SASEセキュリティは、クラウドやモバイルデバイスの普及により、ビジネス環境が変化した現代において、より柔軟で高度なセキュリティを実現するために注目を集めています。
この記事では、SASEセキュリティの基礎から、導入・運用方法、課題と解決策、そして今後の展望まで、わかりやすく解説していきます。
この記事は以下のような人におすすめ!
- SASEとは何か知りたい人
- SASEの詳細をもっと詳しく知りたい人
- クラウドサービスのセキュリティについて知りたい人
目次
SASEセキュリティとは
1-1. SASEセキュリティとは何か?
SASE (Secure Access Service Edge) セキュリティは、クラウドを基盤とした新しいセキュリティアーキテクチャです。従来のネットワークセキュリティに比べ、より柔軟で効率的なアプローチを提供し、企業のデジタル変革に対応するために生まれました。SASEセキュリティは、ユーザー、アプリケーション、およびデータを包括的に保護することができ、様々なセキュリティ要件を統合的に実現することができます。
1-2. SASEセキュリティの概要と特徴
SASEセキュリティは、ネットワークセキュリティのパラダイムシフトを象徴する技術です。
従来のネットワークセキュリティでは、企業内部ネットワークを保護することが主眼でしたが、SASEセキュリティは、クラウドを基盤とする新しいセキュリティアーキテクチャであり、ネットワークに接続するユーザーとアプリケーションのセキュリティを包括的に保護することを目的としています。
SASEセキュリティの特徴は以下の通りです。
- ゼロトラスト型のセキュリティアプローチを採用している
- クラウドサービスを基盤としているため、柔軟かつスケーラブルなセキュリティを実現可能
- SD-WAN、CASB、FWaaS、SWGなどのセキュリティ機能を一元的に統合することができる
- ユーザーやアプリケーションに基づくセキュリティポリシーを柔軟かつグローバルに適用できる
- SASEベンダーによるサービス提供が主流であり、導入や運用が容易になる
以上のように、SASEセキュリティは従来のネットワークセキュリティに比べ、より高度なセキュリティを実現することができるため、企業のデジタル変革に欠かせないセキュリティアーキテクチャとなっています。
SASEセキュリティの必要性
2-1. ネットワーク環境の変化に伴う課題
近年、企業のネットワーク環境は大きく変化しています。
従来のような企業内部の閉じたネットワーク環境ではなく、モバイルデバイスやクラウドサービスの利用が普及し、企業のネットワークの境界線が曖昧になっています。
そのため、企業は新しいセキュリティアプローチを求める必要があります。
以下は、企業が抱えるネットワーク環境の課題の例です。
- モバイルデバイスやリモートワークの増加により、従来のネットワークセキュリティでは対応できない
- クラウドサービスの利用が増加したため、従来のオンプレミスセキュリティでは対応できない
- セキュリティ機能を個別に導入・運用していたため、管理・運用負荷が大きくなっている
- 企業内部のセキュリティポリシーの変更に柔軟に対応できていない
2-2. SASEセキュリティのメリット
SASEセキュリティの導入には多くのメリットがあります。まずは、ゼロトラスト型のセキュリティアプローチを採用することができます。
これにより、全てのネットワークトラフィックを監視し、脅威を検知することができます。これは従来のネットワークセキュリティでは不可能であったことです。
また、SASEセキュリティはクラウドサービスを基盤としているため、スケーラブルかつ柔軟なセキュリティを実現できます。
これにより、急激なトラフィック増加や変化にも迅速に対応できます。これは従来のオンプレミス型のセキュリティ製品では実現できなかったことです。
さらに、SD-WAN、CASB、FWaaS、SWGなどのセキュリティ機能を一元的に統合することができます。
これにより、管理・運用負荷を削減できます。また、ユーザーやアプリケーションに基づくセキュリティポリシーをグローバルに適用できるため、柔軟かつスピーディーな対応が可能になります。
SASEベンダーによるサービス提供が主流であるため、導入や運用が容易になります。
これにより、企業はより高度なセキュリティを実現し、ビジネスをより安全かつ効率的に展開することができます。
SASEセキュリティの実現方法
3-1. クラウドを基盤としたSASEアーキテクチャ
SASEセキュリティは、クラウドを基盤として構築されたアーキテクチャを採用しています。こ
のアーキテクチャは、従来のオンプレミス型のセキュリティアーキテクチャとは異なり、ネットワーク上のトラフィックをクラウド上で処理し、セキュリティ機能を提供します。
クラウドを基盤とすることで、スケーラビリティや柔軟性が高まり、新たな拠点の追加やトラフィックの急増にも柔軟に対応できます。
3-2. SASEセキュリティを実現する技術要素
SASEセキュリティを実現するためには、複数の技術要素が必要です。その代表的な要素には、SD-WAN、CASB、FWaaS、SWGなどがあります。
SD-WANは、広域ネットワークを仮想化する技術であり、WANのコスト削減や柔軟なトラフィックルーティングを実現します。
CASBは、クラウドサービスへのアクセス制御やデータ保護を行う技術であり、企業が使用するクラウドサービスのセキュリティを確保します。
FWaaSは、ファイアウォールをクラウド上で提供する技術であり、企業が保有するファイアウォールの置き換えや、クラウド上のアプリケーションへのアクセス制御を実現します。
SWGは、Webセキュリティゲートウェイの略で、Web上のトラフィックを監視し、マルウェアや不正アクセスなどの脅威から保護します。
これらの技術要素を統合することにより、企業は複数のセキュリティ機能を一元的に管理することができ、より高度なセキュリティを実現することができます。
また、これらの技術要素はクラウドを基盤として提供されるため、スケーラビリティや柔軟性が高く、新しい拠点の追加やトラフィックの急増にも柔軟に対応できます。
SASEセキュリティの導入と運用
4-1. SASEセキュリティの導入ステップ
SASEセキュリティを導入するためには、以下のステップを踏む必要があります。
- 要件定義と設計 まず、企業のニーズや要件に基づいてSASEセキュリティの導入目的を明確にし、システム構成や運用方針を設計します。
- SASEベンダーの選定 SASEセキュリティを提供するベンダーを選定します。この際には、機能や価格、導入や運用の支援内容などを比較検討することが重要です。
- セキュリティポリシーの設定 SASEセキュリティの導入に際して、企業のセキュリティポリシーを設定し、それに基づいたネットワークアクセス制御や脅威検知・対応ルールの設定を行います。
- セキュリティ設定の適用 設定したセキュリティポリシーをSASEセキュリティシステムに適用します。適用後、セキュリティの機能をテストし、正しく動作していることを確認します。
- ユーザー教育 SASEセキュリティを適切に利用するために、ユーザー教育を行います。具体的には、セキュリティポリシーの理解やアクセス方法の説明などが含まれます。
4-2. SASEセキュリティの運用方法
SASEセキュリティを運用するためには、以下のようなポイントがあります。
- 監視とポリシーの適用
SASEセキュリティを適切に運用するためには、セキュリティイベントの監視が必要です。これには、アラートの生成やログの収集などが含まれます。また、セキュリティポリシーの適用も重要です。ポリシーによって、ユーザーのアクセス制御やアプリケーションの制限などが行われます。
- セキュリティの自動化とオーケストレーション
SASEセキュリティの運用では、自動化とオーケストレーションが重要な役割を担います。自動化によって、人為的ミスや手作業による遅延を防止することができます。また、オーケストレーションによって、複数のセキュリティ製品を一元的に管理することができます。
- セキュリティの分析と改善
SASEセキュリティの運用においては、セキュリティの分析と改善が重要です。セキュリティイベントの分析によって、脅威の特定やセキュリティポリシーの改善が行われます。また、定期的な監査や脆弱性スキャンなどによって、セキュリティの改善が行われます。
- トレーニングと教育
SASEセキュリティの運用には、セキュリティチームやエンドユーザーに対するトレーニングと教育が必要です。セキュリティチームには、ポリシーの設計や運用、システムの監視とログ収集、新しい脅威の分析と対応などのトレーニングが必要です。エンドユーザーには、セキュリティ意識の向上やフィッシング攻撃などに対する注意喚起などのトレーニングが必要です。
SASEセキュリティの課題と解決策
5-1. SASEセキュリティの課題
SASEセキュリティにはいくつかの課題が存在します。
1つは、SASEセキュリティの導入にあたって、既存のネットワークインフラを再設計する必要があることです。
これには、新しい技術要素を導入する必要があるため、コストや時間の負担がかかる可能性があります。
また、SASEセキュリティの複雑なアーキテクチャにより、運用管理が難しくなることもあります。
5-2. SASEセキュリティの課題解決策
SASEセキュリティの課題を解決するためには、以下のような解決策が考えられます。
まず、既存のネットワークインフラを再設計する際には、段階的に移行することが重要です。
新しい技術要素を一度に導入するのではなく、少しずつ実装していくことでコストや時間の負担を軽減できます。
また、運用管理が難しい場合は、SASEセキュリティの運用を自動化することで効率化することができます。
さらに、SASEセキュリティの導入にあたっては、セキュリティチームのスキルアップや専門知識の獲得が必要です。
こうした取り組みにより、SASEセキュリティの課題を解決することができます。
SASEセキュリティにおけるトレンドと今後の展望
6-1. SASEセキュリティにおける最新のトレンド
SASEセキュリティにおける最新のトレンドは、AI(人工知能)や機械学習の活用です。
これらの技術を用いることで、ネットワーク上の不正アクセスや攻撃を検知する能力が向上し、より迅速かつ正確な対応が可能になります。
また、IoT(モノのインターネット)やクラウドサービスといった新しい技術の急速な普及に伴い、SASEセキュリティの対象がより多様化していく傾向があります。
6-2. SASEセキュリティの今後の展望
SASEセキュリティの今後の展望は、さらなるセキュリティ強化と柔軟性の向上です。
セキュリティ強化には、AIや機械学習の活用に加えて、ユーザー認証やデバイス管理、セキュリティポリシーの柔軟性などが求められます。
また、柔軟性の向上には、ネットワークとセキュリティの統合が進み、利用者の場所や端末に関わらず、一貫したセキュリティサービスが提供されるようになることが期待されます。
更に、5Gの普及により、より高速で多様な通信が実現されることで、SASEセキュリティの需要がさらに高まると予想されます。