「ネットワークが遅い」「Wi-Fiが途切れる」「LANケーブルの接続が不安定」――そんな悩みを抱えていませんか?
ネットワーク環境のトラブルは、原因が分からないまま放置すると業務の効率低下や通信障害につながることも。
そこで役立つのが「ネットワークテスター」です。
ネットワークテスターを使えば、LANケーブルの断線チェック、通信速度の測定、PoE機器の電力供給確認、Wi-Fiの電波干渉分析まで、トラブルの原因を素早く特定できます。
この記事では、ネットワークテスターの種類や選び方、活用方法までを徹底解説します。
最適なテスターを選び、安定したネットワーク環境を手に入れましょう!
この記事は以下のような人におすすめ!
- ネットワークテスターとは何か知りたい人
- どのネットワークテスターを買えばいいかわからない
- 初心者向け・業務用などの違いがよく分からず、選び方の基準が知りたい
目次
ネットワークテスターとは
ネットワークテスターとは、LANケーブルやネットワーク機器の接続状態、通信速度、エラーの有無などを測定するツールです。
オフィスや家庭のネットワーク環境を整えるために欠かせない機器であり、企業のIT部門やネットワークエンジニアが頻繁に使用するだけでなく、最近では一般ユーザーの間でも注目されています。
本記事では、ネットワークテスターの定義や役割について詳しく解説し、なぜネットワークテスターが必要なのかをわかりやすく説明していきます。
1-1. ネットワークテスターの定義と役割
1-1-1. ネットワークテスターの定義
ネットワークテスターとは、LANケーブルや無線LAN(Wi-Fi)を含むネットワーク環境の異常を診断し、適切な動作を確認するための測定機器です。
ネットワークの不具合を特定し、トラブルシューティングを迅速に行うために使用されます。
ネットワークテスターには、以下のような機能があります。
機能 | 説明 |
---|---|
ケーブルテスト | LANケーブルの断線、結線ミス、距離測定などをチェック |
ネットワーク速度測定 | 実際の通信速度を測定し、適切な速度が出ているか確認 |
ポートスキャン | スイッチやルーターのポートに接続された機器を特定 |
信号強度測定 | 無線LANの電波強度を確認し、最適な接続ポイントを見つける |
エラー診断 | パケットロスや遅延を分析し、ネットワークの問題を特定 |
1-1-2. ネットワークテスターの役割
ネットワークテスターは、ネットワークの診断・保守・最適化において重要な役割を果たします。
主な役割は以下のとおりです。
- ネットワーク障害の特定
- ネットワークの接続が不安定な場合、どこに問題があるのかを特定。
- LANケーブルの断線や劣化、通信機器の不具合を診断。
- 通信速度の最適化
- 契約している回線速度が適切に出ているかを測定。
- ボトルネックとなっている箇所を特定し、ネットワークの最適化を支援。
- 配線工事や設備点検の効率化
- 企業やデータセンターでの配線チェックに活用。
- 新しいネットワーク機器の設置時に、正常動作を確認。
- セキュリティ対策
- 不審なデバイスがネットワークに接続されていないかをチェック。
- オープンポートのスキャンによる脆弱性診断。
1-2. ネットワークテスターが必要とされる理由
ネットワークテスターは、家庭・オフィス・企業のネットワーク環境を維持するために不可欠なツールです。
ネットワークのトラブルは、通信の遅延や接続不良だけでなく、業務の生産性低下やセキュリティリスクにもつながるため、正しい診断とメンテナンスが求められます。
1-2-1. ネットワークテスターが必要なシーン
以下のような場面では、ネットワークテスターが特に役立ちます。
- インターネットの速度が遅いと感じるとき
- 契約している回線速度が正しく出ているかを確認。
- ルーターやスイッチの設定ミスがないか診断。
- Wi-Fiの接続が不安定なとき
- Wi-Fiの電波強度を測定し、最適なルーターの配置を決定。
- 干渉している電波(電子レンジやBluetoothなど)の影響を特定。
- LANケーブルの断線や故障を疑うとき
- 長期間使用したケーブルの劣化をチェック。
- 配線工事後の正常動作確認。
- オフィスのネットワークを最適化するとき
- ネットワーク機器の配置や接続方法の見直しに利用。
- エンタープライズ環境のトラブルシューティングに活用。
- セキュリティ対策として
- 未知のデバイスがネットワークに接続されていないかスキャン。
- 使用されていないオープンポートを特定し、閉じることで攻撃リスクを低減。
1-2-2. ネットワークテスターの重要性
ネットワーク環境の健全性を保つためには、定期的なチェックが必要です。
特に以下のような理由から、ネットワークテスターは不可欠なツールとなります。
- 時間とコストの削減
- 手作業で原因を特定するよりも、短時間で問題を発見できる。
- 業務の生産性を落とさずにトラブルを解決。
- ネットワークの安定稼働
- 予期せぬ通信トラブルを未然に防ぐ。
- 運用の安定性を確保し、業務の効率化に貢献。
- セキュリティリスクの低減
- 不正アクセスやネットワークの脆弱性を発見し、早期対策が可能。
- 企業の情報資産を守るための必須ツール。
ネットワークテスターの種類
ネットワークテスターにはいくつかの種類があり、それぞれ用途や機能が異なります。
特に、LANケーブルの診断においては「ケーブル認証テスター」「ケーブル適性テスター」「ケーブル検証テスター」の3種類が主流です。
- ケーブル認証テスター:国際規格に基づいた認証試験を行う
- ケーブル適性テスター:基本的な配線ミスや断線をチェック
- ケーブル検証テスター:通信速度やパフォーマンスを評価する
以下、それぞれの特徴を詳しく解説します。
2-1. ケーブル認証テスター
2-1-1. ケーブル認証テスターとは
ケーブル認証テスターは、LANケーブルが国際規格(TIA/EIAやISO)に準拠しているかをチェックするためのネットワークテスターです。
企業のネットワーク構築やデータセンターなど、高い品質基準が求められる環境で使用されます。
2-1-2. 主な機能
- 国際規格に準拠した認証試験
- TIA/EIA-568、ISO/IEC 11801などの規格に対応
- 伝送速度の測定
- 1Gbps、10Gbpsなどの速度に対応しているかを検証
- 配線品質の分析
- クロストーク(信号干渉)やインピーダンスのチェック
- 詳細レポートの作成
- 認証結果を記録し、企業や施工業者に提出可能
2-1-3. 代表的なケーブル認証テスター
メーカー | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
Fluke Networks | DSX-8000 | 10Gbps対応、業界標準の高精度モデル |
IDEAL Networks | LanTEK IV | 最新規格対応、施工業者向け |
Softing | WireXpert 500 | 施工業者向けの本格的な認証テスター |
ケーブル認証テスターは、企業ネットワークの構築や保守を行うエンジニア向けであり、高精度な測定が必要な場合に適しています。
2-2. ケーブル適性テスター
2-2-1. ケーブル適性テスターとは
ケーブル適性テスターは、LANケーブルの基本的な接続状態を簡単にチェックするためのツールです。
配線ミスや断線の有無を素早く確認でき、オフィスや家庭のLAN環境のトラブルシューティングに最適です。
2-2-2. 主な機能
- 配線ミスの検出
- T568A/T568Bの配線方式に適合しているかを確認
- 導通テスト
- 断線・ショートの有無を診断
- PoE(Power over Ethernet)の確認
- PoE機器への電力供給が可能かチェック
2-2-3. 代表的なケーブル適性テスター
メーカー | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
サンワサプライ | LAN-TST5 | 断線・結線チェックが可能な低価格モデル |
TRENDnet | TC-NT3 | PoE対応、簡単操作 |
ELECOM | LD-T5 | コンパクトで持ち運びに便利 |
ケーブル適性テスターは、低価格で初心者でも扱いやすいのが最大のメリットです。
LAN環境を手軽に診断したい方に向いています。
2-3. ケーブル検証テスター
2-3-1. ケーブル検証テスターとは
ケーブル検証テスターは、ネットワークケーブルが実際にどの程度のパフォーマンスを発揮できるかを測定するためのツールです。
単なる接続確認だけでなく、通信速度やパケットロスなどの詳細なネットワーク情報を取得できるため、高度なトラブルシューティングに適しています。
2-3-2. 主な機能
- ネットワーク通信テスト
- 実際のデータ転送速度を計測
- エラーパケットの検出
- パケットロスや遅延を特定
- スイッチやルーターのポート診断
- どのポートにどのデバイスが接続されているかを分析
- Wi-Fiネットワークの干渉解析
- 無線LANの信号強度やチャンネル利用状況を可視化
2-3-3. 代表的なケーブル検証テスター
メーカー | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
Fluke Networks | LinkRunner G2 | 有線・無線のネットワーク診断に対応 |
NetAlly | EtherScope nXG | 企業向けの高性能診断ツール |
TRENDnet | Network Probe | 低価格ながら詳細な分析が可能 |
ケーブル検証テスターは、企業ネットワークのトラブルシューティングに最適であり、特に通信速度やパフォーマンスの測定を必要とする場合に活躍します。
主要なネットワークテスターのメーカーと製品
ネットワーク環境の診断やトラブルシューティングに欠かせないネットワークテスターには、多くのメーカーが競争する市場があります。
特に、業界をリードする「フルーク・ネットワークス」、手軽に導入できる「サンワサプライ」、その他のメーカーが提供する製品について詳しく解説します。
3-1. フルーク・ネットワークスの製品ラインナップ
3-1-1. フルーク・ネットワークスとは
フルーク・ネットワークス(Fluke Networks)は、ネットワーク診断機器の分野で世界的に高い評価を受けるメーカーです。
特に、業務用ネットワークテスターの分野ではトップブランドとして知られています。
3-1-2. フルーク・ネットワークスの主な特徴
- 高精度な測定機能:ネットワークケーブルの品質や通信速度を詳細に分析
- 国際規格に対応:TIA/EIAやISOの規格に準拠した認証テストが可能
- 業務用途向け:企業・データセンター・通信業者向けの高度なツールを提供
3-1-3. フルーク・ネットワークスの代表的な製品
製品名 | 主な用途 | 特徴 |
---|---|---|
DSX-8000 CableAnalyzer | ケーブル認証 | 10Gbps対応、業務用最高峰モデル |
LinkRunner G2 | ネットワーク診断 | 有線LANの接続確認、スイッチポート情報取得 |
AirCheck G2 | Wi-Fi診断 | 無線LAN環境の電波状況を詳細分析 |
フルーク・ネットワークスの製品は、主に企業や専門業者向けに設計されており、価格は高めですが、精度の高い測定結果を求める場合に最適です。
3-2. サンワサプライのLANテスターシリーズ
3-2-1. サンワサプライとは
サンワサプライ(Sanwa Supply)は、日本国内でPC関連アクセサリーを幅広く提供するメーカーです。
ネットワークテスターについても、低価格で手軽に使える製品をラインナップしており、家庭や小規模オフィス向けに人気があります。
3-2-2. サンワサプライの主な特徴
- コストパフォーマンスが高い:初心者でも扱いやすい安価なモデルが多い
- 簡単な操作性:ボタン操作のみで配線チェックが可能
- コンパクト設計:持ち運びやすく、収納しやすいサイズ
3-2-3. サンワサプライの代表的な製品
製品名 | 主な用途 | 特徴 |
---|---|---|
LAN-TST5 | LANケーブルテスト | 断線・結線チェックが可能なエントリーモデル |
LAN-TST8 | PoEテスト | PoE給電の確認ができる |
LAN-TST10 | 多機能LANテスター | スイッチの通信ポートを特定可能 |
サンワサプライのネットワークテスターは、価格が手頃で初心者でも扱いやすいのが最大の魅力です。
簡単なLANケーブルの診断を行いたい方に向いています。
3-3. その他の主要メーカーとその製品
3-3-1. その他の主要メーカーの特徴
フルーク・ネットワークスやサンワサプライ以外にも、ネットワークテスターを提供するメーカーは数多く存在します。
それぞれ特徴が異なるため、用途に応じて最適な製品を選ぶことが重要です。
3-3-2. 代表的なメーカーと製品
メーカー | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
TRENDnet | TC-NT3 | PoE・LANテストが可能な低価格モデル |
IDEAL Networks | LanTEK IV | 高精度なLANケーブル検証が可能 |
NetAlly | EtherScope nXG | エンタープライズ向けネットワーク診断ツール |
3-3-3. 各メーカーの特徴
- TRENDnet:コストパフォーマンスに優れた製品が多く、小規模オフィスや家庭向け
- IDEAL Networks:プロフェッショナル向けの高度な測定機能を搭載
- NetAlly:Wi-Fi環境の診断にも対応し、企業ネットワーク管理者に人気
これらのメーカーは、価格・機能・対象ユーザーが異なるため、使用目的に応じた選択が必要です。
ネットワークテスターの選び方
ネットワークテスターを選ぶ際には、使用目的や予算に応じた最適なモデルを選ぶことが重要です。
ネットワークテスターには多様な種類があり、単純な配線チェックから高度な通信診断まで用途が異なります。
本記事では、「用途別の適切なテスターの選択」と「予算に応じた製品の選び方」について詳しく解説します。
4-1. 用途別の適切なテスターの選択
ネットワークテスターには、シンプルな接続確認用のものから、企業向けの高度な診断機能を備えたものまでさまざまな種類があります。
以下の用途に応じて適切なテスターを選びましょう。
4-1-1. 家庭や小規模オフィスでの使用
家庭や小規模オフィスでは、ネットワークトラブルの原因を素早く特定し、基本的な診断ができる簡易ネットワークテスター(ケーブル適性テスター)が適しています。
必要な機能
- LANケーブルの断線・誤配線チェック
- PoE(Power over Ethernet)対応の確認
- 基本的なネットワーク接続テスト
おすすめのネットワークテスター
メーカー | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
サンワサプライ | LAN-TST5 | 低価格で簡単なLANケーブルチェックが可能 |
TRENDnet | TC-NT3 | PoE給電の有無を確認できる |
ELECOM | LD-T5 | コンパクトで家庭向け |
4-1-2. 企業のネットワーク管理
企業や中規模以上のオフィスでは、ネットワークの安定運用が求められるため、より高度な診断が可能なケーブル検証テスターやWi-Fiテスターを選ぶとよいでしょう。
必要な機能
- 通信速度やネットワークパフォーマンスの測定
- パケットロス・遅延の確認
- Wi-Fiの信号強度や干渉のチェック
おすすめのネットワークテスター
メーカー | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
Fluke Networks | LinkRunner G2 | 有線LANの接続トラブルを迅速に特定 |
NetAlly | EtherScope nXG | 高度なネットワーク解析が可能 |
TRENDnet | Network Probe | 中規模ネットワーク向けの診断機能搭載 |
4-1-3. ネットワーク工事・施工業者向け
ネットワーク施工業者やデータセンターのエンジニアは、国際規格に準拠したLANケーブルの品質評価が求められるため、ケーブル認証テスターが必須です。
必要な機能
- TIA/EIA・ISO規格に準拠したケーブル認証
- クロストークやインピーダンスの詳細分析
- レポート作成機能
おすすめのネットワークテスター
メーカー | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
Fluke Networks | DSX-8000 CableAnalyzer | 最高レベルのLAN認証機能を搭載 |
IDEAL Networks | LanTEK IV | 施工業者向けの高精度なLAN認証テスター |
Softing | WireXpert 500 | 最新規格に対応した高性能モデル |
ネットワークテスターを選ぶ際は、必要な機能と使用環境に合わせた最適なモデルを選定することが重要です。
4-2. 予算に応じた製品の選択ポイント
ネットワークテスターの価格は、数千円の簡易モデルから数百万円の業務用高性能モデルまで幅広く存在します。
予算に応じた適切な選び方を紹介します。
4-2-1. 1万円以下の低価格モデル
低価格帯のネットワークテスターは、家庭や小規模オフィスでの簡単な配線チェックに適しています。
特徴
- 断線や誤配線のチェックが可能
- 操作が簡単で初心者向け
- PoE確認機能付きのモデルもあり
おすすめの製品
メーカー | 製品名 | 価格帯 |
---|---|---|
サンワサプライ | LAN-TST5 | 約3,000円 |
TRENDnet | TC-NT3 | 約5,000円 |
ELECOM | LD-T5 | 約2,500円 |
4-2-2. 1万円~10万円の中価格帯モデル
この価格帯のネットワークテスターは、企業のネットワーク管理者向けのモデルが多く、通信品質の検証が可能です。
特徴
- 通信速度やパケットロスの診断が可能
- PoEやネットワークのポートスキャン機能搭載
- 小規模オフィスや企業向けのバランスの取れた機能性
おすすめの製品
メーカー | 製品名 | 価格帯 |
---|---|---|
Fluke Networks | LinkRunner G2 | 約8万円 |
NetAlly | LinkSprinter 300 | 約5万円 |
TRENDnet | Network Probe | 約3万円 |
4-2-3. 10万円以上の高価格帯モデル
この価格帯のネットワークテスターは、業務用・施工業者向けの本格的な診断ツールであり、高度なネットワーク解析が可能です。
特徴
- LANケーブルの国際規格認証が可能
- 大規模ネットワークの通信診断に対応
- レポート作成機能を搭載し、施工業者向け
おすすめの製品
メーカー | 製品名 | 価格帯 |
---|---|---|
Fluke Networks | DSX-8000 | 100万円以上 |
IDEAL Networks | LanTEK IV | 約50万円 |
Softing | WireXpert 500 | 約80万円 |
ネットワークテスターの選択では、予算と求める機能のバランスを考慮し、無駄なコストを抑えつつ必要な機能を備えた製品を選ぶことが重要です。
ネットワークテスターの使用方法と注意点
ネットワークテスターを正しく使用することで、ネットワークのトラブルシューティングや最適化がスムーズに行えます。
特に、LANケーブルのチェックやネットワーク通信の測定を行う際は、適切な手順で操作することが重要です。
ここでは、基本的な使用手順と使用時の注意事項および安全対策について詳しく解説します。
5-1. 基本的な使用手順
ネットワークテスターの使用手順は、テスターの種類や目的によって異なりますが、一般的な流れは以下のようになります。
5-1-1. ネットワークテスターの準備
ネットワークテスターを使用する前に、測定対象のネットワーク環境を確認し、以下の準備を行います。
- テスターの電源を入れる(バッテリー駆動の場合は充電確認)
- テスト対象のケーブルやネットワーク機器を特定
- 測定の目的を明確にする
- 断線チェックか、通信速度の測定か、PoE確認かを事前に把握
- 必要なアダプターや付属品を準備
- 特定のコネクタが必要な場合は事前に用意
5-1-2. LANケーブルの導通チェック
ケーブルの断線や誤配線を確認する場合は、以下の手順でテストを行います。
- テスターの測定モードを「ケーブルテスト」に設定
- テスト対象のLANケーブルの両端をテスターのポートに接続
- 測定を開始し、結果を確認
- 正常なら「OK」や「PASS」と表示
- 断線や配線ミスがあればエラーコードが表示
5-1-3. ネットワーク通信速度の測定
ネットワークの通信速度やパフォーマンスを評価する場合は、以下の手順でテストを行います。
- テスターの測定モードを「通信テスト」に設定
- ネットワークのスイッチやルーターにテスターを接続
- テストを開始し、速度・遅延・パケットロスを確認
- 期待値より低い場合は、ボトルネックの可能性を調査
5-1-4. PoE(Power over Ethernet)の確認
PoE機器の電源供給状況をチェックする際は、以下の手順を実行します。
- PoE対応のネットワークテスターをPoEスイッチや機器に接続
- テスターを「PoEモード」に設定
- 供給電力(W)、電圧(V)、電流(A)を測定
- 規定値内かどうかを確認し、不安定な場合はスイッチ側の設定を見直す
基本的な使用手順を把握しておくことで、ネットワークテスターを効率的に活用できます。
5-2. 使用時の注意事項と安全対策
ネットワークテスターを使用する際には、いくつかの重要な注意点があります。
誤った操作をすると、正確な測定結果が得られないだけでなく、ネットワーク機器の故障につながる可能性もあるため、安全対策を徹底することが大切です。
5-2-1. 正確な測定結果を得るためのポイント
- 測定前にテスターのキャリブレーション(校正)を実施
- 高精度なテストを行うためには、定期的な校正が必要
- LANケーブルは適切な長さで測定
- 長すぎると信号減衰が発生し、正確な結果が得られない
- 測定環境のノイズに注意
- 近くに強い電磁波を発する機器(電子レンジや無線機器)があると、誤測定の原因になる
5-2-2. テスト中のトラブル防止策
- PoE対応のテスターでない場合は、PoEポートに直接接続しない
- PoEポートから高電圧が流れるため、非対応テスターを接続すると故障の原因になる
- テスト後に必ず接続を元に戻す
- 測定のためにケーブルを抜いた場合、再接続を忘れるとネットワーク障害につながる
- テスト中にネットワーク機器の設定を変更しない
- 測定結果が安定しない原因になるため、設定変更はテスト終了後に行う
5-2-3. 安全対策
- 高所での作業時はケーブルを無理に引っ張らない
- 配線作業中にケーブルを強く引っ張ると、内部の線が損傷する
- 通電状態のケーブルを抜く際は慎重に
- PoE機器に接続されたケーブルを抜く際は、静電気対策を行い、急に引き抜かない
- 測定後はテスターを適切に保管
- 落下や水濡れを防ぐために、専用ケースに収納することが推奨される
ネットワークテスターの活用事例
ネットワークテスターは、単にLANケーブルの断線をチェックするだけでなく、ネットワークのトラブルシューティングやパフォーマンス最適化など、幅広い用途で活用されています。
ここでは、ネットワークテスターを活用したトラブルシューティングの実例や、ネットワークパフォーマンスの最適化に役立つ使い方について詳しく解説します。
6-1. トラブルシューティングへの応用
ネットワーク環境で発生する問題の多くは、物理的な配線ミスや通信の遅延、PoE機器の電源供給トラブルなどが原因となっています。
ネットワークテスターを活用することで、これらの問題を素早く特定し、適切な対応を行うことができます。
6-1-1. LANケーブルの断線・誤配線の特定
ネットワークが突然接続できなくなった場合、最も多い原因の一つがLANケーブルの断線や誤配線です。
ネットワークテスターを使えば、以下のようなトラブルを迅速に特定できます。
使用するテスターの種類
- ケーブル適性テスター(例:サンワサプライ LAN-TST5、TRENDnet TC-NT3)
具体的なトラブルと対策
問題 | ネットワークテスターでの確認方法 | 解決策 |
---|---|---|
断線 | ケーブルテストモードで「オープン」表示 | ケーブルの交換 |
誤配線 | 配線チェックで異常なペアが検出される | 正しい配線に修正 |
接触不良 | コネクタ部分で不規則なエラー表示 | コネクタの再接続・交換 |
6-1-2. ネットワーク遅延や通信エラーの特定
ネットワークが遅い、動画が途切れる、ファイル転送が遅いといった問題の原因を特定する際にも、ネットワークテスターが有効です。
使用するテスターの種類
- ケーブル検証テスター(例:Fluke Networks LinkRunner G2、NetAlly EtherScope nXG)
測定可能な項目
- ネットワーク遅延(Ping応答時間)
- パケットロス(データの損失率)
- スイッチやルーターの負荷状況
- Wi-Fi信号の干渉分析
遅延の発生場所や通信障害の原因を正確に特定し、適切な対策を講じることができます。
6-1-3. PoE機器のトラブルシューティング
IPカメラやWi-FiアクセスポイントなどのPoE(Power over Ethernet)機器が正常に動作しない場合、ネットワークテスターを使うことで原因を特定できます。
使用するテスターの種類
- PoE対応ネットワークテスター(例:TRENDnet TC-NT3、Fluke Networks MicroScanner PoE)
具体的なチェック項目
問題 | ネットワークテスターでの確認方法 | 解決策 |
---|---|---|
電力不足 | PoE供給電圧を測定し、規定値以下 | PoEスイッチの変更・設定確認 |
PoE未対応ポート | PoEチェックで「非対応」表示 | PoE対応スイッチに変更 |
ケーブルの損傷 | PoE通信エラー発生 | ケーブルの交換 |
6-2. ネットワークパフォーマンスの最適化
ネットワークテスターを活用すると、通信環境のボトルネックを特定し、安定したネットワーク環境を構築するための改善策を講じることができます。
特に、企業ネットワークやWi-Fi環境の最適化に役立ちます。
6-2-1. ネットワーク速度の測定と最適化
ネットワークテスターを使って、実際の通信速度を測定し、帯域不足や回線の問題を特定できます。
使用するテスターの種類
- 通信速度測定対応のネットワークテスター(例:Fluke Networks LinkRunner AT、NetAlly LinkSprinter 300)
最適化のポイント
- 契約回線の速度が適切に出ているか確認
- スイッチやルーターの設定を最適化
- QoS(Quality of Service)設定の見直し
改善策の例
問題 | 測定結果 | 対策 |
---|---|---|
インターネットが遅い | ダウンロード速度が極端に低い | ルーターの変更・回線プランの見直し |
内部LANの速度低下 | LAN内の通信速度が100Mbpsに制限 | ギガビットスイッチに交換 |
無線LANの遅延 | Wi-Fiの帯域干渉を検出 | 5GHz帯への切り替え |
6-2-2. Wi-Fi環境の最適化
Wi-Fiの接続が不安定な場合、ネットワークテスターを使って電波の干渉やアクセスポイントの配置を分析することができます。
使用するテスターの種類
- Wi-Fi診断テスター(例:Fluke Networks AirCheck G2)
最適化の方法
- SSIDごとの電波強度を測定し、最適な設置位置を決定
- 2.4GHz帯と5GHz帯のチャンネル干渉を分析
- 電波が弱いエリアにWi-Fi中継機やメッシュWi-Fiを導入
Wi-Fi環境最適化の例
問題 | 測定結果 | 改善策 |
---|---|---|
電波が弱い | ルーターからの距離で信号が低下 | ルーターの配置を変更 |
チャンネル干渉 | 近隣のWi-Fiと同じチャンネル使用 | チャンネルを手動で変更 |
通信速度の低下 | 2.4GHz帯での接続が多すぎる | 5GHz帯を優先使用 |