セキュリティ

Snifferとは?ネットワーク解析に使えるツールを解説!

「Sniffer」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これはネットワークのトラフィックをキャプチャーし、解析するツールを指します。

Snifferを使うことで、ネットワーク上で送受信されるパケットを観察することができ、ネットワークのトラブルシューティングやセキュリティ診断に役立ちます。

この記事では、Snifferの概要から代表的なツールの紹介、活用例や注意点、問題点までを解説します。

Snifferとは?

1-1. Snifferとは何か?

Snifferとは、ネットワークパケットをキャプチャして解析するためのツールのことです。

ネットワーク上を流れるデータの取得と分析を行うことで、ネットワークのトラブル解決やセキュリティ診断などに利用されます。

Snifferは、パケットキャプチャ、パケットスニファリング、パケットアナライザーなどとも呼ばれます。

1-2. Snifferが解析できるもの

Snifferは、ネットワーク上を流れる様々なプロトコルや通信の内容を解析することができます。

具体的には、TCP、UDP、ICMP、HTTP、FTP、SMTPなどのプロトコルや、データの送受信内容、ヘッダ情報、エラーの発生状況などを取得し、解析することができます。

1-3. Snifferの種類と特徴

Snifferには、商用ツールとオープンソースツールがあります。

商用ツール

高度な機能や操作性を持つことが多く、セキュリティ企業や大企業で利用される

オープンソースツール

無料で利用できるため、一般のユーザーにも手軽に利用できる

また、Snifferには、リアルタイムにパケットをキャプチャするタイプと、保存されたパケットを解析するタイプがあります。

Snifferの特徴としては、取得したデータを細かく解析できること、ネットワーク上でのデータのやり取りを可視化すること、また、取得したデータをフィルタリングすることで必要な情報のみを取得することができることなどが挙げられます。

Snifferを使うメリットとデメリット

2-1. Snifferを使うメリットとは?

Snifferを使うことで、ネットワークのトラブル解決やセキュリティ診断などに有用なメリットがあります。

2-1-1. ネットワークトラブルの解決

Snifferを使うことで、ネットワークトラブルの原因を素早く特定することができます。

具体的には、通信が途切れたり、通信速度が遅い場合、パケットの状況を解析することで原因を特定することができます。

2-1-2. セキュリティ診断

Snifferを使うことで、ネットワーク上で行われている通信の内容を把握することができます。

不正アクセスや情報漏洩などのセキュリティ問題を事前に発見し、対策を講じることができます。

2-2. Snifferを使うデメリットとは?

一方で、Snifferを使うことにはデメリットも存在します。

2-2-1. プライバシーの侵害

Snifferを使うことで、ネットワーク上を流れるデータの内容を知ることができます。

しかし、個人情報や機密情報などのプライバシーが侵害されることがあるため、法的に問題がある場合があります。

2-2-2. セキュリティの脅威

Snifferを使っていると、第三者による不正なアクセスを受ける可能性があります。

特に、ネットワークに不正に侵入した者がSnifferを使って情報を盗み出すことがあるため、Snifferを使うことでセキュリティリスクが高まることがあります。

Snifferの具体的な使い方

3-1. Snifferを使ったトラフィックの解析方法

Snifferを使ってトラフィックを解析する方法は、次の手順に従います。

  1. Snifferソフトウェアをダウンロードし、インストールします。
  2. ネットワークインターフェースを選択し、Snifferを開始します。
  3. 解析したいトラフィックを指定します。例えば、Webトラフィックを解析する場合は、WebブラウザでWebページを開きます。
  4. Snifferは、指定したトラフィックをキャプチャし、パケットを分解して情報を表示します。データの送信元、送信先、プロトコル、データ量などの情報を確認することができます。
  5. 解析結果を詳しく調べることで、ネットワークの問題を特定することができます。例えば、通信量が多すぎる場合は、ネットワーク帯域幅の問題がある可能性があります。また、特定のパケットにエラーがある場合は、問題のある機器やケーブルを特定することができます。

Snifferは、ネットワークトラフィックを解析するために非常に役立つツールです。

正確で詳細な情報を提供するため、問題の診断や解決に役立ちます。

Snifferを使用する場合は、ネットワークのセキュリティやプライバシーに注意する必要があります。

3-2. Snifferを使ったトラブルシューティングの方法

ネットワークのトラブルシューティングには、Snifferを活用することができます。

Snifferを使って、パケットの送受信状況やネットワーク上のエラーを解析することで、トラブルの原因を特定することができます。

以下は、Snifferを使ったネットワークトラブルシューティングの基本的な手順です。

  1. Snifferを起動する:ネットワーク上で通信している全てのパケットを収集するために、Snifferを起動します。
  2. トラブルの発生箇所を特定する:トラブルの発生箇所を特定し、その箇所でSnifferを稼働させます。例えば、特定のネットワークセグメントやネットワークインターフェースに対してSnifferを起動します。
  3. パケットのキャプチャー:Snifferを使用して、パケットをキャプチャーします。このとき、重要なのは「トラブルが発生した時間帯」や「トラブルが発生した箇所」など、トラブルの状況を正確にキャプチャーすることです。
  4. パケットの解析:キャプチャーしたパケットを解析します。このとき、パケットが正常に伝送されたか、欠落していないか、データの整合性がとれているかなどを確認します。
  5. 問題の切り分け:解析の結果、問題が発生している箇所を特定します。具体的には、トラブルの原因がネットワーク上の機器(ルーター、スイッチなど)や、アプリケーションなどどこにあるかを特定します。
  6. トラブルの解決:トラブルの原因を特定したら、その原因に対して適切な対応を行います。たとえば、ネットワーク上の機器が原因であれば、機器を再起動するなどの対応を行います。

3-3. Snifferを使ったセキュリティ診断の方法

Snifferは、ネットワーク上で送信されるパケットの内容を傍受することができるため、セキュリティ診断にも役立ちます。

以下に、Snifferを使ったセキュリティ診断の方法について説明します。

3-3-1. 不正なトラフィックの検出

Snifferを使用して、ネットワーク上で不審なトラフィックを検出することができます。

例えば、不正なIPアドレスからのアクセスや、不審なポートを使用している通信を検出することができます。

ネットワーク上のセキュリティ問題を早期に発見し、対処することができます。

3-3-2. パスワードの傍受

Snifferを使用して、ネットワーク上で送信されるパスワードを傍受することができます。

パスワードの脆弱性を検証することができます。ただし、この方法は法的に問題があるため、慎重に行う必要があります。

3-3-3. 攻撃の検出

Snifferを使用して、攻撃者がネットワーク上で行っている攻撃を検出することができます。例えば、スキャンやDoS攻撃などが該当します。

攻撃に対する迅速な対応が可能になります。

3-3-4. 不正アプリケーションの検出

Snifferを使用して、ネットワーク上で不正に使用されているアプリケーションを検出することができます。

例えば、ネットワーク上でP2Pファイル共有ソフトウェアが使用されている場合、セキュリティ上の問題が発生する可能性があるため、これを検出することが重要です。

Snifferを使用して、ネットワーク上のセキュリティ問題を早期に発見し、解決することができます。

ただし、この方法を使用する場合は、プライバシーや法的な問題に十分に注意して行う必要があります。

Snifferの代表的なツール紹介と使い方

4-1. Wiresharkの使い方

Wiresharkは、オープンソースのネットワークプロトコルアナライザで、パケットのキャプチャから解析、表示までの機能を持っています。

以下にWiresharkの使い方について解説します。

キャプチャの設定

Wiresharkを起動し、キャプチャを開始する前に、インタフェースを選択してプロトコルフィルターを設定します。

パケットの解析

キャプチャを開始すると、Wiresharkはパケットを自動的に解析し、プロトコルごとにカラーリングされたリストビューで表示されます。パケットの詳細は、パケットを選択して展開されたツリービューで確認できます。

パケットのフィルタリング

表示されているパケットのフィルタリングをすることで、必要な情報だけを取り出すことができます。Wiresharkでは、表形式でフィルタを作成することができます。

グラフの表示

Wiresharkは、トラフィックの傾向をグラフで表示する機能も備えています。ツールバーの「統計」メニューから、各種の統計グラフを表示することができます。

4-2. tcpdumpの使い方

tcpdumpは、UNIX系OSで動作するパケットキャプチャツールです。

以下にtcpdumpの使い方について解説します。

キャプチャの設定

tcpdumpを起動する前に、キャプチャを行うインタフェースを選択します。また、必要に応じてキャプチャフィルタを設定します。

パケットの解析

キャプチャを開始すると、tcpdumpはパケットを表示します。表示されたパケットは、プロトコルごとにカラーリングされています。

また、パケットの詳細は、TCP、UDP、ICMPなどのプロトコルに特化したオプションを使用して表示することができます。

パケットのフィルタリング

表示されているパケットのフィルタリングをすることで、必要な情報だけを取り出すことができます。

tcpdumpでは、BPF (Berkeley Packet Filter) 構文を使用して、表形式でフィルタを作成することができます。

4-3. EtherApeの使い方

EtherApeは、ネットワークトラフィックをグラフィカルに表示してくれるオープンソースのネットワークモニタリングツールです。

Wiresharkやtcpdumpよりも直感的で視覚的にわかりやすく、ネットワークトラフィックを解析することができます。

EtherApeの使い方は以下の通りです。

インストール

EtherApeをインストールするには、Linux環境でターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。

$ sudo apt-get install etherape
実行

EtherApeを起動するには、Linux環境でターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。

$ sudo etherape

トラフィックの表示

起動すると、EtherApeはグラフィカルなインターフェースで、リアルタイムのネットワークトラフィックを表示します。

ノードとリンクの形でトラフィックを可視化し、各ノードのトラフィック量を円の大きさで表現し、リンクの太さで通信量を表現します。

解析

表示されたグラフ上で、マウスを使ってノードをクリックすると、そのノードに関する詳細情報が表示されます。

また、右クリックで、フィルタリングやトラフィックの保存などの機能を利用することができます。

EtherApeは、Wiresharkやtcpdumpと同様に強力なツールであり、ネットワークトラフィックを解析する上で重要な役割を果たしています。

Snifferの活用例

5-1. ネットワークトラブルの解決

ネットワークには様々なトラブルが発生することがあります。

たとえば、ネットワークが遅い、ネットワークに接続できない、アプリケーションが応答しないなどです。これらのトラブルは、ネットワークの機器や設定に問題がある可能性があります。

Snifferを使ってトラフィックを監視し、通信パターンやエラーメッセージなどを分析することで、問題の原因を特定することができます。

特定のネットワークトラフィックが遅延を引き起こしている場合、ボトルネックを特定して、ネットワークの容量を増やすなどの対策を取ることができます。

5-2. ネットワークセキュリティの診断

ネットワークは、外部からの攻撃や内部からの不正行為など、さまざまな脅威にさらされています。

Snifferを使用して、ネットワーク上で送信されるトラフィックを監視することで、不正な通信や攻撃を検出することができます。

たとえば、TCP SYN Flood攻撃が発生している場合、Snifferを使用してパケットの数をカウントし、発信元IPアドレスを特定することができます。

ネットワークに感染しているマルウェアがトラフィックを生成している場合、Snifferを使用して、不審なトラフィックパターンを特定し、不正な通信をブロックすることができます。

Snifferの注意点と問題点

6-1. Snifferを使う際の注意点

Snifferを使う際には、注意が必要です。以下は、注意すべき点です。

  • ネットワークの許可なくSnifferを使用しないでください。
  • Snifferを使用する場合、ネットワークのセキュリティに十分に気を配ってください。
  • Snifferを使う際には、適切な権限を持っていることを確認してください。
  • Snifferを使用する前に、その使用に関する法律や規制を確認してください。

これらの注意点に従って、Snifferを適切に使用することが重要です。

6-2. Snifferによって発生する問題

Snifferを使用することによって、以下のような問題が発生する可能性があります。

プライバシーの侵害

パケットの内容をキャプチャするため、プライバシー侵害のリスクがあります。

セキュリティ問題

パケットの内容を傍受することができるため、悪意のある人がネットワーク上の機密情報を盗むことができます。

リソースの消費

大量のトラフィックをキャプチャするため、ネットワークの帯域幅やストレージ容量を消費します。

パフォーマンスの低下

ネットワークの遅延が発生することがあります。

これらの問題については、適切なセキュリティ対策を講じることで、最小限に抑えることができます。

また、Snifferを使用する際には、適切な権限を持っていることを確認し、法律や規制にも遵守する必要があります。