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ISMAPとは?クラウドの安心を守る基準について、わかりやすく解説します!

SMAPについての解説を求めていますか?

この記事では、政府が認定するセキュリティ評価制度であるISMAPの概要から、中小企業の実践的な対策まで、分かりやすく説明しています。

ISMAPがビジネスにもたらす利点や、他のセキュリティ基準との比較、さらには登録プロセスに必要な手順と文書についても触れています。

安全なクラウドサービス選びの基準を知ることは、あなたのビジネスを守る第一歩です。

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • ISMAPとは何か知りたい人
  • ISMAPの評価基準がどのようなものか知りたい人
  • SMAPの要件をクリアできないとどんな問題があるのか知りたい人

ISMAPの基本概念

1-1. ISMAPとは何か?

ISMAP(Information system Security Management and Assessment Program)とは、日本政府が推進するセキュリティ評価制度の一つです。

この制度は、政府機関がクラウドサービスを使用する際、そのセキュリティ基準が保証されていることを確かめるために用いられます。

具体的には、セキュリティが評価されたクラウドサービスのみを政府情報システムの調達に使用することができるようにするためのものです。

このリストに登録されているサービスは、政府だけでなく、セキュリティの信頼性を重視する民間企業からも注目されています​​​​。

1-2. ISMAPの目的と機能

ISMAPの主な目的は、政府機関がクラウドサービスを安全に調達し、利用するための支援です。

機能としては、セキュリティ基準に基づいてサービスを評価し、認定することで、政府機関に安全なクラウドサービスを提供するリストを作成します。

また、民間企業がクラウドサービスを選定する際の指標としても利用され、セキュリティ評価の透明性を高めることで信頼性のあるクラウドサービス選びに貢献しています。

この評価制度は、サービス提供側にとっては信頼の証明となり、利用側にとっては安全性の確認ができるという双方向のメリットを提供しているのです​​​​​​。

ISMAPの成立背景

2-1. クラウドサービスの普及とセキュリティの重要性

クラウドサービスはその利便性から企業や政府機関において急速に普及し、今や日常の業務に欠かせない存在となっています。

しかし、その普及に伴い、データの流出やサイバー攻撃などのセキュリティリスクも増大しています。

企業の基幹システムをはじめ、様々な情報がクラウド上に保管されるようになった現在、セキュリティは業務の継続性と情報資産の保護の観点から非常に重要な要素です。

政府機関にとっては、国民の個人情報を含む機密性の高いデータを安全に扱う責任があり、民間企業においても顧客情報の安全確保は信頼の証となっています​​​​。

2-2. クラウド・バイ・デフォルト原則

「クラウド・バイ・デフォルト原則」とは、政府が情報システムにおいてクラウドサービスの利用を標準とする方針を指します。

2018年に発表された「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」により、この原則が定められました。

この方針は、政府機関が新たにシステムを導入または更新する際には、まずクラウドサービスの利用を検討することを義務付けています。

この原則の背景には、クラウドコンピューティングの柔軟性、拡張性、コスト効率といった特徴があり、これにより政府機関のデジタルトランスフォーメーションが促進されることが期待されています。

また、セキュリティの観点からも、統一された高いセキュリティ基準をクラウドサービスプロバイダーに求めることで、政府情報の保護を強化する狙いがあります。

しかし、全てのシステムがクラウド適合とは限らず、例外的なケースではオンプレミスのシステムを利用することも認められています。

この原則の導入により、政府は効率的かつ安全なクラウドファーストの姿勢を国内外に示しており、ISMAPはその基準の一環として位置付けられています。

結論として、クラウド・バイ・デフォルト原則は、安全性と効率性を兼ね備えた政府のIT戦略の中核を成すものであり、ISMAPはその実現を支える重要な柱の一つと言えるでしょう。

ISMAPのメリット

3-1. クラウドサービス提供側のメリット

ISMAPに登録されたクラウドサービスは、政府機関にとって事前にセキュリティが評価され信頼できると認識されるため、提供側の企業には大きなメリットがあります。

まず、自社のサービスが政府の認定を受けたことは、その品質と安全性の高い証明となり、他社との差別化を図ることができます。

これにより、新たなビジネスチャンスを掴むことが可能になるだけでなく、ISMAPに登録されているという信頼性は民間企業にも高く評価され、市場での競争力を高めることが期待されます​​​​​​。

3-2. クラウドサービス利用側のメリット

利用側の企業や組織にとっては、ISMAPに登録されたサービスを選択することで、セキュリティ基準を満たすことが保証されたサービスを利用できるという安心感を得られます。

これは特にセキュリティが最優先事項となる政府機関にとって重要ですが、民間企業にとっても、セキュリティ面で信頼できるサービスを選定する際のガイドラインとなります。

また、ISMAPに登録されているサービスを選ぶことで、セキュリティ審査にかかる時間やコストを削減し、効率的なビジネス運営に寄与します​​​​。

ISMAPの運営組織と評価基準

4-1. ISMAP運営委員会とその役割

ISMAP運営委員会は、ISMAP制度の円滑な運用を担保し、管理する主体です。

この委員会は、総務省、経済産業省、内閣サイバーセキュリティセンター、デジタル庁の4つの省庁で構成されています。

彼らの役割は多岐にわたりますが、主にクラウドサービス登録申請者への要求事項の制定、情報セキュリティ管理・運用の基準の策定、そしてクラウドサービスの評価と登録を行う業務を担当しています。

この委員会により、ISMAPクラウドサービスリストが管理され、更新され、公開されています​​。

4-2. ISMAPの評価項目と基準

ISMAPでは、1,298項目のセキュリティ要件を評価しています。

これらの要件は、JIS Q規格、統一基準、そしてSP800-53といった規格に基づいて策定されています。

管理基準には、統制目標となる3桁管理策と、それを達成するための手段となる詳細管理策の4桁管理策があり、原則として3桁管理策が必須で、4桁管理策は選択制となっている部分もあります。

これらの基準をクリアすることで、クラウドサービスが政府機関や民間企業にとって信頼できるものとして認識されるのです​​。

ISMAPに登録するためのプロセス

5-1. 登録までの流れとステップ

ISMAPにクラウドサービスを登録するためのプロセスは、いくつかの段階に分かれています。

まず、サービス事業者はセキュリティの整備・運用を確立し、その証明となる言明書を作成することから始まります。

次に、監査機関に外部監査を依頼し、審査を受けた後に監査結果報告書を受領します。

その後、クラウドサービス登録申請を行い、ISMAP運営委員会がこれを受理。最終的には審査を経て、クラウドサービスリストに登録されるという流れです​​。

5-2. 登録に必要な準備と文書

登録にあたっては、サービスの適用範囲の検討と方針の決定から始めます。これには、対象サービスの選定、社内体制の確認、スケジュールの作成などが含まれます。

また、情報セキュリティマネジメントを確立し、これを文書化することも求められます。

登録の前には、方針に基づいて必要な内部統制を整え、情報セキュリティ方針を文書化しておく必要があります。

これらの準備は、外部監査やISMAP運営委員会の審査をスムーズに進めるための基盤を作ります​​。

ISMAPの今後の見通しと民間企業への影響

6-1. ISMAPの将来性と政府情報システムの調達への影響

ISMAPは、政府情報システムにおけるクラウドサービスの安全性を担保するための重要な制度として位置づけられており、その将来性は非常に大きいとされています。

政府調達において、ISMAPに登録されているクラウドサービスを選ぶことが一つの標準になることで、セキュリティ要求を満たした信頼できるサービスの選定がより効率的に、かつ迅速に行われるようになることが予想されます。

これは政府情報システムの質を維持しながら、コスト削減や運用の最適化にも寄与するでしょう​​。

6-2. 民間企業におけるISMAPの活用

民間企業においても、ISMAPはクラウドサービスを選定する際の重要な基準となりつつあります。

特にセキュリティが重要視される業界において、ISMAP登録サービスは政府認証の信頼性の証となるため、その選定には大きなメリットがあります。

企業はISMAP登録を通じて、セキュリティ基準を満たすサービスを容易に識別でき、リスク管理を強化することができます。

また、ISMAPの基準に沿ったクラウドサービスの利用は、企業のセキュリティガバナンスの向上にも寄与し、ビジネスの信頼性と競争力を高める効果が期待されています​​​​。

ISMAPと他のセキュリティ基準との比較

7-1. ISMAPとISMS(ISO27001)、ISO27017との違い

ISMAPは、日本政府がクラウドサービスのセキュリティ基準を満たしているかを評価し、認定する制度です。審査は「ISMAP監査機関リスト」に登録された機関によって実施され、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が登録を行います。このプロセスは政府機関がクラウドサービスを選定する際のガイドラインとして機能します​​。

一方、ISMS(Information Security Management System)は、組織全体の情報セキュリティを管理し維持するためのシステムです。ISO27001はその国際規格で、組織が適切な情報セキュリティ管理体制を構築・運用していることを証明する認証プロセスです。認証は第三者機関によって行われます​​。

ISO27017は、特にクラウド環境に特化したセキュリティ管理のための国際規格です。ISO27001の基準に加えて、クラウドサービスプロバイダーおよび利用者に対する追加的なガイドラインを提供します​​。

7-2. 中小企業におけるISMAPのハードルと代替案

中小企業におけるISMAPのハードルとしては、その導入と維持に伴うコストや、技術的な要件の複雑さが挙げられます。特に小規模な企業では、リソースが限られているため、ISMAPの全ての要件を満たすことが経済的にも、実務的にも大きな負担になる可能性があります。

そこで考えられる代替案としては、より実装がしやすく、費用が抑えられる国際標準のセキュリティ基準を採用することです。例えば、ISO27001は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格で、企業が情報セキュリティのリスクを管理し、ビジネスの継続性を保つためのフレームワークを提供します。これにより、中小企業はセキュリティ管理の実践的なガイドラインに沿って、自社のリスクに応じた対策を講じることができます。

また、クラウドサービスを利用している企業の場合は、ISO27017が有効です。この規格はクラウド環境のセキュリティを強化するための専門的なガイダンスを提供し、クラウドサービス提供者だけでなく、利用者に対してもセキュリティのベストプラクティスを示しています。

中小企業はこれらの基準に基づいてセキュリティ対策を実施し、必要に応じて認証を取得することで、ISMAPと同等のセキュリティ信頼性を得られる場合があります。これにより、顧客やパートナー企業からの信頼を得ながら、費用と運用の負担を軽減することが可能になります。