「MSSPとは何か?」と検索しても、専門用語ばかりで違いが分からない…そんな悩みを抱えていませんか?
MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー)は、企業のセキュリティを強化する重要な存在ですが、MSPとの違いや導入メリット・デメリット、選び方など、事前に押さえるべきポイントが多くあります。
本記事では、MSSPの基本から選定のポイント、実際の導入事例までを分かりやすく解説します。
この記事は以下のような人におすすめ!
- MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー)とは何か知りたい人
- MSSPとMSPの違いが分からない人
- MSSPの導入メリットとデメリットを知りたい人
MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー)とは
サイバー攻撃の高度化と企業のセキュリティ対策の複雑化が進む中、多くの企業が専門の外部サービスを活用するようになっています。
その代表的な存在が MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー)です。
MSSPとは、企業のネットワークやシステムを 24時間365日監視・運用し、セキュリティの脅威から守る専門業者 のことを指します。
セキュリティ対策を自社で完結するのが難しい企業にとって、MSSPは強力なパートナーとなります。
1-1. MSSPの定義
1-1-1. MSSPとは何か?(MSSPの基本概念)
MSSP(Managed Security Service Provider)とは、企業や組織に代わって情報セキュリティを管理・運用する専門サービス です。
具体的には、次のような業務を提供します。
- ネットワーク監視(不審な通信の検出・遮断)
- 脆弱性診断(システムのセキュリティホールの発見)
- インシデント対応(サイバー攻撃発生時の被害軽減・復旧)
- セキュリティログ管理(ログの収集・分析)
- ファイアウォールやIPS/IDSの運用管理(不正アクセス防御)
MSSPを導入することで、企業は セキュリティ対策を専門家に任せることができ、自社のリソースを本業に集中 できるようになります。
1-1-2. MSSPとMSPの違い
MSSPと似た言葉に「MSP(マネージドサービスプロバイダー)」があります。
MSPは ITインフラ全般の管理・運用を代行する業者 を指し、ネットワークやサーバーの管理が主な業務です。
一方、MSSPは セキュリティ専門のMSP とも言え、脅威対策や監視業務に特化しています。
簡単に違いをまとめると以下の通りです。
項目 | MSSP | MSP |
---|---|---|
管理対象 | セキュリティ機器・システム | ITインフラ全般 |
主な業務 | 監視、脅威対策、インシデント対応 | ネットワーク・サーバー運用 |
専門性 | 高度なセキュリティ専門技術が必要 | IT運用の総合支援 |
このように、「MSSPとは、企業のセキュリティを専門的に支援するMSPの一種」 という点を理解しておくと、MSSPの役割が明確になります。
1-2. MSSPの歴史と背景
1-2-1. MSSPが誕生した背景
MSSPの概念が生まれた背景には、以下のような セキュリティ業界の変化 があります。
- サイバー攻撃の巧妙化・高度化
昔はウイルス対策ソフトだけで十分だった時代もありました。しかし、現在では 標的型攻撃、ランサムウェア、ゼロデイ攻撃 など、多様な脅威が企業を狙っています。従来のセキュリティ対策では防ぎきれず、専門的な監視と迅速な対応が不可欠 になりました。 - 企業のセキュリティ人材不足
セキュリティ専門家の確保が難しい企業が増えています。高度なサイバーセキュリティ技術を持つ人材は限られており、大企業ですら人材確保に苦労しているのが現状です。そこで、セキュリティ運用を外部に委託するニーズ が高まり、MSSPの需要が拡大しました。 - コスト削減と運用負担の軽減
自社でSOC(セキュリティオペレーションセンター)を構築するのは 莫大なコストと運用負担 がかかります。MSSPを利用すれば、初期投資を抑えつつ、最新のセキュリティ対策を享受できる ため、企業の経営判断としても合理的です。
1-2-2. MSSPの発展と現在のトレンド
MSSPの歴史は 1990年代後半から2000年代初頭 に遡ります。
当初は ファイアウォールやVPNの運用管理 に特化したサービスが中心でしたが、次第に SOCの設置や24時間365日の監視・対応 が求められるようになりました。
現在では、MSSPのサービス内容も進化し、次のような 新しいトレンド が見られます。
- AI・機械学習を活用した脅威検知
- ゼロトラストセキュリティの導入支援
- クラウドセキュリティの強化
- EDR/XDR(エンドポイント・拡張検知と対応)との統合
特に ゼロトラスト や クラウド環境のセキュリティ監視 を提供するMSSPが増えており、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える存在となっています。
MSPとMSSPの違い
ITインフラの管理を外部委託する方法として、MSP(マネージドサービスプロバイダー) と MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー) という2つの選択肢があります。
この2つの用語は似ていますが、サービスの目的や提供内容が大きく異なります。
本記事では、MSPの定義とMSSPとの主な違いを詳しく解説します。
2-1. MSP(マネージドサービスプロバイダー)とは
企業のIT運用をスムーズにするため、外部の専門業者がシステムを管理する「マネージドサービスプロバイダー(MSP)」が広く活用されています。
MSPとはどのような存在なのか、その役割やサービス内容を詳しく見ていきましょう。
2-1-1. MSPの定義
MSP(Managed Service Provider) とは、企業や組織のITインフラを 継続的に運用・管理するサービス提供者 のことを指します。
MSPは、ネットワーク・サーバー・ストレージ・クラウド環境の管理や運用を代行する ことで、企業がITリソースを効率的に活用できるよう支援します。
MSPの特徴は以下の通りです。
- インフラ運用の自動化(ネットワークやサーバーの監視)
- クラウド環境の最適化(AWS、Azure、Google Cloudの管理)
- システムの安定稼働(障害対応やパフォーマンス監視)
- ITコストの削減(運用のアウトソーシング)
MSPを導入することで、企業はIT環境の維持管理にかかる人的・時間的コストを削減し、本業に集中できるようになります。
2-1-2. MSPのサービス内容
MSPが提供する主なサービスには、以下のようなものがあります。
サービス名 | 内容 |
---|---|
ネットワーク管理 | ルーター、スイッチ、Wi-Fiの設定・運用・障害対応 |
サーバー管理 | 物理サーバーや仮想サーバーの構築・運用・監視 |
クラウド管理 | AWSやAzureの最適化、セキュリティ設定、コスト管理 |
ヘルプデスク | 社員のITサポート(PCトラブル対応、アカウント管理) |
このように、MSPは 企業のIT運用をトータルで支援する役割 を果たします。
2-2. MSPとMSSPの主な相違点
MSPとMSSPの最大の違いは、”管理対象” にあります。
MSPは ITインフラ全般 の管理を担当するのに対し、MSSPは サイバーセキュリティ に特化したサービスを提供します。
2-2-1. MSPとMSSPの違いを表で比較
項目 | MSP | MSSP |
---|---|---|
管理対象 | ネットワーク、サーバー、クラウド | セキュリティ機器、脅威監視、インシデント対応 |
目的 | IT環境の安定運用 | 企業のセキュリティ強化 |
主な業務 | システム運用、障害対応、クラウド管理 | 監視、脆弱性診断、インシデント対応 |
必要な専門知識 | ITインフラ全般の運用技術 | セキュリティリスク管理、脅威インテリジェンス |
MSSPは、サイバー攻撃の増加に伴い より高度なセキュリティ対策 を必要とする企業にとって不可欠な存在となっています。
2-2-2. MSSPの特徴と役割
MSSPとは、企業の情報セキュリティを専門的に管理・運用するサービスのことです。
MSPがシステムの運用を支援するのに対し、MSSPは サイバー攻撃の脅威から企業を守る ことを目的としています。
MSSPが提供する主なサービスは以下の通りです。
- ネットワークセキュリティ監視(24時間365日の脅威検知)
- 脆弱性管理(システムの弱点を特定・修正)
- インシデント対応(サイバー攻撃発生時の迅速な対処)
- セキュリティポリシー策定(企業に適したセキュリティ戦略の提案)
例えば、企業のファイアウォールやIDS/IPSの運用をMSSPに任せることで、常に最新の脅威情報をもとにセキュリティを強化 できるようになります。
2-2-3. どちらを選ぶべきか?
MSPとMSSPのどちらを選ぶべきかは、企業の目的によって異なります。
ケース | 推奨サービス |
---|---|
ITインフラの管理をアウトソースしたい | MSP |
サイバーセキュリティを強化したい | MSSP |
両方のニーズがある | MSP + MSSPの併用 |
最近では、MSPとMSSPの両方を提供する企業 も増えており、ITインフラとセキュリティを一括で管理することも可能です。
MSSPが提供する主なサービス
企業の情報セキュリティを専門的に管理・運用する MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー) は、多岐にわたるサービスを提供しています。
MSSPを導入することで、サイバー攻撃の監視、リスク管理、インシデント対応、セキュリティ戦略の最適化 など、包括的なサポートを受けることが可能になります。
ここでは、MSSPが提供する代表的なサービスについて詳しく解説します。
3-1. ネットワーク監視と管理
企業のネットワークは、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃の標的 になりやすいため、常時監視と適切な管理 が不可欠です。
MSSPは、ネットワークの安全性を確保するために、24時間365日体制で異常を監視し、リアルタイムで脅威を検知・対応 します。
3-1-1. MSSPによるネットワーク監視の仕組み
MSSPは、次のような手法でネットワークを監視・管理します。
- リアルタイム監視(ネットワークの異常を即時検知)
- ログ分析(通信履歴を解析し、不審な活動を特定)
- 異常検知システム(IDS/IPS)の管理(攻撃の兆候を見逃さない)
- ファイアウォールの運用・最適化(ポリシーの見直しと適用)
このように、MSSPは 企業のネットワークセキュリティを強化し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑える 役割を果たします。
3-2. 脆弱性管理
システムの脆弱性(セキュリティホール)は、サイバー攻撃の最大のターゲット になります。
MSSPは、システムの安全性を維持するために、定期的な脆弱性診断 を実施し、リスクを特定・修正するサポートを提供します。
3-2-1. MSSPによる脆弱性診断とリスク評価
MSSPは、以下のような方法で脆弱性を管理します。
- 定期的な脆弱性スキャン(ネットワークやシステムの脆弱性を洗い出す)
- パッチマネジメント(セキュリティパッチの適用と管理)
- リスク評価レポートの提供(優先度に応じた対応策を提案)
- ゼロデイ攻撃対策(最新の脅威情報を活用し、未知の脆弱性にも対応)
MSSPの脆弱性管理を活用することで、企業はサイバー攻撃のリスクを事前に抑え、セキュリティを強化することが可能 になります。
3-3. インシデント対応
サイバー攻撃は いつ発生するかわかりません。
万が一、セキュリティインシデントが発生した場合、迅速な対応が求められます。MSSPは、インシデント対応の専門チーム(SOCやCSIRT)を提供し、被害を最小限に抑えるための支援 を行います。
3-3-1. MSSPのインシデント対応プロセス
MSSPによるインシデント対応は、以下の流れで実施されます。
- 検知(異常な挙動や攻撃の兆候をリアルタイムで把握)
- 分析(攻撃の種類・影響範囲を特定)
- 封じ込め(被害が拡大しないよう、影響範囲を限定)
- 復旧(システムを安全な状態に戻す)
- 報告・対策提案(再発防止策を提示し、セキュリティ強化を支援)
特に、ランサムウェアや標的型攻撃などの高度なサイバー攻撃に対して、迅速に対応できるのがMSSPの強み です。
3-4. セキュリティコンサルティング
MSSPの役割は、単なる監視や対応にとどまりません。
企業のセキュリティ戦略を最適化するために、コンサルティングサービス を提供し、中長期的なセキュリティ対策の構築 を支援します。
3-4-1. MSSPが提供するセキュリティコンサルティングの内容
MSSPのセキュリティコンサルティングには、次のようなサービスが含まれます。
- セキュリティポリシーの策定(企業に適した対策ガイドラインを作成)
- リスクアセスメント(セキュリティリスクの評価と改善提案)
- 従業員向けのセキュリティ教育(情報漏洩対策やフィッシング詐欺防止)
- ゼロトラストセキュリティの導入支援(最新のセキュリティアーキテクチャを提案)
企業ごとに異なるリスクに対して、最適なセキュリティ戦略を提案し、組織全体のセキュリティレベルを向上させる のが、MSSPのコンサルティングの目的です。
MSSPを導入するメリットとデメリット
MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー) は、企業のセキュリティ対策を強化するために 専門的なセキュリティ管理や運用を提供する外部サービス です。
しかし、MSSPを導入することで得られるメリットがある一方で、デメリットや注意点も存在します。
ここでは、MSSPを導入することによる 利点とリスク を詳しく解説し、企業にとって適切な判断ができるようにサポートします。
4-1. メリット:専門知識の活用、コスト削減など
企業がMSSPを導入する主な理由は、セキュリティ強化と運用負担の軽減 です。社内に専門のセキュリティチームを持つことが難しい企業にとって、MSSPは 効率的かつコストパフォーマンスの高い選択肢 となります。
4-1-1. 最新のセキュリティ専門知識を活用できる
サイバー攻撃は日々進化し、ゼロデイ攻撃や高度な標的型攻撃など、従来の対策では防ぎきれない脅威 が増えています。MSSPは、最新の脅威情報を常に収集し、高度なセキュリティ対策を提供 することで、企業の情報資産を守ります。
MSSPの専門知識を活用することで、企業は以下のようなメリットを享受できます。
- 最新の脅威インテリジェンスを活用できる
- サイバー攻撃への即時対応が可能
- 社内に高度なセキュリティ専門家を雇う必要がない
4-1-2. 運用コストを削減できる
社内にセキュリティチームを持つには、多額のコストがかかります。
例えば、SOC(セキュリティオペレーションセンター)を構築するには、次のような費用が必要になります。
- セキュリティ専門家の人件費
- セキュリティ監視システムの導入コスト
- 脅威インテリジェンスの取得コスト
MSSPを利用すれば、これらの運用コストを大幅に削減でき、固定費を変動費化できる ため、企業の予算管理がしやすくなります。
4-1-3. 24時間365日の監視・対応が可能
企業が自前でセキュリティ監視を行う場合、24時間365日の体制を整えるのは現実的に困難 です。
特に、サイバー攻撃は夜間や休日など 企業の監視が手薄な時間帯 を狙ってくることが多く、常時監視が不可欠です。
MSSPは、以下のようなサービスを提供し、セキュリティの常時監視体制を確立 します。
- SOC(セキュリティオペレーションセンター)による監視
- インシデント発生時の迅速な対応
- 脆弱性スキャンや定期的な診断の実施
これにより、企業は常に最新のセキュリティ対策を受けながら、本業に専念できる 環境を整えられます。
4-2. デメリット:外部依存のリスク、情報漏洩の懸念など
MSSPの導入には多くのメリットがある一方で、いくつかのリスクも考慮する必要があります。
特に 外部依存やデータ漏洩のリスク は、企業が慎重に判断すべきポイントです。
4-2-1. 外部依存のリスク
MSSPを導入すると、セキュリティ運用を外部に任せることになるため、企業のセキュリティに関する意思決定が遅れる可能性 があります。
例えば、以下のような課題が発生することがあります。
- インシデント発生時の対応が遅れる(社内とMSSPの連携が必要なため)
- 自社でセキュリティ知識が蓄積されない
- MSSPのサービスが終了すると、セキュリティ運用が滞る可能性がある
このため、MSSPを選定する際には、サービスの品質やSLA(サービスレベルアグリーメント)を十分に確認することが重要 です。
4-2-2. 情報漏洩の懸念
MSSPにセキュリティ運用を委託する場合、企業の機密情報をMSSPと共有することになります。
そのため、MSSP側のセキュリティ対策が不十分だと、情報漏洩のリスクが高まる 可能性があります。
特に、以下の点には注意が必要です。
- MSSPがどのようなデータを扱うのか
- データの取り扱いルール(アクセス管理や暗号化など)が適切か
- MSSP自身がサイバー攻撃を受けるリスク
MSSPを選ぶ際には、プライバシー保護やデータ管理の体制を確認し、適切な契約を結ぶことが重要 です。
4-2-3. MSSPの対応範囲の制約
MSSPが提供するサービスには 各社ごとに対応範囲の違い があります。
そのため、企業が期待するすべてのセキュリティ対策がカバーされているとは限りません。
例えば、
- 特定のクラウド環境(AWSやAzure)の監視には対応していない
- EDR(エンドポイント検知・対応)が含まれていない
- インシデント発生時の責任範囲が曖昧
といったケースが考えられます。
このため、MSSPを導入する際には、自社のセキュリティニーズを明確にし、MSSPの対応範囲を確認することが重要 です。
MSSP選定時のポイント
MSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー) を導入することで、企業は 専門的なセキュリティ管理を受けることができ、サイバー攻撃のリスクを低減 できます。
しかし、MSSPによって提供するサービス内容や品質、対応範囲には差があるため、選定時には慎重な検討が必要です。
ここでは、MSSPを選ぶ際に重要となる サービスの範囲と品質、実績と信頼性、コストと契約条件 について詳しく解説します。
5-1. サービスの範囲と品質
MSSPを選定する際に最も重要なのが、提供されるサービスの範囲とその品質 です。
企業が求めるセキュリティ対策が、MSSPのサービスに含まれているかを確認しなければなりません。
5-1-1. MSSPが提供するセキュリティ対策の確認
MSSPのサービスには、基本的な監視機能から高度なインシデント対応まで、さまざまなレベル があります。
選定時には、次のポイントをチェックしましょう。
- 24時間365日の監視体制があるか
- インシデント発生時の対応スピードはどの程度か
- 脆弱性管理やリスク評価のサービスが含まれているか
- クラウド環境(AWS、Azureなど)の監視が可能か
- EDR/XDR(エンドポイントセキュリティ)への対応はあるか
企業ごとに必要なセキュリティ対策は異なるため、MSSPが提供するサービス範囲を明確にすることが重要です。
5-1-2. SLA(サービス品質保証)の確認
MSSPのサービス品質は、SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証) によって規定されます。
契約前に、次のような項目を確認しましょう。
- 検知から対応までの時間(MTTD、MTTR)
- 障害発生時のサポート体制
- セキュリティインシデントの報告頻度
- ログの保存期間と提供方式
SLAの基準が明確でないMSSPは、対応品質にばらつきがある可能性があるため注意が必要 です。

5-2. 実績と信頼性
MSSPのサービス品質は、過去の実績や提供企業の信頼性 によって大きく異なります。特に、セキュリティは企業の根幹を支える分野 であるため、十分な実績があるMSSPを選ぶことが重要です。
5-2-1. MSSPの導入実績をチェックする
MSSPを選定する際には、過去の導入事例や顧客満足度を確認 しましょう。
以下のような項目をチェックすることで、そのMSSPが信頼できるかどうかを判断できます。
- 導入企業の業界(金融、医療、製造業など)
- 過去のインシデント対応実績
- SOC(セキュリティオペレーションセンター)の運営状況
- セキュリティ認証(ISO 27001、SOC2、NISTなど)の取得状況
実績が豊富なMSSPほど、多様な攻撃パターンに対応した経験があり、信頼性が高い ことが期待できます。
5-2-2. MSSPのセキュリティ対応力を確認する
MSSP自体もサイバー攻撃の標的になり得るため、MSSPのセキュリティ対策が十分かどうかを確認 することも重要です。
- MSSP自身の情報漏洩事故の有無
- SOCの運用レベル(自社SOC or 外部委託)
- エシカルハッカーやセキュリティ専門家の在籍状況
- 脅威インテリジェンスの活用状況
セキュリティに関する透明性が高く、専門家が多数在籍するMSSPは、より信頼できるパートナー となります。
5-3. コストと契約条件
MSSPのサービスは、提供内容によってコストが大きく異なります。
また、契約条件によっては、企業の運用に影響を及ぼす可能性があるため、慎重に確認する必要があります。
5-3-1. MSSPの料金体系を比較する
MSSPの料金体系には、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。
- 固定料金プラン(一定のサービス範囲を月額または年額で提供)
- 従量課金プラン(監視対象やインシデント対応件数に応じた課金)
企業のセキュリティ予算やニーズに応じて、どちらの料金体系が適しているかを検討する ことが重要です。
また、以下の点についても確認しておきましょう。
- 初期費用が発生するか
- 追加のインシデント対応に課金があるか
- 契約更新時の料金変動の有無
料金が安いMSSPを選ぶと、必要なサービスが含まれていなかったり、追加料金が発生したりする可能性がある ため注意が必要です。
5-3-2. 契約条件と解約時のリスクを確認する
MSSPの契約期間や解約条件も、事前に確認しておくべき重要なポイントです。
- 最低契約期間(1年契約 or 3年契約など)
- 途中解約の違約金
- 契約更新時の条件変更
- データの引き渡し方法(MSSP解約後のログ取得可否)
特に、解約時にデータの引き渡しができないMSSPを選ぶと、企業のセキュリティ運用に支障をきたす可能性 があるため注意が必要です。