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RAIDとは?初心者向けに仕組み・種類・メリットを徹底解説!

「RAIDって聞いたことはあるけど、結局どれを選べばいいの?」
「RAID 0、RAID 1、RAID 5…違いが多すぎて分からない!」

RAIDは、データの安全性を高めたり、ストレージの速度を向上させる便利な技術ですが、種類が多く、最適な構成を選ぶのは意外と難しいもの。

さらに、「RAIDはバックアップの代わりになるの?」「SSDでも使えるの?」といった疑問を抱えている人も多いでしょう。

本記事では、RAIDの仕組み・メリット・デメリットを分かりやすく解説し、あなたに最適なRAID構成を選ぶためのポイントを詳しく紹介します!

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • RAIDとは何か知りたい人
  • RAIDとバックアップの違いが分からない
  • RAIDの種類が多すぎて、どれを選べばいいのか分からない

RAIDの基礎知識

RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のHDDやSSDを組み合わせて1つのストレージシステムとして運用する技術です。

RAIDを活用することで、データの冗長性やアクセス速度を向上させ、ストレージの信頼性とパフォーマンスを向上させることができます。

本記事では、RAIDの基本概念や目的、メリットについて詳しく解説します。

RAIDを導入することで得られる利点を理解し、自身の環境に適したストレージ構成を選択できるようになりましょう。


1-1. RAIDとは何か

RAIDとは、「Redundant Array of Independent Disks」の略称で、日本語では「独立ディスクの冗長配列」と訳されます。

もともとは「Redundant Array of Inexpensive Disks(安価なディスクの冗長配列)」という意味で使われていましたが、現在は独立したディスクを組み合わせる技術という意味で使われています。

1-1-1. RAIDの基本概念

RAIDの主な目的は、以下の3つの要素を向上させることです。

  1. データの冗長性(Reliability)
    • ディスク障害が発生した際に、データの損失を防ぐ仕組みを提供する。
  2. ストレージのパフォーマンス(Performance)
    • 複数のディスクを並列に動作させることで、データの読み書きを高速化する。
  3. ストレージの容量効率(Capacity Efficiency)
    • 必要に応じて複数のディスクを一つの大容量ストレージとして活用する。

RAIDにはいくつかの異なる構成(RAIDレベル)が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。

代表的なRAIDレベルには、「RAID 0」「RAID 1」「RAID 5」「RAID 6」「RAID 10」などがあります。

1-1-2. RAIDの基本構成

RAIDのシステムは、ソフトウェアRAIDハードウェアRAIDの2種類に分類されます。

種類特徴メリットデメリット
ソフトウェアRAIDOSやソフトウェアによってRAIDを実現低コストで導入可能CPU負荷がかかる
ハードウェアRAIDRAID専用のハードウェア(RAIDカード)を利用高速で安定した動作コストが高い

RAIDの選択は、利用環境や目的に応じて適切に判断する必要があります。


1-2. RAIDの目的とメリット

RAIDを導入する主な目的は、「データ保護」「性能向上」「容量の柔軟な管理」の3つに分けられます。

1-2-1. データの保護(冗長性の確保)

RAIDの最大の特徴は、ディスク障害が発生してもデータを保護できることです。

RAID 1、RAID 5、RAID 6、RAID 10などのRAIDレベルは、冗長性を持たせることで、1台または複数台のディスクが故障してもデータを復元できます。

例:RAID 1 の場合
RAID 1(ミラーリング)では、2台のディスクに同じデータを書き込むため、片方のディスクが故障してもデータを失わずに済みます。

1-2-2. データアクセス速度の向上

RAID 0やRAID 10などのRAIDレベルでは、ストライピング(データ分散書き込み)を活用することで、データの読み書きを高速化できます。

例:RAID 0 の場合
RAID 0(ストライピング)は、複数のディスクにデータを分割して書き込むことで、並列処理が可能になります。

その結果、単体のディスクと比較して、読み書き速度が向上します。

1-2-3. 容量の効率的な活用

RAID 5やRAID 6では、データとパリティ情報を分散して配置することで、冗長性を確保しつつ、容量効率を最大化できます。

RAIDレベル冗長性容量効率パフォーマンス用途
RAID 0なし100%高速高速なデータアクセスが必要な環境
RAID 1あり50%読み取り高速重要データの保護
RAID 5あり約67-80%バランス型サーバー、バックアップ
RAID 6あり約50-67%バランス型高可用性を求める環境
RAID 10あり50%高速高速かつ安全な環境

RAIDレベルの種類と特徴

RAID(Redundant Array of Independent Disks)には複数のレベルが存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。

用途や目的に応じて適切なRAIDレベルを選択することで、ストレージの性能や信頼性を最適化できます。

本記事では、代表的なRAIDレベルであるRAID 0、RAID 1、RAID 5、RAID 6、RAID 10の特徴と用途について詳しく解説します。


2-1. RAID 0(ストライピング)の特徴と用途

RAID 0は、複数のディスクにデータを分散して書き込むことで、高速なデータアクセスを実現するRAIDレベルです。

2-1-1. RAID 0の特徴

  • ストライピング技術を使用し、データを複数のディスクに均等に分散
  • 読み書き速度が向上し、高速なパフォーマンスを実現
  • 冗長性なし:1台のディスクが故障すると全データが消失する
  • ディスクの総容量を100%活用可能

2-1-2. RAID 0の用途

  • 動画編集・ゲーム用途(高速なデータアクセスが必要な環境)
  • 一時的なデータ処理(信頼性より速度を優先するケース)
  • キャッシュ用ストレージ

2-1-3. RAID 0のメリット・デメリット

項目内容
メリット最高速のデータ読み書きが可能
デメリットディスク故障時にデータ復旧が不可能

2-2. RAID 1(ミラーリング)の特徴と用途

RAID 1は、2台以上のディスクに同じデータを保存することで、冗長性を確保するRAIDレベルです。

2-2-1. RAID 1の特徴

  • ミラーリング技術を使用し、データを完全に複製
  • 冗長性が高く、ディスク1台が故障してもデータを保持
  • 書き込み速度は単独のディスクと同等だが、読み取り速度は向上
  • 実効容量は半分(2台のディスクが必要で1台分の容量しか使えない)

2-2-2. RAID 1の用途

  • 重要データの保護(ビジネスデータ、サーバーのシステムディスク)
  • バックアップ用途(障害発生時でもデータを保持)
  • 信頼性を重視するストレージ環境

2-2-3. RAID 1のメリット・デメリット

項目内容
メリットディスク1台の故障に耐えられる
デメリットディスク2台分のコストがかかる(容量効率50%)

2-3. RAID 5(分散パリティ)の特徴と用途

RAID 5は、データとパリティ(誤り訂正データ)を分散して保存し、冗長性と容量効率を両立するRAIDレベルです。

2-3-1. RAID 5の特徴

  • 最低3台のディスクが必要
  • データとパリティを分散し、1台のディスクが故障しても復旧可能
  • 容量効率が高く、ディスク台数−1の容量を使用可能
  • 書き込み速度はRAID 0より遅いが、読み取り速度は高速

2-3-2. RAID 5の用途

  • 企業のデータストレージ(バランスの取れたRAID構成)
  • データの冗長性を確保したストレージ
  • 低コストで冗長性を確保したい場合

2-3-3. RAID 5のメリット・デメリット

項目内容
メリット1台のディスクが故障してもデータを維持できる
デメリット書き込み速度が遅くなる(パリティ計算の負荷)

2-4. RAID 6(ダブルパリティ)の特徴と用途

RAID 6は、RAID 5の強化版で、2つのパリティ情報を分散保存することで、2台のディスク故障に耐えられるRAIDレベルです。

2-4-1. RAID 6の特徴

  • 最低4台のディスクが必要
  • 2台までのディスク故障に対応可能
  • RAID 5よりもさらに高いデータ保護能力
  • パリティ計算の負荷が高く、書き込み速度が低下

2-4-2. RAID 6の用途

  • 高可用性を求める企業向けストレージ
  • 長期間の安定運用が求められる環境
  • RAID 5よりも強固なデータ保護が必要なケース

2-4-3. RAID 6のメリット・デメリット

項目内容
メリット2台のディスクが同時に故障してもデータを維持可能
デメリット書き込み速度が遅くなる(パリティ計算が重い)

2-5. RAID 10(ミラーリング+ストライピング)の特徴と用途

RAID 10は、RAID 1(ミラーリング)とRAID 0(ストライピング)を組み合わせたRAIDレベルで、高いパフォーマンスと冗長性を兼ね備えています。

2-5-1. RAID 10の特徴

  • 最低4台のディスクが必要
  • ストライピングにより高速なデータアクセスを実現
  • ミラーリングによりデータの冗長性を確保
  • ディスクの実効容量は50%(全体の半分が冗長化に使われる)

2-5-2. RAID 10の用途

  • 高速かつ信頼性の高いストレージが必要な環境
  • データベースサーバー
  • 大規模な仮想化環境

2-5-3. RAID 10のメリット・デメリット

項目内容
メリット高速なデータアクセスと高い冗長性を両立
デメリット容量効率が50%(ディスク台数の半分がミラーリングに使用)

RAIDレベルの比較

RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、ストレージの信頼性・容量効率・速度を最適化するために使用される技術です。

しかし、RAIDには複数の種類(RAIDレベル)が存在し、それぞれに異なる特性があります。

この記事では、RAIDレベルの比較を通じて、どのRAIDが最適かを判断できるように解説します。


3-1. 信頼性、容量効率、速度の比較

RAIDを選択する際に考慮すべき主要な要素は信頼性(データの安全性)、容量効率(使用可能なストレージ容量)、速度(データの読み書き性能)の3つです。

それぞれのRAIDレベルをこれらの観点から比較してみましょう。

3-1-1. RAIDレベル別の信頼性比較

RAIDの信頼性は、ディスク障害が発生した際にデータが失われるリスクの低さで評価されます。

RAIDレベル冗長性耐障害性(故障に耐えられる台数)データ損失のリスク
RAID 0なし0台1台でも故障するとデータ消失
RAID 11台まで1台故障しても問題なし
RAID 51台まで2台故障するとデータ消失
RAID 62台まで3台以上故障するとデータ消失
RAID 101台以上(組み合わせによる)一部のディスクが故障しても継続可能
  • RAID 0は最もリスクが高く、1台のディスクが故障するとデータが完全に失われるため、重要なデータの保存には不向きです。
  • RAID 1、RAID 5、RAID 6、RAID 10は冗長性を備えており、ディスク障害が発生してもデータを保護可能です。

3-1-2. RAIDレベル別の容量効率比較

RAIDを構築する際、実際に使用できる容量(実効容量)も重要な要素です。

RAIDレベル必要ディスク数実効容量(利用可能な割合)
RAID 02台以上100%(すべての容量が使える)
RAID 12台以上50%(半分がミラーリングに使用)
RAID 53台以上(N-1)/N(例:3台なら66%)
RAID 64台以上(N-2)/N(例:4台なら50%)
RAID 104台以上50%(半分がミラーリングに使用)
  • RAID 0はすべての容量を使用可能であるため、最大のストレージ容量を確保できます。
  • RAID 1とRAID 10は容量効率が50%(ディスクの半分が冗長化に使用される)であり、ストレージコストが増加します。
  • RAID 5とRAID 6はディスク台数に応じたバランスの取れた容量効率を提供し、コストパフォーマンスが高いです。

3-1-3. RAIDレベル別の速度比較

RAIDの速度は、データの読み書き速度によって評価されます。

RAIDレベル読み取り速度書き込み速度
RAID 0非常に速い非常に速い
RAID 1やや速い遅い
RAID 5速いやや遅い(パリティ計算が必要)
RAID 6速い遅い(RAID 5よりも計算負荷が高い)
RAID 10非常に速い速い
  • RAID 0は最も高速なRAIDレベルであり、特に大容量データの処理に適しています。
  • RAID 5とRAID 6はパリティ計算が発生するため、書き込み速度が低下します。
  • RAID 10はRAID 0とRAID 1の利点を兼ね備えており、高速かつ冗長性が高い構成となっています。

3-2. 各RAIDレベルの長所と短所

ここでは、各RAIDレベルのメリットとデメリットをまとめます。

RAIDレベルメリットデメリット
RAID 0高速なデータアクセスが可能
容量効率100%
ディスク1台故障で全データ消失
RAID 1高い冗長性
故障時の復旧が容易
容量効率50%(ディスクの半分がミラーリングに使用)
RAID 5バランスの取れた冗長性と容量効率
読み取り速度が速い
書き込み速度が低下(パリティ計算の負荷)
RAID 6RAID 5よりも高い耐障害性(2台の故障に対応)書き込み速度が遅い(パリティ計算が2重に必要)
RAID 10RAID 0とRAID 1の利点を兼ね備える
高速かつ冗長性が高い
容量効率50%(ディスクコストが高い)
  • RAID 0は高速だが、信頼性ゼロのためバックアップが必須
  • RAID 1はシンプルで信頼性が高いが、容量効率が低い
  • RAID 5とRAID 6は、信頼性とコストのバランスを考慮する場合に最適
  • RAID 10は、速度と冗長性の両方を重視する場合に推奨される

RAIDの導入と構築方法

RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、データの冗長性や読み書き速度を向上させるストレージ技術です。

RAIDを導入することで、サーバーや個人PCのストレージ環境を最適化できますが、そのためには適切な構築方法を理解することが重要です。

この記事では、RAIDの導入に必要な知識として、ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの違い、構築に必要な機器とソフトウェア、構築時の注意点とベストプラクティスを解説します。


4-1. ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの違い

RAIDを構築する方法には、大きく分けてソフトウェアRAIDハードウェアRAIDの2種類があります。

それぞれの仕組みと違いを理解し、環境に適したRAID方式を選択することが重要です。

4-1-1. ソフトウェアRAIDの特徴

ソフトウェアRAIDは、OSやRAID管理ソフトを使用してRAIDを構築する方法です。

特徴

  • RAID処理をCPUが担当するため、専用ハードウェアが不要
  • OSレベルで管理されるため、導入コストが低い
  • RAIDカード不要で簡単に設定可能
  • CPU負荷が増加するため、高負荷時のパフォーマンスに影響を与える可能性がある

ソフトウェアRAIDを提供する代表的なツール

OSツール名
WindowsWindows Storage Spaces, Intel RST
Linuxmdadm, LVM
macOSDisk Utility

4-1-2. ハードウェアRAIDの特徴

ハードウェアRAIDは、RAIDカード(RAIDコントローラー)を使用してRAIDを構築する方法です。

特徴

  • RAID処理を専用ハードウェアが担当し、CPU負荷を軽減
  • BIOSレベルで管理され、OSの影響を受けない
  • 高速で安定した動作が可能
  • RAIDカードの導入コストが高い
  • RAIDカードが故障すると復旧が難しい場合がある

代表的なRAIDカードメーカー

メーカー製品例
Broadcom(旧LSI)MegaRAIDシリーズ
DellPERCシリーズ
HPSmart Arrayシリーズ

4-1-3. ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの比較

項目ソフトウェアRAIDハードウェアRAID
コスト低い高い
CPU負荷高い低い(専用チップで処理)
導入の手軽さ簡単やや難しい
パフォーマンス
データ保護OS依存BIOSレベルで管理
障害時の対応OSごとに異なるRAIDカードが必要
  • コストを抑えてRAIDを導入するならソフトウェアRAID
  • 高速かつ安定したRAID環境を構築するならハードウェアRAID

4-2. RAID構築に必要な機器とソフトウェア

RAIDを構築するには、適切なハードウェアとソフトウェアを用意する必要があります。

4-2-1. RAID構築に必要な機器

RAIDを構築するために必要な主なハードウェアは以下の通りです。

機器役割
HDDまたはSSDRAIDを構成するディスク(最低2台以上)
RAIDカード(ハードウェアRAIDの場合)RAID管理専用のコントローラー
RAID対応マザーボードソフトウェアRAIDを利用可能な場合が多い
バックアップ用ストレージRAID障害時のデータ保護用

RAID構成に適したストレージの選び方

  • HDDとSSDの選択
    • HDD:コストパフォーマンスが高く、大容量ストレージ向け
    • SSD:RAID 0やRAID 10で高速ストレージ環境を実現
  • エンタープライズ向けディスクを推奨
    • 例)Western Digital(WD Red, WD Gold)、Seagate IronWolf, Samsung SSD 870 EVO

4-2-2. RAID構築に必要なソフトウェア

ソフトウェアRAIDを使用する場合、OSごとに適したツールを利用します。

OSソフトウェア特徴
WindowsWindows Storage SpacesGUIで管理しやすい
Linuxmdadmコマンドラインで柔軟に設定可能
macOSDisk UtilityシンプルなRAID設定が可能

4-3. RAID構築時の注意点とベストプラクティス

RAIDを構築する際には、いくつかの注意点があります。

適切な準備を行い、データの安全性を確保しましょう。

4-3-1. RAID構築時の注意点

  1. バックアップは必ず取る
    • RAIDは冗長性を確保できますが、バックアップの代替にはならないため、別のストレージに定期的なバックアップを行う。
  2. 同じ種類・性能のディスクを使用
    • 異なるメーカーや異なる性能のHDD/SSDを混在させると、RAIDのパフォーマンスが低下する。
  3. ホットスペアを準備
    • RAID 5やRAID 6では、故障時にすぐに交換できる予備ディスク(ホットスペア)を用意すると運用がスムーズ。
  4. RAIDレベルの特性を理解
    • RAID 0は冗長性がないため、業務データには適さない
    • RAID 1、RAID 5、RAID 6はデータ保護ができるが、適した用途を見極める。

4-3-2. RAID運用のベストプラクティス

  • RAIDの定期的な監視
    • RAIDコントローラーの管理ツールを活用し、ディスクの異常を早期に検出する。
  • RAID 5やRAID 6ではディスクの寿命に注意
    • すべてのディスクが同時に寿命を迎える可能性があるため、事前に交換計画を立てる。
  • RAID障害発生時の対応を事前に決める
    • 交換手順、データ復旧方法をあらかじめ確認し、万が一に備えておくことが重要

RAID運用時のトラブルシューティング

RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、ストレージの冗長性とパフォーマンスを向上させる技術ですが、運用中にトラブルが発生することもあります。

RAID障害が発生すると、最悪の場合データを完全に失うリスクもあるため、トラブルの種類や原因、対応方法を把握しておくことが重要です。

本記事では、RAID運用時に発生しやすい障害とその原因、障害発生時の対応手順、データ復旧の方法と注意点について詳しく解説します。


5-1. RAID障害の種類と原因

RAIDで発生する障害には、ハードウェア障害とソフトウェア障害の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、早期対応できるようにしましょう。

5-1-1. ハードウェア障害

ハードウェアの故障によってRAIDの動作に問題が生じるケースです。

障害の種類原因影響
HDD/SSDの故障経年劣化、物理的損傷データの消失、RAIDの崩壊
RAIDコントローラーの故障過熱、電源トラブルRAIDが認識されなくなる
ケーブル・電源の不具合接触不良、断線RAIDの誤動作、アクセス不可

主な予防策

  • RAIDの監視ツールを利用して、HDD/SSDのS.M.A.R.T.情報を定期的に確認
  • RAIDコントローラーの冷却対策を行い、過熱を防ぐ
  • 信頼性の高い電源ユニットを使用し、安定した電力供給を確保

5-1-2. ソフトウェア障害

RAIDの設定や管理ソフトウェアの問題によって発生する障害です。

障害の種類原因影響
RAID構成情報の破損不適切なRAID設定変更RAIDが正常に機能しなくなる
RAID再構築の失敗途中で電源が落ちた、誤った設定データ損失、RAID崩壊
OSのクラッシュRAIDドライバの不具合RAIDボリュームが認識されない

主な予防策

  • RAID設定変更前に必ずバックアップを取得
  • RAID管理ソフトウェアを定期的に更新し、安定したバージョンを使用
  • OSクラッシュに備えて、別のディスクにRAID構成情報を保存

5-2. 障害発生時の対応手順

RAID障害が発生した際には、焦らず適切な手順で対応することが重要です。

5-2-1. RAID障害発生時の基本対応

  1. RAIDのエラーメッセージを確認
    • RAID管理ツール(MegaRAID、Intel RST、mdadm など)で障害の詳細を確認
    • BIOSまたはOSのログをチェック
  2. 障害の種類を特定
    • HDD/SSDの故障か、RAIDコントローラーの不具合かを判断
    • ソフトウェアRAIDの場合は、設定や構成情報の破損をチェック
  3. データアクセスを最小限に抑える
    • RAID 0 の場合、即座に電源を切り、復旧ツールを検討
    • RAID 1/5/6/10 の場合、ホットスペアの適用やディスク交換を検討

5-2-2. RAIDレベル別の復旧手順

RAIDレベル障害発生時の対応
RAID 01台故障でデータ消失。復旧ソフトを使用するか、バックアップから復旧
RAID 1故障したディスクを交換し、ミラーリングを再構築
RAID 5故障したディスクを交換し、自動再構築を待つ(1台のみ故障時)
RAID 62台までの故障なら交換して再構築
RAID 10ミラーリングされた故障ディスクを交換し、再構築

5-3. データ復旧の方法と注意点

RAIDが完全に崩壊した場合、データを復旧するには専門的な手順が必要になります。

5-3-1. データ復旧の方法

  1. RAID管理ツールを使用した復旧
    • MegaRAID、Intel RST、mdadm などのRAID管理ツールを利用し、再構築を試みる
  2. データ復旧ソフトを使用
    • EaseUS Data Recovery、R-Studio、ReclaiMe などの専門ツールを使用
  3. プロのデータ復旧サービスを利用
    • データ復旧の専門業者(AOSデータ、Kroll Ontrack など)に依頼

5-3-2. データ復旧時の注意点

  • RAID 0はバックアップがないと復旧困難
    • RAID 0は冗長性がないため、ディスクが故障するとデータを取り戻すのが難しい
  • 再構築中の障害に注意
    • RAID 5/6 では、再構築中に別のディスクが故障するとデータが消失する
  • 誤った操作をしない
    • RAID設定のリセットやフォーマットは、データを完全に失うリスクがあるため慎重に

RAIDに関する最新動向と将来展望

RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、データストレージの信頼性とパフォーマンスを向上させる技術として長年活用されてきました。

しかし、近年ではSSDの普及、クラウドストレージの発展、新しいデータ保護技術の登場により、RAIDの役割も進化しています。

本記事では、RAID技術の最新トレンドと将来の展望について解説し、RAIDの今後の可能性について考察します。


6-1. RAID技術の最新トレンド

RAID技術は従来のHDDベースの構成だけでなく、新しいストレージ技術と組み合わせることでさらに進化を遂げています。

現在注目されている最新トレンドを見ていきましょう。

6-1-1. SSD向けRAIDの普及

近年、SSDの価格が下がり、SSD RAIDの採用が増加しています。

SSD RAIDのメリット

  • HDDに比べて圧倒的に高速
  • 可動部がないため、故障率が低い
  • 消費電力が少なく、発熱が少ない

最新のSSD RAID技術

技術特徴
NVMe RAIDPCIe接続の高速SSDをRAID化し、圧倒的なパフォーマンスを実現
ZFS RAID-ZRAID 5/6 の代替として、SSD向けに最適化されたRAID方式
Intel VROC(Virtual RAID on CPU)RAIDカード不要でNVMe SSDをRAID化

6-1-2. ソフトウェアRAIDの進化

ハードウェアRAIDに依存せず、OSやファイルシステムレベルでRAIDを実現する技術が進化しています。

最新のソフトウェアRAID技術

技術特徴
ZFS(RAID-Z)RAID 5/6の代替。自己修復機能を持ち、データの完全性を維持
Btrfs RAIDLinux向けの最新RAID機能を提供。圧縮・スナップショット対応
Windows Storage SpacesWindows環境でRAIDを実現するソフトウェア技術

ソフトウェアRAIDは、ハードウェアRAIDに比べてコストを抑えつつ、柔軟な構成が可能であり、企業だけでなく個人ユーザーにも普及しています。


6-1-3. クラウドストレージとRAIDの融合

従来の物理RAIDに加えて、クラウドベースのRAID技術も注目されています。

クラウドとRAIDの融合例

  • AWS Elastic Block Store(EBS):クラウド環境でRAID構成を実現
  • Google Cloud Filestore:クラウド向けの高速ストレージソリューション
  • RAID over Network(RoN):分散ストレージでRAIDを仮想化

クラウドストレージが発展することで、「ローカルRAID vs クラウドRAID」の選択肢が増えています。


6-2. RAIDの将来と新技術の可能性

今後のRAID技術は、SSDのさらなる進化やクラウドストレージの普及とともに、新たな方向へ発展していくと考えられます。

6-2-1. RAIDに代わる新技術

従来のRAIDに代わる技術として、以下のものが注目されています。

技術特徴
Erasure Coding(イレージャーコーディング)RAID 5/6よりも効率的なデータ保護技術
Ceph分散ストレージ技術。RAIDを超える拡張性と信頼性を提供
ZFS/BtrfsRAID機能を内蔵し、データの完全性を維持できるファイルシステム

Erasure Codingは、RAID 5やRAID 6の欠点(書き込み速度の低下)を解決しつつ、高いデータ保護機能を実現する技術として、大規模データセンターで採用されています。


6-2-2. RAIDの進化する方向性

今後、RAID技術が進化する主な方向性は以下の3つです。

① NVMeストレージ向けRAIDの標準化
  • 現在のRAID技術はHDD向けに設計されているが、NVMe SSDに最適化されたRAIDが登場する可能性が高い。
② AIによるRAID管理の自動化
  • AIがRAIDのディスク障害予測や自動修復を行うシステムが普及することで、運用負担が軽減される。
③ クラウドストレージとのハイブリッドRAID
  • ローカルRAIDとクラウドRAIDを組み合わせたハイブリッドストレージが主流になる可能性がある。