「MDRとは何か?」 サイバー攻撃の高度化により、従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれない時代になりました。特にEDRやSOC、XDRとの違いがわからず、自社に最適な対策が選べないと悩む方も多いのではないでしょうか。
MDR(Managed Detection and Response)は、専門チームが24時間365日監視し、脅威を検知・対応するセキュリティサービスです。
本記事では、MDRの基本から導入メリット、選定のポイントまでを徹底解説します。
「本当にMDRは必要なのか?」「導入すると何が変わるのか?」そんな疑問を解決するために、ぜひ最後までお読みください。
この記事は以下のような人におすすめ!
- DRとは何か知りたい人
- EDRやSOCと何が違うのか知りたい
- MDRのサービスを比較して選びたいが、どこを見ればいいのかわからない人
目次
MDR(Managed Detection and Response)とは
サイバー攻撃の巧妙化が進む中、企業のセキュリティ対策は「防御」だけでは不十分になってきました。**MDR(Managed Detection and Response)**は、企業が自社でセキュリティ監視や対応を行うのではなく、専門のセキュリティサービスプロバイダーに委託することで、脅威の検知から対応までを一元的に管理する仕組みです。
従来のセキュリティ対策と異なり、脅威の検出・分析・対応を一体化したサービスであるため、迅速なインシデント対応が可能になります。本記事では、MDRの基本概念から導入のメリット、他のセキュリティサービスとの違いまでを詳しく解説していきます。
1-1. MDRの定義
1-1-1. MDRの基本概念
MDR(Managed Detection and Response)とは、「管理型の脅威検知および対応」を意味するサイバーセキュリティサービスです。
従来のセキュリティ製品は主に「防御(Prevention)」に重点を置いていましたが、MDRは「検知(Detection)」と「対応(Response)」に特化しているのが特徴です。
1-1-2. MDRの主要な役割
MDRの主な役割は以下の通りです。
- 脅威の検出:AIや高度な分析技術を用いて、マルウェアや異常な振る舞いをリアルタイムで検知する。
- インシデント対応:検知した脅威に対して、セキュリティ専門家が分析し、迅速に適切な対処を実施する。
- 継続的な監視:24時間365日、セキュリティ運用チームが企業のネットワークを監視し、異常な兆候を見逃さない。
MDRは企業のセキュリティ運用を支援するマネージドサービスであり、自社でSOC(Security Operations Center)を持たない企業にとって、強力なセキュリティ対策の一つとなります。

1-2. MDRが注目される背景
1-2-1. サイバー攻撃の高度化と巧妙化
近年、サイバー攻撃は単純なウイルス感染だけでなく、ランサムウェアやゼロデイ攻撃など、より高度で組織的なものになっています。
特に「EDR(Endpoint Detection and Response)」や「NDR(Network Detection and Response)」の導入だけでは、巧妙な攻撃を完全に防ぐことが難しくなっています。
そのため、「単なる検知」ではなく、「対応」までを含めたMDRの必要性が高まっているのです。

1-2-2. セキュリティ人材不足の深刻化
サイバーセキュリティ業界では専門人材の不足が深刻化しており、多くの企業が十分なセキュリティ運用を行うのが難しい状況にあります。
MDRは、専門知識を持ったセキュリティチームが外部から支援することで、企業の負担を軽減しながらセキュリティレベルを向上させる役割を担っています。
1-2-3. 24時間365日の監視の必要性
企業のネットワークは常に狙われているため、「営業時間内だけの監視」では不十分です。
MDRは24時間365日体制で監視を行い、異常を検知すると即座に対応を開始します。これにより、インシデントの被害を最小限に抑えることができます。
MDRの主な機能
MDR(Managed Detection and Response)は、企業のIT環境を24時間365日監視し、サイバー攻撃を素早く検知・対応するためのサービスです。
従来のセキュリティ対策では、脅威の検知後に適切な対応を取るまでに時間がかかり、被害が拡大するケースがありました。しかし、MDRではリアルタイム監視と専門家による対応を組み合わせることで、インシデント発生時の影響を最小限に抑えることが可能です。
ここでは、MDRの主な機能について詳しく解説します。
2-1. 24時間365日の監視体制
2-1-1. MDRの常時監視の重要性
サイバー攻撃は時間や曜日を問わず発生します。特に、企業の営業時間外や休日は攻撃者にとって狙いやすいタイミングとなります。そのため、「9時〜18時の監視」では十分なセキュリティ対策とは言えません。
MDRでは、専門のセキュリティチームが24時間365日体制で監視を行い、異常な兆候をリアルタイムで検知します。これにより、攻撃の初期段階で脅威を発見し、迅速な対処が可能となります。
2-1-2. MDRの監視対象
MDRは、企業のエンドポイント(PCやサーバー)、ネットワーク、クラウド環境など、あらゆるセキュリティ領域を監視します。
具体的には以下のような情報を継続的に分析します。
- ネットワークトラフィックの異常検出
- エンドポイントの不審なプロセスの実行状況
- クラウド環境でのアクセスログの解析
このような幅広い監視により、企業のIT環境全体を可視化し、潜在的な脅威をいち早く発見できるのがMDRの強みです。
2-2. 脅威の検知とアラート通知
2-2-1. MDRの脅威検知手法
MDRでは、以下のような高度な技術を活用して、従来のセキュリティシステムでは検知が難しい攻撃を特定します。
- 機械学習とAIによる異常検知
過去の攻撃パターンや正常な動作を学習し、不審な動きをリアルタイムで識別します。 - ふるまい分析(Behavior Analytics)
正常なユーザー行動と異なるアクセスや操作を検知し、内部不正やアカウント乗っ取りを特定します。 - 脅威インテリジェンスの活用
世界中のセキュリティ機関から提供される最新の脅威情報を基に、新たな攻撃手法をいち早く察知します。
2-2-2. アラート通知の仕組み
脅威を検知した際、MDRは企業のセキュリティ担当者に即座にアラートを通知します。
この際、単に「異常が検知されました」といった曖昧な通知ではなく、具体的な攻撃内容や推奨される対応策が含まれるため、迅速な判断と対応が可能になります。
- 緊急度別の通知:重大な脅威は即時対応が必要なため、高優先度のアラートとして送信される。
- 自動アクションの実行:脅威の種類によっては、システムが自動的に対応策(例:感染した端末の隔離)を実施する。
このように、MDRは単なる「脅威の通知」だけでなく、企業が適切に対応できるような仕組みを提供しているのが特徴です。
2-3. インシデント対応と復旧支援
2-3-1. MDRのインシデント対応プロセス
MDRの大きな特徴は、脅威を検知した後の対応までを担うことです。
具体的なインシデント対応プロセスは以下のようになります。
- 脅威の検知:異常な挙動やサイバー攻撃の兆候をリアルタイムで検出。
- リスク評価:検知された脅威がどの程度の影響を及ぼすのかを分析。
- 即時対応:攻撃の進行を食い止めるため、影響範囲を特定し、必要に応じて自動的に端末の隔離や通信の遮断を実施。
- 詳細な分析:攻撃の手法や侵入経路を調査し、再発防止策を検討。
- 復旧支援:被害を受けたシステムの復旧や、追加のセキュリティ強化策を提案。
2-3-2. MDRの復旧支援の重要性
インシデントが発生した際、単に攻撃をブロックするだけでは十分ではありません。
MDRでは、攻撃の痕跡を分析し、同じ手口の再発を防ぐための対策を企業に提供します。
例えば、
- ランサムウェア攻撃を受けた場合:感染経路を特定し、被害データの復旧方法を提案。
- 内部不正が発覚した場合:どのアカウントが悪用されたのかを特定し、アクセス制御の強化を推奨。
このように、MDRは単なる「検知」ではなく、「対応」と「復旧」までを包括的にサポートする点が大きな強みです。
他のセキュリティ対策との比較
MDR(Managed Detection and Response)とは、企業のネットワークやエンドポイントを24時間365日監視し、脅威を検知・対応するセキュリティサービスです。
しかし、セキュリティ対策には他にも「EDR」「SOC」「NDR」「XDR」などの選択肢があり、これらの違いを理解することが重要です。
ここでは、MDRと他のセキュリティ対策の違いや関係性について詳しく解説します。
3-1. MDRとEDRの違い
3-1-1. EDR(Endpoint Detection and Response)とは?
**EDR(Endpoint Detection and Response)**は、エンドポイント(PCやサーバーなど)を監視し、異常な挙動を検知するセキュリティツールです。
EDRは、マルウェアや不正アクセスの兆候を検知し、詳細な分析を行うことができます。
- 主な機能
- エンドポイント上での脅威検知
- 不審なプロセスや挙動のログ記録
- 侵害が疑われる端末の隔離
3-1-2. MDRとEDRの違い
MDRとEDRの大きな違いは、「対応範囲」と「運用の主体」にあります。
項目 | MDR | EDR |
---|---|---|
監視対象 | ネットワーク、クラウド、エンドポイントなど | エンドポイントのみ |
運用 | 外部の専門チームが管理 | 自社で運用 |
インシデント対応 | 検知+対応まで支援 | 基本的に検知のみ |
つまり、EDRは単なるツールであり、MDRはそのツールを活用して運用を代行するサービスです。
EDRを導入しても、それを適切に運用できる人材がいなければ効果が発揮されません。
一方、MDRなら外部の専門チームが24時間体制で対応するため、企業の負担を軽減できます。
3-2. MDRとSOCの違い
3-2-1. SOC(Security Operations Center)とは?
**SOC(セキュリティオペレーションセンター)**は、企業のセキュリティ監視を行う専門チームです。
SOCは、ファイアウォールやSIEM(Security Information and Event Management)などを用いて、ネットワーク全体の異常を監視し、脅威を分析します。
- SOCの役割
- セキュリティイベントの監視・分析
- 攻撃の兆候を特定し、報告
- 必要に応じて対応策の提案
3-2-2. MDRとSOCの違い
MDRとSOCの最大の違いは、「運用モデル」と「対応範囲」です。
項目 | MDR | SOC |
---|---|---|
運用モデル | 外部サービスとして提供 | 自社または外部に構築 |
監視範囲 | クラウド、ネットワーク、エンドポイントなど幅広い | 主にネットワーク監視 |
インシデント対応 | 検知+対応 | 基本的に検知のみ、対応は自社が行う |
SOCは監視を行うだけで、実際の対応は企業が実施する必要があります。
一方、MDRは検知後のインシデント対応まで含まれるため、より包括的なサービスと言えます。そのため、MDRは「SOCの機能をアウトソースした形」と考えるとわかりやすいでしょう。
3-3. MDRとNDR、XDRとの関係
3-3-1. NDR(Network Detection and Response)とは?
**NDR(Network Detection and Response)**は、ネットワーク上の異常な通信を検知し、脅威の侵入や拡散を防ぐ技術です。
- NDRの特徴
- ネットワークトラフィックをリアルタイム解析
- AIや機械学習を活用した異常検知
- クラウド環境のトラフィックも監視
NDRは、エンドポイントではなくネットワーク全体の異常を分析するのが特徴です。
これにより、従来のファイアウォールやIPS(侵入防止システム)では見つけられない攻撃を検知できます。
3-3-2. XDR(Extended Detection and Response)とは?
**XDR(Extended Detection and Response)**は、EDRやNDRなどの複数のセキュリティ対策を統合し、脅威の検知・対応を効率化する仕組みです。
- XDRの特徴
- EDR、NDR、SIEMなどのデータを統合
- AIによる相関分析で高度な脅威を検出
- 単一の管理コンソールで監視・対応が可能
XDRは、EDRやNDRを組み合わせた進化版とも言えます。これにより、エンドポイントとネットワークの情報を統合的に分析し、より高度な攻撃を検知できます。
3-3-3. MDRとNDR・XDRの関係
MDRは、これらの技術を組み合わせて運用を代行するサービスです。
項目 | MDR | NDR | XDR |
---|---|---|---|
監視範囲 | エンドポイント、ネットワーク、クラウドなど幅広い | ネットワークのみ | EDRやNDRを統合 |
主な機能 | 検知+対応 | ネットワーク異常検知 | 相関分析による脅威検出 |
運用形態 | 外部の専門チームが運用 | 自社で運用が必要 | 自社で運用が必要 |
MDRはNDRやXDRを活用しながら、企業のセキュリティ運用をサポートするサービスという位置付けです。
そのため、単にNDRやXDRを導入するだけでは不十分であり、MDRを活用することで、より高度なセキュリティ運用が実現できるのです。
MDR導入のメリット
MDR(Managed Detection and Response)とは、外部の専門チームが企業のIT環境を24時間365日監視し、サイバー攻撃の検知・対応を行うサービスです。
近年、サイバー攻撃の高度化やセキュリティ人材不足が進む中、多くの企業がMDRの導入を検討しています。
ここでは、MDRを導入することで得られる主なメリットについて詳しく解説します。
4-1. 専門人材不足の解消
4-1-1. 深刻化するセキュリティ人材不足
現在、セキュリティ人材の不足は世界的な課題となっています。日本でも、企業のIT部門には限られたセキュリティ担当者しかおらず、高度な攻撃への対応が難しい状況にあります。
また、企業が自前でSOC(Security Operations Center)を構築し、24時間体制で監視するのは大きなコストと労力がかかるため、多くの企業が運用に苦戦しています。
4-1-2. MDRによる人材不足の解決策
MDRを導入することで、専門のセキュリティチームが企業の監視・対応を代行し、企業の負担を大幅に軽減できます。
- 最新の脅威情報を活用した高度な分析
- 24時間365日体制での継続的な監視
- 発生したインシデントへの即時対応
つまり、MDRを活用すれば、自社でセキュリティ専門家を雇用しなくても、高度なセキュリティ対策を実現できるのです。
4-2. 高度化するサイバー攻撃への対応
4-2-1. サイバー攻撃の進化と従来の対策の限界
近年、サイバー攻撃はより巧妙化しており、従来の「ファイアウォール+アンチウイルス」では対応しきれなくなっています。
- ランサムウェア攻撃の増加:重要データを暗号化し、身代金を要求する攻撃が急増。
- ゼロデイ攻撃:未知の脆弱性を悪用した攻撃で、通常のセキュリティ対策では検知が困難。
- 標的型攻撃:特定の企業を狙った高度な攻撃で、内部情報を狙われるリスクが高い。
このような攻撃を完全に防ぐのは難しく、「検知」と「対応」のスピードが重要になります。
4-2-2. MDRによる高度な防御
MDRでは、AIや機械学習を活用した高度な分析を行い、通常のセキュリティ対策では見逃されがちな攻撃を検知します。
さらに、脅威を検知した場合には、専門チームが即座に対応を実施し、企業の被害を最小限に抑えます。
これにより、最新のサイバー攻撃にも迅速かつ的確に対応できるのがMDRの強みです。
4-3. セキュリティ運用の効率化
4-3-1. セキュリティ対策の運用負担
多くの企業では、セキュリティ担当者が日々のアラート対応やログ分析に追われ、他の業務に手が回らないという課題を抱えています。
- セキュリティアラートの増加:大量のアラートが発生し、どれが重要なものか判断が難しい。
- 手動でのインシデント対応:攻撃を受けた際に、被害の特定や封じ込めに時間がかかる。
- 複数のセキュリティツールの管理:EDR、NDR、SIEMなどを組み合わせて運用する負担が大きい。
このような課題から、セキュリティ運用の効率化が求められています。
4-3-2. MDRによる運用負担の軽減
MDRを導入することで、企業のセキュリティ運用は大幅に効率化されます。
- 専門チームによる監視・対応の自動化
→ MDRプロバイダーが企業の環境を監視し、必要な対応を実施。 - アラートの優先順位付け
→ 重要度の高い脅威だけを通知し、不要なアラート対応を削減。 - 迅速なインシデントレスポンス
→ 被害の拡大を防ぐため、発生した脅威に即座に対応。
このように、MDRを活用することで、企業は限られたリソースで効果的なセキュリティ運用が可能になります。
MDRサービスの種類
MDR(Managed Detection and Response)とは、外部のセキュリティ専門チームが24時間365日体制で企業のIT環境を監視し、脅威の検知・対応を行うサービスです。
しかし、MDRにはさまざまな種類があり、監視対象や対応範囲が異なります。
主なMDRサービスには以下の3種類があります。
- MEDR(Managed Endpoint Detection and Response):エンドポイント(PCやサーバー)を監視
- MNDR(Managed Network Detection and Response):ネットワーク上の異常を監視
- MXDR(Managed Extended Detection and Response):エンドポイント・ネットワーク・クラウドを統合監視
ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説します。
5-1. MEDR(Managed Endpoint Detection and Response)
5-1-1. MEDRとは?
**MEDR(Managed Endpoint Detection and Response)**は、エンドポイント(PC、サーバー、モバイルデバイスなど)を監視し、不審な動作やマルウェア感染を検知するMDRの一種です。
従来の「アンチウイルスソフト」では検知できない高度な攻撃を発見し、専門家が迅速に対応するのが特徴です。
5-1-2. MEDRの特徴とメリット
MEDRの主な特徴は以下の通りです。
- エンドポイントの異常な動作をリアルタイム検知
- EDR(Endpoint Detection and Response)を活用し、攻撃の進行を阻止
- 被害端末を即座に隔離し、感染拡大を防止
例えば、フィッシング攻撃でマルウェアがエンドポイントに侵入した場合でも、MEDRなら即座に検知・封じ込めが可能です。
5-2. MNDR(Managed Network Detection and Response)
5-2-1. MNDRとは?
**MNDR(Managed Network Detection and Response)**は、ネットワーク全体のトラフィックを監視し、不審な通信や攻撃の兆候を検知するMDRの一種です。
エンドポイントのみに依存せず、ネットワークレベルでの異常を分析することで、隠れた脅威を発見できます。
5-2-2. MNDRの特徴とメリット
MNDRの主な特徴は以下の通りです。
- ネットワーク全体を可視化し、異常通信を検知
- 侵入後のラテラルムーブメント(横展開攻撃)を早期発見
- ファイアウォールをすり抜ける攻撃にも対応可能
例えば、外部からの標的型攻撃(APT攻撃)があった場合、MNDRならC&C(コマンド&コントロール)サーバーへの通信を検知し、攻撃の進行を防ぐことができます。

5-3. MXDR(Managed Extended Detection and Response)
5-3-1. MXDRとは?
**MXDR(Managed Extended Detection and Response)**は、MEDRやMNDRの機能を統合し、エンドポイント・ネットワーク・クラウド環境などを横断的に監視するMDRの進化版です。
複数のセキュリティ対策を統合的に管理し、より高度な脅威に対応できるのが特徴です。
5-3-2. MXDRの特徴とメリット
MXDRの主な特徴は以下の通りです。
- EDR・NDR・SIEMなどのデータを統合し、脅威を総合的に分析
- エンドポイント・ネットワーク・クラウドの全領域で脅威を監視
- AIを活用した相関分析で、見逃されやすい攻撃を特定
例えば、エンドポイントの異常動作(MEDR)とネットワーク上の異常通信(MNDR)を組み合わせ、より正確に攻撃を検知できるのがMXDRの強みです。
MDRサービス選定のポイント
MDR(Managed Detection and Response)とは、外部のセキュリティ専門チームが24時間365日体制でサイバー攻撃を監視し、検知・対応までを行うサービスです。
しかし、MDRサービスは提供企業によって機能や対応範囲が異なるため、自社に最適なサービスを選ぶことが重要です。
ここでは、MDRを選定する際に考慮すべき3つのポイントを解説します。
6-1. 対応範囲と提供機能の確認
6-1-1. 監視対象の範囲
MDRサービスによって、監視対象が異なる。選定時には、自社のセキュリティリスクに応じて適切な監視範囲をカバーできるかを確認することが重要だ。
- エンドポイント監視(MEDR):PCやサーバーの脅威検知が重要な場合
- ネットワーク監視(MNDR):通信の異常やC&Cサーバーへの接続を検知したい場合
- 統合監視(MXDR):エンドポイント・ネットワーク・クラウド全体を包括的に監視したい場合
6-1-2. 提供される機能
MDRサービスには、監視・検知機能だけでなく、さまざまな付加機能が提供されることがある。
- 自動対応機能(脅威を検知した際、自動で端末を隔離)
- インシデント調査レポート(攻撃の詳細分析と推奨対応策の提供)
- 脅威インテリジェンス活用(最新の脅威情報と連携した対応)
どの機能が提供されるのかを明確にしておくことが、MDR選定の重要なポイントになる。
6-2. 導入企業の実績と評判
6-2-1. MDR提供企業の信頼性をチェック
MDRサービスを提供する企業の実績や評判を確認することも重要だ。以下のポイントをチェックしておくとよい。
- どの業界・企業に導入されているか
- 実際にどのようなサイバー攻撃を検知・対応した実績があるか
- 導入企業のフィードバックや評価はどうか
6-2-2. 専門チームのスキルレベル
MDRでは、サイバーセキュリティの専門家が脅威の分析・対応を行うため、提供企業のセキュリティチームのスキルレベルも重要なポイントとなる。
- SOC(Security Operations Center)の運用経験が豊富か
- フォレンジック調査(攻撃の痕跡分析)が可能か
- 脅威インテリジェンスを活用した高度な分析ができるか
MDRの価値は「ツール」ではなく「人」にあるため、専門家のレベルを確認することが重要だ。
6-3. コストとサービス品質のバランス
6-3-1. MDRの価格帯を理解する
MDRのコストは、提供企業や監視範囲によって異なる。一般的に、以下のような要素がコストに影響を与える。
- 監視対象の範囲(エンドポイントのみ or ネットワークも含む)
- 対応レベル(検知のみ or インシデント対応・復旧支援まで含む)
- 導入規模(小規模企業向け or 大規模企業向け)
MDRの価格は月額課金が一般的で、1エンドポイントあたり数千円〜数万円、または年間契約となるケースが多い。
6-3-2. 「安さ」だけで選ばない
コストは重要だが、「安さ」だけでMDRを選んでしまうと、以下のような問題が発生する可能性がある。
- 対応範囲が限定され、重要な脅威を見逃す
- 監視精度が低く、誤検知・見逃しが増える
- 対応スピードが遅く、インシデント対応が遅れる
自社にとって必要なセキュリティレベルを満たしているかを軸に、コストとサービス品質のバランスを見極めることが重要だ。