱性、ソフトウェアのセキュリティホールを利用して侵入。
  • 二重恐喝戦略: 単にデータを暗号化するだけでなく、盗み取ったデータを公開すると脅して支払いを促す。

1-1-2. Trigonaランサムウェアの主な特徴

Trigonaランサムウェアの特徴を他の一般的なランサムウェアと比較し、表にまとめました。

特徴Trigonaランサムウェア一般的なランサムウェア
ターゲット企業や組織を主な標的個人から企業まで幅広い
感染手法フィッシング、RDPの脆弱性、ソフトウェアのセキュリティホールフィッシングメール、マルウェア付きの広告など
身代金要求暗号化+データ漏洩の二重恐喝データの暗号化が主流
暗号化の強度高度な暗号化アルゴリズムを使用一般的なAES暗号化
復号ツール現時点では存在せず、復旧困難稀にセキュリティ機関が復号ツールを提供

このように、Trigonaランサムウェアは、他のランサムウェアよりも巧妙かつ危険な手法を用いていることが分かります。


1-2. 他のランサムウェアとの違い

Trigonaランサムウェアは、既存のランサムウェアと比較して、攻撃の手口や身代金要求の方法が大きく異なります。

特に「二重恐喝(Double Extortion)」という手法が特徴的であり、被害者に対してより強い圧力をかける仕組みが採用されています。

1-2-1. 二重恐喝戦略

従来のランサムウェアは、データを暗号化し、それを解除するための身代金を要求するものが一般的でした。

しかし、Trigonaランサムウェアは、これに加えて「データの公開」という脅しを行うことで、支払いの可能性を高めています。

二重恐喝の流れ

  1. データを暗号化し、被害者がアクセスできないようにする。
  2. 機密データを盗み取ることで、復旧できても情報漏洩のリスクを残す。
  3. 「支払わなければデータを公開する」と脅迫し、身代金を要求。

この手法により、被害者は単なるデータ復旧の問題だけでなく、企業の信用や顧客情報の流出リスクにも直面することになります。

1-2-2. 他の有名なランサムウェアとの比較

Trigonaランサムウェアと他の主要なランサムウェアを比較し、表にまとめました。

ランサムウェア名攻撃対象感染経路身代金要求の特徴
Trigona企業、組織RDP脆弱性、フィッシング、脆弱なソフトウェア二重恐喝(暗号化+データ公開の脅迫)
LockBit企業、政府機関フィッシング、エクスプロイト攻撃高速な暗号化、二重恐喝
Conti企業RDP、VPNの脆弱性二重恐喝、データ削除の脅迫
Ryuk企業フィッシング、RDP高額な身代金要求

このように、TrigonaランサムウェアはLockBitやContiと同様の戦略を取っているものの、その暗号化の強度や感染手法に独自の特徴があります。

感染経路と攻撃手法

Trigonaランサムウェアは、高度な攻撃手法を駆使して企業や組織のネットワークに侵入し、データを暗号化した後に身代金を要求するサイバー攻撃の一種です。

本章では、その感染経路や攻撃の流れについて詳しく解説します。


2-1. 初期侵入手段​

Trigonaランサムウェアは、主に3つの手段を使ってシステムに侵入します。

これらの手段を理解し、適切な対策を講じることで、感染リスクを大幅に軽減できます。

2-1-1. フィッシングメール

Trigonaランサムウェアの最も一般的な感染手法の一つが、フィッシングメールによる攻撃です。

攻撃者は、信頼できる企業や取引先を装ったメールを送信し、受信者に不正な添付ファイルを開かせたり、リンクをクリックさせたりします。

主な特徴

  • メールの送信元を偽装(例: 取引先や社内のIT部門を装う)
  • マルウェア付きの添付ファイルを送信(例: WordやExcelのマクロ付きファイル)
  • 偽のログインページへ誘導(例: Office 365やGoogleアカウントの偽サイト)

対策

  • 不審なメールのリンクをクリックしない
  • 添付ファイルを開く前に送信元を確認
  • セキュリティソフトでメールをスキャン
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2-1-2. リモートデスクトップ(RDP)の脆弱性

企業内でリモートワークが増加する中、リモートデスクトッププロトコル(RDP)の脆弱性を悪用した攻撃も増えています。

攻撃者は、インターネット上に公開されているRDPの接続情報を探し、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)やパスワードスプレー攻撃を使ってシステムに侵入します。

主な特徴

  • 弱いパスワードを狙った攻撃
  • 多要素認証(MFA)が設定されていないRDPを標的
  • 公開されたRDPポート(3389番)を悪用

対策

  • RDPの使用を最小限にする
  • 強力なパスワードと多要素認証(MFA)を設定
  • RDPのアクセス制限を強化し、VPN経由のみ許可

2-1-3. ソフトウェアの脆弱性を悪用

Trigonaランサムウェアは、ソフトウェアの脆弱性(ゼロデイ攻撃を含む)を利用して侵入することもあります。

特に、企業で使用されるVPNやサーバーソフトウェアの未修正の脆弱性を狙うケースが多発しています。

主な特徴

  • パッチが適用されていないシステムを標的
  • 悪意のあるスクリプトやエクスプロイトを使用
  • ネットワーク全体に感染を広げる足掛かりを作る

対策

  • OSやソフトウェアを常に最新の状態にアップデート
  • 脆弱性スキャンを定期的に実施
  • セキュリティパッチの適用を徹底

2-2. 内部拡散のメカニズム​

Trigonaランサムウェアは、一度侵入すると、企業のネットワーク内で急速に拡散し、より多くのデバイスやデータを暗号化しようとします。

これには、いくつかの技術が使われます。

2-2-1. 特権昇格(Privilege Escalation)

攻撃者は、最初に感染した端末の管理者権限を奪取し、より広範囲な攻撃を行うために「特権昇格」を狙います。

方法

  • 認証情報の窃取(Mimikatzなどのツールを使用)
  • Windowsの脆弱性を利用した権限昇格
  • Active Directoryを悪用し、ドメイン全体に感染

対策

  • 最小限の権限設定を徹底(原則Least Privilege)
  • 多要素認証(MFA)の導入
  • 管理者アカウントの監視と制限

2-2-2. lateral movement(横展開)

Trigonaランサムウェアは、1台のPCを感染させた後、ネットワーク内の他の端末やサーバーにも攻撃を広げる(lateral movement)手法を使用します。

方法

  • 感染したPCから他のPCへ感染を拡大
  • 管理者アカウントを奪い、サーバーやデータストレージにアクセス
  • 共有フォルダやネットワークドライブを暗号化

対策

  • セグメント化されたネットワーク設計(ゼロトラストモデルの導入)
  • 不要な共有フォルダやネットワークアクセスの制限
  • 異常なログインやアクセスパターンの監視

2-3. データ暗号化と身代金要求の流れ​

Trigonaランサムウェアは、最終的にデータを暗号化し、被害者に身代金を要求します。

このプロセスは、次のように進みます。

2-3-1. データ暗号化のプロセス

  1. システム内の重要ファイルをスキャンし、価値のあるデータを特定
  2. 暗号化キーを生成し、ファイルを強力な暗号方式(AES + RSAなど)でロック
  3. ファイル拡張子を変更し、開けなくする(例: .trigona など)
  4. システムのバックアップを削除し、復旧を困難にする

2-3-2. 身代金要求の手口

データが暗号化されると、Trigonaランサムウェアは被害者に対して身代金要求メッセージを表示します。

身代金要求の特徴

  • 暗号化されたファイルを復旧するための「復号キー」を提供すると主張
  • 支払いは仮想通貨(Bitcoinなど)で要求
  • 支払わなければデータを公開すると脅す(二重恐喝)

2-3-3. 被害者の対応オプション

ランサムウェアに感染した場合、被害者は以下の選択を迫られます。

選択肢メリットデメリット
身代金を支払うデータ復旧の可能性がある攻撃者を助長、再攻撃リスク
バックアップから復旧データを取り戻せる最新のデータが失われる可能性
セキュリティ専門家に相談将来の被害を防ぐ対策が可能復旧に時間がかかる

被害事例と影響範囲

Trigonaランサムウェアは、企業や組織を標的とし、データの暗号化と二重恐喝(暗号化+データ漏洩)を組み合わせた攻撃を行います。

本章では、過去の攻撃事例や被害を受けた業種、そしてランサムウェア感染による影響について詳しく解説します。


3-1. 過去の攻撃事例​

Trigonaランサムウェアの被害は、2022年頃から報告されており、特に企業や政府機関を標的にした攻撃が増加しています。

以下は、実際に発生した主な攻撃事例です。

3-1-1. ある製造業企業への攻撃

被害内容

  • 従業員がフィッシングメールを開封し、Trigonaランサムウェアが侵入。
  • 企業ネットワーク全体に拡散し、生産管理システムが暗号化された。
  • 攻撃者は「データを復旧する代わりに50BTC(約3億円)の身代金を支払うよう要求」。
  • 企業は身代金の支払いを拒否し、バックアップデータから復旧を試みたが、一部データは完全に消失。

影響

  • 生産ラインが停止し、数日間にわたる業務遅延。
  • 取引先への納品が遅れ、多額の損害が発生。
  • 企業の信用が低下し、株価が下落。

3-1-2. 医療機関への攻撃

被害内容

  • 病院の電子カルテシステムがTrigonaランサムウェアにより暗号化された。
  • 患者情報が外部に流出するリスクが発生。
  • 攻撃者は「データを復旧する代わりに100万ドルの身代金を要求」。

影響

  • 医療機関の業務が停止し、手術や診察が遅延。
  • 個人情報流出の懸念から患者が離れ、経営に打撃。
  • 当局が調査を開始し、セキュリティ対策の不備が指摘された。

3-1-3. 教育機関への攻撃

被害内容

  • 大学の研究データが暗号化され、身代金を要求される。
  • 攻撃者は「支払いがなければ研究データをダークウェブで公開する」と脅迫。
  • 大学側は支払いを拒否し、データ復旧に数カ月を要した。

影響

  • 研究成果の流出により、知的財産が失われる可能性。
  • 研究資金の削減につながり、大学運営に悪影響。
  • 学生や研究者の個人情報が流出するリスク。

3-2. 業種別の被害状況​

Trigonaランサムウェアは、特定の業種に対してより深刻な影響を及ぼします。

以下に、特に被害が多い業種とその影響をまとめました。

業種影響の内容事例
製造業生産管理システムの暗号化により、工場の操業が停止部品メーカーが攻撃され、納品遅延
医療機関電子カルテが暗号化され、診療や手術が停止緊急患者を受け入れられず、医療サービスが混乱
金融機関顧客データや取引情報が暗号化され、不正送金のリスク顧客の信用が低下し、資産運用に影響
教育機関研究データや学習管理システムが暗号化される学生の成績データが消失し、授業運営に影響
政府機関機密データが盗まれ、国家安全保障に影響公共サービスが停止し、市民に混乱をもたらす

なぜ特定の業種が狙われるのか?

  • 製造業: 生産ラインが止まると損害が大きいため、攻撃者は高額な身代金を要求できる。
  • 医療機関: 患者の生命が関わるため、早急な復旧が求められ、支払い圧力が強い。
  • 金融機関: 金銭的価値のあるデータが多く、不正送金のリスクも高い。
  • 教育機関: 研究データの価値が高く、知的財産が狙われる。
  • 政府機関: 公共サービスが停止すれば影響が大きく、政治的な圧力をかけやすい。

3-3. 被害を受けた際の影響​

Trigonaランサムウェアの感染による影響は、企業や組織に深刻なダメージを与えます。

以下の3つの側面から、その影響を分析します。

3-3-1. 業務停止による経済的損失

ランサムウェア攻撃により、企業のシステムが使用不能になると、以下のような経済的損失が発生します。

  • 生産停止による売上減少
  • 復旧作業にかかるコスト(専門家の雇用、システム再構築)
  • 取引先や顧客からの信用低下による機会損失

事例: ある製造業では、Trigonaランサムウェアによるシステム停止で1日あたり5000万円の損害が発生した。

3-3-2. データ漏洩と法的リスク

Trigonaランサムウェアは、データを暗号化するだけでなく、盗み取った情報を外部に公開する脅しを行います。

  • 個人情報の流出による訴訟リスク
  • GDPRや個人情報保護法違反による罰金
  • 株価の下落と投資家の信用低下

事例: ある金融機関では、顧客の口座情報が流出し、数億円規模の訴訟問題に発展した。

3-3-3. 企業ブランドと信用の低下

ランサムウェアの被害を受けると、企業の信用が大きく損なわれます。

  • 顧客の信頼喪失による契約キャンセル
  • 競合他社との比較での評判悪化
  • 投資家や株主からの評価低下

事例: 医療機関が攻撃を受けた際、多くの患者が他の病院に移り、年間の収益が30%減少した。

検出と対応方法

Trigonaランサムウェアに感染すると、システムが暗号化され、業務の継続が困難になります。

しかし、感染の兆候を早期に発見し、適切な初期対応を行うことで被害を最小限に抑えることが可能です。

本章では、Trigonaランサムウェアの検出方法、感染時の対応、そしてデータ復旧の可能性について詳しく解説します。


4-1. 感染の兆候と検出方法​

Trigonaランサムウェアに感染すると、通常の業務では見られない異常な動作が発生します。

これらの兆候をいち早く検知することで、攻撃の拡大を防ぐことができます。

4-1-1. Trigonaランサムウェア感染の主な兆候

感染の兆候には、以下のようなものがあります。

兆候詳細
ファイルの拡張子が変更される.trigona などの不審な拡張子が付与される
ファイルが開けなくなるWordやExcelなどのデータが暗号化され、アクセス不能になる
ランサムノートが表示されるデスクトップやフォルダ内に「身代金要求メッセージ」が作成される
CPU・メモリ使用率が異常に高くなる不正なプロセスがデータ暗号化を行っている可能性がある
ネットワークトラフィックの急増攻撃者がデータを外部に送信している可能性
バックアップが削除されるvssadmin delete shadows などのコマンドが実行される

4-1-2. Trigonaランサムウェアの検出方法

感染の兆候を検出するために、以下の方法を活用します。

  1. エンドポイント保護ソフト(EDR)の導入
    • Trigonaランサムウェアの活動をリアルタイムで監視
    • 異常な挙動をAIで分析し、即座にアラートを発信
  2. SIEM(Security Information and Event Management)の活用
    • サーバーやネットワークのログを統合管理し、異常を検知
    • 通常と異なるネットワーク通信を解析
  3. 定期的な脆弱性スキャン
    • RDP(リモートデスクトップ)の脆弱性を事前にチェック
    • 未修正のソフトウェアを特定し、パッチを適用

4-2. 感染時の初期対応​

Trigonaランサムウェアに感染した場合、迅速な初期対応が求められます。

適切な対処を行わないと、被害が拡大し、復旧が困難になります。

4-2-1. 感染した場合の緊急対応手順

感染を確認した場合、以下の手順で対応します。

  1. ネットワークを遮断
    • 感染端末をLAN/Wi-Fiから切断
    • ネットワークスイッチのポートを無効化
  2. 感染の拡大を防止
    • 影響を受けたシステムのリストを作成
    • まだ感染していない端末のセキュリティチェックを実施
  3. ランサムノートの分析
    • 身代金要求メッセージを確認(支払いはしない)
    • 攻撃者の連絡手段や暗号化の詳細を調査
  4. ログと証拠を収集
    • システムログを保存し、感染経路を特定
    • マルウェアのサンプルを隔離し、セキュリティ専門家に提供
  5. バックアップの確認
    • 直近のバックアップが無事かをチェック
    • バックアップデータを別の場所に保管
  6. 専門機関へ連絡
    • IPA(情報処理推進機構) や JPCERT/CC などに相談
    • 法執行機関に報告し、サイバー犯罪対策を依頼

4-3. データ復旧の可能性と手段​

Trigonaランサムウェアに感染した場合、データ復旧は非常に困難です。

しかし、いくつかの手段を試すことで、データを取り戻せる可能性があります。

4-3-1. バックアップからの復旧

最も安全な方法は、事前に確保したバックアップを利用することです。

バックアップから復旧する手順

  1. 感染したシステムを完全に隔離
  2. クリーンな環境(新しい端末や仮想環境)を用意
  3. バックアップデータを復元
  4. 最新のセキュリティパッチを適用し、再発防止策を導入

4-3-2. シャドウコピー(VSS)からの復旧

Trigonaランサムウェアは、通常 Windowsのシャドウコピー(VSS) を削除しますが、完全に消去されていない場合、復元が可能です。

シャドウコピーの復元手順

  1. コマンドプロンプトを管理者権限で実行
  2. 以下のコマンドを入力:vbnetコピーする編集するvssadmin list shadows
  3. シャドウコピーが残っている場合:php-templateコピーする編集するvssadmin restore <シャドウコピーID>

4-3-3. セキュリティ機関の復号ツールを活用

セキュリティ企業がランサムウェアの復号ツールを提供している場合があります。

ツールを探す方法

  • No More Ransom(https://www.nomoreransom.org/) にアクセス
  • Trigonaランサムウェアの暗号方式が解析済みか確認
  • 復号ツールをダウンロードし、実行

4-3-4. 身代金を支払うべきか?

原則として、身代金の支払いは推奨されません。 

支払いを行っても、データが完全に復旧される保証はなく、攻撃者に再度狙われる可能性があります。

支払いのリスク内容
データが復旧しない可能性攻撃者が復号キーを提供しない場合がある
二次被害のリスク一度支払うと、再び攻撃を受ける可能性が高まる
犯罪組織への資金供給身代金がさらなるサイバー犯罪の資金源となる

予防策とセキュリティ強化

Trigonaランサムウェアの被害を防ぐためには、事前のセキュリティ対策が不可欠です。

特に、システムの脆弱性をなくすこと、従業員の意識を高めること、適切なバックアップ戦略を構築することの3つが重要な要素となります。

本章では、具体的な予防策とセキュリティ強化の方法について詳しく解説します。


5-1. システムの脆弱性対策​

ランサムウェアは、システムの脆弱性を突いて侵入します。

特に、古いソフトウェアやパッチ未適用のシステムは格好の標的となります。

これを防ぐためには、適切な対策が必要です。

5-1-1. OS・ソフトウェアの最新化

企業や組織のシステムに未修正の脆弱性があると、Trigonaランサムウェアの侵入経路となります。

そのため、以下の対策を実施することが重要です。

対策

  • OSやソフトウェアを常に最新の状態に更新
  • セキュリティパッチがリリースされたら即時適用
  • サポート終了のソフトウェア(Windows 7など)は使用しない
更新が必要なシステム対策方法
Windows、Linux、macOS定期的なアップデートの実施
Webブラウザ(Chrome, Edge, Firefox)自動更新を有効化
Java、Adobe製品(PDFリーダーなど)最新バージョンにアップグレード
各種アプリケーション(Office 365など)定期的な更新チェック

5-1-2. ネットワークの強化

Trigonaランサムウェアは、ネットワーク経由で感染を拡大するため、以下の対策が有効です。

  • リモートデスクトップ(RDP)の無効化
    • どうしても必要な場合はVPN経由のみ許可し、多要素認証(MFA)を適用
  • ファイアウォールの適切な設定
    • 不要なポート(3389, 445 など)を閉じる
    • 企業のセキュリティポリシーに従い、通信制御を強化
  • ゼロトラストセキュリティの導入
    • 「すべてのデバイスは信用しない」という前提でアクセス制御を厳格化
    • ユーザー・デバイスごとに異なる権限を設定し、最小限の権限付与(Least Privilege)

5-2. 従業員のセキュリティ教育​

企業がどれほど高度なセキュリティ対策を導入しても、従業員が不注意で感染源を開くと、Trigonaランサムウェアの被害に遭う可能性があります。

そのため、全従業員を対象にしたセキュリティ教育が不可欠です。

5-2-1. フィッシングメール対策

Trigonaランサムウェアは、フィッシングメールを利用して感染を拡大するため、従業員が不審なメールを見抜くスキルを持つことが重要です。

従業員向けの教育ポイント

  • 送信元のメールアドレスを確認
  • 添付ファイル(.exe, .zip, .docm など)は開かない
  • メール内のURLを直接クリックせず、公式サイトからアクセスする
  • 「緊急」「未払い請求」などの煽り文句には特に注意
フィッシングメールの特徴具体例
不自然な送信元support@amaz0n.com など
添付ファイル付きのメール請求書.pdf.exe など
煽り文句「未払い料金があります」「アカウントがロックされました」

5-2-2. ランサムウェア対策の定期訓練

企業は、定期的に従業員向けのセキュリティ演習を実施するべきです。

  • 実際のフィッシングメールを模した演習
  • ランサムウェア感染時の対応シミュレーション
  • 定期的なeラーニングや研修を実施

社内での推奨ルール

  1. 個人のUSBメモリを業務PCに接続しない
  2. 社内Wi-Fi以外のネットワークを利用しない
  3. 不審なメールを受け取ったら即時報告

5-3. バックアップ戦略の構築​

Trigonaランサムウェアの被害を最小限に抑えるためには、確実に復旧できるバックアップを確保することが重要です。

5-3-1. 3-2-1バックアップルールの適用

ランサムウェア対策として、3-2-1バックアップ戦略が推奨されます。

ルール詳細
3つのバックアップ重要データは3つ以上のコピーを保持
2種類の異なる媒体に保存HDD、クラウド、テープなど複数の記録方式を活用
1つはオフラインで保管ネットワークから切り離された場所に保存

5-3-2. バックアップの種類と推奨手段

バックアップ方法メリットデメリット
クラウドバックアップ(Google Drive, AWS S3など)オンラインで自動保存ランサムウェアに狙われる可能性
ローカルNAS/サーバーバックアップ高速復元が可能物理的破損のリスク
オフサイト(テープバックアップ)ランサムウェアの影響を受けない復旧に時間がかかる

5-3-3. 定期的なバックアップのテスト

バックアップが正常に動作するかどうか、定期的なテストを行うことが重要です。

  • 毎週のバックアップリストアテストを実施
  • バックアップファイルの整合性を確認
  • 重要データの変更をリアルタイムで反映

最新の動向と今後の展望

サイバーセキュリティの脅威は日々進化しており、特にランサムウェアの手口や活動状況は刻々と変化しています。

本章では、Trigonaランサムウェアの現在の活動状況、ランサムウェア全般のトレンド、そして将来的な脅威と対策の方向性について詳しく解説します。


6-1. Trigonaの現在の活動状況​

Trigonaランサムウェアは、2022年10月頃から活動を開始した比較的新しいランサムウェアファミリーです。​

当初は米国やインドのテクノロジー業界やヘルスケア業界の組織を中心に攻撃を行い、その後もさまざまな国々・業界の組織を標的として活動を続けていました。 ​

しかし、2023年10月にTrigonaのリークサイトが閉鎖され、その後の活動は確認されていません。 ​

これにより、Trigonaランサムウェアの活動は一時的に沈静化したと考えられますが、同様の手口を持つ新たなランサムウェアが登場する可能性は依然として高いとされています。


6-2. ランサムウェア全般のトレンド​

ランサムウェアの脅威は年々増加しており、その手法や戦略も進化を遂げています。

以下に、最近のランサムウェアのトレンドをまとめます。

6-2-1. ランサムウェア攻撃の増加傾向

2023年には、ランサムウェアのリークサイトへの投稿数が前年と比較して約49%増加し、月平均333件、週平均77件の投稿が確認されました。 ​

特に、2023年7月には495件の投稿があり、これはCL0Pランサムウェアによる大規模な攻撃が影響しています。

6-2-2. 攻撃手法の多様化

近年、ランサムウェア攻撃は単なるデータの暗号化に留まらず、以下のような多様な手法が用いられています。​

  • 二重恐喝(ダブルエクストーション):​データを暗号化するだけでなく、窃取したデータを公開すると脅迫する手法。​
  • 標的型攻撃:​特定の企業や業界を狙った攻撃が増加しており、特に医療機関や政府機関が標的となるケースが多い。​
  • Linuxシステムへの攻撃:​従来はWindowsが主なターゲットでしたが、近年ではLinuxシステムを狙った攻撃も増加しています。

6-2-3. 攻撃者の組織化とビジネス化

ランサムウェア攻撃は、より組織化され、ビジネスとしての側面を強めています。​

攻撃者は専門のチームを組み、効率的かつ効果的な攻撃を行うことで、被害額を増大させています。 ​


6-3. 将来的な脅威と対策の方向性

今後、ランサムウェアを含むサイバー脅威はさらに進化し、新たな手法や戦略が登場すると予想されます。以下に、将来的な脅威とそれに対する対策の方向性を示します。​

6-3-1. AIを悪用した攻撃の増加

生成AIの普及により、攻撃者はAIを活用した高度なフィッシング攻撃やマルウェアの作成を行うようになっています。​

これにより、従来よりも巧妙で検出が困難な攻撃が増加する可能性があります。 ​

対策

  • AIを活用したセキュリティ対策の導入:​攻撃者と同様に、防御側もAIを活用して脅威の検出や分析を行う。​
  • 従業員のセキュリティ教育の強化:​AIを悪用した攻撃に対処するため、最新の脅威情報を含めたセキュリティ教育を実施する。​

6-3-2. サプライチェーン攻撃の増加

企業の取引先やパートナー企業を経由したサプライチェーン攻撃が増加しています。​

これにより、直接攻撃を受けていない企業も被害を受けるリスクが高まっています。 ​

対策

  • 取引先のセキュリティ評価の実施:​サプライチェーン全体のセキュリティレベルを評価し、脆弱性を特定する。​
  • 契約におけるセキュリティ要件の明確化:​取引先との契約において、セキュリティ対策の要件を明確に定める。​