XDRとは何か? 「EDRやSIEMと何が違うの?」「導入するとどんなメリットがある?」と疑問に思っていませんか?
近年、サイバー攻撃は高度化し、従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれない時代になりました。
そこで注目されているのが XDR(Extended Detection and Response) です。本記事では、XDRの基本から導入メリット、注意点、今後の展望までを分かりやすく解説します。
この記事は以下のような人におすすめ!
- XDRとは何か知りたい人
- 提供しているXDRベンダーの違いが知りたい人
- XDRを導入する際の注意点や課題を知りたい人
XDRとは何か
サイバー攻撃がますます高度化する現代において、企業は単一のセキュリティ対策だけでは防御しきれない脅威に直面しています。
そこで登場したのが XDR(Extended Detection and Response) です。
XDRとは、複数のセキュリティ製品を統合し、より高度な脅威検知とインシデント対応を実現する次世代のセキュリティソリューションです。
本記事では、XDRの基本概念から、なぜ今XDRが注目されているのかを詳しく解説していきます。
1-1. XDRの定義
1-1-1. XDRとは?
XDR(Extended Detection and Response)は、エンドポイント、ネットワーク、クラウドなど 複数のセキュリティデータを統合し、脅威の検知・分析・対応を自動化するセキュリティソリューション です。
従来のEDR(Endpoint Detection and Response)ではエンドポイント単体の監視が中心でしたが、XDRはそれを ネットワークやメール、クラウド環境まで拡張し、より広範囲な脅威を可視化 できるのが特徴です。
1-1-2. XDRの仕組み
XDRは、SIEM(Security Information and Event Management)やSOAR(Security Orchestration, Automation, and Response)といった既存のセキュリティプラットフォームとも異なり、 単なるログ管理ではなく、統合された脅威インテリジェンスと自動化されたインシデント対応を備えた仕組み になっています。
以下のような機能が統合されている点が大きな特徴です。
- データ収集と統合分析:エンドポイント、ネットワーク、クラウドなど異なるセキュリティレイヤーのデータを収集し、相関分析を行う。
- 脅威のリアルタイム検知:AIや機械学習を活用し、未知の脅威を検出。
- 自動化されたインシデント対応:脅威の検出後、即座にブロックや隔離を実施し、被害を最小限に抑える。
1-1-3. XDRと従来のセキュリティ対策との違い
XDRは、EDRやSIEMといった従来のセキュリティソリューションと何が違うのでしょうか?
最大の違いは、 データの統合性と自動化のレベル です。
従来のEDRはエンドポイント単体での対応が主でしたが、XDRは より広範囲の脅威を統合的に可視化・分析し、迅速な対応が可能 です。
比較項目 | EDR | SIEM | XDR |
---|---|---|---|
監視対象 | エンドポイント | すべてのログ | エンドポイント、ネットワーク、クラウドなど |
検知能力 | 限定的 | 高いが手動対応 | AI・機械学習を活用した高度な検知 |
対応の自動化 | 一部可能 | 手動対応が基本 | 高度な自動化が可能 |
1-2. XDRが注目される背景
1-2-1. 高度化するサイバー攻撃への対応
近年、 サイバー攻撃はより巧妙化し、従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれないケースが増えています。
たとえば、標的型攻撃やランサムウェアは、単一のセキュリティレイヤーでは検知が難しく、企業のシステムに深刻な影響を与える可能性があります。
XDRは 複数のセキュリティデータを統合し、より精度の高い脅威検知と迅速な対応を実現 することで、こうした攻撃から企業を守る役割を果たします。
1-2-2. セキュリティ運用の負担軽減
企業の セキュリティ運用担当者の負担は年々増加 しています。従来のEDRやSIEMでは、多くのアラートを手動で確認し、それぞれの対応を行う必要がありました。
しかし、XDRを導入することで 誤検知を削減し、優先順位をつけた効率的なインシデント対応が可能 になります。
これにより、 SOC(セキュリティオペレーションセンター)の運用効率が大幅に向上 し、限られたリソースでも適切なセキュリティ対策を実施できます。
1-2-3. クラウド環境の拡大
近年、多くの企業が クラウド環境へ移行 しています。
しかし、クラウドはオンプレミスとは異なるセキュリティリスクを伴い、従来のセキュリティツールだけではカバーしきれない部分が増えています。
XDRは、クラウド環境も含めて脅威を監視できるため、 クラウドネイティブなセキュリティソリューションとしても適しています。
XDRの主な機能
XDRとは、従来のセキュリティツールと異なり、 複数のセキュリティレイヤーを統合し、脅威をより正確に検知・分析し、迅速に対応できるプラットフォーム です。
これにより、企業は 高度なサイバー攻撃にも効果的に対処し、セキュリティ運用の負担を軽減 できます。
本章では、XDRの主要な機能として 「脅威の検知と分析」「インシデント対応と自動化」「セキュリティデータの統合管理」 の3つを詳しく解説します。
2-1. 脅威の検知と分析
XDRの最も重要な機能の一つが 脅威の検知と分析 です。
単純なシグネチャベースの検知ではなく、AIや機械学習を活用して未知の脅威にも対応できるのが大きな特長です。
2-1-1. AI・機械学習による高度な検知
従来のセキュリティ対策では、既知の脅威に対してシグネチャ(パターン)を用いた検知が主流でした。
しかし、新しいマルウェアやゼロデイ攻撃には対応しきれません。
XDRとは、AIや機械学習を活用し、異常な振る舞いをリアルタイムで検知できる次世代のセキュリティソリューション です。
これにより、 従来のシグネチャベースの防御を超えた、より精度の高い脅威検知が可能 になります。
2-1-2. 相関分析による高度な脅威ハンティング
XDRは、 エンドポイント、ネットワーク、クラウド、メールなど、さまざまなソースからのデータを統合し、脅威を相関分析 します。
これにより、個別のログからは気づきにくい 高度な攻撃の兆候を早期に検出できます。
例えば、以下のようなケースで脅威を可視化できます。
- エンドポイントの異常な動作(例:突然の大量データ送信)
- ネットワーク内の異常通信(例:通常とは異なる宛先へのアクセス)
- クラウド上の不審なログイン(例:異国からのアクセス)
XDRは、これらのデータを関連付けることで、単体のセキュリティ製品では検出しづらい複雑な攻撃パターンも発見できます。
2-2. インシデント対応と自動化
XDRとは、 脅威を検知するだけでなく、インシデント対応の自動化にも優れたソリューション です。
迅速な対応が可能になることで、攻撃の影響を最小限に抑えられます。
2-2-1. 自動隔離と封じ込め
XDRは、 脅威を検出した瞬間に、自動的に感染したエンドポイントを隔離 することが可能です。たとえば、ランサムウェアが特定の端末に感染した場合、 ネットワーク接続を遮断し、被害の拡大を防ぐ ことができます。
また、ネットワーク通信やクラウドアプリの制御も可能なため、 疑わしいアクセスを即座にブロック し、企業ネットワーク全体を保護する役割を果たします。
2-2-2. 自動レスポンスの仕組み
従来のセキュリティ運用では、 SOC(Security Operations Center)担当者が手動でログを確認し、インシデントを分析する必要がありました。
これには多くの時間と労力がかかり、 対応が遅れると被害が拡大するリスクがありました。
XDRは、 脅威を検出すると同時に、適切な対応を自動実行する機能を備えています。
たとえば、以下のようなアクションを自動化できます。
- 感染した端末の ネットワーク隔離
- 不審なプロセスの 即時終了
- 攻撃元IPアドレスの ブロック
- ユーザーに対する パスワードリセット要求
この自動化により、 SOC担当者の負担を大幅に軽減し、迅速なインシデント対応が可能 になります。

2-3. セキュリティデータの統合管理
XDRとは、 分散されたセキュリティ情報を一元管理し、より効率的な運用を可能にするプラットフォームでもあります。
多くの企業が複数のセキュリティツールを導入しているため、XDRによる統合管理の重要性はますます高まっています。
2-3-1. 異なるセキュリティツールのデータを統合
従来のセキュリティ運用では、 EDR、SIEM、ファイアウォール、IPS/IDS、クラウドセキュリティなど、それぞれのツールが独立して運用されていました。
しかし、ツールごとにデータが分散していると、 脅威の全体像を把握するのが難しくなる という課題があります。
XDRは、これらの 異なるセキュリティツールのデータを統合し、一つのプラットフォーム上で管理・分析できる のが特長です。
これにより、 複数のセキュリティツールを横断した相関分析が可能となり、より精度の高い脅威検知が実現 できます。
2-3-2. セキュリティ運用の効率化
XDRの統合管理機能により、 SOCやIT部門の担当者は、一つのダッシュボードで全てのセキュリティ状況を把握 できるようになります。
これにより、 各ツールごとのログを確認する手間が削減され、インシデント対応のスピードが向上 します。
例えば、XDRの統合管理機能を活用すると、以下のようなメリットがあります。
- セキュリティログの一元管理により、 アラートの精査時間を短縮
- すべての脅威データを統合した 可視化ダッシュボードの提供
- インシデント対応のワークフローを自動化 し、より迅速な処理が可能
このように、XDRを導入することで、 脅威の可視化が向上し、運用コストの削減にもつながる のです。
XDRと他のセキュリティソリューションとの違い
XDRとは、 エンドポイント、ネットワーク、クラウドなど複数のセキュリティレイヤーを統合し、脅威をより正確に検知・分析・対応できる次世代のセキュリティソリューション です。
しかし、従来から存在する EDR(Endpoint Detection and Response)、NDR(Network Detection and Response)、SIEM(Security Information and Event Management) などのソリューションと何が違うのか疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、 XDRとEDR/NDR/SIEMの違いを比較し、それぞれの特徴や活用シーンを詳しく解説 します。
3-1. EDR(Endpoint Detection and Response)との比較
3-1-1. EDRとは?
EDR(Endpoint Detection and Response)は、 エンドポイント(PCやサーバー)を中心に脅威の検知・分析・対応を行うセキュリティソリューション です。
主に マルウェア感染や不審なプロセスの実行など、エンドポイント上の異常をリアルタイムで監視 するのが特徴です。
EDRは、 エンドポイントに特化した脅威検知とインシデント対応が得意 ですが、 ネットワークやクラウド、メールなどの脅威まではカバーできません。

3-1-2. XDRとEDRの違い
項目 | EDR | XDR |
---|---|---|
監視範囲 | エンドポイントのみ | エンドポイント+ネットワーク+クラウド+メール |
脅威検知 | ローカル端末の挙動を分析 | 異なるセキュリティデータを統合し、相関分析 |
自動化 | エンドポイント内の対応に限定 | マルチレイヤーでの自動対応 |
メリット | 端末レベルの高度な脅威検知が可能 | より広範囲の脅威を統合的に可視化 |
3-1-3. XDRはEDRを含む包括的なソリューション
XDRとは、 EDRの機能を拡張し、より広範囲のセキュリティデータを統合するプラットフォーム です。
EDR単体では検知しきれない ネットワークレベルの異常やクラウド上の脅威もカバー できるため、 より精度の高い脅威検知と迅速な対応が可能 になります。
3-2. NDR(Network Detection and Response)との比較
3-2-1. NDRとは?
NDR(Network Detection and Response)は、 ネットワークトラフィックを監視し、不審な通信や異常な動きを検知するソリューション です。
具体的には、 ネットワーク内で発生する攻撃、内部の不正アクセス、異常なデータ転送などをリアルタイムで分析 します。
NDRは、 ネットワークベースの攻撃(例:DDoS、異常な通信パターン)を検知するのに優れていますが、エンドポイント上の脅威には対応できません。
3-2-2. XDRとNDRの違い
項目 | NDR | XDR |
---|---|---|
監視範囲 | ネットワークトラフィックのみ | エンドポイント+ネットワーク+クラウド+メール |
脅威検知 | ネットワークレベルの異常を分析 | マルチレイヤーでの相関分析 |
自動化 | 一部可能だが手動対応が多い | 自動インシデント対応が可能 |
メリット | ネットワーク上の脅威を高精度に検知 | エンドポイントやクラウドまで包括的に対応 |
3-2-3. XDRはNDRを補完し、より強力な防御を実現
XDRとは、 NDRの機能を取り込みつつ、より幅広い脅威に対応できるセキュリティプラットフォーム です。
エンドポイント・ネットワーク・クラウドのデータを統合することで、個別のソリューションでは見えなかった脅威を可視化し、より迅速な対応が可能 になります。
3-3. SIEM(Security Information and Event Management)との比較
3-3-1. SIEMとは?
SIEM(Security Information and Event Management)は、 各種セキュリティ機器のログを一元管理し、相関分析を行うプラットフォーム です。
従来のセキュリティ対策では、 複数のツールが別々にログを収集・分析していたため、異なるデータの関連性を見逃しやすい という課題がありました。
SIEMは、こうした課題を解決するために 多様なデータを統合し、リアルタイムの脅威分析を実施するのが特徴 です。しかし、 SIEM自体には自動対応機能がなく、運用には専門知識が求められる というデメリットがあります。

3-3-2. XDRとSIEMの違い
項目 | SIEM | XDR |
---|---|---|
監視範囲 | 全社のセキュリティログを統合 | エンドポイント+ネットワーク+クラウド+メール |
脅威検知 | 手動設定による相関分析 | AI・機械学習を活用した高度な検知 |
自動化 | 手動対応が基本 | 高度な自動インシデント対応が可能 |
メリット | 企業全体のセキュリティ状況を可視化 | 高精度な脅威検知と迅速な対応が可能 |
3-3-3. XDRはSIEMの課題を解決する
XDRとは、 SIEMのようにデータを統合するだけでなく、AI・機械学習を活用して脅威をより高精度に検知し、自動対応を実行できるセキュリティプラットフォーム です。
SIEMでは 手動対応が中心だった運用を、自動化することでセキュリティチームの負担を軽減 できます。
XDR導入のメリット
XDRとは、 複数のセキュリティデータを統合し、脅威の検知・分析・対応を高度化する次世代のセキュリティソリューション です。
近年、多くの企業がXDRの導入を検討していますが、その理由の一つに 「従来のセキュリティ対策では対応が難しい高度な脅威に対処できる」 という点が挙げられます。
本記事では、XDR導入による具体的なメリットとして 「脅威検知能力の向上」「運用効率の改善」「セキュリティ運用コストの削減」 の3つについて詳しく解説します。
4-1. 脅威検知能力の向上
サイバー攻撃は日々進化しており、従来のセキュリティツールでは検知できない ゼロデイ攻撃や多層型攻撃が増加 しています。
XDRとは、 AIや機械学習を活用し、これらの高度な攻撃をリアルタイムで検知できるセキュリティソリューション です。
4-1-1. 多層防御による高度な脅威検知
従来のEDR(Endpoint Detection and Response)では、 エンドポイント単体での脅威検知に限定されていました。
しかし、XDRは以下のような 複数のセキュリティレイヤーを統合 することで、より精度の高い脅威検知を可能にします。
- エンドポイントの異常な動作の検知
- ネットワーク上の異常通信の分析
- クラウド環境のログ監視
- メールを介したフィッシング攻撃の防止
これにより、攻撃の兆候を 複数の視点から分析できるため、従来のセキュリティツールでは見逃されがちな脅威を早期に検知 できます。
4-1-2. AI・機械学習による未知の脅威の検出
XDRには、 AIや機械学習による異常検知機能が搭載 されています。
これにより、 過去のデータを学習し、新しい攻撃パターンを予測・検知 することが可能になります。
例えば、従来のシグネチャベースのセキュリティ対策では、 既知の攻撃しか防御できません。
しかし、XDRは 「正常な通信」と「異常な通信」の違いを自動で学習し、未知の攻撃にも対応 できます。
4-2. 運用効率の改善
企業のセキュリティチームは、日々大量のアラートに対応しなければなりません。特に、 誤検知が多いと重要なインシデントを見逃すリスクが高まる ため、運用効率の向上が求められています。
XDRとは、 統合的なアプローチにより、SOC(Security Operations Center)やIT管理者の負担を軽減するソリューション です。
4-2-1. アラートの統合と誤検知の削減
XDRでは、 異なるセキュリティツールからのアラートを一元管理し、関連性を分析 することで 誤検知を大幅に削減 できます。
従来のセキュリティツールでは、以下のような課題がありました。
- 各ツールが独立しており、個別にアラートを発生
- 相関分析ができず、誤検知が多発
- SOC担当者が手作業で分析する必要があり、時間がかかる
XDRを導入すると、 異なるデータを統合し、AIを活用して誤検知を減らすことで、より正確なアラート管理が可能 になります。
4-2-2. 自動対応によるインシデント処理の迅速化
XDRのもう一つの大きなメリットは、 自動化による迅速なインシデント対応 です。
- 感染端末の自動隔離
- 疑わしいネットワーク通信の遮断
- 攻撃元IPアドレスのブロック
- クラウドアカウントの一時停止
このような対応を 自動で実行することで、攻撃の拡大を防ぎ、セキュリティチームの負担を軽減 できます。
4-3. セキュリティ運用コストの削減
XDRの導入は セキュリティ運用の効率化だけでなく、コスト削減にも大きく貢献 します。
特に、 従来の複数のセキュリティツールをXDRで統合することで、運用コストを大幅に抑えることが可能 です。
4-3-1. 複数のツールを統合し、コストを最適化
多くの企業では、 EDR、NDR、SIEMなど複数のセキュリティツールを組み合わせて運用 しています。
しかし、これらのツールを個別に導入・運用すると、以下のようなコストが発生します。
- ライセンス費用
- 運用管理費
- SOC担当者の人件費
XDRとは、 これらの機能を統合し、単一のプラットフォームで運用することで、コストを最適化できるソリューション です。
4-3-2. セキュリティ人材不足の解決
近年、 セキュリティエンジニアの不足が大きな課題 となっています。XDRを導入することで、 運用の負担を軽減し、少ない人員でも高度なセキュリティ対策が可能 になります。
- 自動化によりSOC担当者の負担を削減
- 統合管理により、専門知識がなくても効果的な運用が可能
- AIによる分析で、インシデント対応のスピードを向上
これにより、 セキュリティ人材の不足という課題を解決し、企業全体の運用コストを削減 できます。
XDR導入時の注意点
XDRとは、 エンドポイント、ネットワーク、クラウドなどの複数のセキュリティレイヤーを統合し、脅威をより正確に検知・分析・対応できる次世代のセキュリティソリューション です。
近年、多くの企業がXDRの導入を進めていますが、 導入にあたっては慎重な検討が必要 です。
特に、 「自社環境との適合性」や「既存セキュリティ製品との連携」 は、スムーズな導入と運用の成功に大きく関わる重要なポイントです。
本記事では、XDR導入時の注意点を詳しく解説します。
5-1. 自社環境との適合性の確認
XDRとは、 企業全体のセキュリティデータを統合し、脅威をリアルタイムで検知・対応できる強力なプラットフォーム ですが、自社環境に適したソリューションでなければ、十分な効果を発揮できません。
5-1-1. 既存のITインフラとの適合性
XDRを導入する際にまず確認すべきなのは、 既存のITインフラとの適合性 です。
企業ごとに エンドポイント、ネットワーク、クラウドの構成が異なるため、導入予定のXDRが自社環境に適応できるかを確認 することが重要です。
チェックポイント
- クラウド環境との互換性:AWS、Azure、Google Cloudなど、利用しているクラウドサービスに対応しているか?
- ネットワーク構成の対応:オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境でも適用可能か?
- エンドポイントの種類:Windows、Mac、Linux、モバイル端末など、全てのデバイスをカバーできるか?
XDRの導入前に、 自社のITインフラを詳細に分析し、導入するXDRが適応できるかを確認 しましょう。
5-1-2. 運用体制の整備
XDRの導入には、 セキュリティチームやSOC(Security Operations Center)などの運用体制の整備も必要です。
XDRは 高度な脅威分析や自動対応機能を持っていますが、それを適切に活用するためには専門知識を持った人材が必要 になります。
考慮すべきポイント
- SOCの運用体制:インシデント対応を担う専門チームは十分に確保できているか?
- セキュリティ人材のスキルセット:XDRの運用・管理ができる人材が社内にいるか?
- 導入後のトレーニング:適切に運用できるよう、セキュリティチームにトレーニングを実施する予定があるか?
導入後に XDRの高度な機能を使いこなせるかどうか も、成功の鍵となります。
5-2. 既存セキュリティ製品との連携
XDRを導入する際、 すでに社内で運用しているセキュリティ製品との連携がスムーズにできるか を確認することも重要です。
5-2-1. 既存のEDR/NDR/SIEMとの統合
多くの企業では、 EDR(Endpoint Detection and Response)、NDR(Network Detection and Response)、SIEM(Security Information and Event Management) など、すでに導入済みのセキュリティソリューションがあるはずです。
XDRとは、 これらの既存ソリューションを補完し、より高度な脅威検知と自動対応を実現するセキュリティプラットフォーム ですが、 適切に連携できなければ十分な効果を発揮できません。
チェックすべきポイント
- 既存のEDRとXDRの機能が重複していないか?
- SIEMと連携する場合、どのデータを統合・分析するのか?
- NDRと統合することで、ネットワークセキュリティの強化が可能か?
XDRの導入によって、すでに導入済みのセキュリティツールとの役割分担が明確になるよう、事前に設計を行うことが重要 です。
5-2-2. API連携とデータの相互運用性
XDRを導入する際、 既存のセキュリティツールとのAPI連携が可能かどうか も確認する必要があります。
API連携の重要性
- SIEMとのデータ連携:すでにSIEMを導入している場合、XDRとデータを統合し、より高度な相関分析ができるか?
- ファイアウォール・IPS/IDSとの統合:XDRからのインシデント情報をファイアウォールやIPS/IDSと連携し、自動的にブロックが可能か?
- クラウドセキュリティとの統合:クラウド環境(AWS/Azure/GCP)とスムーズに統合できるか?
XDRの強みは 複数のセキュリティデータを統合し、脅威を可視化すること にあるため、 データの相互運用性を最大限に活かせるよう、APIや統合機能を事前に確認しておくことが重要 です。
XDRの今後の展望
XDRとは、 エンドポイント・ネットワーク・クラウド・メールなど複数のセキュリティデータを統合し、脅威をリアルタイムで検知・分析・対応できる次世代のセキュリティソリューション です。
従来の EDR(Endpoint Detection and Response)やSIEM(Security Information and Event Management)の弱点を補い、 より包括的な防御を可能にするXDRは、今後のセキュリティ市場において重要な役割を果たすことが期待されています。
本記事では、 「セキュリティ市場におけるXDRの位置付け」や「XDR技術の進化と将来性」 について詳しく解説します。
6-1. セキュリティ市場におけるXDRの位置付け
XDRとは、 従来のセキュリティツールとどのように違い、市場でどのような立ち位置にあるのか を理解することが重要です。
企業が高度化するサイバー攻撃に対応するために、XDRをどのように活用すべきかを見ていきましょう。
6-1-1. EDR・NDR・SIEMを超える統合型ソリューション
現在、企業のセキュリティ対策は、 EDR・NDR・SIEMなどのツールを組み合わせて運用するのが一般的です。
しかし、これらのツールには以下の課題があります。
セキュリティツール | 主な役割 | 課題 |
---|---|---|
EDR(Endpoint Detection and Response) | エンドポイントの脅威検知・対応 | エンドポイント以外の攻撃をカバーできない |
NDR(Network Detection and Response) | ネットワークの異常検知・対応 | エンドポイントやクラウドの脅威は見えにくい |
SIEM(Security Information and Event Management) | ログ管理・相関分析 | 運用負担が大きく、リアルタイム対応が難しい |
XDRは、 EDR・NDR・SIEMの課題を解決し、統合的なセキュリティ対策を可能にする次世代のプラットフォーム として位置付けられています。
6-1-2. クラウドセキュリティとの統合が進む
近年、企業のIT環境は オンプレミスからクラウドへ移行 しています。その結果、 クラウドを狙った攻撃やゼロトラストセキュリティの必要性が高まっています。
XDRとは、 クラウド環境にも対応できる統合型セキュリティソリューションであり、ゼロトラストの概念を取り入れた新たな防御戦略として注目されています。
例えば、以下のようなクラウド環境での脅威に対応できます。
- クラウドアプリ(SaaS)の不正アクセス防止
- クラウド上の異常な振る舞い検知
- クラウドとオンプレミスの一元管理
こうした背景から、 XDRは従来のネットワークセキュリティにとどまらず、クラウドやSaaS環境を含めた包括的な脅威検知を実現するソリューションとして市場での存在感を増しているのです。
6-2. XDR技術の進化と将来性
XDRは 単なるセキュリティツールの一つではなく、今後のサイバーセキュリティの基盤となる技術へと進化する可能性を秘めています。 今後、XDRがどのように進化し、どのような技術が追加されるのかを見ていきましょう。
6-2-1. AI・自動化技術のさらなる発展
XDRの最大の強みは AIと自動化技術を活用した高度な脅威検知と対応 です。
現在でも、XDRは 機械学習を用いた異常検知 や 自動インシデントレスポンス を備えていますが、今後さらに進化が期待されています。
今後の技術進化のポイント
- AIの精度向上:より高度なAIモデルを搭載し、 未知の脅威をリアルタイムで検知
- 自動修復機能の強化:検知した脅威に対して 即座に適切な対応を自動実行
- より詳細な脅威インテリジェンスの活用:最新の脅威データを即座に分析し、 企業ごとに最適化された防御を提供
これにより、XDRは 人の介入を最小限に抑えた高度な自動対応を可能にし、企業のセキュリティ運用を劇的に改善 することが期待されます。
6-2-2. ゼロトラストとの融合
ゼロトラストセキュリティとは、 「すべてのアクセスを信頼せず、常に検証する」 という考え方に基づいたセキュリティモデルです。
近年、 リモートワークの普及やクラウド利用の増加により、ゼロトラストの重要性が高まっています。
XDRは、 ゼロトラストモデルと組み合わせることで、より強固なセキュリティ対策を提供できる可能性があります。
ゼロトラスト×XDRの可能性
- ユーザーの振る舞い分析(UEBA)との連携
→ 不審なアクセスをリアルタイムで検知し、リスクベースの認証を強化 - クラウド環境のゼロトラスト対応
→ SaaSアプリへのアクセス管理を強化し、不正なログインを防止 - デバイスとネットワークの統合管理
→ ゼロトラストポリシーに基づき、アクセス権限を細かく制御
このように、 XDRとゼロトラストの融合により、より強固で柔軟なセキュリティ対策が実現できると考えられます。