セキュリティ

ブルートフォースアタックとは?攻撃手法と対策を徹底解説します!

「パスワードは複雑にしているから大丈夫」と思っていませんか?

ブルートフォースアタックは、そんな油断を突いてくる巧妙な総当たり攻撃です。

本記事では、仕組みや実際の被害事例、そして今すぐできる効果的な対策まで、初心者でもわかりやすく解説します。

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • ブルートフォースアタックとは何か具体的な仕組みが知りたい
  • 具体的にどのような被害が起こるのか、リアルな影響を知りたい
  • どんな対策を取れば、ブルートフォースアタックを防げるのかを知りたい

ブルートフォースアタックとは?

「ブルートフォースアタック」とは、サイバー攻撃の中でも古典的かつ基本的な手法の一つです。

日本語では「総当たり攻撃」と訳され、IDやパスワードを守るための重要なセキュリティ対策を考える上で、まず理解すべき概念といえるでしょう。

ここでは、ブルートフォースアタックの定義や仕組みについて、初心者でも理解しやすい言葉で解説します。

1-1. 定義と概要

ブルートフォースアタック(Brute Force Attack)は、「あらゆる可能な文字列の組み合わせを総当たりで試して正しいパスワードを割り出す」攻撃方法です。

攻撃者は、以下のようなプロセスを用いて対象システムへの不正アクセスを試みます。

1-1-1. ブルートフォースアタックの基本的な特徴

特徴説明
アプローチ総当たり(すべてのパターンを順に試す)
技術的な難易度比較的低い(専門的知識がなくてもツールで実行可能)
成功率パスワードの長さ・複雑さに依存(短くて単純なパスワードは特に危険)
使用目的アカウント乗っ取り、システム侵入、金銭的情報へのアクセスなど

つまり、ブルートフォースアタックは一見単純な方法ですが、短くて簡単なパスワードを使用していると非常に効果的な攻撃となってしまいます。

従って、パスワードの複雑化は最も基本かつ重要な防御策です。

1-2. 仕組みと手法

ブルートフォースアタックの仕組みは、単純ながら非常にパワフルです。攻撃者は、専用のツールを用いて、短時間に大量の文字列を入力し、正しいパスワードを見つけ出すことを目指します。

1-2-1. ブルートフォースアタックの実行方法

主に以下の流れで攻撃が実行されます。

  1. 攻撃対象のログインフォームや認証システムを特定
  2. 文字列の組み合わせを自動生成(a, b, c, ab, abc など)
  3. 自動化ツールを使ってログイン試行を繰り返す
  4. 一致すればログイン成功、不正アクセス完了

1-2-2. 使用される主なツール

ツール名概要
Hydra多様なプロトコルに対応したパスワードクラッキングツール
John the Ripperパスワードのハッシュを高速に解析するためのツール
Medusa高速かつ並列処理可能なブルートフォースツール

なぜなら、これらのツールは1秒間に数千回ものログイン試行ができるため、人力では到底かなわない速度で攻撃が進むのです。だからこそ、システム側でのロック機能や二要素認証(2FA)などの対策が不可欠です。

従って、単に「パスワードを設定する」だけでは不十分で、強力かつユニークなパスワードを使用することが必要不可欠です。

ブルートフォースアタックの種類

ブルートフォースアタックにはいくつかのバリエーションがあり、それぞれ異なるアプローチでパスワードの突破を試みます。

ここでは、代表的な3つの攻撃手法について詳しく解説します。

これらを理解することで、自身のアカウントやシステムがどのようなリスクにさらされているのか、具体的に把握できるようになります。

2-1. 総当たり攻撃

総当たり攻撃(Brute Force Attack)は、ブルートフォースアタックの中でも最も基本的な手法です。この方法では、考えうるすべての文字の組み合わせを1つずつ順番に試していきます。

2-1-1. 総当たり攻撃の特徴と例

たとえば、以下のような順序で試行されます:

  • a
  • b
  • c
  • aa
  • ab
  • ac
  • abc123!

このように、シンプルな「1234」から複雑な文字列まで、全パターンを総当たりで試すため、時間と計算能力はかかりますが、最終的には必ずパスワードを見つけ出せるのがこの攻撃の特徴です。

特徴説明
メリット情報がなくても実行可能
デメリット試行回数が多いため時間がかかる

2-2. リバースブルートフォース攻撃

リバースブルートフォース攻撃は、一般的に使われやすい「弱いパスワード」を固定し、それを多数のユーザーIDに対して試行するという方法です。

2-2-1. リバースブルートフォース攻撃の仕組み

例:

  • 「123456」というパスワードを固定
  • 社内全社員アカウントにそのパスワードを順に試す

この手法は、多くの人が安易なパスワードを設定している現実を逆手に取った攻撃です。

2-3. パスワードリスト攻撃

パスワードリスト攻撃は、過去に漏洩したパスワードをまとめたリストを使って、他のサービスへのログインを試みる手法です。

2-3-1. パスワードリスト攻撃の実例と危険性

この攻撃では、「クレデンシャルスタッフィング(Credential Stuffing)」という手法が使われることもあります。

例:

  • メールアドレス「user@example.com」とパスワード「password123」が漏洩
  • SNS、通販サイト、オンラインバンキングに同じ組み合わせを試す
攻撃名特徴
総当たり攻撃全パターンを順に試行
リバースブルート攻撃弱いパスワードを多アカウントに適用
パスワードリスト攻撃漏洩情報を活用し、パスワードの再利用を狙う

ブルートフォースアタックの影響と被害

ブルートフォースアタックは、単なる「パスワード突破」だけにとどまらず、その先にさまざまな深刻な被害を引き起こします。個人のプライバシーから経済的損失まで、被害は多岐にわたります。

ここでは、ブルートフォースアタックがもたらす代表的な3つのリスクについて詳しく解説します。

3-1. 個人情報の漏洩

ブルートフォースアタックによりパスワードが突破されると、攻撃者はメール、住所、電話番号、さらには身分証明書の画像など、さまざまな個人情報にアクセスできるようになります。

3-1-1. 漏洩する可能性のある個人情報の例

項目内容
氏名・住所登録している会員情報など
メールアドレススパムや詐欺メールの送信に悪用される
電話番号フィッシング詐欺や迷惑電話に利用される
生年月日本人確認に使われる可能性がある

つまり、攻撃者にとっては「ただのログイン情報」でも、利用者にとっては生活に直結する大切な情報が詰まっているのです。

したがって、安易なパスワードの使用は非常に危険です。

3-2. アカウントの乗っ取り

アカウントが乗っ取られると、サービス利用における「本人性」が失われ、第三者によって操作されるリスクが生じます。

特に、SNSやクラウドストレージなどでは深刻なトラブルにつながります。

3-2-1. 乗っ取りによる具体的な被害例

  • SNS上でのなりすまし投稿
  • クラウドに保存した写真や書類の流出
  • メールアカウントの悪用による詐欺行為
  • 他サービスへの不正ログイン(パスワードの使い回しがある場合)

なぜなら、多くのユーザーが複数のサービスで同じパスワードを使い回しているため、一度突破されると芋づる式に被害が広がるからです。

その結果、信頼や人間関係、さらには就職活動などにも影響を及ぼすケースもあるため、注意が必要です。

3-3. 金銭的被害の可能性

ブルートフォースアタックの被害は、最終的に「お金」にも直結します。

ECサイトやオンラインバンキング、クレジットカードのアカウントが乗っ取られた場合、実際に金銭を失うリスクが高まります。

3-3-1. 金銭的被害の事例

  • クレジットカードの不正利用
  • 電子マネーやポイントの盗難
  • ECサイトでの高額商品購入
  • 銀行口座からの不正送金
被害内容説明
クレジットカード被害第三者により不正決済される
銀行口座の不正アクセス振込や引き出しが行われる
サブスクリプション契約勝手に有料サービスに登録されるケースも

だからこそ、経済的な安全を守るためにも、ブルートフォースアタックへの対策は非常に重要です。

実際の被害事例

ブルートフォースアタックは、国内外で多くの企業や組織に深刻な被害をもたらしています。ここでは、日本国内および海外の具体的な事例を紹介し、攻撃の手口や影響について解説します。

4-1. 国内企業の事例

4-1-1. 決済サービスへの不正アクセス

2019年7月、大手コンビニエンスストアが提供する決済サービスにおいて、大量の不正アクセスが発生しました。

この攻撃により、約900名のユーザーが被害を受け、総額約5,500万円の損害が生じました。

攻撃者はブルートフォースアタックを用いてアカウントに不正ログインし、ユーザーのクレジットカードから不正にチャージを行いました。

このサービスでは二段階認証が導入されておらず、IDとパスワードのみでログインが可能だったため、攻撃を許してしまいました。

4-1-2. 生活協同組合のWebサイト改ざん

2019年11月、ある生活協同組合のWebサイトがブルートフォースアタックにより不正アクセスを受け、サイトが改ざんされる事態が発生しました。

攻撃者はサイト上にマルウェアを設置し、訪問者が感染するリスクを高めました。

この組合は直ちにサイトを閉鎖し、セキュリティ環境を整備した後、新たなサーバーでサイトを再開しました。

4-1-3. 送金・決済サービスでの不正出金

2020年9月、ある送金・決済サービスを利用した銀行からの不正出金が相次いで発生しました。

攻撃者はリバースブルートフォース攻撃やパスワードスプレー攻撃を用いてアカウントに不正アクセスし、他人になりすまして口座を開設し、不正に送金を行いました。

この事態を受け、複数の銀行が同サービスへの新規登録を停止する措置を取りました。

4-2. 海外企業の事例

4-2-1. Uber社へのサイバー攻撃

2022年9月、配車サービス大手のUber社がサイバー攻撃を受け、契約者のアカウントが侵入される事件が発生しました。

調査の結果、攻撃者は被害者のデバイスがマルウェアに感染した後、ダークウェブで企業のパスワードを購入し、MFA(多要素認証)フィッシングを行った可能性が高いとされています。

ユーザーが多量のMFA認証要求を受け、誤って偽のリクエストを受け入れてしまったことで、攻撃が成功しました。

4-2-2. イランの核燃料施設への攻撃

イランの核燃料施設では、核兵器開発を妨害する目的でサイバー攻撃が仕掛けられました。

この施設のシステムはインターネットに接続されておらず、攻撃者はUSBメモリを使用してマルウェアを侵入させたとされています。

この攻撃は国家間のサイバー戦争を引き起こすきっかけとなりました。

4-2-3. 韓国の放送局・金融機関への攻撃

韓国では、テレビ放送局や金融機関のシステムが時限式ウイルスによるサイバー攻撃を受け、32,000台以上のコンピュータが同時に攻撃されました。

この結果、銀行のATMなどが機能停止に陥り、社会的混乱を招きました。

ブルートフォースアタックへの対策

ブルートフォースアタックは、その手法自体はシンプルであるものの、対策を講じていなければ非常に大きな被害につながります。

ここでは、実践的かつ効果的な5つの対策方法を紹介します。個人ユーザーはもちろん、企業や開発者にとっても重要なポイントとなる内容です。

5-1. 強力なパスワードの設定

パスワードの強度は、ブルートフォースアタックに対する最前線の防御手段です。

短くて単純なパスワードは、数秒〜数分で突破される可能性があります。

したがって、推測されにくいパスワードを作成することが極めて重要です。

5-1-1. 強力なパスワードの条件

  • 長さ:12文字以上
  • 文字種:英大文字・小文字、数字、記号を組み合わせる
  • 個人情報の不使用:誕生日、電話番号、名前などは避ける
  • 辞書に載っている単語の使用回避
良い例悪い例
Xk!83vL$9zRtpassword123
D2!yG7#Lp9!Mabcd1234

つまり、「覚えやすさ」よりも「推測されにくさ」を優先すべきなのです。どうしても覚えにくい場合は、パスワードマネージャーの使用も検討しましょう。

5-2. 二要素認証の導入

パスワードだけでは突破されるリスクがあるため、もう一段階の認証を加える「二要素認証(2FA)」の導入は極めて効果的です。

5-2-1. 二要素認証の主な種類

  • SMSコードやメールによる認証
  • 認証アプリ(Google Authenticatorなど)
  • 生体認証(指紋・顔認証など)

なぜなら、パスワードが万が一漏洩しても、攻撃者は追加の認証情報を持っていなければログインできないからです。

従って、企業システムや金融サービスでは必須のセキュリティ対策といえます。

5-3. ログイン試行回数の制限

ブルートフォースアタックは、数千回〜数万回にわたる試行を前提としているため、ログイン試行回数に制限を設けることが有効な防御策となります。

5-3-1. 試行制限の実装例

  • 5回連続でログイン失敗 → アカウント一時ロック
  • 一定時間(例:15分)経過後に再試行可能にする
  • ログイン失敗のたびに徐々に待機時間を延ばす(レートリミット)

このようにすることで、攻撃者による自動化された連続試行を実質的に不可能にします。

5-4. CAPTCHAの導入

CAPTCHA(キャプチャ)とは、「この操作をしているのが人間か、機械(ボット)か」を判断するための仕組みです。

ブルートフォースアタックは主に自動化ツールを使って行われるため、CAPTCHAの導入は非常に効果的な防御策となります。

5-4-1. CAPTCHAの主な種類

種類内容
画像認証型(reCAPTCHA)信号や車など、指定された画像を選ばせる形式
数字・文字の入力型歪んだ文字や数字を読んで入力させる形式
スライド型パズルをスライドして合わせる形式
インビジブル型(自動判別)ユーザーの行動を分析し自動で判別する形式

このように、CAPTCHAはユーザーの利便性を保ちつつ、自動化されたブルートフォースアタックを効果的にブロックする方法として広く利用されています。

5-4-2. CAPTCHA導入のメリット

  • 自動攻撃のブロックによる不正アクセスの防止
  • セキュリティ対策として利用者に安心感を与える
  • 導入が比較的容易(WordPressなどでもプラグインで対応可能)

だからこそ、ログインページやパスワード再設定画面には、積極的にCAPTCHAを導入すべきです。特に、ユーザー数が多いサービスでは有効性が高まります。

次に、IPアドレスや地域といった「アクセス元」に着目した対策を見ていきましょう。

5-5. アクセス元の制限

ブルートフォースアタックへの対策として、アクセス元のIPアドレスや地理的な地域を制限することも非常に効果的です。

この方法は、特定の条件に合致しないアクセスを事前に遮断することで、不正アクセスを未然に防ぐセキュリティレイヤーを構築します。

5-5-1. アクセス制限の具体例

制限内容効果
特定のIPアドレスからのアクセスのみ許可信頼できるネットワークからのアクセスに限定できる
海外IPアドレスのブロック国内向けサービスの場合、海外からの不正アクセスを排除できる
ブラックリストIPの遮断過去に攻撃履歴があるIPをブロックし、再犯を防ぐ
接続回数が異常に多いIPの遮断ブルートフォースアタックによる多量リクエストを検知し自動遮断

このようなアクセス制限は、企業や組織のイントラネット、管理者画面など機密性の高いシステムにおいて特に有効です。

5-5-2. 導入のポイントと注意点

  • WAF(Web Application Firewall)やセキュリティソフトの導入で自動化可能
  • 過剰な制限は正常なユーザーの利用を妨げるリスクもあるため、バランスが重要
  • 定期的なログの監視とアクセス分析により、柔軟にルールを見直すことが必要

従って、IP制限は「見えない壁」として不正アクセスの第一防衛線を築くうえで非常に効果的です。

特に、海外IPからのブルートフォースアタックが頻発しているサイトでは、この対策が被害軽減に直結します。

まとめと今後の注意点

ブルートフォースアタックは、誰もが被害者になりうる現代的なサイバー脅威のひとつです。

そのシンプルさとは裏腹に、パスワードの弱さやセキュリティ対策の甘さを突いて重大な被害をもたらします。

ここまで紹介してきたように、技術的な対策だけでなく、日常的な「セキュリティ意識」の持続が不可欠です。

6-1. セキュリティ意識の向上

どれほど高度なセキュリティ対策を講じていても、最終的にそれを正しく運用するのは「人」です。したがって、日々の行動や考え方にセキュリティ意識を取り入れることが、ブルートフォースアタックをはじめとするサイバー攻撃への最良の防御になります。

6-1-1. 意識すべき日常のセキュリティ習慣

習慣理由
複雑なパスワードを使う推測されにくく、ブルートフォース攻撃への耐性が高まる
同じパスワードの使い回しを避ける一つの漏洩で他のサービスにも被害が及ぶリスクがある
二要素認証を有効にするパスワード突破だけでは不正アクセスを防げる
定期的なパスワード変更長期間使用していると情報漏洩のリスクが高まる
怪しいメール・リンクは開かない攻撃者が情報を盗むための入り口となることがある

このように、「小さな習慣の積み重ね」が結果的に大きな被害を防ぐことにつながります。

6-1-2. 継続的な対策が重要な理由

  • サイバー攻撃の手口は日々進化している
  • セキュリティツールの脆弱性も発見されることがある
  • 人的ミスや油断は常に存在するリスク要因である

つまり、セキュリティ対策は一度整えたら終わりではなく、「継続的に見直し、更新していくべきもの」なのです。

その結果、ブルートフォースアタックのような脅威に対しても、より柔軟かつ強固に備えることができるようになります。

今後も「自分は狙われない」という思い込みを捨て、日常の中でセキュリティを意識することが、デジタル社会を安全に生き抜くための第一歩となるでしょう。

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