攻撃手法

クロスサイトスクリプティングとは?特徴や仕組みをわかりやすく解説!

インターネットが日常生活の一部となり、ウェブ上で情報を共有することが増えています。しかし、同時に我々の個人情報を狙う脅威も増加しています。

その一つが「クロスサイトスクリプティング」、通称XSSです。XSSとは何か、私たちがどのように影響を受けるのか、そしてそれを防ぐために何ができるのか。

この記事では、そんなあなたの疑問に答え、あなたの情報を守るための第一歩を踏み出すためのガイドとなります。

外資系エンジニア

この記事は以下のような人におすすめ!

  • クロスサイトスクリプティングとは何か知りたい人
  • クロスサイトスクリプティングのリスクを正しく理解したい人
  • クロスサイトスクリプティング攻撃の対策方法が知りたい人

クロスサイトスクリプティング (XSS) の概要

Web上で存在感を放つサイバーセキュリティの脅威、それがクロスサイトスクリプティング、通称XSSです。

このセクションでは、まずXSSとは何か、そしてその種類と特徴について解説します。

1-1. クロスサイトスクリプティングとは何か?

クロスサイトスクリプティング(XSS)とは、あるユーザが他のユーザのブラウザに対して不正なスクリプトを実行させるセキュリティの脅威です。

Webアプリケーションがユーザからの入力を適切に検証またはエスケープせずに出力した場合、攻撃者は悪意のあるスクリプトを挿入して他のユーザの情報を盗んだり、そのユーザを偽のページに誘導したりすることが可能となります。

具体的な攻撃手段としては、掲示板やコメント欄にスクリプトを含むメッセージを投稿したり、リンクをクリックさせることでスクリプトを実行させるなどがあります。

さらに悪意あるスクリプトは、ユーザのクッキーを盗んだり、ウェブサイトの内容を改ざんしたり、フィッシング詐欺に利用されたりする可能性があります。

1-2. クロスサイトスクリプティング(XSS)の種類とその特徴

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃は主に3つのタイプがあります:リフレクト型、ストアド型、そしてDOM型です。

  1. リフレクト型XSS:これは最も一般的なタイプで、攻撃者が作成したURLをクリックさせることでスクリプトを実行します。このURLは、サーバーに送られ、そのレスポンスとしてブラウザに反映されます。一般的に、フィッシングメールなどを通じて配布されます。
  2. ストアド型XSS:これは、攻撃者がWebアプリケーションに永続的なデータとしてスクリプトを保存します。例えば、コメント欄や掲示板、データベースなどにスクリプトを保存します。他のユーザがそのページを表示すると、スクリプトが実行され、攻撃が成立します。ストアド型XSSはリフレクト型よりも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
  1. DOM型XSS:このタイプでは、攻撃者はWebページのDOM(Document Object Model)を操作してスクリプトを挿入します。DOMはWebページの構造を定義するもので、JavaScriptなどのスクリプト言語を用いて動的に変更することが可能です。DOM型XSSは、リフレクト型やストアド型とは異なり、サーバーに送信されるデータではなく、クライアント側のスクリプトによってDOMが操作される点が特徴的です。

クロスサイトスクリプティングの仕組み

クロスサイトスクリプティングの具体的な攻撃手法を理解するためには、その各タイプの仕組みを深く掘り下げる必要があります。

このセクションでは、リフレクト型、ストアド型、DOM型のクロスサイトスクリプティング(XSS)のそれぞれについて、どのように機能するのかを詳しく解説します。また、具体的な実例を挙げて、XSSの実際の脅威を具体化します。

2-1. リフレクト型クロスサイトスクリプティング(XSS)

リフレクト型クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃では、攻撃者はユーザに自身が作成したURLをクリックさせます。

このURLには悪意のあるスクリプトが含まれており、ユーザがURLをクリックすると、そのスクリプトがWebアプリケーションに送信され、レスポンスとしてそのユーザのブラウザ上で実行されます。

この種の攻撃は主に、フィッシングメールやSNS、掲示板などを通じて行われます。

2-2. ストアド型クロスサイトスクリプティング(XSS)

ストアド型XSS攻撃は、攻撃者が悪意のあるスクリプトをWebサイトのデータベースに直接保存します。

例えば、ユーザのプロフィール情報やコメント、掲示板への投稿などにスクリプトを挿入します。

このスクリプトは、他のユーザがその情報を閲覧するときにブラウザで実行されます。

したがって、一度攻撃が成功すると、多数のユーザが影響を受ける可能性があります。

2-3. DOM型クロスサイトスクリプティング(XSS)

DOM型XSS攻撃は、WebページのDOM(Document Object Model)を操作してスクリプトを実行します。

DOMはWebページの構造を定義するもので、JavaScriptなどのスクリプト言語を用いて動的に変更することが可能です。

DOM型XSSは、Webページの構造そのものを変えることで攻撃を行うため、一部のセキュリティ対策を回避することが可能です。

2-4. クロスサイトスクリプティング(XSS)の実例

具体的なクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃の例としては、SNSサイトにおける投稿にスクリプトを含めるものがあります。

攻撃者が投稿欄に<script>タグを用いてスクリプトを書き込むと、その投稿を閲覧するユーザのブラウザ上でスクリプトが実行されます。

例えば、スクリプトがユーザのクッキー情報を盗み出し、攻撃者のサーバーに送信するものであれば、ユーザのログイン情報などの重要な情報が盗まれる可能性があります。

また、攻撃者が作成したURLにユーザを誘導することで、リフレクト型XSS攻撃も行われます。

URLに含まれるスクリプトは、ユーザがそのURLをクリックした際に実行され、同様にユーザの情報を盗むことが可能です。

クロスサイトスクリプティング(XSS)の影響とリスク

XSS攻撃の一部は目に見える影響を及ぼすかもしれませんが、多くの場合、その影響は見えにくい形でユーザや企業に被害をもたらします。

このセクションでは、XSS攻撃によってもたらされる主なリスクと影響について詳しく見ていきましょう。

3-1. 個人情報の漏洩

最も広く知られているクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃のリスクの一つは、個人情報の漏洩です。

攻撃者がXSSを利用してユーザのブラウザ上でスクリプトを実行すると、そのスクリプトはユーザのクッキー情報や入力データを盗み出すことができます。

これには、名前やメールアドレス、住所、そして最悪の場合、クレジットカード情報など、非常に重要な情報が含まれることがあります。

3-2. セッションハイジャック

次に、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃によるもう一つの重要なリスクは、セッションハイジャックです。

これは攻撃者がユーザのセッションクッキーを盗み、そのユーザとしてWebアプリケーションにログインする行為を指します。

この攻撃により、攻撃者はユーザのプロフィールを変更したり、機密情報にアクセスしたり、そのユーザの名義で行動することが可能となります。

3-3. データの改ざん

また、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃によってWebページのデータが改ざんされるリスクもあります。

悪意のあるスクリプトは、Webページ上のテキストを変更したり、偽のフォームを表示したりして、ユーザをだまし、さらなる情報を盗み出すことが可能です。

例えば、攻撃者はログインフォームを偽装してユーザのユーザ名とパスワードを盗むことができます。

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃の防御方法

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃のリスクを理解した上で、次に考えるべきはその防御方法です。

このセクションでは、実際にどのような手法やプラクティスを用いてXSS攻撃から自己を守ることができるのかについて説明します。

4-1. 入力値の検証とエスケープ

ユーザからの入力値は常に検証し、適切にエスケープすることが重要です。

これにより、攻撃者が送信したスクリプトがそのまま実行されることを防ぐことができます。

エスケープとは、特殊な文字をその意味を持たない、ただの文字として扱うために変換することを意味します。

例えば、HTMLエスケープでは “<” や “>” などの特殊文字を “<” や “>” という形に変換します。

4-2. コンテンツセキュリティポリシー(CSP)

コンテンツセキュリティポリシー(CSP)は、Webページにどのようなスクリプトが実行されるべきかを指定するセキュリティ機能です。

CSPを正しく設定することで、攻撃者が任意のスクリプトを実行することを防ぐことができます。

例えば、CSPにより自サイトのスクリプトのみを許可し、外部からのスクリプトは全てブロックする設定を行うことが可能です。

4-3. HTTP Only属性とSecure属性

HTTP Only属性とSecure属性は、クッキーのセキュリティを強化するためのものです。

HTTP Only属性が設定されたクッキーは、JavaScriptからアクセスすることができないため、XSS攻撃によるクッキー情報の盗み出しを防ぐことができます。

一方、Secure属性が設定されたクッキーはHTTPS接続時のみ送信されるため、情報が暗号化され、中間者攻撃から保護されます。

XSS対策のためのツールとテクニック

さて、理論的な防御策を学んだ後は、実践的なツールとテクニックについて学びましょう。

ここでは、XSS攻撃を防ぐために使用できるツールや、安全なコーディング習慣、そしてセキュリティ教育について解説します。

5-1. セキュリティスキャナの使用

Webアプリケーションのセキュリティを確保するには、定期的なスキャニングが必要です。

セキュリティスキャナは、クロスサイトスクリプティング(XSS)やSQLインジェクションなどの脆弱性を自動的に検出するツールです。

これらのツールを利用することで、開発者が手動でコードをチェックする手間を省き、また見逃すリスクを軽減することができます。

5-2. 安全なコーディング慣習

ソフトウェアのセキュリティは、コーディング段階から始まります。

安全なコーディング慣習を身につけることで、最初から脆弱性を作り出さないようにすることが可能です。

例えば、ユーザからの入力を常に検証し、エスケープすること、または開発者が予期しない動作を防ぐために、可能な限り詳細なエラーメッセージを避けることなどがあります。

5-3. セキュリティ教育と訓練

最後に、常にセキュリティ意識を高め、最新の脅威と対策を理解するために、定期的なセキュリティ教育と訓練が重要です。

これにより、開発者は新たな攻撃手法や防御戦略を学び、それを実務に活用することができます。

また、全員がセキュリティについての知識を持つことで、組織全体のセキュリティレベルを向上させることが可能となります。

クロスサイトスクリプティングの未来

6-1. 最新のクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃トレンド

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃は、時間と共に進化し続けています。

新たなテクノロジーの出現や、既存のテクノロジーの変化に対応するため、攻撃手法も変わってきています。

例えば、最近ではSPA (Single Page Application) の普及に伴い、DOM-based XSS攻撃が増えている傾向があります。

また、WAF (Web Application Firewall) の回避手法や、新たなブラウザのセキュリティ機能を標的とした攻撃など、独自の手法を開発する攻撃者も存在します。

6-2. 今後のXSS対策の方向性

クロスサイトスクリプティング(XSS)対策の未来は、多層防御と持続的な教育にあると言えるでしょう。

具体的には、コーディング段階の対策、静的・動的なセキュリティスキャニング、WAFの使用、定期的なセキュリティ教育と訓練など、さまざまなレベルでの対策を組み合わせて行うことが重要です。

また、AIや機械学習を活用した自動的な脆弱性検出や、新たな攻撃手法の予測など、技術の進化に伴った新たな対策手法も注目されています。

まとめ

7-1. クロスサイトスクリプティングの理解と防御の重要性

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、Webアプリケーションの中でも最も一般的な脆弱性の一つです。

ユーザの情報を盗み取ったり、ウェブサイトを改ざんしたりすることが可能な攻撃方法で、その影響は非常に大きいです。

それ故、クロスサイトスクリプティング(XSS)の原理を理解し、適切な防御策を講じることは、Web開発者にとって非常に重要なスキルとなっています。

7-2. 継続的な学習とアップデートの必要性

しかし、一度学んだからといって安心してはいけません。

新たな攻撃手法が日々生まれ、既存の防御策が時には無力化されることもあるため、常に最新の情報を学び続け、アップデートし続けることが求められます。

また、新たな防御策を開発するための研究も続けられており、これらの結果を積極的に取り入れることも重要です。