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「技術基準適合証明」とは?取得方法や罰則、最新の法改正まで徹底解説!

「海外で買ったスマホやWi-Fiルーター、日本で使っても大丈夫?」そんな疑問を持ったことはありませんか?

実は、日本で無線機器を使うには 「技術基準適合証明(技適)」 が必要です。技適がない機器を使うと 電波法違反で罰則の対象 になる可能性も…。

でも安心してください!

本記事では 技適の基本から確認方法、取得手順、最新の規制変更まで をわかりやすく解説します。

技適なしの機器を使うリスクや、もし取得したい場合の方法も紹介。知らないと損する技適の重要ポイントを今すぐチェック!

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 技術基準適合証明(技適)とは何か知りたい人
  • 技適を取得する必要があるが、どの登録証明機関に申請すればいいかわからない人
  • 技適マークの確認方法がわからない人

技術基準適合証明(技適)とは?

無線機器を使用する際に避けては通れない「技術基準適合証明」、通称「技適」。

これは、日本国内で無線通信機器を合法的に使用するために必要な認証制度です。

ここでは、技適の基本的な定義や目的、さらに「工事設計認証」との違いについて詳しく解説していきます。

1-1. 技術基準適合証明の定義と目的

「技術基準適合証明」とは、日本の電波法に基づき、無線機器が法令で定められた技術基準を満たしていることを証明する制度です。

簡単に言えば、「この機器は日本の電波環境で安全に使えますよ」というお墨付きのようなものです。

1-1-1. なぜ技適が必要なのか?

技適が求められる理由は大きく分けて以下の3つです。

  1. 電波の安全管理
    無許可の無線機器が使われると、他の電波通信に干渉し、通信障害や誤作動の原因になります。技適は、そのようなトラブルを防ぐための基準です。
  2. 国際的な電波ルールの遵守
    各国にはそれぞれ電波利用のルールがあります。日本でも電波法に基づき、技適を取得した機器でなければ使用できません。
  3. 利用者の安心と法的リスク回避
    技適未取得の機器を使うと、知らず知らずのうちに法律違反になり、罰則を受ける可能性があります。正規の技適取得機器を使うことで、安心して通信を行うことができます。

1-2. 工事設計認証との違い

「技適」と混同されやすいのが「工事設計認証」です。

どちらも無線機器の適合性を証明する制度ですが、対象や適用範囲が異なります。

1-2-1. 技適 vs 工事設計認証:何が違うのか?

技適と工事設計認証の主な違いは以下の通りです。

項目技術基準適合証明(技適)工事設計認証
対象機器1台1台の無線機器同じ設計の大量生産機器
認証方法個別の機器ごとに適合性を証明設計段階での適合性を証明
適用シーン特定の機器(例:海外製のWi-Fiルーターを個人が持ち込む場合)大量生産品(例:国内メーカーが販売するスマホやWi-Fiルーター)

1-2-2. どちらの認証を受けるべきか?

基本的に、 個人が輸入機器を使う場合は「技適」、 メーカーが販売する大量生産機器は「工事設計認証」というルールです。

例えば、海外で購入したスマートフォンを日本で使う場合、その機器が技適を取得していなければ電波法違反になる可能性があります。

一方、日本の通信キャリアから販売されるスマホは、メーカーが工事設計認証を取得しているため、ユーザーは何も気にせず使用できます。

技適の取得方法と手順

技術基準適合証明(技適)を取得することで、日本国内で安心して無線機器を使用できます。

しかし、申請の流れや必要な書類、取得にかかる費用や期間について知らないと、手続きが煩雑に感じるかもしれません。

ここでは、技適取得の具体的な方法をわかりやすく解説します。

2-1. 申請の流れと必要書類

技適を取得するには、登録証明機関を通じて申請を行う必要があります。

申請の流れを把握し、事前に必要な書類を準備することで、スムーズに手続きを進めることができます。

2-1-1. 技適取得の申請手順

技適の申請は、以下の流れで行われます。

  1. 登録証明機関を選ぶ
    技適の認証は、総務省が認可した「登録証明機関」が行います。申請者は、どの機関を利用するかを決める必要があります。
    → 代表的な登録証明機関には、一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)などがあります。
  2. 申請書類の準備
    申請には、以下の書類が必要になります。
    • 申請書(各登録証明機関のフォーマットを使用)
    • 試験成績書(無線機器が基準を満たしていることを証明するデータ)
    • 技術仕様書(回路図、周波数範囲、変調方式など)
    • 申請者の身分証明書(法人の場合は登記簿謄本など)
  3. 技術試験の実施
    申請した機器が技適の基準を満たしているかどうか、登録証明機関で技術試験が行われます。
    試験では、周波数の安定性や電波強度、スプリアス(不要な電波)の有無などがチェックされます。
  4. 審査・適合証明の発行
    試験に合格すると、登録証明機関から「技術基準適合証明」が発行され、技適マークの使用が認められます。
  5. 技適マークの表示
    技適を取得した無線機器は、「技適マーク」を表示する必要があります。
    技適マークがない場合、認証を受けた機器であっても、法律違反とみなされる可能性があります。

2-2. 取得にかかる費用と期間

技適の取得には、申請費用や試験費用が発生し、一定の期間も必要です。ここでは、費用の目安と、申請から取得までにかかる時間について解説します。

2-2-1. 技適取得にかかる費用

技適の取得費用は、登録証明機関や試験内容によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

費用項目目安費用
申請手数料3万円~10万円
技術試験費用10万円~50万円
証明書発行費用5万円~20万円

特に、技術試験費用が高額になるケースが多い ため、事前に詳細な見積もりを取ることをおすすめします。

2-2-2. 技適取得にかかる期間

申請から技適証明の発行までにかかる期間は、1ヶ月~3ヶ月程度 が一般的です。

ステップ期間の目安
申請書類の準備1週間~2週間
技術試験2週間~1ヶ月
証明書発行2週間~1ヶ月

注意点:

  • 試験結果に問題がある場合、再試験が必要になり、さらに時間がかかることがあります。
  • 混雑状況によって、登録証明機関の審査期間が長くなることもあります。

技適未取得機器のリスク

日本国内で無線機器を使用する際には「技術基準適合証明(技適)」の取得が必須です。

しかし、海外製のスマートフォンやWi-Fiルーター、トランシーバーなどを個人輸入した場合、技適が取得されていないケースが多くあります。

「技術基準適合証明」を取得していない機器を使用すると、法律違反となる可能性があるだけでなく、電波干渉や安全性の問題も引き起こします。

本記事では、技適未取得機器のリスクについて詳しく解説します。

3-1. 法律違反の可能性と罰則

「技術基準適合証明」を取得していない無線機器を日本国内で使用すると、電波法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。

3-1-1. 技適未取得機器の使用は電波法違反

日本では、電波の利用を厳格に管理するために「電波法」という法律が定められています。この法律では、すべての無線機器は 「技術基準適合証明(技適)」を取得しなければ使用できない ことが義務付けられています。

例えば、以下のようなケースでは電波法違反となる可能性があります。

  • 海外で購入したスマートフォンやタブレットをそのまま日本で使用する
  • 技適マークのないWi-Fiルーターを国内で使う
  • AmazonやAliExpressで購入した海外製のBluetooth機器を使用する

3-1-2. 違反した場合の罰則

技適未取得機器を使用した場合、電波法に基づき 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 が科される可能性があります(電波法第110条)。

また、違法な無線機器を使用すると 総務省から指導・警告 を受けることがあります。特に、電波干渉を引き起こして他の通信機器に影響を及ぼした場合、より厳しい処罰が科される可能性があります。


3-2. 電波干渉・安全性の問題

技適を取得していない機器は、適切な技術基準を満たしていないため、電波干渉や安全性のリスクを伴います。

「技術基準適合証明」がなぜ必要なのか、その理由を詳しく見ていきましょう。

3-2-1. 他の通信機器への電波干渉

「技術基準適合証明」を取得した機器は、電波の強度や周波数の安定性などが厳しくチェックされています。

一方、技適未取得の機器は、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

  • Wi-FiやBluetoothの通信障害
    技適未取得のWi-FiルーターやBluetooth機器を使用すると、周囲の他の無線機器と干渉し、通信が不安定になることがあります。
  • 救急無線や航空無線への影響
    技適未取得の無線機器が、救急車や消防車の無線通信に影響を与えたケースも報告されています。このような事態は、人命に関わる重大な問題につながります。

3-2-2. 電波強度の問題と発熱・発火リスク

技適未取得の機器は、日本の技術基準に適合していないため、過剰な電波を発している可能性があります。

その結果、以下のような問題が発生することがあります。

  • 人体への影響
    過剰な電波を発する機器は、長時間使用すると人体への影響を及ぼす可能性があります。特に、小さな子どもが使用する機器には注意が必要です。
  • 過熱・発火リスク
    技適未取得の機器の中には、安全基準を満たしていない製品も多く、発熱や発火の危険性があるものもあります。特に、バッテリーを内蔵した製品(スマートフォン、タブレット、ワイヤレスイヤホンなど)はリスクが高くなります。

技適マークの確認方法

日本国内で無線機器を使用するためには、「技術基準適合証明(技適)」を取得しているかどうか を確認する必要があります。

その最も簡単な方法が 「技適マーク」 の確認です。

しかし、「技適マークってどこで確認できるの?」「技適番号って何?」といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?

本記事では、技適マークの表示義務や技適番号の確認方法について詳しく解説します。

4-1. 技適マークの表示義務

4-1-1. 技適マークとは?

技適マークとは、「この無線機器は日本の技術基準適合証明を取得しています」 ということを示すマークのことです。技

適マークが付いている機器は、総務省の定めた技術基準をクリアしており、日本国内で合法的に使用できます。

技適マークの例:

📌 技適マークの一般的なデザイン

コピーする編集する  〇 技適マーク(ロゴ)
  〇 技適番号(認証番号)

✅ 技適マークが付いている機器の例

  • スマートフォン(iPhone、Android端末など)
  • Wi-Fiルーター
  • Bluetoothイヤホン
  • ワイヤレスマウス・キーボード
  • スマートウォッチ など

4-1-2. 技適マークの表示が義務付けられている理由

技適マークの表示は 「電波法第38条の6」 により義務付けられています。

この規定により、技術基準適合証明を取得した無線機器には、以下の情報を必ず表示しなければなりません。

  • 技適マーク
  • 技適番号
  • 登録証明機関の名称(または認証機関のコード)

技適マークが表示されていない機器を日本国内で使用すると、違法となる可能性があるため、事前にしっかり確認することが大切です。

4-2. 技適番号の確認方法

4-2-1. 技適番号とは?

技適番号は、技術基準適合証明を取得した無線機器に割り当てられる一意の番号です。

技適マークとともに表示されており、「この機器が技適を取得していること」を識別するために使用されます。

「001」「201」などの3桁の数字 は、認証を行った機関を示しています。

4-2-2. 技適番号の確認方法(3つの方法)

🔍 方法①:本体に刻印されている技適マークを確認する
ほとんどの無線機器は、本体の裏面やバッテリーカバーの内部に技適マークと技適番号が記載されています。

確認場所の例:

  • スマートフォン → 設定アプリ内 or 本体の背面
  • Wi-Fiルーター → 本体の裏面
  • ワイヤレスイヤホン → ケースの内部

🔍 方法②:スマートフォンの設定から確認する
最近のスマートフォンでは、設定アプリ内で技適マークを確認できるようになっています。

📱 iPhoneでの確認方法

  1. 「設定」アプリを開く
  2. 「一般」→「情報」→「法規情報」→「認証」

📱 Android端末での確認方法

  1. 「設定」アプリを開く
  2. 「端末情報」→「認証」

🔍 方法③:総務省の技適検索サイトで確認する
総務省の公式サイトでは、技適番号を入力すると、その機器が技適を取得しているかどうかを検索できます。

✅ 総務省 技適番号検索ページ
🔗 https://www.tele.soumu.go.jp/giteki

最新の法改正と注意点

無線機器の利用環境は日々進化しており、それに伴い「技術基準適合証明(技適)」に関する法規制も更新されています。

最新の規制変更や今後の予定を把握することで、適切な対応が可能となります。

ここでは、最近の規制変更と今後の予定や影響について詳しく解説します。

5-1. 最近の規制変更

直近では、無線機器の技術基準や適合証明に関する規則が改正され、新たな無線設備の種別が追加されました。

これにより、特定の無線設備に対する技適の取得手続きや適用範囲が変更されています。

5-1-1. 新たな無線設備の種別追加

2024年9月30日に「特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則」の一部が改正され、以下の14種別の無線設備が新たに追加されました。

  1. 3.7/4.5GHz帯SC-FDMA/OFDMAフェムトセル基地局
  2. 3.7/4.5GHz帯SC-FDMA/OFDMA小型基地局
  3. 3.7/4.5GHz帯SC-FDMA/OFDMA陸上移動中継局
  4. 3.7/4.5GHz帯SC-FDMA/OFDMA小電力レピータ
  5. 28GHz帯SC-FDMA/OFDMAフェムトセル基地局
  6. その他9種別の無線設備

これらの追加により、5G関連の無線設備に対する技適の取得が求められるようになりました。 

🔗telec.or.jp

5-1-2. 技適マークの表示方法の見直し

無線機器の小型化や多機能化に伴い、技適マークの表示方法も見直されています。

具体的には、ディスプレイを持たない端末機器に対して、外部ディスプレイを用いて電磁的方法で技適マークを表示する方法が追加されました。

また、技適マークの大きさ要件も緩和され、視認可能な範囲であれば3mm未満の表示も認められるようになりました。 

5-2. 今後の予定や影響

今後も無線技術の進展や新しい通信方式の導入に伴い、技適に関する規制や基準の見直しが予想されます。

最新の情報を継続的に収集し、適切に対応することが重要です。

5-2-1. ワイヤレス電力伝送システムの導入

総務省は、搬送ロボット用ワイヤレス電力伝送システムの導入に向け、制度整備を進めています。

このシステムは、6.7MHz帯の周波数を利用した電界結合方式を採用しており、労働力不足への対応や物流効率の向上を目指しています。

これに伴い、関連する技適の取得手続きや基準の整備が進められる予定です。 

🔗insights.tuv.com

5-2-2. 技適未取得機器の流通抑止の取り組み

技適未取得の無線機器が市場に流通することを防ぐため、総務省は「技術基準不適合無線機器の流通抑止のためのガイドライン」を策定しています。

これにより、製造業者や販売業者に対する監視や指導が強化されるとともに、消費者への周知活動も進められる予定です。 

技適取得のサポートと代行サービス

「技術基準適合証明(技適)」を取得するには、申請手続きや技術試験をクリアする必要があります。

しかし、初めての申請では「どこで申請すればいいの?」「必要書類は何?」といった疑問が出てくるでしょう。

そこで、技適を取得するために頼れる 登録証明機関 や 申請代行サービス について詳しく解説します。

6-1. 登録証明機関の紹介

6-1-1. 登録証明機関とは?

登録証明機関とは、総務省から認可を受けた 「技術基準適合証明」 を発行する機関のことです。

これらの機関が無線機器の技術試験を行い、技適を取得できるかどうかを審査します。

登録証明機関の役割は以下の通りです。

  • 無線機器が技術基準を満たしているか試験を実施
  • 技適マークを取得するための審査
  • 証明書の発行

6-1-2. 主要な登録証明機関一覧

現在、日本国内で技適を取得する際に利用できる代表的な登録証明機関は以下の通りです。

機関名特徴
一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)国内最大手の登録証明機関。技適取得の実績多数。
一般財団法人日本品質保証機構(JQA)さまざまな無線機器の試験・認証を行う。
一般財団法人電気安全環境研究所(JET)技適だけでなく、電気製品の安全性認証も実施。
TÜV Rheinland Japan海外規格との適合試験にも対応可能。
SGSジャパン国際的な認証機関で、グローバル展開する企業向け。

これらの登録証明機関は、それぞれ得意分野が異なるため、無線機器の種類や用途に応じて適切な機関を選ぶことが重要 です。


6-2. 申請代行サービスの活用方法

6-2-1. 申請代行サービスとは?

技適の申請には、試験データの準備や技術書類の作成が必要ですが、個人や企業が独自で申請するのはハードルが高い のが現実です。

そこで活用できるのが「申請代行サービス」です。

申請代行サービスを利用すると、以下のサポートを受けられます。

  • 登録証明機関の選定サポート
  • 必要書類の作成・提出代行
  • 技術試験のアレンジメント
  • 審査のフォローアップ

代行サービスを利用すれば、技適取得の手続きに関する負担を軽減し、スムーズに技術基準適合証明を取得できます。

6-2-2. 申請代行サービスを提供している会社

現在、技適申請の代行サービスを提供している企業は多数ありますが、代表的な会社を紹介します。

会社名特徴
日本電波法認証支援センター技適だけでなく、FCC(アメリカ)、CE(欧州)など海外認証も対応。
株式会社エムテック各種無線機器の技適取得支援。小型デバイス向けの実績多数。
Intertek Japan国際認証も含めた包括的な支援が可能。
Bureau Veritas Japanグローバル市場に対応した無線機器の認証支援。

6-2-3. 代行サービスを利用するメリットと注意点

  • 手間を大幅に削減 → 必要な書類作成や試験手続きを丸投げできる
  • 専門家によるサポート → 書類の不備や認証失敗のリスクを軽減
  • 短期間での取得が可能 → 申請のスムーズな進行が期待できる
  • 代行手数料がかかる → 数万円~数十万円の追加コストが発生する
  • 依頼先によって対応が異なる → 代行会社の得意分野を事前に確認する
  • 全ての機器に対応しているわけではない → 事前に相談し、技適取得の可否を確認する