セキュリティ

CatBランサムウェアとは?脅威を徹底解析|感染経路と拡散手法を解説!

サイバー攻撃が巧妙化する中、CatBランサムウェアは企業や個人を狙い、甚大な被害を与えています。

「突然データが暗号化され、身代金を要求されたら…」そんな不安を抱えていませんか?

本記事では、CatBランサムウェアの仕組みや最新の感染手法、効果的な対策を詳しく解説します。

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • CatBランサムウェアとは何か知りたい人
  • 普通のランサムウェアと何が違うのか知りたい人
  • CatBランサムウェアの対策について知りたい人

CatBランサムウェアとは

CatBランサムウェアとは、企業や個人を標的とし、重要なデータを暗号化して身代金を要求するマルウェアの一種です。

近年、CatBランサムウェアはその高度な検出回避技術と、迅速な拡散能力で注目を集めています。

サイバーセキュリティ業界では、新たな脅威として警戒されています。

1-1. CatBランサムウェアの概要

CatBランサムウェアは、DLLハイジャックという手法を活用してWindowsシステムに侵入し、システム内のファイルを暗号化します。

これにより、被害者は重要な業務データや個人情報にアクセスできなくなり、攻撃者からの指示に従って身代金を支払わなければならなくなります。

1-1-1. CatBランサムウェアの主な特徴

CatBランサムウェアは、仮想環境を検知して動作を停止する仕組みを備えており、セキュリティ研究者による解析を困難にしています。

また、Microsoftの分散トランザクションコーディネーター(MSDTC)サービスを悪用し、持続的な攻撃を行う点も特徴的です。

1-1-2. 攻撃の流れ

攻撃者は主にフィッシングメールや脆弱性を突いた攻撃を通じてCatBランサムウェアを拡散します。

感染後、システム内のファイルは即座に暗号化され、被害者には身代金要求のメッセージが表示されます。

1-2. 他のランサムウェアとの違い

CatBランサムウェアは、他のランサムウェアと比較しても高度な技術を使用しています。その中でも特に注目されるのは、Pandoraランサムウェアとの類似性です。

1-2-1. 技術的な差別化

多くのランサムウェアは既知の脆弱性を突いて攻撃を仕掛けますが、CatBランサムウェアはDLLハイジャックを積極的に活用し、通常のセキュリティ対策を回避します。

これにより、感染の検知が難しくなっています。

1-2-2. 攻撃者グループの背景

CatBランサムウェアは、過去にPandoraランサムウェアを運用していたグループが関与している可能性が指摘されています。

このため、攻撃の手法や使用されるインフラにも共通点が多く見られます。

CatBランサムウェアに対する理解を深めることで、より効果的な予防策や対処法を講じることができます。

今後も進化し続けるランサムウェアの脅威に備えるためには、最新の情報を常に把握し、セキュリティ対策を強化することが重要です。

感染経路と拡散手法

CatBランサムウェアは、複数の感染経路と高度な拡散手法を用いて、迅速かつ広範囲に拡散します。

特に、DLLハイジャックという技術を駆使してセキュリティ対策を回避する点が大きな特徴です。

2-1. 主な感染経路

CatBランサムウェアの感染経路は主に以下の3つです。

2-1-1. フィッシングメール

攻撃者は、正規の企業やサービスを装ったメールを送り、悪意のある添付ファイルやリンクを通じてCatBランサムウェアを侵入させます。

受信者が添付ファイルを開いたりリンクをクリックした瞬間に感染が始まります。

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2-1-2. 脆弱性の悪用

OSやアプリケーションの未修正の脆弱性を突いて、リモートからCatBランサムウェアをインストールします。

特にVPNやリモートデスクトップサービスは標的にされやすいポイントです。

2-1-3. ソフトウェアサプライチェーン攻撃

正規のソフトウェアに悪意あるコードを混入させ、ユーザーがインストールする際にCatBランサムウェアを同時に侵入させます。

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2-2. DLLハイジャックによる拡散手法

CatBランサムウェアが使用するDLLハイジャックは、Windowsが必要とするダイナミックリンクライブラリ(DLL)を偽装し、不正なコードを実行する手法です。

2-2-1. DLLハイジャックの仕組み

攻撃者は、正規のDLLファイルを模倣した悪意あるDLLを作成し、システム内の特定ディレクトリに配置します。

WindowsがそのDLLをロードする際に、攻撃者のコードが実行され、CatBランサムウェアがシステム内で活動を開始します。

2-2-2. CatBランサムウェアでの具体的な使用例

CatBランサムウェアは、MicrosoftのMSDTCサービスを悪用することで、システム起動時に自身を実行させる仕組みを導入しています。

この方法により、再起動後も持続的に活動し続け、さらなる被害を拡大させます。

CatBランサムウェアの感染を防ぐためには、定期的なソフトウェア更新やセキュリティ対策ソフトの導入が不可欠です。

検出回避と持続性の手法

3-1. 仮想環境検知の手法

CatBランサムウェアは、解析環境やセキュリティ研究者による検出を避けるため、仮想環境の検知機能を備えています。

具体的には、マルウェアが実行されている環境が仮想マシン(VM)であるかを判断し、仮想環境内であると検知した場合には、悪意のある活動を停止または変更します。

これにより、セキュリティ専門家による動的解析を困難にし、マルウェアの検出を回避します。 

3-2. MSDTCサービスの悪用

CatBランサムウェアは、持続性を確保するためにMicrosoft Distributed Transaction Coordinator(MSDTC)サービスを悪用します。

具体的には、DLLハイジャッキング技術を用いて、MSDTCサービスが起動時に読み込むDLLファイルを悪意のあるものに置き換えます。

この手法により、システム再起動後もランサムウェアが自動的に実行され、持続的な感染状態を維持します。 

被害の特徴と影響

4-1. 暗号化の対象と方法

CatBランサムウェアは、システム内の特定のドライブやフォルダを標的にしてデータを暗号化します。具体的には、追加でマウントされたハードドライブボリュームを「I」まで列挙し、「C:\」ドライブ以外の場所で暗号化するファイルを探します。 

また、システムの安定性を維持し、被害者が身代金を支払う動機を失わないよう、システムファイルや重要なOSファイルの暗号化は避けています。

さらに、CatBランサムウェアは他のランサムウェアとは異なり、暗号化された各ファイルの先頭に直接身代金要求メッセージを挿入します。 

これにより、被害者がファイルを開こうとした際に初めて攻撃の事実と要求内容を認識することになります。

4-2. 身代金要求の手口

CatBランサムウェアの身代金要求は、非常に高額であり、初日に50ビットコイン(約1,102,010ドル)を要求し、日を追うごとに増額され、5日目にはデータが復元不可能になると脅迫します。 

このような手口は、被害者に早急な対応を迫り、心理的な圧力をかけることを目的としています。

また、CatBランサムウェアは、他のランサムウェアのようにわかりやすい場所(ユーザーのデスクトップなど)にはランサムノートを配置しません。

代わりに、すべての暗号化されたファイルの先頭にランサムノートを挿入します。 

これにより、被害者がファイルを開こうとした際に初めて攻撃の事実と要求内容を認識することになります。

このように、CatBランサムウェアは巧妙な暗号化手法と高額な身代金要求により、被害者に多大な影響を及ぼします。

そのため、日頃からのセキュリティ対策やデータのバックアップが重要となります。

CatBランサムウェアの系譜と関連性

5-1. Pandoraランサムウェアとの関係

CatBランサムウェアは、2022年末に出現した新たな脅威であり、別名CatB99やBaxtoyとも呼ばれています。

そのコードレベルの類似性から、Pandoraランサムウェアの進化形または直接的なリブランドであると考えられています。 

Pandoraランサムウェアは、被害者のネットワークからデータを窃取し、ファイルを暗号化した上で、金銭の支払いに応じない場合は盗んだデータを公開する「二重恐喝」手法を用いていました。 

この手法やコードの類似性から、CatBとPandoraの間には密接な関係があると推測されています。

5-2. 他の攻撃グループとの関連性

CatBランサムウェアは、他の攻撃グループとも関連性が指摘されています。特に、中国に拠点を置く高度な持続的脅威(APT)グループである「ChamelGang」が、CatBランサムウェアを使用していることが報告されています。

このグループは、データ盗難やサイバー諜報活動に焦点を当てており、サイバー諜報活動を隠蔽するためにCatBランサムウェアを使用しているとされています。 

また、Pandoraランサムウェアは、RookランサムウェアやBabukランサムウェアとコードが重複していることが報告されており、これらのランサムウェア間の関連性も示唆されています。 

これらの情報から、CatBランサムウェアは他のランサムウェアや攻撃グループと密接な関連性を持ち、その系譜や背景には複数のサイバー犯罪者グループが関与している可能性が高いと考えられます。

予防策と対処法

6-1. 感染を防ぐためのベストプラクティス

CatBランサムウェアの感染を防ぐためには、以下のベストプラクティスを実践することが重要です。

  • 定期的なソフトウェアの更新とパッチ適用:OSやアプリケーションの最新バージョンを維持し、既知の脆弱性を修正することで、攻撃のリスクを低減します。
  • メールの安全対策:不審なメールや添付ファイルを開かないよう徹底し、フィッシング攻撃から身を守ります。
  • 多要素認証(MFA)の導入:アカウントへの不正アクセスを防ぐため、パスワードに加えて追加の認証手段を設定します。
  • 定期的なデータのバックアップ:重要なデータを外部ストレージやクラウドにバックアップし、万が一の際にもデータを復元できるようにします。
  • セキュリティ意識の向上:従業員やユーザーに対して、サイバーセキュリティに関する教育や訓練を実施し、攻撃手法や対策についての理解を深めます。

6-2. 感染後の対応手順

万が一、CatBランサムウェアに感染してしまった場合、以下の手順で対応することが推奨されます。

  1. ネットワークからの隔離:感染したデバイスを直ちにネットワークから切り離し、他のシステムへの拡散を防止します。
  2. 専門機関への報告:速やかに社内のセキュリティ担当者や外部の専門機関に連絡し、適切なサポートを受けます。
  3. 感染経路の特定と除去:マルウェアの侵入経路を特定し、システムから完全に除去します。
  4. データの復元:バックアップからデータを復元し、業務の継続性を確保します。
  5. 再発防止策の実施:感染の原因を分析し、同様の被害を防ぐための対策を強化します。

なお、身代金の支払いは推奨されません。支払ってもデータが復元される保証はなく、攻撃者を助長する可能性があります。 

6-3. フォーティネットの提供する保護ソリューション

フォーティネットは、CatBランサムウェアをはじめとするサイバー脅威からシステムを守るための包括的なセキュリティソリューションを提供しています。特に、以下の製品が効果的です。

  • FortiEDR:リアルタイムで脅威を検出し、ランサムウェアの暗号化をブロックします。さらに、暗号化されたファイルのロールバック機能により、被害を最小限に抑えることが可能です。 
  • FortiMail:メール経由の脅威から保護し、フィッシングやマルウェアの侵入を防止します。
  • FortiGate:ネットワーク全体のセキュリティを強化し、不正なアクセスやデータ漏えいを防ぎます。

これらのソリューションを組み合わせることで、多層的な防御体制を構築し、CatBランサムウェアからの脅威に効果的に対処できます。

日々進化するサイバー攻撃に対抗するためには、最新の情報を収集し、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。フォーティネットのソリューションを活用し、システムの安全性を高めましょう。